ブックアドバイザー木村綾子の日々の徒然

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2014年03月26日
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ずっと娘がお友だちから借りてきて読んでいた『 銀の匙 』(中勘助の『 銀の匙 [ 中勘助 ] 』ではないよぉ)。
そろそろ全巻購入するべ?と意気投合。
なもので、遅蒔きながら今月に入り一気に現11巻購入。
ようやく読み上げました。

(←こっちは中勘助)

以前まで読んでいたところまでは、なぜタイトルが「銀の匙」なのかよく分かっていなかったのですが(「銀の匙」がヨーロッパでは誕生の贈り物として必需品ということは意味と共に知っていました)、まさにヨーロッパのあの言い伝えと「農業」を直結させていたということを今回既刊全て読んで納得しました。


前作の「ハガレン」からすると、すごくタイトルがシンプルでいながら、奥深さを感じます。
ただ、これが最初に出版された時、元灘高校の橋本武さんが中勘助の『銀の匙』を使った授業が話題になっていた頃と重なったので、それだけがちょっと残念。

でも、中勘助の『銀の匙』も今回取り上げられている荒川弘の『銀の匙』も共に根底が一緒ということは、同時期にこのタイトルが日本中を駆け巡った意味がそこにあるような気もします。

シンプルでありながら、奥深さを感じるこのタイトルは、内容がついていかなければ、ただの名前負けになってしまう代物。

どちらの作品も「銀の匙」に名前負けしていない作品であることがまず、すごい!!!!

さて、本編に触れますと、私は八軒のお兄ちゃんが好み。

主人公の八軒勇吾と兄ちゃんの慎吾には恐るべし父親がいるのですが、2人ともこの親から逃げているんですね。
もちろん、己の身を守るためになのですが。
そのお兄ちゃんの逃げ方が自分とダブるのです(苦笑)。

まぁ、東大ではありませんが、私も就職の時にすったもんだしました。
最初から、絶対に自分に向いていないの分かっていたから、「受けない」と言い切っていたのですが、自宅生だったこともあり、願書を出さなければ包丁で突き刺されるような勢いでした(遠い記憶~)。

第1子の逃げ方でしょうか(大笑)。
未だに逃避生活(爆)。

なもので、この慎吾兄ちゃんの言動ってかなり理解できるというか、まぁ重なるんですね。
こんなところで、自分の過去を掘りおこされるなんて思ってもみなかった(笑)。

もちろん、勇吾の逃げ方も否定はしません。

それって大きな前進なんだろうなと感じました。

現在11巻で、親とこの兄弟の縺れは現在進行形ですが、おそらく物語がすすむうちにこの風呂敷も作者は上手にたたんでいってくれるのなかなと期待しています。

親子関係の話はこのくらいにして、主軸になる大蝦夷農業高校の日常。

これまた、すごいです。
いちばん自分の身近でありながら、いちばん遠い存在の「農業」を多角的に語ってくれています。
(まるで、お隣の国ながら、全く分かっていない中国や韓国のような感覚)
これは自分の想像を絶しました。

倫理学、社会学、生物学、化学、家政学、経済学なんかは序の口で、話は起業、グローバル化へと展開していきます。
楽しく読みながら、これだけ農業の現在、課題、問題提起を示している作品に私はこれまで出会うことがなかったな~。

舞台が北海道の農業高校というのが、かなりこれだけ話を広げている要素でもあると感じています。
これは同じ作者が描いている『 百姓貴族 』に書かれていますが、北海道でも帯広地域は自給率1000%。
つまり、大蝦夷農業高校の生徒の多くの家庭が実際に農業をやっていて、いい面も、悪い面も実生活として農業を身に染みています。
なので、一般科目がからっきし弱い生徒も、農業については、深いところで語ることができます。
それが、作品の中でとても活かされていて不自然さがないのです。

11巻でようやく八軒君は高校生活の1年目が終了。
おそらく、高校卒業までこの作品は続くのかなと思っています。
今後この作品の生徒たち、教職員、そして家族たちからどのようなことが語られるのか、とても期待するのであります。


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最終更新日  2014年03月26日 09時06分40秒コメント(0) | コメントを書く


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