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2006.01.07

『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。

(6)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91912)

カテゴリ：読んで（観て）みました。

2005年のうちに読み終わりたいと思っていた「豊饒の海」ですが、
とうとう年をまたいでしまいました…

「春の雪」「奔馬」の流れをいったん断ち切るかのように、
物語がいきなり海外、タイの国から始まることや、
語り手である本多が、物語の空白期間に没頭し、集めたという

眩暈をおぼえ・・・（平たく言えば理解できず）
いったん本を横に置いてしまったのでした。

ジン・ジャン姫は本当に清顕、勲らの転生なのだろうか？
まるで前世の記憶をそのまま伴って生まれ変わってきたような、
謝罪の言葉を口にしたかと思うと、今度は
その成長と共にそういった転生のきざしは全く見られなくなっていき…。
（むしろ心を持たない人形のように感じるのは何故）
なにより女性として転生することに、どんな意味を持たせようというのか。
本多でなくても惑わされるでしょう…この状況は。

本多自身、「春の雪」「奔馬」とはあきらかに人が違ってきているよう。
転生の目撃者、そして傍観者であることに変わりはないのだけれど

思えます。
また、“老い”を迎えるにあたって彼の場合次第に醜さを帯びていくようです。
三島由紀夫の文章が、とても華美であるが故にその対比には
身震いを感じたりして。
傍観することに疲れた、というのかな。

激しく生を生き抜ける人と、そうしたくともできない人がいる。
それを嫌というほど知っているのは後者の人間で…本多はどうしたって後者。
彼なりにそれを脱したいと思っても、運命がそれを許さないみたいです。

主観と傍観。若と老。美と醜。恋と肉欲。そして過去と現在…。

そんな対極にあるものを美しく、しかも容赦のない言葉で織り上げていく。
「暁の寺」はそんな印象でした。
（こうして読み進んでくると『春の雪』『奔馬』の方が作品として好きですね）

あと、残すところは最終巻である『天人五衰』のみ。
この巻で本多は七十六歳になって登場します。

これを書き上げたあとに三島由紀夫は自決したのだ…と思うと
最後の一文を読むのがとても怖い。

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最終更新日 2006.01.07 11:06:51
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■コメント

Re:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

哲０７０１さん

ご存知でしょうが、「三島由紀夫が死んだ日」という
本が出ております。 (2006.01.07 13:29:21)

返事を書く

Re:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

kayokorin さん

私がお正月気分でほやほやしている間にも
柊さんは重厚な三島ワールドに浸ってらっしゃったのですね。
うらやましくもあり　ちょっと今の弛緩しきった私の心身で
少々　三島を受け止める自信もなく(^_^;)
でもやっぱり　うらやましかったりします。

私もいつか　三島作品を読み直してみたいなぁ・・・。 (2006.01.07 16:53:16)

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Re:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

machirun さん

＞眩暈をおぼえ・・・（平たく言えば理解できず）

私もごく最近同じ思いをしました。
堀江敏幸さんの「河岸忘日抄」で・・・^_^;
読了したんですが、う～ん・・・という感じ；
柊さんは再読の予定はないんですか？？

このシリーズはどうせなら続けて読みたいと思って、先の2冊は買って積んであります。でも残り2冊はまだ。笑。
全部読み終えるのは一体いつになるんだろう。笑。

「女王蜂」忘れずに観ました♪　私もかなりの「怖さ」を覚悟していたのですが、そうでもなかったですよ。　やっぱりさすが吾郎ちゃん。笑。 (2006.01.07 19:32:30)

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Re[1]:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

柊♪ さん

哲０７０１さんへ

＞ご存知でしょうが、「三島由紀夫が死んだ日」という
＞本が出ております。

豊穣の海四部作を読み終えたら、今度はその他の著作や三島由紀夫自身のことが書かれた本など
読んでみたいなあ…と思ってます。
(2006.01.08 11:24:27)

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Re[1]:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

柊♪ さん

kayokorinさんへ

＞私がお正月気分でほやほやしている間にも
＞柊さんは重厚な三島ワールドに浸ってらっしゃったのですね。

いえいえ。正直に申し上げますと
「年内読了が目標と言っていたのに年を越してしまった～！！」と
自分自身を脅迫していたような（笑）

でも、三島由紀夫の文章に触れていたら自然に気持ちがきりっとしてきて
気持ちが良かったです。
このまま『天人五衰』に進もうか、一度横に逸れようか迷ってます^^;

(2006.01.08 11:29:01)

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Re[1]:『暁の寺　（豊饒の海　三）』三島由紀夫著　読みました。(01/07)

柊♪ さん

machirunさんへ

＞私もごく最近同じ思いをしました。
＞堀江敏幸さんの「河岸忘日抄」で・・・^_^;
＞読了したんですが、う～ん・・・という感じ；
＞柊さんは再読の予定はないんですか？？

散文調なんですよね^^;
再読したいんですが～ついつい時間のあるときに、と後回しにしたりして（笑）

＞このシリーズはどうせなら続けて読みたいと思って、先の2冊は買って積んであります。でも残り2冊はまだ。笑。
＞全部読み終えるのは一体いつになるんだろう。笑。

一気に行くのはちょっとしんどいので柊はゆっくりペースで読み進みます（笑）
最終巻を読むのは感慨深そうです～。

＞「女王蜂」忘れずに観ました♪　私もかなりの「怖さ」を覚悟していたのですが、そうでもなかったですよ。　やっぱりさすが吾郎ちゃん。笑。

柊も昨日観ました♪
あんまり怖くなくて良かった良かった(*^^*)
稲垣くん金田一シリーズはこれからも続いて欲しいなあと思ってます。
(2006.01.08 11:32:55)

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