木曜日の練習走行から続いていた猛暑が嘘のような雨のなか、ウェットタイヤを装着したマシンが、伝統の“ル・マン式スタート”でコースに飛び出していく。スタートダッシュを決めてホールショットを奪ったのは、数日前にCar Watch編集部を訪ねてくれた(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140723_659078.html)17号車 Team KAGAYAMA with Verity(ドミニク・エガーター)だ。
ル・マン式スタートでレースは始まった 1コーナーに最初に飛び込んだのは17号車 Team KAGAYAMA with Verity ところが、直後のS字で104号車 TOHO Racing with MORIWAKI(山口辰也)がトップを奪い、予選1位の34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンス(津田拓也)が2位に浮上。17号車 Team KAGAYAMA with Verityは後続グループに飲み込まれていった。
ウェットコンディションのなか、快走を見せたのは「中勢バイパス開通イベント(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140324_641014.html)」で豪快なウィリーを見せてくれた11号車 F.C.C. TSR Honda(秋吉耕佑)だ。オープニングラップのヘアピンで3位に浮上すると、シケインで2位、2周目のS字でトップに立ち、そのまま後続との差を広げて行った。
2周目からレースを引っ張った11号車 F.C.C. TSR Honda 6周目。3位に後退した34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンスの後方に、12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンス(青木宣篤)が迫ってきた。12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンスはケビン・シュワンツ、辻本聡という“8耐レジェンド”が乗る今大会注目のチーム。Car Watch編集部を訪れた際(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140709_657068.html)にも「優勝を狙う」と宣言していた。
ヨシムラ同士の3位争い。この後にまさかの悲劇が 12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンスに悲劇 ヘアピン、2輪専用シケインで2台は肉薄。同チームでの接触すれすれのバトルに緊張が走った。西ストレートで12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンスがイン側から先行。そのまま130Rに進入してオーバーテイク成功と思われた直後、12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンスはオーバースピードでコースアウト。マシンはタイヤがホイールから外れてピットまで押して戻ることもできず、スタートからわずか15分、レジェンド2人の走りを見せることなくリタイヤとなった。
12号車 Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンスのシュワンツ選手は決勝を走ることができなかった(写真は決勝当日、朝の練習走行時のもの) サーキットが悲壮感に包まれた直後、34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンスの背後に迫ったのは634号車 MuSASHi RT HARC-PRO(高橋巧)。7周目のシケインでテール・トゥ・ノーズに持ち込むと、8周目の2コーナーでオーバーテイクして3位に浮上。快調に飛ばす634号車 MuSASHi RT HARC-PROは、12周目に104号車 TOHO Racing with MORIWAKIも抜いて2位にポジションアップした。
15周を過ぎたころには日差しが戻り、20周を過ぎるとレコードラインは乾き始めた。スタートから1時間、25周を前後して各車がウェットタイヤからスリックタイヤにタイヤ交換を行う。スリックタイヤへの交換が終わると、トップの11号車 F.C.C. TSR Hondaは2位の634号車 MuSASHi RT HARC-PROに33秒の差を付け独走。3位は34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンス、4位は104号車 TOHO Racing with MORIWAKI、5位は17号車 Team KAGAYAMA with Verityとなった。
3位の34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンス 4位の104号車 TOHO Racing with MORIWAKI
豪雨再来。SC導入へ スタートから2時間、周回数が50周に近付くと再び雨が降り出した。雨は徐々に強まっていき、スタート前と同じくらいの豪雨となる。41周目に4位に浮上した87号車 Team GREEN(渡辺一樹)は、49周目に34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンス(ジョシュ・ウォーター)と634号車 MuSASHi RT HARC-PRO(レオン・ハスラム)を立て続けに抜き去って2位となった。
再び豪雨に見舞われた鈴鹿サーキット 2位争いをしていた87号車 Team GREEN、634号車 MuSASHi RT HARC-PRO、34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンスはスリックタイヤのままコースにステイしていたが、トップの11号車 F.C.C. TSR Hondaはすぐにピットイン。レインタイヤに交換してコースに復帰する。
2位に浮上した87号車 Team GREENだが、直後のS字でコースを外れて4位に後退。すぐに復帰するもヘアピンで転倒し、さらに5位までポジションを落とした。634号車 MuSASHi RT HARC-PROは次の周もステイアウト。34号車 ヨシムラスズキ シェルアドバンスと87号車 Team GREENはピットイン。87号車 Team GREENはマシンを修復したため20位まで後退した。ようやく次の周に634号車 MuSASHi RT HARC-PROもピットイン。判断の遅れで2位のポジションから周回遅れの6位となってしまった。
転倒したマシンの影響からセーフティカー(SC)が導入された。鈴鹿8耐のSCはコースを2分割するように2台が導入され、必ずしもトップのマシンの前に入るわけではない。元々2分以上の大差となっていたが、同一周回の2位、3位、4位と同じSCの集団に11号車 F.C.C. TSR Hondaも入ったので、2位から4位がトップの11号車 F.C.C. TSR Hondaの目の前を走るという位置関係になった。