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米澤穂信先生の小説にハマり、生まれて初めて活字を読み散らかすのが楽しいと思えました!
・・・その流れで、手を出したのがこちら。
『井上ひさし劇脚本 道元の冒険』
(井上ひさし・新潮社・1971年)
道元の半生をたどりながら、彼の意識が現代の性犯罪者とリンクし・・・
祖父の本棚から勝手に持ち出して読みました。
劇脚本ってどんなものかな~?って。井上ひさしさんって以前から凄く興味がありましたし・・・。
えっと、内容自体が全部理解できたぜ!
・・・というわけではもちろんありません;
ぶっちゃけ私の読解力・仏教知識じゃ・・・よく分かりませんでした。
思想とか悟りとか;;
ただ、劇脚本ですので。
「このシーン」での面白味はここだよ、という部分が
注意書きなんかで書いてあるんです。
で、その「面白味」というのが・・・衝撃的でした。
なんって難しいことを!!!
演劇でしかできない面白さのオンパレードなのですが、
もう、 演出家さまと役者さまへの挑戦状
としか思えない難しさで。
特に読みながら「いやいやいや・・・」と思ったのが、
道元の弟子たちと、道元に比叡山への屈服を勧めに来た客たちを「同一の役者で演じる」と指定をつけておいて、
劇中の周りの人間は気づいてないけど、
客には、同一人物が演じているという矛盾や葛藤で コミカルに魅せる!
という部分。
弟子で在りながら、道元の敵として登場する役者たちは、
次第に独りになってゆく道元に対する後ろめたさがあり、
彼に対して度々たじろぐ・・・
とか・・・読みながら・・・
難しいな!!! と。
確かに演劇でしかできない面白さですけど;
いや・・・こんなの目の前で演じられたとしても・・・
分かんないし!!
面白さにたどり着けないですよ・・・;;
と思いました。
私自身が演劇を見慣れていないので、
「演劇能」で考えた面白さというのは新鮮で面白かったです!
こんなん実際には出来ないよな・・・と思ったのですが、
何回も上演されているようで;
最近でも演出・蜷川幸雄さん、主演・阿部寛さんという錚々たるメンバーで上映されていたそうです。
・・・興味あるなぁ!DVDが出てましたが・・・うーん高いなぁ;
この本には、道元の冒険の他に、2本の短中編脚本が収録されていました。
『十一ぴきのネコ』
これも・・・宗教ちっくだな、と思って読みました。
日々食料を求め続ける十ぴきの野良猫たちの前に、
自活の道を指し示す指導者的な にゃん太郎
が現れ、
彼らは新天地を切りひらいていきます。
その先にあるのは・・・?
後味の悪さも含めて、
まとまりが良くて、猫物配置も納得がいって、
すんなり頭に入って来るお話でした。
『うかうか三十、ちょろちょろ四十』
ある殿様の気まぐれと、ある平民一家の末路のお話。
雰囲気は一番統制がとれているお話かな?と思いました。短いからだからだと思いますが。
救えない題材ですが・・・面白かったです。
こういうのもちょくちょく読んでいきたいです。
by姉
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