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おはようございます。姉の方です。突然・・・松本清張作品を読み始めました!というのも、SMAPドラマの鑑賞をぼちぼち続ける中で、中居くん主演のTBSドラマ「砂の器」(2004年)に行き当たりまして。2話くらいまで観たのですが、「これは原作を読んでから、変更点を見比べながら観た方が面白いだろう」と判断し、ドラマ鑑賞を中断して、原作の文庫(上下巻)を購入していたのですが・・・なかなか手がつかず、放っておいてまして。今回、何気にその文庫に手を出したところ、次にドラマ版を見比べに行くかと思いきや、松本清張の他作品の方に興味が行っちゃいまして。『砂の器』(上下巻・昭和36年)『点と線』(昭和33年)『ゼロの焦点』(昭和34年)ここ1週間くらいで、文庫本4冊を駆け抜けてしまいました。いや・・・面白い・・・!!とにかく驚いたのが、「読みやすさ」です。上に書いた通り、今から60年とか前の作品なんですよ。なのに、ほぼほぼノーストレスで、ぐんぐん読み進めることが出来ました。これは松本清張さんの、「一般大衆、その隅々まで」を意識した優れた文章力のおかげとしか言いようがないと思います。情景描写はもちろん、「常識」もことごとく説明をしてくれるんです。「これは分かり切ってるよね」っていう、「読者の常識」に甘えた書き方が一切ない。これは、松本清張さんが元朝日新聞記者というのを観て、すごく納得しました。場面展開や作中で出てくる新しい概念に対して、「どんな場所に住む、どんな人でも理解できるように」、5W2Hを絶対に忘れないんです。あぁ、これが新聞で物事を説明することを、常に考えている人の文章かぁ・・・と。作中で度々列車の描写がありますが、この当時まだ新幹線がないんですよ。夜行列車なんですよ。(初新幹線は、昭和39年)『点と線』では青函連絡船が出てきますが、当時はまだ青函トンネルの着工すらしていない頃です。↑この辺はちゃんと説明をしてくれないと、私は読めません。 「常識」って一番残らないので。最近本当にそれを感じます。半世紀以上後になっても、今私がこうしてするすると読めるというのは本当に凄いことだな、凄い文章能力だな、と思います。あとは、一主観がぐいぐいと不可思議な事件の核心に迫っていく中で、鮮やかになっていく、一人の人物像。私が読んだ3作品の中では、それはいずれも「犯人像」なのですが、この「犯人像」の、魅力の掴みどころがまたすごく面白いです。魅力的。戦後の20年間という、時代の一大変革期において、その中だからこそ生まれる「社会的地位を飛び越える」個人の変貌・大成と、そこにまとわりつく苦悩が、とにかく鮮やかです。文庫の著者解説・松本清張さんの説明には、「社会派」という文言がありましたが、すごくしっくり来ました。「社会の描写」から、個人をあぶり出していく感じ・・・というか。私の好みドストライクでした。松本清張さんの他作品には、歴史ものもたくさんあるようなので、そちらも手を出していきたいです。あと、『砂の器』のドラマもちゃんと観なきゃ。小説は、蒲田駅で起きた殺人事件を、主人公の刑事がひたすら追う物語でしたが、ドラマは、最初から犯人(中居くん)目線で始まっていました。登場人物たちも、犯人誤認の為のひっかけ的な描き方から、犯人像をより鮮やかに描写するための役割に設定変更していそうな感じでしょうか。うん。アイドルドラマとして妥当だし、面白そう。楽しみです。by姉
2018.06.12
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小説もちょくちょくですが読み進めてます。『王妃の館』(浅田次郎先生・2001年)パリ・ヴォージュ広場にある、ホテル・シャトー・ドゥ・ラレーヌ。政治的な問題からベルサイユを追われたルイ14世の妃・ディアナが暮らしたこの館は、現在では世界中の観光客の憧れの的となっている。このホテルのブランド力を利用し、日本のとある旅行会社が企画したのは、同部屋にダブルブッキングで客を入れてしまおうという、サギまがいの2ツアーだった。光(ポジ)ツアー、影(ネガ)ツアーと名付けられた各ツアーには、上司との長年に渡る不倫の末、リストラされた元OL、真面目すぎて退職したての元警察官、売れっ子作家、その担当、その二人を追いかける他社の担当二人、失恋したオカマ、工場の多重債務から、自殺を決意した老夫婦、不動産王に詐欺師・・・曲者たちが揃いに揃った。本当にこんな企画がうまくいくのか・・・?様々な打ち合わせが詰まりきらないまま、フランス・パリ10日間の旅は始まった。 *以下、クライマックスのネタばれあり感想です。ご注意ください。* 浅田次郎先生の、コミカル群像劇・・・って感じかな?な作品でした。現代のドタバタだと思って読んでいたのですが、ただでさえツアー客たちだけで十数人居る群像劇なのに、突然17世紀のフランスに場面転換したりするんですもん。おもしろいじゃないですかぁ><!最初はホテルの用意した、「当ホテルにまつわるエピソード」に酔うサービスだったのですが、そこから芸術の神に降臨された小説家が、天より降りてくる17世紀の物語を、缶詰状態で紡ぎます。王妃・ディアナと、父親を知らずに育った王子・プティ・ルイ、そして彼を愛する広場の住人たちの迎える結末とは・・・?書きあげられていく名作小説と、光・影ツアー面々の、交錯する人間関係。浅田次郎先生というと、感情ミステリー・・・と言いますか、一人の人間の激情が浮かび上がって来るという作品をいくつか読んだことがあったのですが、こんなコミカルシニカル群像劇もあるんですね。各々のメンバー・ツアコンが、嫌な部分を存分にさらけ出しながら優雅なパリ旅行をしているんですが・・・お互いのツアーに、光と影とも言うべき「出逢うべき相手」が居るのがなんとも楽しかったです。うん・・・いろんな感情が雑多に散らばっててで、それがお互いに皆きれいに繋がる・・・とか、そういうわけではないのですが・・・クライマックス、ベルサイユに招かれ、ヴォージュ広場から旅立つプティ・ルイの様子を、一同に会してしまった光・影ツアーの面々が書き下ろされたばかりの小説をむさぼり読みながら見守り・・・そこから(だけではないですが)、救い・未来を見出していくシーンはなるほどぉ・・・><って感じでした。雑多なのに、まとまってる・・・!おもしろい・・・><!!やっぱり小説も楽しいなぁ。さてさて。購入より数か月放置してある文庫小説なんかも何冊かあるので、時間がかかるかもですが・・・読み進めていかなくては。by姉
2013.03.18
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銭型平次の原作小説『銭形平次 捕物控』(野村胡堂先生、1931~1957年)読み始めました。文庫1冊に10本くらいずつ事件が収録されているので、毎夜ちょくちょく読み進めています。・・・事件出だしの掴みがどれもこれも色があってパッとして、容疑者が幾人も出てきて・・・期待通りの裏切りをしてくれます。これは楽しい><てやんでぇべらんめぇの江戸っ子口調最高です。もう少し読んだら、お気に入りの事件について感想を書いていきたいです。by姉
2012.12.14
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読書感想。簡単に。私に読める活字は・・・多分限られています。歴史モノ(軍記物系)とミステリーです。そう考えると、この作品は本当に好みど真ん中の作品でした。『珍妃の井戸』(浅田次郎先生・1997年)清朝末期・1898年。義和団の乱の最中、北京・紫禁城内で、光緒帝の妃・珍妃が井戸に投げ込まれ殺された。2年後、清国を狙う列強諸国ー英独露日の高官たちは、この事件の犯人暴こうと調査を開始する。*以下、ネタばれあり感想です。ご注意ください。* ・・・壬生義士伝と似てた!歴史モノであり、真実を複数証言から紐解くミステリー作品でした。各章ごとが、関係者の証言(語り口調)でできています。ただ、最初はどの方の話も真に受けて聴いていたのですが、それがどんどん・・・矛盾してくる。つまり証言者が、嘘ばかりついて・・・真実が結局分からない。話を聴いて回る方にしてもそうで、それぞれの国を体現したような4カ国の高官たちは、結局大国を挟んで覇権争いをしている国同士なわけで、腹の探り合いや嫌みの言い合いをしています。壬生義士伝と違って、事件からまだ2年後・・・動乱最中での証言なので、こうなるんだな・・・と。壬生義士伝は時間がたち過ぎていて、いまさら事実を捻じ曲げて利用しようなんて証言者は出てこなかった・・・そう思うと、時間軸設定もすごく理にかなっていて面白いなぁ~と思います。証言者によって真実が二転・三転する面白さもありますが、その嘘の証言の中の全てに、証言者の数だけの真実がある・・・のが垣間見えるのが・・・面白いんですよ><その証言者の数だけの真実を、最後・・・珍妃本人の語り口でまとめるのですが、これがなんともグっと来て。シンプルな語り口なのに、そこに、これまでの方たちのいろんな思いが乗っかってるのがなんか分かるんですよ・・・。なんかこう・・・同じ言葉を何度も繰り返すとことか・・・切々としていて・・・なんかイイんですよ・・・!ここまで来たら、是非語られなかった「真実」・・・西太后の証言も聴いてみたかった!ですが、そこは最後までミステリーにして残しておくのも余韻・・・なんでしょうか。壬生義士伝でも、吉村貫一郎の妻・しづは、主人公の行動の原点に居た核人物でありながら、最後までその主観が出て来ませんでした。 はぁ・・・面白かったです!!ちなみにこの作品、『蒼穹の昴』という作品の続編にあたるモノだそうで。・・・あぁ、だからあの宦官たちの描写がなんか浮いてたような気がしたような;これはしっかり、本家も読んでみなければ。西太后さまに関しても、こちらを読まなければなんとも分からない・・・のかもです。ところで。えっと・・・義和団事件って・・・どんな事件でしたっけ・・・?(結局、今回はよく分からずに読み切った。)や・・・やりましたよ?世界史で。たぶん。なんかえっと・・・なんか・・・勉強しなおしてきます;;by姉
2012.11.25
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これだぁあああ!!という絵本に出逢いました。絵本作家さまのはたこうしろうさん!母と妹が、この方の講演会に行って感動して買ってきた絵本が実家にありまして・・・;電話でちらっと話は聴いてたので読んでみました。 ・・・!!!これだ・・・これですよ・・・!・・・「うわぁ///」という萌えですよ!!!妹いわく、「絵の病の方」・・・ということで;「一度描いたタッチの絵は描きたくない」そうで、全作全然違います。妹が、講演会で聞いたはたこうしろうさんご本人の解説と、自分の見解を混ぜて「絵」の部分について力説してくれました。どれだけ上手いか、どれだけ考えてあるか・・・妹の絵に関しての鑑賞眼は、本当にありがたいです。(私の素人エンタメ解釈と違って、実はアカデミック仕込みなので;) ただ、私は・・・実は「絵の人」じゃないんです。最近気づいたんですけど。絵を見るためにエンタメ渇望症なわけじゃない・・・大好きなエンタメ作品に、私を狙うための仕掛けがしてあることに気がついて、もっとエンタメ作品が好きになったから・・・狙いが知りたいんですよ!!そもそももって、人の心を掴む、時間とお金を費やしてもらう、個人で家族で・・・対象を指定して「使ってもらう」そういうのを「狙う」という行為自体が、大っっっっ好きなんですよ。それが上手くいっているか、上手くいっていないか、要は、表現しきれてるのか、しきれてないのか、個人で創るものと大勢で創るものの、創り方の違いとその方程式はどうか上手くいっているものは、どうやってそれをまとめ上げているのか、上手くいっていないものは、何が足りなかったのか・・・こうやって考えていくと・・・だんだん表現者のエリアに入っていってしまって、正直私にはさっっぱり分からないんですが。だからこそ、表現の部分はもう・・・表現されている方の頭の中なんて分からん!ってほっぽって、私に伝わってきてるか来ていないかだけでしか考えられないんですが。えっとつまり・・・このはたこうしろうさんの絵本が、強烈に↑こうだったんですよ。3冊家にありましたが・・・それぞれが狙ってたんです。それぞれ別のものを。『なつのいちにち』(2004年・はたこうしろう作・絵)はたこうしろうさんの絵本の中でも特に有名なもののようです。ある夏の日を、子ども目線で大げさに描き切る爽快作でした。・・・これ、大人向け・・・と言いきってしまってイイか分かりませんが、間違いなく大人にウケる作品だと思うんです。見事に童心を思い起こさせてくれる作品でした。「大人」な私にウケました。『クーとマーのおぼえるえほん2 このかたちなあに』(2001年・はたこうしろう作・絵)ふたごのくまだったんですよ。もう出だし1枚目で自己投影しちゃって;凄いんですこれ;間違いなく「乳幼児向け」です。この絵本を読んだのは、2歳とか3歳とか・・・その辺りの年齢の私です。めっちゃ萌えた!やばいこれやばい!自分の描いた絵の中で遊べる!飛べる!アドベンチャーなわくわくと、家(現実)に、お母さんの元に帰ってくる安心感・・・とか;なんだコレ!もう!コレを読んだ後、お気に入りの絵本を手放せなくなったこども状態で、週末実家に居る間、部屋を移動するのにもずっと持ち歩いてました。家族に白い眼で見られながら;だって・・・この本があんまり明確にこども向けだから、「こども」な私が引っ張られちゃったんだもん!・・・この感覚を覚えたのは、りぼんの少女漫画『夢色パティシエール』を読んだ時以来2度目でしょうか・・・。『サウスポー』(2011年・ジュディス・ヴィオースト作 金端瑞人訳 はたこうしろう絵)少年と少女の、手紙のやりとりを描く絵本です。これはいちばんアート・・・だったと思います。あえて言うなら・・・エンタメ好き向けアート?かな?私的には、「どの私」で読めばいいか分からなかった。・・・内容が難しいんですよ!簡単な手紙のやりとりの中に、いっっぱいの情報を隠して、さらにそれを絵で広げたくったり、妄想エピソードを挿入しまくったりしてるんです。絵自体もオシャレに、鉛筆線でキメテ、開いた瞬間に伝えたい印象がバッと入って来るわけじゃない。・・・でもそこまで読み説かないと、この絵本のバージョンでのストーリーまで分からないんです。つまり良く考えながら読まないと、面白さまでたどり着けない。多分私・・・まだ全部分かってないです。ご本人が、講演会で「超こだわって描いた!全っっ然売れなかったけど負けて悔いなし!」と説明されていたそうですが、納得。これは・・・作家様の趣味作だと思います。・・・馬鹿みたいに面白いです。 というわけでして、3冊同じ方の絵本があって、「読む私」が3人居たわけです。こんなん、「そうやって」出してなきゃ受け手が「こう」なるわけない。・・・使い分けてるんだ!「そういう絵本」用に、考えて考えて仕掛け目いっぱい詰め込んで。・・・私の求める理想的なエンタメ><!とにかくとにかく感動しまして、昨夜、はたこうしろうさんの本をアマゾンで15冊も注文してしまいました;でもまだまだいっぱいある・・・気長に集めよう><早く届かないかな・・・///by姉
2012.11.19
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米澤穂信先生の小説にハマり、生まれて初めて活字を読み散らかすのが楽しいと思えました!・・・その流れで、手を出したのがこちら。『井上ひさし劇脚本 道元の冒険』(井上ひさし・新潮社・1971年)道元の半生をたどりながら、彼の意識が現代の性犯罪者とリンクし・・・祖父の本棚から勝手に持ち出して読みました。劇脚本ってどんなものかな~?って。井上ひさしさんって以前から凄く興味がありましたし・・・。えっと、内容自体が全部理解できたぜ!・・・というわけではもちろんありません;ぶっちゃけ私の読解力・仏教知識じゃ・・・よく分かりませんでした。思想とか悟りとか;;ただ、劇脚本ですので。「このシーン」での面白味はここだよ、という部分が注意書きなんかで書いてあるんです。で、その「面白味」というのが・・・衝撃的でした。なんって難しいことを!!!演劇でしかできない面白さのオンパレードなのですが、もう、演出家さまと役者さまへの挑戦状としか思えない難しさで。特に読みながら「いやいやいや・・・」と思ったのが、道元の弟子たちと、道元に比叡山への屈服を勧めに来た客たちを「同一の役者で演じる」と指定をつけておいて、劇中の周りの人間は気づいてないけど、客には、同一人物が演じているという矛盾や葛藤で コミカルに魅せる!という部分。弟子で在りながら、道元の敵として登場する役者たちは、次第に独りになってゆく道元に対する後ろめたさがあり、彼に対して度々たじろぐ・・・とか・・・読みながら・・・難しいな!!!と。確かに演劇でしかできない面白さですけど;いや・・・こんなの目の前で演じられたとしても・・・分かんないし!!面白さにたどり着けないですよ・・・;;と思いました。私自身が演劇を見慣れていないので、「演劇能」で考えた面白さというのは新鮮で面白かったです!こんなん実際には出来ないよな・・・と思ったのですが、何回も上演されているようで;最近でも演出・蜷川幸雄さん、主演・阿部寛さんという錚々たるメンバーで上映されていたそうです。・・・興味あるなぁ!DVDが出てましたが・・・うーん高いなぁ; この本には、道元の冒険の他に、2本の短中編脚本が収録されていました。『十一ぴきのネコ』これも・・・宗教ちっくだな、と思って読みました。日々食料を求め続ける十ぴきの野良猫たちの前に、自活の道を指し示す指導者的なにゃん太郎が現れ、彼らは新天地を切りひらいていきます。その先にあるのは・・・?後味の悪さも含めて、まとまりが良くて、猫物配置も納得がいって、すんなり頭に入って来るお話でした。『うかうか三十、ちょろちょろ四十』ある殿様の気まぐれと、ある平民一家の末路のお話。 雰囲気は一番統制がとれているお話かな?と思いました。短いからだからだと思いますが。救えない題材ですが・・・面白かったです。こういうのもちょくちょく読んでいきたいです。by姉
2012.11.14
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おはようございます。なんでか突然こんなところに入り込んでしまいました。小説を読むのは久々です;(どんだけ活字が読めないんだ私は;;)『八つ墓村』(1949年・横溝正史先生)金田一耕助シリーズの中でも、とりわけ有名・・・なのかな?今年が「金田一少年の事件簿20周年イヤー」とのことで。少女漫画雑誌・なかよししか読んだことがなかったいたいけな小学生を、一気に連続殺人モノに惹きこんでしまった作品です。事件モノというのは、「こういうものだ!」と信じ込んでしまっていたのですが、今になって考えると、この金田一少年独自の長所だと思うモノがあります。犯人の泣ける動機と、告白シーンのインパクト。本当に金田一少年の犯人たちは、どのキャラクターもすごくインパクトがある。また、金田一少年の「推理」による追いこみと、犯人の逃げ道がなくなっていく過程での「演技」にこそ、それぞれのキャラクターが居て、とにかく洗練されまくってる。そしてこの「演技」にこそ、さとうふみや先生の画力のおそろしさがあります。はじめちゃんの表情も、犯人の反応によって全然違って。生きてるんですよ。ちゃんと周りの状況をみてるんですよ。これは以前から思ってたことでしたが、現在開設されている金田一少年20周年特設サイト内において、原作者の天樹征丸先生が「ここに命をかけてた!」というようなコメントをされてて、・・・そうだよなぁ、と。だってやっぱり、シリーズの事件モノにおいて、これだけ「インパクトのある犯人・動機」が持続する作品は他にお目にかかれませんもの。 ・・・で。じゃあ、「金田一耕助シリーズ」はどうだったのかな?というのが、今回の私の興味どころです。あらすじをネットでちらっと読むと・・・なるほど!確かに、悪霊伝説の伝わる田舎で起こる連続殺人だとか、旧家・名家の遺産相続に端を発する事件だとか、事件の作り方は、まちがいなく「金田一少年」のそれそのものです。(金田一少年の方が金田一耕助のそれそのものって言い方のが正しいですね;)早速ブックオフで文庫を購入!やっぱり私でもタイトルを知ってる「八つ墓村」からかな。*以下、内容についての感想ですので、ネタばれします!お気をつけて!* 第一の感想は、とにかく読み易かった!これに尽きます。 戦後間もなくの著作品ということで、難しい言い回しが多いんじゃないか、と心配しながら読み始めたのですが、とんでもない。八つ墓村に限ったことかもしれませんが、序章で村の伝説と26年前の事件の説明をした後は、おわりまでこの作品で主人公となる「寺田辰弥」の後日回想録という形で延々と語られます。・・・めちゃくちゃ読みやすい。びっくりしました。一人称だから・・・いや、この横溝先生独特のものだと思いますが、なんというか、読者に向かった丁寧さが凄い。説明してほしいところを丁寧に、また、言いだしたいけど言いだせない・・・みたいな、「この状況じゃ言えないでしょ」みたいな、すごく人間的・社会的な「普通の感覚」に訴えるシーンが多くて。500Pくらいある長めの文庫なのですが、ツッツッツ~~と読み進めることができました。 そして、2つ目の感想としては・・・犯人のみならず、本当に能動的な登場人物たち。何と言っても魅力的でした。犯人意外の人間の行動言動も本当に読み応えがあって。タイプの違う3人のヒロインが特に見どころです。個人的には・・・やっぱり春代さんが切なかったです。本当に優しい人でした。田舎の風土とか固定観念ガチガチの村人たちとか、それだけでなくて、ここに26年前の事件があるので。最後暴走する村人も、不自然に見えなくって。この八つ墓村の紹介ページに、「人間関係が複雑」と書いてあったり、登場人物の一覧がずらーーっとしていたりした時、「こんなに大勢の登場人物を、活字で判別できる自信がない;」と思っていたのですが、杞憂に終わりました。良かったw。 金田一少年との違いも、ここで感じたかな・・・と思います。犯人意外の人の強い思いに泣かされるんですよ。とにかく犯人をつきつめていく、最後その事件を通して犯人像の筋が通る・・・という作り方は、やっぱり金田一少年特有の売りなんだなぁ、と。 3つ目。見どころと言えば、トリック?云々というより・・・中盤からの鍾乳洞での犯人×村人×主人公&典子さんのエンドレス攻防&更に奥へ奥への冒険&宝探し。鍾乳洞に入ってから、先が気になって気になって。どんどん読むスピードが加速しました。どこで人が死んでいるか分かったものではない恐ろしさと、殺気だった人間に追われる極限の恐怖と、気遣ってくれる人がいるありがたさと、財宝への期待と・・・なんかいろいろがごちゃごちゃになって、最後までがむしゃらに読んでしまいます。 ここはもう、興奮状態のアドベンチャーとして・・・読んだことのない面白さでした。 面白かった!!!やっぱり超著名作は・・・凄い!金田一少年の事件簿への影響は・・・要素的に・飛騨からくり屋敷・悲報島・天草財宝・・・もかな。この辺りで濃厚に観てとれるかな・・・って感じでした。次はやっぱり犬神家かな。読むぞ!by姉
2012.03.28
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影絵作家・藤城清治さん・・・の作品が大っっっ好きなのですが、昨日図書館でこんな本を借りてきて、眺めながら1日中にやにやしてました。『藤城清治 影絵の世界 ~シルエット・アート 作品とその技法』ご自身の影絵の定義から、描く~切る~貼る~色を付ける~撮る~といった、各順序の細かい定義・方法の説明。そして何枚も絵を取り上げ、仕上がっていく過程を写真で図説しています。最後には、各四季の風物誌・取り上げてきたテーマを、作品と一緒に解説しているものも載っています。・・・すんごいおもしろいです!この本!!私は「作品を自分で作る」アーティストになれない人間ですが、(↑ひとつのことをやってられないから;)アーティストの方の・・・特に「定義」を聞くのが大好きなんです。本当に「素晴らしい作品」を人生から越し出すアーティストの方って、本当にその媒体の定義がめちゃめちゃ高いんです。・・・いちばん素晴らしいものだと信じて疑わないというか。ただ、そういう方は皆頭がすごくいいので、他の芸術媒体ですとか、あるいはその他の物事も全部繋がってるんですね。・・・一つの媒体から、あらゆるものを考えてる・・・というか。哲学の一つの形だと思います。大好きなんですよ・・・人の定義って。藤城清治さんの作品は、イラスト集で観るのもいいのですが、何よりも・・・美術館で観るのがいちばんだと思います!光と影~ですから。絵じゃない、光が生み出す空間芸術ですから!今まで、長野県の白樺リゾートと、山梨県の昇仙峡にある藤城清治さんの美術館に行ったことがあるのですが、本当にあそこは・・・ファンタジーの具現世界です。特に、白樺リゾートの美術館にある、部屋一面鏡張りで、視覚全体影絵の世界に包まれる・・・という演出部屋があるのですが、妹が出てこれなくなった・・・という伝説があります。 私個人の興味関心として、今「光」が来ていまして。教会、世界各地の遺産もろもろにおける光演出・・・ライティング、花火・・・夜景、火祭り、星空、ホタル・・・水族館に映画館もそうかな・・・。非日常演出における三大要素(個人的見解)としまして、・物語・音楽・そして光・・・があると思っておりまして。なんとかかんとか、これらを調べていきたいな~・・・なんて思ってます。いや、そんなことしても別に何がどーのというわけじゃないんですが;楽しいじゃないですか。演出って人にかける魔法なんですよ。今回藤城清治さんの本をこうして読んで、いちばん面白かったな~~!と思うのが、「影を描く」という概念。光を観ると、ついつい光ばかり印象に残ってしまうのですが、この影絵、名の通り「影の芸術」なんです。影を調節し、魅せる。今回読んだ本の出だし、少し文章は変えてありますが、こんな形で、藤城清治さんは「光と影」を語られています。「光があるから、そして物体があるから、実態があるようでないような、ゆらゆらとした影がある。光の当て方によって、影は細くなったり太くなったり。まるで生き物のようにゆれ動きながら複雑な踊りを見せてくれる。それはちょうど複雑にゆれ動く心のような気がする。」言われてみれば、寺院演出なんかは・・・光を作るというより、暗闇・・・影を作る芸術かも・・・!なんて思ったり。・・・花火や爆発効果のような、火薬を使った演出になると、これはまた純粋な「光の演出」なのかもですが。う~~む。面白い。誰か・・・寺院・教会建築とか、ライティングとか、光の反射・色の特性(物理的な)とか、教えてくれないかな~~?・・・ただの趣味だろ、自分で調べろって感じですけど。・・・っていうか、この本欲しいな。アマゾンで・・・うぉっと;中古が5000円か;;っていうか、その次は10000円近くに跳ね上がってる;;うぅ~~む;;藤城清治さんの公式HP→こちら。 ちなみに。すんごく関係ないんですが、「光と影好き」には、『ハウルの動く城』がたまらんのです。映画館で観終わったあと、魔法にかかり過ぎて足元よろついてました。by姉
2010.08.08
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クリスマスといえば・・・シリーズその3・林明子さんの絵本・クリスマスシリーズ 林明子さんは、「こんとあき」「はじめてのおつかい」「きょうはなんのひ?」・・・など、やさしくて可愛らしい絵柄で有名な絵本作家さまです^^。→福音館書店の紹介ページはこちら。 私にとって「絵本」というと、真っ先にこの方の本が頭に浮かびます。中でも、この「クリスマスシリーズ」!!これは間違いなく、小さい頃から一番好きな絵本です///!一冊ずつ単品でも売っているようなのですが、我が家にあったのは、三冊の全巻セットでした。小さい連作絵本です。かすみちゃん、もっくん、れいちゃんの三人兄弟に、クリスマス、それぞれ、不思議な出来事が起こります。 ☆「ふたつのいちご」お姉ちゃんでしっかりものの、かすみちゃんの話です。クリスマスシーズン。いちごの需要が多く、お父さんとお母さんのいちごが手に入りませんでした。かすみちゃんは、二人のいちごを探すため、単身森へと出かけます。そこで出会ったのは・・・。☆☆「サンタクロースとれいちゃん」末っ子のれいちゃんは、クリスマスの夜、サンタさんを待ちきれなくなって、外へ出ます。しばらくすると、向こうからサンタさんが!れいちゃんは駆け寄りますが、サンタさんはれいちゃんに気付きません・・・。☆☆☆「ズボンのクリスマス」やんちゃなもっくんは、おじいちゃんとおばあちゃん家に出かける時間になっても、支度をしようとしません。そんな時、彼のズボンが勝手に踊り出し・・・。 ・・・昔・・・って、正確にはいつからかは分からないんですが、多分・・・幼稚園の頃には、完全にこの本の虜でした^^。今見直してみて思うのですが、この方の絵本は・・・本当に子どものロマン・ドラマが詰まりまくっている!!・・・と思います。☆「ふたつのいちご」には、「お父さんとお母さんを喜ばせてあげよう」という、子どもなりの正義があったり、☆☆「サンタクロースとレイちゃん」には、「サンタさんを迎えに、夜外に出る」という、ドキドキの展開があったり、☆☆☆「ズボンのクリスマス」には、「ズボンが勝手に動き出す・・・」という、子どもが楽しめるコメディーがあったり・・・。で、それぞれのお話の登場人物がリンクして・・・物語が時系列になってて・・・そこの繋がりを楽しんだり。 思えば、正義であったり、サスペンス?・・・というか、ドキドキであったり、コメディであったり、はたまたリンクであったり・・・「クリスマス」という、特別な雰囲気であったり・・・ハッピーエンドへの落ち着き方あったり。結局今でも、「お話」で楽しんでるところって、幼稚園の頃と何も変わってない・・・と思います。この3連の絵本は、そういった「おもしろい部分」というものを、子どものレベル・・・子どもが「想像・実感」できるレベルに、完璧に還元しているんだと思います。凄いですよぉ///大好きです!! 幼稚園や小学生や・・・その頃にテンションおかいくらい「熱中した作品」って、今見ても、「やっぱ凄すぎ・・・!!」と思います。なんで私はこの作品が好きだったのか・・・自分が何処に反応していたのか覚えてるし、今見てみると、「子どもが分かるように」、ちゃんと「そうやって」作ってあるんです!子どもって素直です。本当に「おもいしろいもの」をすぐにみつけます。・・・それも、ちゃんと「子ども向け」になっていること前提で。それがうまくいっていないと、ま~ったく反応してくれません。児童向け作品は、「伝える」アートの最高峰だと思っています!!林明子さんの作品を見ると、すごくすごくそう思います///!やっぱ・・・作品って好きだぁ・・・。by姉
2008.12.24
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銀魂キャラにCMしていただきました。小説「壬生義士伝(浅田次郎)」 ある日姉が泣きながら訴えてきました。「読め!いーから読め!・・・ぐすっ」手には浅田次郎の小説「壬生義士伝」文庫版上・下。 新選組に一隊士として入隊した架空の人物・吉村貫一郎。その彼の生涯が、彼が貫き通した義理人情が、彼と彼を取り巻く様々な語り部達によって明かされてゆく物語・・・。 新選組ネタは大方展開が分かっちゃうからな~なんて理由で手を出さなかったんですが、姉がいつまでもしつこくオススメしてくるので、しょうがなく読んでやることにしました。 ・・・・・・その時の衝撃と感動をどう表現しましょうか!!!・・・も、家族の愛ってゆーか・・・男の生き様ってゆーか・・・友情ってゆーか・・・おや・・・親子愛の行き着くところはぁ・・・!!! -ああもうめんどくさい!誰か代りにこの魅力を説明しちゃってぇぇぇ!と、いうことで真選組のお二方にCMしていただこうと思い立ちました。(↑いえ・・・今頭の中基本銀魂なんで・・・) ・・・・・・何処が泣けるのかさっぱり分からないCMになってしまったぁ!!というより、こんなCMを考える方が余計にめんどくさかったぁぁぁぁ!!字も加工も汚くて読みにくいですね、すみません。台詞付きって難しいなぁ。この小説についての詳細はまたじっくり語らせていただきたいと思います。 お粗末様でした。 by妹
2008.06.11
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