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読書感想。
簡単に。
私に読める活字は・・・多分限られています。
歴史モノ(軍記物系)とミステリーです。
そう考えると、この作品は本当に好みど真ん中の作品でした。
『珍妃の井戸』
(浅田次郎先生・1997年)
清朝末期・1898年。
義和団の乱の最中、北京・紫禁城内で、光緒帝の妃・ 珍妃
が井戸に投げ込まれ殺された。
2年後、清国を狙う列強諸国ー英独露日の高官たちは、この事件の犯人暴こうと調査を開始する。
*以下、ネタばれあり感想です。ご注意ください。*
・・・壬生義士伝と似てた!
歴史モノであり、真実を複数証言から紐解くミステリー作品でした。
各章ごとが、関係者の証言(語り口調)でできています。
ただ、
最初はどの方の話も真に受けて聴いていたのですが、
それがどんどん・・・矛盾してくる。
つまり証言者が、嘘ばかりついて・・・
真実が結局分からない。
話を聴いて回る方にしてもそうで、
それぞれの国を体現したような4カ国の高官たちは、結局大国を挟んで覇権争いをしている国同士なわけで、
腹の探り合いや嫌みの言い合いをしています。
壬生義士伝と違って、
事件からまだ2年後・・・動乱最中での証言なので、
こうなるんだな・・・と。
壬生義士伝は時間がたち過ぎていて、いまさら事実を捻じ曲げて利用しようなんて証言者は出てこなかった・・・
そう思うと、時間軸設定もすごく理にかなっていて面白いなぁ~と思います。
証言者によって真実が二転・三転する面白さもありますが、
その嘘の証言の中の全てに、
証言者の数だけの真実がある・・・
のが垣間見えるのが・・・面白いんですよ><
その証言者の数だけの真実を、
最後・・・珍妃本人の語り口でまとめる
のですが、
これがなんともグっと来て。
シンプルな語り口なのに、
そこに、これまでの方たちのいろんな思いが乗っかってるのが
なんか分かるんですよ・・・。
なんかこう・・・同じ言葉を何度も繰り返すとことか・・・切々としていて・・・
なんかイイんですよ・・・!
ここまで来たら、是非
語られなかった「真実」・・・西太后の証言も聴いてみたかった!
ですが、そこは最後までミステリーにして残しておくのも余韻・・・なんでしょうか。
壬生義士伝でも、吉村貫一郎の妻・しづは、
主人公の行動の原点に居た核人物でありながら、
最後までその主観が出て来ませんでした。
はぁ・・・面白かったです!!
ちなみにこの作品、『蒼穹の昴』という作品の続編にあたるモノだそうで。
・・・あぁ、だからあの宦官たちの描写がなんか浮いてたような気がしたような;
これはしっかり、本家も読んでみなければ。
西太后さまに関しても、こちらを読まなければなんとも分からない・・・のかもです。
ところで。
えっと・・・義和団事件って・・・
どんな事件でしたっけ・・・?
(結局、今回はよく分からずに読み切った。)
や・・・やりましたよ?世界史で。たぶん。
なんかえっと・・・なんか・・・
勉強しなおしてきます;;
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