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小説もちょくちょくですが読み進めてます。
『王妃の館』
(浅田次郎先生・2001年)
パリ・ヴォージュ広場にある、 ホテル・シャトー・ドゥ・ラレーヌ。
政治的な問題からベルサイユを追われた
ルイ14世の妃・ディアナ
が暮らしたこの館は、
現在では世界中の観光客の憧れの的となっている。
このホテルのブランド力を利用し、
日本のとある旅行会社が企画したのは、同部屋にダブルブッキングで客を入れてしまおうという、
サギまがいの2ツアーだった。
光(ポジ)ツアー、影(ネガ)ツアー
と名付けられた各ツアーには、
上司との長年に渡る不倫の末、リストラされた元OL、
真面目すぎて退職したての元警察官、
売れっ子作家、その担当、
その二人を追いかける他社の担当二人、
失恋したオカマ、
工場の多重債務から、自殺を決意した老夫婦、
不動産王に詐欺師・・・
曲者たちが揃いに揃った。
本当にこんな企画がうまくいくのか・・・?
様々な打ち合わせが詰まりきらないまま、フランス・パリ10日間の旅は始まった。
*以下、クライマックスのネタばれあり感想です。
ご注意ください。*
浅田次郎先生の、コミカル群像劇
・・・って感じかな?な作品でした。
現代のドタバタだと思って読んでいたのですが、ただでさえツアー客たちだけで十数人居る群像劇なのに、
突然17世紀のフランスに場面転換したりするんですもん。
おもしろいじゃないですかぁ><!
最初はホテルの用意した、
「当ホテルにまつわるエピソード」に酔うサービスだったのですが、
そこから芸術の神に降臨された小説家が、
天より降りてくる17世紀の物語を、
缶詰状態で紡ぎます。
王妃・ディアナと、
父親を知らずに育った王子・プティ・ルイ、
そして彼を愛する広場の住人たちの迎える結末とは・・・?
書きあげられていく名作小説と、
光・影ツアー面々の、交錯する人間関係。
浅田次郎先生というと、
感情ミステリー・・・と言いますか、
一人の人間の激情が浮かび上がって来るという作品をいくつか読んだことがあったのですが、
こんな コミカルシニカル群像劇 もあるんですね。
各々のメンバー・ツアコンが、
嫌な部分を存分にさらけ出しながら
優雅なパリ旅行をしているんですが・・・
お互いのツアーに、
光と影とも言うべき「出逢うべき相手」が居るのが
なんとも楽しかったです。
うん・・・
いろんな感情が雑多に散らばってて
で、それがお互いに皆きれいに繋がる・・・とか、そういうわけではないのですが・・・
クライマックス、
ベルサイユに招かれ、
ヴォージュ広場から旅立つプティ・ルイの様子を、
一同に会してしまった光・影ツアーの面々が
書き下ろされたばかりの小説をむさぼり読みながら
見守り・・・
そこから(だけではないですが)、
救い・未来を見出していくシーンは
なるほどぉ・・・>< って感じでした。
雑多なのに、まとまってる・・・!
おもしろい・・・><!!
やっぱり小説も楽しいなぁ。
さてさて。
購入より数か月放置してある文庫小説なんかも何冊かあるので、
時間がかかるかもですが・・・
読み進めていかなくては。
by姉
松本清張作品を読み始めました。 2018.06.12
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読書感想・『珍妃の井戸』(浅田次郎先生) 2012.11.25