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おはようございます。
『1/11 じゅういちぶんのいち』
(中村尚傭先生・ジャンプスクエア)
才能・体格に限界を感じ、有名進学校に入学することで
大好きなサッカーを辞める決意をした 安藤ソラ
。
そんな彼の前に、女子日本代表に選ばれた天才少女
若宮四季
が現れる。
安藤ソラのサッカー人生を軸に、
彼に関わる人々を1話1話丁寧に描く、
オムニバス集。
表紙につられて手を出した王道スポーツ漫画・・・
かと思ったら、
「王道サクセススポーツストーリー」を、
周囲の人々(かなり関わりの薄い方も)を一人ずつと取り上げるという、
かなりひねくれた形で魅せていく、人情?漫画
でした。
「かなりマニアックな漫画に手を出したぞ、ふふふ」
とか思っていたのですが、
こちらの作品、今度実写映画化するとのことで、ジャンプ本誌なんかにも堂々と宣伝が掲載されていまして;
なんか全然マニアックどころじゃありませんでした。普通に人気作でした。
安藤ソラくんのサクセスストーリーは、
傍から見てもカッコよすぎる、まっすぐな一本道なのですが、
(本人的にはそうじゃないかもですが)
高校の同級生や、
同じクラブのサッカー選手・・・彼らから見ると、眩しすぎたり、
やっぱりちょっとひがみの対象だったりします。
ですが、 その「安藤ソラくんとの出会い」から、
周囲の一人ひとりが、何かしら掴んで、前を向いていける・・・
それが毎話毎話、本当にしっかりお話になっています。
すごい読み応えなんですよ。
よく、これだけのいろんな立場の人々主観を掴んで、
ふとした感情の変化から、人生軸に関わる感情の変化まで、
それ相応の程度でしっかりきっちりお話にするな・・・
他のスポーツ漫画とは、一線を画す構成の漫画には、やっぱり他のスポーツ漫画にはなかなかない感動がありました。
作者の中村先生が、
こうやって・・・成功する人本人だけではない、
周りの人々の小さな変化にも意義を見出す、
そういう視野の広い方なんだな~
ということと、
そういった自身の感性を自覚し、
既成スポーツ漫画にとらわれず、
自分にあった形で法則化し、読者が安心して読める形で商品にまで
昇華したんだな~
・・・ということ、
それがすごく入ってきます。
大人しそうな絵柄や、
頭の堅そうな・・・まじめなお話回しが印象的ですが、
実は反骨・・・ってわけではないのですが、
自身の性分との兼ね合いで、一度諦めた境地からしか、
この作品は出て来ないな、
と思います。
まぁ・・・なんだ・・・
すごく気に入って、全巻購入しちゃいました!
個人的には・・・
チームものや、
天才のサクセスストーリーという作りのスポーツ漫画も
もちろん好きですが、
こっちの捉え方の方が・・・私自身の感覚には近いような気がします。
読んでいて、すごく気持ちイイ。
今のところのお気に入りエピソードは、
2巻・#4「神埼真臣」
作者さまの巻末でも、「人気作」と書かれていましたが、
納得の感動作でした。
「1/11」という作品の作りでしか、
これほどカッコよく描けないと思います。
奥さんが・・・可愛いです。
3巻・#9「紺野兼次」
こんなところでここまで読ませる話を作るのか・・・
と感動した1話です。
オフサイド難しい・・・っていうか、ラブコメ万歳。
4巻・#11「堂本誠治」
スカウトマン目線・・・おもしろいですね。
こういう迷いや葛藤は、当然あるだろうな、と思います。
5巻・#13「青柳大貴」
奥さんの人物設定とか・・・本当に上手なんですよ。
掘り下げると、もっともっと描くことは出てくるのかもですが、
1話にまとめる時の要素出しが、欲張らず、
全部が活かせる程度にしっかり留めてあるので、
毎話本当に読み易いんです。
6巻・#19「吉岡航」
ぶっちぎりで地味なお話ですが、
個人的にはぶっちぎりでお気に入りエピソードです。
すごい・・・入って来る。
様々な立場のキャラクターが主役を張りますが、
中でも一番自分に近いキャラクターだったような気がします。
こんなにつまらない人間の主観で切り取って、こんなにおもしろいって・・・すごいな。
安藤ソラくんの人生には、こんな子まで引っ張るパワーがあるというのも、素直に入ってきます。
7巻・#20「篠森勇人」
ラストシーンは、ベタだな~・・・と思いつつ、
普通~に感動してしまいました。
主観でくるからさ・・・ダメだよ・・・納得させられちゃうんですよ。
新刊の8巻はまだ読めてません~・・・が、まぁすぐ揃うと思います。
とにかく、 脚本力
・・・というか、
毎話毎話し~っかりした読み応えのオムニバスです。
作品としての「堅実さ」に魅力を感じる方なら、
読んで損のない作品だと思います!
この先、どれくらい続く作品か分かりませんが、最後まで読み切りたいです。
by姉
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