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少年漫画感想
『MAJOR』 その5・メジャーリーグ編
★メジャーリーグ編
ワールドカップの激戦が終わり、
所属している インディアナ・ホーネッツのキャンプ
へと
戻ってきた茂野吾郎。
サヨナラ負けの敗戦投手という本人の意識とは裏腹に、周囲からは一躍、期待の超若手スター扱いをされ、戸惑う。
開幕メジャーが確定し、迎えた初先発戦。
コンディションも絶好調で、三振の山を築き・・・史上初のメジャーデビュー戦・ノーヒットノーランの期待が高まってきた
その瞬間、異変が起こる。
丁寧に成長を描くステージとしては、ラストステージとなる
このメジャーリーグ編。
ワールドカップ編は、前記事でも書いたように「少年」のラストステージかなぁ・・・と思っていますが、
このメジャーリーグ編は、更にその先。
少年から、プロの野球人になる過渡期・・・というか、
全てのエピソードが、吾郎くんを「プロ」へ導いている、
そういう印象のあるステージです。
前半は、 イップス(投球恐怖症)との内なる闘い
、
後半は、チーム優勝戦の最中にかかってしまった 血行障害との闘い
。
はっきり言いますと、 非常にフラストレーションが溜まります。
スカッとする活躍シーンが、あんまりないんですよ。
ワールドカップの幕切れがああだったので、
なんかもう・・・吾郎くんを応援する、
周囲の人の気持ちになってしまって;
自信を取り戻せるような、いい活躍して欲しいなぁ・・・と思いながら最初読んだので、
どうしても
「・・・そんなにいじめなくても;;」
と思っちゃいます。
日本の知り合い達も周りに居なくて、まぁ・・・孤独ですし;
・・・が、3回目くらいですね。
ぐるぐる読み直して、3回目くらい。作品の初期・中期を読みこんで、で、ここにまた行きついた時。
「ああ・・・!!」と描かれているものが
すっぽり頭に入って来る瞬間があって。
その途端に、
「メジャーリーグ編、最高・・・!!」
ってなりました。
少年漫画として・・・あんまり見たくない主役の姿です。
障害に次ぐ障害で、ストレスフルです。
ファンブックの作者様インタビューでもはっきり書いてありましたが、アニメのヒットがなければ、「描く予定のなかったステージ」です。
・・・だけど、このステージがあるから、いいんだ!
これまでの滅茶苦茶に突っ走る各ステージが、きちんと「大成するプロ野球人」の道筋になるのは、
このステージがあるからなんですよ!
このステージがあるから、
右肩を壊す原因を作ってしまった三船ドルフィンズ編や、
ほぼ喧嘩しっぱなしの三船中学編、「修行」の場である海堂高校編、
誰もが顔をしかめる無茶をやりきる星秀高校編、
・・・この全部を、
「大丈夫だ、メジャーリーグに繋がるステップだ」
と
安心して読めるようになるんです。
この観点でメジャーリーグ編を読むと・・・
まぁ・・・スランプも含めた、全ての要素がなんかもう尊いです。
一言一言が染み入ってきます。
以下、特に好きなシーンの列挙です。
・キャンプに戻った時の、周囲との温度差。
おもしろい描写で大好きです。
底力を見せつけ、最終的にはアメリカ&ギブソン親子に
花を持たせる結果になり、
それがアメリカで活躍する上では、好印象として受け入れられたのも・・・
なんかよく分かります。おもしろいな。
・デビュー戦・ノーヒットノーランにたどり着きそうになった瞬間に
モチベーションがキレてしまうシーン。
・・・実は、これまでに手を伸ばしてきた無茶苦茶な夢を
叶えたことって・・・対横浜リトル戦しかないんですよね。吾郎くん。
このキャラクターが、「夢を叶え慣れてないんだ」っていうのは、
ここまで来ないと気づきませんでした。
・「金と名声か・・・やべーな・・・あんま興味ねーや俺・・・」
大好きなモノローグです。
吾郎くんというキャラクターに、この気質を感じてはいました。
言われてみれば・・・です。
「この子、プロに向いてないよな」っていうのも、
読み進めていく上で不安を感じていました。
これも、言われてみれば・・・なんですが。
これだけしっかり、この部分を顕在化してくれるのか!という
感動がありました。
・69巻の全て。
ギブソン・オンステージ&吾郎くんの復活。
一言では言い表せられない・・・ほど好きです。この巻。
おとさんVSギブソンと被せた吾郎くんVSギブソンのシーン、
マイナーの舞台に立つギブソンの姿、
ピンチになるほどわくわくし出す、復活のマウンド、
・・・全てのシーンが圧巻です。
・渡米資金を稼ぐためのアルバイトと、部活動の両立に悩む清水ちゃん。
・・・このエピソードは・・・いい。
メジャーという夢の舞台と打って変わって、
本当に身近な悩みが・・・いい。
清水ちゃんが居るから、ずっと地に足がついた状態で
この作品を鑑賞できます。
・ストライクゾーンの狭い球審
「演出家がうまいと盛り上がるね」
・・・このセリフが
死ぬほど好きなんですが、
アニメでは少し違う表現になってたかな?
ちょっと難しいニュアンスではありますが、
この微妙さがたまらんのですよ。
・ホーネッツVSコヨーテスの優勝決定戦・・・を鑑賞する清水姉弟。
可愛過ぎる・・・この姉弟。端々に見てとれる、清水家の厳格さ&真面目さがいいんですよ。
品のいいご家庭だなぁ。
・優勝決定戦、登板直後に打たれまくるシーン。
観戦各所の反応がいちいちおもしろくって。
特に大河くんの反応は、毎回意外性があります。
・自らマウンドを降りるシーン。
・・・このシーンがもう・・・
観れば観るほど、繰り返し読めば読むほど・・・じわじわ来る!
このシーン単体じゃダメです。
ここまでを踏まえて読まなきゃです。横浜リトル戦・星秀VS海堂戦・ワールドカップ決勝・・・
この辺りを思い起こしながら読まなきゃ。
このシーンがあるから、逆にそれ以前の無茶が輝くんですよぉ!
・プロポーズシーン
最初読んだ時は・・・かなりビビりました。
これはもう・・・大河巨編でしかたどり着けないシーン・セリフですね。
前ふりとして、おとさんのプロポーズシーンとひっかけた
「車をよけるシーン」が事前に入っていたり、遊びが満載なんです。
雰囲気が違い過ぎて、分かりづらいですが。
ブランコ
は、二人の対等さも現れていますが、
・・・それと、 子ども時代の象徴
・・・かな?
中学時代のシーンとのひっかけも含めて、
先にブランコから立った吾郎くんと、
まだブランコに座ったままの清水ちゃん・・・という
概念を顕在化したシチュエーションです。
一つ前の寿くんとのシーンが、
明らかに(ちょっと高級そうな)飲み屋さんな描写とかも・・・
効いてくる作りになってます。
・・・う~ん、週刊連載が、よくこんなとこで盛れるなぁ;
・・・というわけで、 もうほんと、この規模の作品にしかない感慨深さ満点のステージです。
「メジャーリーグ編」。
リアルタイムで読んでたら、辛かっただろうなぁ・・・と思うので、 うん、完結してる状態で手を出せて良かったかも・・・w
大っっっ好きです。
by姉
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