PR
カレンダー
フリーページ
少年漫画感想
買いました!
『健太やります!』
(満田拓也先生・週刊少年サンデー・全26巻)
弱小・ 坂見台高校バレー部
に入部した、
井口健太
と 前田隆彦
。
近隣の超名門校・ 誠陵
を倒すという目標に向かって、
坂見台バレー部が新始動する。
キャプテン・健太くん、エース・前田くんという立位置をはっきりさせた
Wヒーローを主役に据えた、弱小部活動モノ。
タイトルは知っていましたが、
そうか・・・ この作品も『メジャー』の満田先生だったのか。
とにかく、 どうやったら『MAJOR』のような作品が出てくるのか、
それが読み解けるかな~・・・
という観点で手を出してみました。
先にそこの感想を申しますと・・・
かなり、 「ああ、なるほど」
と思う部分がありました。
楽しい・・・!
あだち充先生の作品を読んでいてもすごく感じるのですが、
「なんでこの設定が出てきたかな、普通に考えたら、こうはならないよ」って部分の答えは、その前作にあります。
・・・というか、「サンデー気質」の作家様に特に感じる部分です。
前作は前作で、きっちり形にするのですが、
作品を詰めて形にする段階で、
「面白くなった部分」や「もしこうだったら、もっと・・・という部分」を、
前面に押し出した次作が出てくる。
常に安定感の上に、驚き・熱さがあるという、
まさに「実力派」の小学館ならではだな~・・・と思う部分です。
以下、
「MAJOR」を読んだ時に、「なんでこうなったのかな?」とおもって、
「健太~」を読み比べた時、「ああ!」と落ちて来た部分の列記です。
・・・どの要素も、どんどん繋がってくるんですが、とりあえず箇条書きで。
★キャラクター「本田吾郎」
とにかく、「メジャー」を最初読み進めて、びびったのがここです。
なんでこんなキャラクターが出て来た?!
って。
で、「健太やります!」を読んで、前田くんを見て、「あぁ・・・!」と;このキャラクターが居たから、更に極端な形で吾郎くんが出て来たのか・・・!
★名門校と弱小校
聖秀編というのは、メジャーという作品にしかないステージだと思っています。
あの、名門校を経てからの弱小校(というか、部活動新設からやる)というのは、
・・・あらすじだけじゃ「は?」ってなりますから。
面白いのは分かりますが、まぁ・・・無茶苦茶過ぎますので。
この、名門校は名門校で、伝統と誇り、数々のノウハウがあって、弱小校は弱小校のモチベーションがあって・・・という部分。
ここが、満田先生の興味所だったんだな
、というのが
健太~を読むと、よく分かりました。
★1年毎のステージ
海堂~聖秀の切り返しもそうですが、
ほぼ1年おきに、身を置くチームが変わって行くところ
です。
登場メンバーもほぼ総入れ替えになるので、作品の色すらコロコロと変わって。
なんてリスキーなことすんだ、と思ったんです。
それが、 高校2年生の夏の大会で燃え尽きてしまった健太~を観て、
ああ・・・・と;
いや、普通・・・3年生まで引っ張るよね?
1個のシチュエーションで、トーナメント戦とかやると
盛り上げ過ぎちゃうんですね。
新入部員たちの思いも、この大会で引退の先輩たちの思いも、
ケガをしてしまうエース・前田くんという要素もひっくるめて、
ここで勝たないと嘘だ!みたいに盛りあがってしまって。
逆に、これだけ盛り上げられることが分かっているから、
聖秀編やワールドカップ編なんてリスクの高いお話筋に、
自信を持って取り掛かれたのかな、とも思いました。
★部活動内の温度差とキャラクター
メジャーを読んで、主役の吾郎くんをはじめとした
各キャラクタ-のパワーというのが・・・衝撃でした。
自分の軸の方に、持ってきちゃうんです。所属組織の空気を。
メジャーに関しては、もう出だしのリトルリーグ編から、
どうしてこんなにいろんな軸を持っている小学生が描けるんだ、
と思いましたが、
健太~を読んで、なるほど、と思いました。
W主役で据えている健太くんと前田くんに関しては、最初からしっかりとした軸を持って、その掛け合いを活かそうとしていますが、
特に・・・ 1学年上の先輩3人。
モブ・・・でもないんですけど、出だしの1巻では、
全員わりと没個性的に、わいわいガヤガヤな雰囲気で描かれていましたが、夏の合宿の辺りから特に・・・かな?
それぞれが、なるほどらしいな、という発言をぐいぐいするようになって。
・・・佐々木先輩ともめるとことか、本当に面白いんです。キャプテン・健太くんの真価が問われるところです。
容姿の微妙な要素の違いが、どんどん活きてくる。
メジャーでは、それを最初から織り込み、もっと極端で意外性のあるキャラクターをどんどん投入していますね。
最後に。
健太やります!を読んで、
メジャーにはこれはなかった!!と思った部分
について。
基本的には、もちろん巻数も違うのでメジャーにあって、健太~にないものの方が断然多いです。
・・・が、
そのまんまなんですけど・・・ キャプテン・健太くん
と
坂見台高校バレー部という一つの部活への愛とこだわり
。
これは・・・メジャーにはなかった。
健太くんに関しては、とにかく「真面目な頑張りや」ですが、
いちばん印象的だったのが、
上手い経験者の後輩が入ってきた時に、セッターの座を譲るエピソード。
主役なのに、キャプテンなのに、ポジションがなくなってレギュラーから外れるかもしれない・・・
これに対して、他のチームメイトたちが反発する感情も分かりますし、
それでも人一倍後輩育成に力を注ぐ健太くんの姿は
グッとくるものがありました。
「キャプテン」だなぁ・・・!って。
逆境こそ、ピンチほど、不穏なムードこそ、
キャラクターがすごい開き直り方をして、読者を引っ張ってくれる
・・・という、
この、満田先生のキャラクターの底力というのは・・・本当にもう、なんなんでしょうか。
似たような要素でも、他の作品ではここまで伝わってこないんですよ。
キャラクター、周囲の人の立体感が・・・そうさせるのか、もう、グイグイ心にねじ込んで来ます。
健太やります!
・・・青春部活モノとして、これだけで読み応えがありますが、
「メジャー」と比較するのも、やっぱりすごく面白かったですよ!
「メジャー」をもっと落とし込みたい!という方は・・・是非。
by姉
少年漫画感想『忘却バッテリー』-その2 2024.08.24
少年漫画感想『忘却バッテリー』 2024.07.15
青年漫画感想『金田一37歳の事件簿』(~16… 2024.07.14