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April 21, 2018
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カテゴリ: 子どもの貧困
社会活動家・法政大学教授 湯浅 誠

私が子どものときは、「貧乏」を絵にかいたような同級生がいました。体が細くて小さくて、学生服はこすれてテカって、ワイシャツの袖は黒ずんでいました。家は古くて痛みの目立つ平屋で、祖母に育てられているようでした。最近は、こういう子どもを見る機会が減りました。

先日、私はある小学校に併設された学童保育に行きましたが、子どもたちはみな「小ぎれい」でした。子どもたちの中には、経済的に厳しい家庭の子もいれば、ひとり親家庭の子もいるという話でしたが、継ぎはぎだらけの服を着ているような子は一人もいません。痩せている子も小柄な子もいましたが、かつての私の「貧乏」のイメージとは違ったものでした。

大人の私たちがかつての「貧乏」のイメージで目の前の子どもたちを見ると、そこに「貧困の子」は見つかりません。しかし政府は「7人に1人の子どもが貧困(正確には13・9%)」と言っています。これはどういうことでしょうか? たいしたことないのに大騒ぎしているのか、「私たちの地域」にいないだけで他の地域にはたくさんいるということなのか、今の「貧困」はかつての「貧乏」とは違うのか……。

おそらく、どれも部分的にはその通りです。お米がなく、芋のつるを食べて飢えをしのいだという経験を持つ方から見れば、今の貧困はたいしたことはありません。地域によっては「お金はないが、十分に生きていける」という所もあるでしょう。そして「貧困」と「貧乏」は違います。でも国は、全会一致で子どもの「貧困対策の推進に関する法律」を作りました。昔ほどではなくても、それでも「だからといって放っておけばいいともいえない」と考えたのです。なぜ放っておけないのでしょう? なぜ「子どもは勝手に育つ」ですまされないのでしょう?

そのことを、この連載で、みなさんとご一緒に考えていければと思います。


【世代を超えて考えたい「子どもの貧困」<1>】公明新聞2018.1.9





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Last updated  April 21, 2018 03:40:02 AM
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