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2006.12.13
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カテゴリ: デュラス関連映画
THE LOVER/L'AMANT


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この映画、もう何年も前から手元にあったのですが、見ていませんでした。もう何十年も前、中学か高校生のときに初めてマルグリット・デュラスの『アンデスマ氏の午後』と『辻公園』を読んで以来の作家デュラスのファンとしては、『モデラート・カンタービレ』をピーター・ブルックが映画化した『雨のしのびあい』等どうしようもないデュラスの映画化作品を見ていたので、なんとなく敬遠していたわけです(唯一『二十四時間の情事』はかなり成功しています)。でも今回見たら、とてもよく出来た映画で、とりあえずデュラスの原作本をまた読むときに邪魔にはならなそうだし、ただ1本の映画作品として見れば、好きな映画とさえ言えるかも知れません。

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1929年の仏領インドシナ。15歳の少女はサイゴンの寄宿施設に戻るフェリー、というより渡し舟で32歳の中国人青年に声をかけられる。運命的な出会い。メコン河の広い支流を渡り終えると、彼の高級車で送られることを同意する少女。震える彼の手が少女の手に重なったとき、すべては始まった。

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(以下ネタバレ)
その後サイゴンの華僑街の一室で二人は逢瀬を重ねるが、青年は父親の決めた財産がらみの結婚をするしかなく、やがて少女はフランスへ帰国。港から去っていく客船を青年は車の中から見送っていた。海の静かなある晩、客船は広間のピアノから流れるショパンのワルツに満たされていた。そしてその天の何かの命のような音に、突然少女は青年を思い涙にくれるのだった。

戦争が終わり、結婚、出産、離婚、作家生活、と時は過ぎ去ったある日、パリに来たあの青年からの電話。ずっと彼女を愛しているし、死ぬまで愛するだろう、と。

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丁寧に作られた、美しい映画だと思います。少女役のジェーン・マーチも、青年役のレオン・カーフェイも良かった。監督は当時のベトナムの雰囲気を忠実に再現したかったのだと思います。もちろん知っているわけではありませんが、それにも成功していると思います。

でもデュラスの原作の世界とはやはり違います。原作本の中の少女と青年の出会い・逢瀬・別れを、散文的に文字通り捉え、それをストーリーにしているだけです。しかしデュラスのエクリチュールには、そういう筋だけでは捉えられないこと、説明的言語では語り得ない部分にこそ魅力があるわけです。この映画ではその香りが微かに感じられるかどうか。それも本でデュラスを知っているからこそ感じられるのかも知れません。そういう意味でやはり普通の映画の作法・筆法ではデュラスの世界は描けません。ジャンヌ・モローのナレーションの部分が邪魔だと言う方もいらっしゃるようですが、ある意味正しいのかも知れません。ボクにとってはこのナレーションの部分こそ、原作の朗読ですから、デュラスの世界に浸らせてくれる部分なのですが、逆に言えばデュラスの世界になっていない本編物語部分とは違和感があると言えるでしょう。原作本を出来ればフランス語で読むか、モローの朗読で1冊丸ごと聞くことの方がデュラスの世界だと思います。

ただ何度も言うようですが、単なる映画として見れば、とても良い作品です。日本ではこの映画でデュラスの一般的知名度が上がりましたが、彼女の作品(本や『インディア・ソング』など監督映画)に接することをお薦めします。

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Last updated  2006.12.13 20:03:07
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