真理を求めて

真理を求めて

2004.04.12
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昨日は解放のニュースに素直に喜んだ僕だったけれど、未だに実際に解放されたというニュースが入ってこないことに不安を感じている。情報がないということがこの不安を生むのだが、今朝のテレビでもいくつかの番組でこのことを取り上げていた。中東問題の専門家の高橋和夫教授は、解放が遅れている原因として次のような可能性を挙げていた。

1 犯人の側が、人質解放と同時に逮捕される恐れがないよう、人質の解放の方法に手間取っているという技術的な問題で解放が遅れている。

2 犯行グループは人質の解放を決めたが、他のグループからの異論が出て、交渉の道具としてまだ利用するという可能性を残したい勢力が、解放を押しとどめている。

3 交渉のテクニックとして、一度は解放を約束しておきながら、それを引き延ばし、その間に何らかの見返りを得ようとして水面下で交渉している。

僕も、このどれもが可能性のあるものだと思う。最も望むのは、単なるテクニックの問題であって、少し遅れてはいるけれど、解放へ向かっているというのだ。高橋さんも言っていたが、最も好意的に受け取れる可能性だろう。

「<イラク邦人人質>「解放」声明後、交渉難航」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040412-00000082-mai-int

というニュースを見ると、単純に解放するだけではなく、何らかの交渉というものがあるような部分も伺える。日本政府が何らかの見返りを提供するという交渉なのか、引き渡し方法や場所を交渉しているのか、どのような交渉かというのは分からないが、交渉の結果がまずくて解放が遅れているのではないことを願っている。

日本人の立場としては、拘束されている3人の安否がまず第一番の関心で、その解放を願うのは当然であるが、この事件をその側面だけから見ていると判断を間違えるかもしれない。同じテレビに出演していた国際ジャーナリストの田中宇氏の指摘には、共感できるところが多かった。次のようなものだ。



「イラク統治評が米軍の封鎖戦で硬化、即時停戦を訴え」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040410-00000115-yom-int

統治評議会では、「米軍の行為は不当で到底受け入れられない」と語り、次のように報じられている。

「元外相で統治評議会でも親米色が最も強いアドナン・パチャチ氏は9日、かつてない厳しい口調でファルージャでの米軍を非難した。米軍は同市での米民間人惨殺もあり、「報復同然」(統治評議会筋)の容赦ない掃討作戦を展開、市民に400人以上とも言われる多大な犠牲が出ている。これに「国民の代表」を自任する統治評議会の主要メンバーとして反発したものだ。」

このような強い反米感情が渦巻いているときに、「アメリカの側に立っている」と判断された日本の国の一員として、彼らの拘束があるのだという受け取り方をしなければならない。単に日本人が拘束されたと言うことだけではなく、その対処の方向によって、自衛隊派遣が「人道復興支援」なのか、「アメリカの占領政策加担」なのかということが明らかになってしまうのではないだろうか。

福田官房長官が、いち早く「撤退する理由がない」と語ったことを見ても分かるように、自衛隊派遣は「アメリカの占領政策加担」であることは、ほぼ明らかなのだが、マスコミの宣伝では「人道復興支援」と言うことになっている。このごまかしが、この事件によって明らかになったと言うことをまた我々は受け止めなければならないだろうと思う。

そして一番大事なのは、田中さんも他の出演者の多くも指摘していたが、アメリカのイラク統治は今や完全に破綻したのだと言うことを認識しなければならないことではないかと思う。そもそものイラク侵略が不当なものであり、占領統治そのものもその不当性によって破綻してきた。そのようなアメリカをいつまでも支持し続けると言うことが何を意味するかを、日本人の多くはもっと切実に考えなければならない。

田中さんによれば、アメリカのイラク統治の失敗は、まるでわざと失敗するために行動しているようにも見えると語っている。つまり、イラクの安定を望んでいない勢力が、わざと失敗しているのではないかと疑っているのだ。そのようなアメリカをこれからも日本政府は支持し続けるのだろうか。同盟国であるのなら、そのような失敗を正していくような助言が出来てもいいのではないかと思う。

このような危険なところに、あえて行くと言うことを非難する声も挙がっているようだが、これは相対的な問題としてとらえた方がいいと思う。ちょっと前に「マル激トーク・オン・デマンド」にゲストで来ていたNGOのケン・ジョセフ氏は、その当時「イラクは安全だ」と言うことを強調していた。フセインの圧政が終わり、イラク人にとって初めて自由を味わう条件が出来てきたと語っていた。

しかし、そのイラクに自衛隊が行くことによって、安全だったイラクの地域が、逆に危険地域に変わっていくという指摘をしていた。サマワは、自衛隊が行く前までは安全だっただろうが、自衛隊が行けば危険になるということを強調していた。

今回も、自衛隊が行ったことによって日本人が反米勢力にねらわれたという要素があることは否定できないと思う。だから、危険なのだから行くべきではないということを言う人もいるだろう。しかし、彼らは困っている人の力になりたいという、「人道復興支援」が目的で、危険があってもあえてその活動のためにイラク入りを願った人々だ。その行為を、危険があるのだからと非難することが出来るだろうか。非難すべきは、むしろそのような危険を作り上げた方の責任なのではないだろうか。



そのような警告を与えてくれる彼らに対して、我々は感謝をすることはあっても、「自己責任」というような非難をすべきではないと思う。決して見捨てるようなことがあってはならないと思う。彼らを見捨てることは、同じように危険が訪れる可能性を持っているすべての日本人も、いざというときには見捨てられることを意味するのではないかと思う。

この事件の最初の段階では、日本政府が自衛隊の撤退を決断することはあり得ないだろうという認識を僕は持っていた。その認識は今でも持っているが、今は、たとえそういう政府の姿勢であろうとも、我々は、自衛隊撤退しか彼らを助ける道がないのなら、それを政府に要求し続けるべきではないかと思うようになった。イラク特措法適用の道でもかまわないから、とにかく自衛隊撤退の方向を要求すべきではないかと思う。それは小泉政権には出来ないと言うことであれば、政権交代を望む声を世論の声としてあげていかなければならないだろう。僕は、今は、自衛隊は撤退すべきという主張を強く言いたいと思う。世論もそちらの方を選んで欲しいと思う。





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最終更新日  2004.04.12 10:57:35
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Re:人質事件の展開(04/12)  
msk222  さん
「人質事件」情報だと、近く新たな展開があるかも知れません。

それにしても、事件は「自作自演」だと思わせるような卑劣な「ニセメール」を頒布している、品性卑しきものまででています。
そこまで、醜くく貧相な姿をさらさなくてもと思うのですが、まぁ、いろいろいるものです。

(2004.04.12 23:34:20)

Re[1]:人質事件の展開(04/12)  
秀0430  さん
msk222さん

星川淳さんのメールマガジンの最新版によれば、

「川口外相の声明によるブレーキや技術的問題にも関わらず、大きな障害がない限り、ここ数時間以内に拉致された日本の仲間の三名は解放される、という信頼度の高い情報を得ました。」

という記事がありました。僕は、星川さんを信頼しているので、この記事も信頼しています。論理的に考えれば、3人が処刑される理由は一つもないと思っています。

「自作自演説」は、論理的な破綻がたぶん指摘できると思いますし、これから事実としてそれが間違いであることが証明されるのではないかと思っています。

「自作自演」であるならば、相当うさんくさい人間がやっていて当然だと思うんですが、あの3人の経歴を見る限りでは、そういううさんくささがないので、そちらの方が事実だとしたら、とても論理的な整合性を感じません。

「自作自演説」の批判も考えてみたいと思っています。 (2004.04.13 11:10:57)

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