阪神大震災における、東京消防庁と大阪消防のレベルの差 | 火影三代目（大阪市大正区）

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2011年09月22日

拙者は、阪神大震災当日、神戸東灘消防署で消防隊長であった。

そのときの体験だが、

まず驚きとともに頭が下がった事実を紹介する。

阪神大震災の当日早朝から、神戸消防は孤軍奮闘状態であったが、

夕方３時か４時ごろだったと思う。

なんと、東京消防庁の応援隊が神戸市東灘消防署に到着したのだ。

東京からだと東名名神高速を飛ばしても８時間はかかる。

逆算すると東京を出発したのは、午前８時以前である。

震災は午前５時４６分であるので、東京消防庁ではほんの２時間という短い時間で

（２）応援隊と人員の選出、非常呼集

（３）出発の準備

を実行したのである。

現在では海外での大災害にそなえ、国際消防救助隊が準備されているが

当時はまだ発足していない時代であるゆえ、まさに驚異的なすばやい対応であった。

ちなみに時の政府、村山総理大臣などは、神戸からの情報が入らないとして

ほとんど何も手を打っていない状況下で、

東京消防庁だけは神業とも言える。迅速な行動を開始していた。

先駆的行動を起こしているのである。

なお、大阪市消防局からは、13時40分に長田に到着している。

大阪は東京に比べはるかに近いのに、おそいと思われるかもしれない。

午前10時に兵庫県知事から消防庁長官に対し、消防組織法第24条の3に基づく応援の要請があり、直ちに、関係都道府県知事を通じて、待機していた、兵庫県以外の消防本部に対し、出動を要請した。

これを受け

当日の10時15分に出動命令を受けて大阪市此花区を出発した大阪市の応援部隊は、交通渋滞に巻き込まれ、国道2号線で対向車線を逆行するなどして3時間後に神戸市役所前へ到着した。（13時40分大阪市消防局の応援隊10隊50人が長田区に到着）

すなわち大阪は、応援要請を受けてから出発したが

東京消防庁は要請の数時間以前から、出発していることになる

東京消防庁応援隊の方に聞くと、東京警視庁のパトカーに先導してもらったとのことであるので、東名名神をかなりの高速走行したかもしれない。

いずれにしろ

大阪隊の到着１３時４０分（長田区）

東京隊の到着１５時～１６時、（東灘区）

比較すれば、どう考えても東京隊の到着は尋常ではない。早すぎる。

つぎに

（１）東京隊は無線指揮隊を同伴して、東灘消防署内に臨時無線指揮本部を開設。

　　自主的な救助活動を実施（巡回による方法）し、自己の部隊を完全独立運用したのである。

（２）独自に無線周波数を使用し、

（３）さらに道案内役も不要として、被応援消防の負担を軽減した。、

一方、大阪をはじめとする応援隊は

（１）独自の指揮部隊無く、神戸消防側の指揮により活動、自主的な救助活動も無し。

（２）消防全国共通波の無線周波数を使用したため、混信に悩まされた。

（３）被応援消防から道案内を１名同乗させた。

総合的な指揮権は地元消防にあるべきではあるが

猫の手も借りたい中、少なくない人員を、応援隊の案内・指揮にまわすのは、負担に感じたのも事実である。

その点、東京隊の指揮隊セットの独立部隊運用は、特に震災初期段階において、大いに助かったとの思いの記憶がある。

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