震災被災地（三陸海岸）住民の高台移転は問題点あり | 火影三代目（大阪市大正区）

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2011年09月27日

拙者はその方針に反対したい。

以下の（１）から（４）に理由を述べる。

（１）山を削っての造成地は、山麓もしくは山間部であり、平地に比べ、土砂崩れの危険性がある。　

　　また、自然に手を加えるのは基本的に新たな災害を招くことになる。

　　まさか移転賛成の諸公は今年の台風１２号や１５号の被害を忘れたわけではあるまい。

　　集中豪雨や台風の被害頻度は、１０００年に一度の津波災害より、はるかに多い。

（２）命に金の糸目はつけられないとして、多額の予算を箱物や土木工事に消費しようとしている。

　　復興予算といえど、血税の無駄遣いは許されないし、国民負担の限度もある。

　　１０００年に一度の災害に備えるために、耐用年数たかだか５０年程度の住居に多額の費用を消費するのは、効率的とはいえないだろう。

　　それよりも、予算は防災教育などの人的投資や緊急避難塔の建設など、地域のどこからでもすみやかに避難できる体制を整えることに費やすべきである。

　　そして、仕事や生活便利な平地に住居を早急に再建するほうが、安価で効率的な復興が期待できると考える。

　　命さえ存（ながら）えれば、建物など財物は耐用年数が経過したと考え、再建は可能だからだ。

（３）油断や安全過信が今回の被害拡大の最大の原因であり、復興予算乱発はかえってあらたな被害増加要因となる。　　

　　自治体を挙げて高額予算をかけて建設した巨大防潮堤が破壊されただけでなく、住民が安心してしまい避難が遅れた事例もあった。

　　高台の住宅もそうだが、ある建築家は地上３０メートルの軍艦島形式の団地を設計した。

　　拙者はそのような考え方は危険だと指摘したい。

　　今回のように千年に一度の津波を前提にして、３０メートルの高台や軍艦団地を復興予算で建設してしまうと、１万年に一度の５０メートル級の津波が来襲したらどうするのであろうか？

　　またまた想定外だったとして済ませるつもりなのだろうか。

（４）防災にとって、災害の想定をすることは一番危険なことだ。

想定にとらわれず、高所への避難を続行して助かった岩手県釜石市の鵜住居小学校（３６１人）の例は「釜石の奇跡」だと言われているが、これは多額の土木ハコモノ予算とは無縁であり、きわめて少額の予算で実行可能な防災教育・人的投資でできることだからだ。
釜石奇跡の避難

（写真：産経新聞記事より）

（５）国や行政は、治山治水は無論であるが、最重要な役割として

　常に住民の防災意識を喚起し、安眠させないことである。　　

　拙者の消防隊長現職時代における神戸市の防災行政は、それはひどい状況であった。

　○　たとえ地震が起こっても、六甲山の巨大な岩盤のため、揺れない。（うそ・・・・根拠なし）

　○　安全都市神戸、安心都市神戸（うそ・・・・神戸市消防局の標語）

　かような防災行政の失敗により、６千人もの救える命を救えなかったのである。

　まさに慙愧に耐えない。

　なお、拙者は阪神大震災の前から、論文を作成し上司及び上層部に幾度か進言したのであるが、一消防職員の立場では神戸市特急の針路変更は結果的にできなかった。

　ちなみに、論文では、過去の神戸市地震の歴史、自衛隊との協力必須、東灘LPG基地・原爆３０発の破壊力と被害想定、地震で地すべり発生など、半年後発生した阪神大震災の状況をほとんど予言した内容であった。

　部外に公表という手も有ったのであるが、公表されると神戸沖空港計画が吹っ飛んでしまうとの上司の意見もあり、それ以上積極的な行動はとらなかった。

　２年後、神戸復興のめどが立った時点で、神戸市消防局を退職し、現職時代にできなかった地域防災を実行すべく、大阪府議会議員大正区選挙区に立候補した。

　いまは大阪市民の一人として、地域防災に邁進、努力しているところである。

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