【粗筋】
息子も親父が出掛けたのを幸い、遊びに行くと、「狐つり」をしている風流人がいて感激、「親父に見せてやりたい」と、若い衆に声を掛けて仲間にしてくれるよう交渉する。若い衆が大旦那に、どこかの若旦那が申し出があると話すと、こんな粋なことが分かる若者がいるのかと感激、「息子に聞かせてやりたい」と承諾した。
二人を親狐、子狐にしたてて、ひとしきり終わったところで目隠しを外してご対面という段取りにした。二人の息が合うので芸者も大喜び、目隠しを取ると、
「いやあ、こんな気持ちのいい遊びは初めてだ。どうも初めまして……、お、お前はせがれ」
「あ、お父つぁん」
「これ、博打はならぬぞ」
【成立】
明和4(1768)年『友達はなし』の「仲の町」。息子が親父を見付けて、前になり後ろになっていると、振り返って「これ、博打を打つなよ」と言う。安永2(1773)年『坐笑譚』の「中之町」。大門をくぐったところでバッタリ会って、「息子、博打はならんぞ」というもの。この他、安永8(1779)年『折謡柳』の「いけん」、寛政3年『腹筋問答』の「中の町」、享和4(1804)年『笑堂福楽』の「中の町」など。飲む打つ買うのうち二つを実践しているから、後は「打つ」しかないのだ。遊ぶ場面をふくらまして見せてくれる噺家さんに拍手。万延2(1861)年桂松光のネタ帳『風流昔噺』に「息子おやじの御茶屋行 ばくち打事ならん」とある。上方噺だが、江戸で演じられた「夜桜」という小噺の方が先にあって、これを伸ばしたものらしい。
【蘊蓄】
狐つりは、扇を半開きで顔を隠し、しごきで締めて目隠し鬼となる。捕まると酒を飲まされる。落語では、扇をかざして旦那を、手を叩いて芸妓を演じ分ける。
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