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2020.05.04
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大学生の時。

私は叔母の家に週一くらいで通っていた。いとこに国語の家庭教師を頼まれ、教えに行っていたから。


この頃、叔母と同居するおばあちゃんは認知症を発症していて、叔母が苦労する姿をよく見ていた。



そして、この頃、父もよく横浜の家に来ていた。

おばあちゃんを連れて近場に出かける事が良くあって、私も都合がつけば同行していた。


ある時父がおばあちゃんに「お金おろして来てやるよ」と言って銀行前に車を止め、

認知症のおばあちゃんに代わっておばあちゃんのキャッシュカードを持って銀行の中へと歩いて行った。



おばあちゃんは認知症が進んでいたので、父の行動自体に疑問は持たなかった。

でも、父は帰ってくるなり、「ダメだ、下ろせなかった!」と言っておばあちゃんにキャッシュカードをかえした。




「おばあちゃん、キャッシュカードの番号忘れちゃったみたいでこの間現金おろせなかったみたいだけど大丈夫?」

と言った。




すると叔母が気まづい顔をして、しばらく黙ったのちに私にこう言った。

「お兄ちゃんがかなり使い込んでたから番号変えたの」




私には理解が出来なかった。

事実を飲み込むまでに、かなりの時間がかかった。




叔母の話によると、

「最近しょっちゅう横浜に来てはおばあちゃんを連れ出して出掛けているなと思っていた。

で、ある日おばあちゃんの預金口座を見てびっくりした。お兄ちゃんが来るたびに数十万単位で現金が降ろされてた。

本人にも問い詰めて認めている。だから、おばあちゃんがお兄ちゃんにかけてた保険も解約させた。

毎月少しずつお金を返していくと本人は言ったけど、数回だけ数万渡して来たっきりもう返してこない。








私には、返す言葉がなかった。


「パパが迷惑かけてごめんね」


それしか言えなかった。






父が人のお金を使い込んだ。

いつか来ると思っていたこんな日が、思いがけず早く来てしまった。





「今は言わないよ。だって今言ったら2人は離婚まっしぐらでしょ!だから、お兄ちゃんが死んだらあんたのママにも言おうと思ってる。」そう言っていた。





父が、やってはいけない事をしたというショックと、

そんな父を恨んでいる人がいるという事実に対するショック。




矛盾しているけれど正反対のショックに、また私は自分を責めた。




今言ったら離婚になるんだな・・・





きょうだいが多いせいで、家にお金の余裕がなくなったからこうなった。



子供が多いせいで、こうなった。

実はうちは私たちが思うよりずっとずっと経済的に苦しいんだ。






自分がなんとかしなければならない。

きょうだいも、母も知らないこの事実を私がなんとかしなければ。





その事実を知った日から、どこかで私は、自分を犠牲にしてでも叔母に尽くしていかなければならないと思うようになり、

叔母の機嫌を取り続けて関わって来たと思う。



いとこにもバイト代であれこれ買ってあげ、父の日母の日には叔父叔母に高価な贈り物をした。



父の犯した不祥事を、自分が一緒に償っていく。



きょうだいの誰も知らないなら、自分1人で背負っていく。



そう心に決めて、この10年近い年月を過ごしてきた。




でもこの事実はまだ大人になりきれていない、子供だった私には重たすぎた。

誰にも共有できない辛さ。

父と母、そしてきょうだいの前では何も知らぬ顔をしていなければならない。




そして、このことをきっかけに、叔母は私を「姪」としてではなく、その境界線を越えてどんどん利用するようになる。





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最終更新日  2020.05.04 02:26:01


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