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著 者=ドネラ・H・メドウズ、デニス・L・メドウズ、ヨルゲン・ランダース訳 者=枝廣淳子書 名=成長の限界 人類の選択発行所=ダイヤモンド社発行年=2005.3評 価=★★★★☆書名としては非常に有名な「成長の限界=Limit to Growth」。1972年にローマ・クラブプロジェクトより出版された「成長の限界」、1992年の「限界を超えて」に続く、本書は30年間をアップデートした2002年出版のシリーズ第3弾となるようだ。シミュレーションによって、地球全体の経済成長はどの程度可能なのかを示したものである。恐らく、各国の政策当局や経済学者を含めた様々な有識者から、徹底的な無視か容赦ない批判を受けてきたのだろう、文体にしろ内容にしろ色々な言い訳と断定しない表現に満ち満ちている。単純に、素人からも突っ込み所満載の内容である。結局は、エネルギー資源は有限であり人口の食糧を養う土地も有限なので、経済成長なり人口増加していくと、資源調達や食糧生産あるいは環境汚染除去に金がかかり過ぎ、資本が他に回らなくなり崩壊する、らしい。崩壊を回避し持続可能な社会とするためには、人口を抑制し増やさず・工業生産を増やさないよう(=経済成長させない)ことが必要、との言い分だ。違うと言う人もいるかもしれないが、自分自身は読んで内容をこのように理解した。単純に言うと、資源エネルギー供給・食糧生産・環境汚染除去等への益々増える投資には限界があるので、成長には限界があるということ。結局は、ぐだぐだ言い訳しているが工業生産・人口増加が「ゼロ成長」であることが地球にとって持続可能ということ。らしい・・・。この「成長の限界」支持者にとっては、今の日本は、人口も経済もゼロ成長なので、ある意味、「理想的な持続可能な優れた国」とも言えるかな。加えて、優れた環境技術や「もったいない精神」、災害時にも暴動が起こらない慈愛に満ちた共同体であるし、非の打ちどころがない理想的な国かも。それにしては、日本人の環境活動家も海外の環境にうるさい人々も、日本という国を全く褒めないけど・・・。その点が残念。また、エコロジカル・フットプリント(=地球の資源基盤と生態系に対して人類が与える環境影響の合計)という言葉を至る所で強調するが、その定義が明らかでない所が、非常にもどかしい。たまに「エコロジカルフットプリントを減らすことを意識しよう」・「世界全体が先進国並みの生活水準になると地球が○個必要」なんて、したり顔で言う人々もいるが、本当に正確な意味を分かって言っているのか怪しい。定義が正確でないデータで出た答えは、全く意味がない。まさしく、Gabage In, Gabage Outだ。【楽天ブックスならいつでも送料無料】成長の限界人類の選択 [ ドネラ・H.メドウズ ]
2015.01.17
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著 者=ダニエル・ヤーギン訳 者=伏見威蕃書 名=探求 -エネルギーの世紀 【下】発行所=日本経済新聞出版社発行年=2012.4評 価=★★★★★上巻に続き、ようやく読み終えた。これほどの読み応えのある書物は久々である。本当に著者の見識とエネルギー問題に関する深い洞察が読みとれた。下巻は、主に「電気」「気候変動」「再生可能エネルギー」であるが、電気に関する記述は、石油や天然ガス等の資源エネルギーと比較すると歴史的経緯や最新動向もトレースしておらず、不思議と控え目あるいはあっさり過ぎである。その分、気候変動問題や再生可能エネルギー問題は奥深い。気候変動問題活動は「反成長・反開発の徒党」であり、ローマ・クラブ「成長の限界」報告書と同類項であるそうだ。ただ、ソーラーがほとんど再生可能エネルギーの総称として使われていた1970年代から、再生可能エネルギー=新エネルギーは米・欧州・日本等の先進国の動きについてきっちりまとめている。1973年の第一次オイルショックを受け、米国カーター政権が新エネルギーを始めて盛り上げたが、レーガン政権で縮小した1980年代から1990年代までは、日本がサンシャイン計画・NEDOで新エネルギー開発を引っ張った。欧州でもチェルノブイリ事故とソ連崩壊による東西ドイツ統一の混乱で'91年にドイツで再生可能エネルギー買取制度(FIT)が導入され、00年代からは欧州が政策で新エネルギー導入を引っ張った。'05年に中国で新エネルギー法が成立し、世界最大の風力市場と世界最大の太陽光発電製造輸出国に短期間にのし上がった。これらから言えることは、市場で取引されない再生可能エネルギーは、政策・経済・イノベーションの三つが大事で、日本は1980-1990年にイノベーションで、ドイツは1990-2005年に政策で、2005年以降は中国が経済で優位に立ったことを明確に示し、説明も美しい。本当に良書であった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】探求(下) [ ダニエル・ヤーギン ]
2015.01.09
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著 者=香山リカ書 名=劣化する日本人 自分のことしか考えられない人たち発行所=KKベストセラーズ発行年=2014.7評 価=★★★★☆2014年は、男気のある役者の高倉健や菅原文太が死去した年として記憶される。特に、故高倉健は、取り立てて好きな俳優ではなかったものの、そのストイックで自ら多くを語らず背中で語る生き様については、追悼特集等を見て、人として・男として非常に共感する面が多い。それとは本書は全く違った方向に、日本人は進んでいる事象が2014年に起こったと指摘している。著者曰く、「時代の流れとして、自己犠牲的に働くという生き方は、もう通用しない」。香山リカの著作は、前回「ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか」でも気付きはあったが、今回もその社会の問題点の切り口が印象的である。2014年に立て続けに起こった、自分のことしか考えられない人たちの典型的な事例として、小保方晴子「STAP細胞事件」、佐村河内守「偽ベートーベン事件」、片山祐輔「パソコン遠隔操作事件」を挙げている。確かにそのとおり、自分のことしか考えない様に日本人は劣化してきているのではないだろうか。もっと言うと、今までいなかったウソが面前で平気でつける人ともいえる「変な日本人」が増殖しはじめたようだ。証拠はないが、確信を持って「SNSが最も影響を与えた」と思う。【楽天ブックスならいつでも送料無料】劣化する日本人 [ 香山リカ ]
2014.12.27
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著 者=今野 浩書 名=あのころ、僕たちは日本の未来を真剣に考えていた発行所=青土社発行年=2014.3評 価=★★★★☆以前読んだ著者の「工学部ヒラノ教授」が大変面白かったので、本書を読んだものである。内容は、ほぼ自伝で、「あのころ」とは「中曽根内閣のころ」で、「僕たち」とは「筆者および、筆者の仲間である斎藤精一郎氏と野口悠紀夫氏」であり、「日本の未来を真剣に考える」とは「安倍晋太郎総理候補の政策ブレーンとして活動した」ことを意味している。このように内容は実話であり、「自伝を書けるほどの人は羨ましい」感がある。また逆に、文体は決して「上から目線」ではないものの、どうだ実績はすごいだろう・人脈や付き合う人々は有名人だろうと言った自慢感がないことはない。そういう意味で、この著者の著作は「もお、よい」かな。何をやったかの人であることはわかったので・・・【楽天ブックスならいつでも送料無料】あのころ、僕たちは日本の未来を真剣に考えていた [ 今野浩 ]
2014.12.25
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著 者=木曽 崇書 名=日本版カジノのすべて しくみ、経済効果からビジネス、統合型リゾートまで発行所=日本実業出版社発行年=2014.10評 価=★★★★☆表題にもあるように、日本でカジノを導入する動きについて、国際カジノ研究所所長の筆者がそのしくみ、経済効果からビジネス展開まで全てを述べた本になっている。日本には、パチンコや競馬などの賭博に類するものがあるが、民間が主体となってカジノを行うしくみについて、集客・賑わいや観光・インバウンドの観点から述べた本である。一般書で、ここまでまとまったものはない様に思える。その意味で、非常に興味深く読める。情報としては、世界のカジノ事業者としてのビッグ4は全て米国の、シーザース・エンターテインメント、MGMリゾーツ・インターナショナル、ウィン・リゾーツ、ラスベガス・サンズ。ビッグ6としては、追加で香港のメルコ・クラウン・エンターテインメント、マレーシアのゲンライン。日本では、今後の新規ビジネスとして興味を持っている企業は、デベロッパーが不動産事業の一環、商社が統合型リゾートでのインフラ・プラント提供先として、また本命のエンタメ系やパチンコ業界などである。また、パチンコは法律上「一時娯楽であり賭博ではない」と整理され、刑法185条の但し書き適用の業態。3店方式をとり、互いに独立した店の間を特殊景品を循環させることで、「直ちに違法とは言えない」状態で現金化できる合法的しくみが整っている訳である。【楽天ブックスならいつでも送料無料】日本版カジノのすべて [ 木曽崇 ]
2014.12.24
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著 者=V・S・ラマチャンドラン訳 者=山下篤子書 名=脳のなかの天使発行所=角川書店発行年=2013.3評 価=★★★★★著者の本は、以前に「脳のなかの幽霊」・「脳のなかの幽霊 ふたたび」を読んだ。従前の著作は、「見えるということはどういうことか」「記憶とは何か」「実際感覚(クオリア)とは何か」について当時分かっている結果をもとに、淡々と考えられうる事実を示すにとどまっていた。今回は、手法は同様であるが、神経学者の筆者が、脳の一部が損傷した事例等から、人間としての本来持つ何のどのような機能が損なわれるかという症例等から帰納的に考えられる結論として、脳から生まれる「意識とは何か」「自己とは何か」について、現状において考えられる結論を示している。人類は、15万年ほど前に精神の大きな転換(相転移)があり、これによって文化的に作用する進化に踏み出せた歴史的事実があるが、その最大の要因はミラーニューロンによる模倣学習であると結論付けている。通常、「自己とは何か」「意識とは何か」を考える際のアプローチ方法として、哲学あるいは心理学の様な包括的アプローチと、神経科学の様な個別アプローチが考えられる。筆者は、このどちらのアプローチも検証不可か個別の解剖学的診断では全体機能の結論には辿りつかないとして、本書の第3のアプローチが最も正解に近いとしている。取り上げた症例は、幻肢、共感覚、言語(障害)、自閉症など。詳細説明は省略するが、いずれもがミラーニューロンの本来の機能か、あるいはこのネットワーク(ニューロン間の結びつき)の新たな強化か、ミラーニューロンの本来の機能が損傷を受けたかによってほとんど全て説明しきっている。非常に説得力があり、納得される内容であることから、非常に良い本であることが分かる。必読の書である。【送料無料】 脳のなかの天使 / V S ラマチャンドラン 【単行本】
2014.12.14
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著 者=ダナ・ボイド訳 者=野中モモ書 名=つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの発行所=草思社発行年=2014.10評 価=★★★★☆FACEBOOKやTWITTER等のSNS(ソーシャルネットワーク)が、若者の社会文化的現象として、情報獲得手段とコミュニケーションの生態系を作り変えたのではないかという仮説のもと、米国内の多数の10代の若者にインタビューをすることによって、なにが・どうのように・なぜ変わったのかをまとめた本である。洋書にありがちな、同じ様な内容をくどくど羅列するのは読みづらいが非常に興味ある内容であった。なお、各章毎にインタビューのテーマであるとともに、SNSの特性に応じた内容でインタビューも構成されている。具体的には、アイデンティティ・プライバシー・中毒・危険・いじめ・不平等・リテラシー・パブリックであるが、いかんせん米国の環境や状況にあるティーンのインタビューであり、日本の治安・安全面や人々のモラル道徳心を踏まえた上での日本の若者には、一部合致しない。それでも、SNSが若者文化に及ぼす影響は非常に大きいことが十分に予想され、米国の状況が10年遅れで日本にも発生することを踏まえれば、読む価値はまた大きくなるように思える。良書であった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】つながりっぱなしの日常を生きる [ ダナ・ボイド ]
2014.12.12
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編著者=藤田和男書 名=トコトンやさしい 非在来型化石燃料の本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2013.12評 価=★★★★☆非在来型化石燃料とは、埋蔵されていることは分かっているが、通常の方法では採掘の採算が合わない化石燃料を言う。従って、在来型化石燃料の価格水準が高騰し相対的に採算が合うようになるか、技術開発等で採掘方法が劇的に改善され採掘コストが低下することによって、非在来型化石燃料は在来型化石燃料と時代の経過によって呼び名は変化する。本書で取り上げている非在来型化石燃料は、シェールガス、タイトオイル、重質油、オイルサンド、タールサンド、オイルシェール、コールベッドメタン(CBM)、水溶性天然ガス、メタンハイドレート等である。各種の非在来型化石燃料の個々の特徴や技術開発の動向など非常によくまとまっている良書である。【楽天ブックスならいつでも送料無料】トコトンやさしい非在来型化石燃料の本 [ 藤田和男 ]
2014.12.03
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監 修=柏木孝夫企画・構成=日本能率協会コンサルティング書 名=省エネ・新エネがつくる、超・少子高齢化のなかで人にやさしい スマートコミュニティ発行所=時評社発行年=2012.9評 価=★★☆☆☆東京工業大学特命教授であり、国の各種審議会・委員会で重要な地位を占め、コジェネが大好きな筆者の監修によるスマートコミュニティ論である。筆者のスマートコミュニティの定義は、「エネルギーマネジメントシステムを採り入れた地域やまち」である。ただ副題にもあるように、エネルギーとは一切関係のない、超・少子高齢化に対応する方策や対策(取り組み)も、スマートコミュニティを目指す取り組みであるらしい。国の政策の内、総務省情報通信国際政策局情報通信政策課「ICTスマートタウン」、厚生労働省「高齢化対応都市」・「まちなか集積医療」、国土交通省「低炭素都市づくりガイドライン」(2010.8)・「超小型モビリティ/電気バス/充電施設の設置導入に向けたガイドライン」(2012.6)なども、スマートコミュニティ実現の政策であるらしい。釜石市「電力の地産地消」、富山市「コンパクトシティ」、横浜市・北九州市の取組みもスマートコミュニティの代表例だそうだ。民間では、オリエンタル・コンサルタンツの南アルプス市でのPV設置の取組み、清水建設のマイクログリッド技術(2003-)・スマートBEMS(2012-)の取組み、東京ガスの熱融通管(千住テクノステーション-荒川区立特養ホーム間)、パシフィックコンサルタンツの早稲田大学横山隆一教授座長「スマートコミュニティプロジェクト研究会」(2011-)などが、民間での取組みの代表例だそうだ。全てが万事、なにがしかの目的があって述べられているようで、ここに一切の公平性や合理性はないように思える。ましてや、純粋に技術論として述べられた事項は皆無である。書かれてあることは、ほとんど何も参考にならない。【送料無料】 省エネ・新エネがつくる、超・少子高齢化のなかで人にやさしいスマートコミュニティ / 柏木孝夫 【単行本】
2014.11.21
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著 者=岡村久和書 名=図解ビジネス情報源 最先端ビジネスがひと目でわかる スマートシティ発行所=アスキー・メディアワークス発行年=2011.10評 価=★★★☆☆日本IBM社のスマーターシティ推進部長の語るスマートシティ情報である。著者のスマートシティの定義は、「既存の社会の仕組み(インフラなど含む)にデジタルやIT技術が融合した仕組み」と、いかにもIT業界人が言いそうな不完全な定義である。各地でスマートシティのプロジェクトが始まっており、その分野については、著者によると「安全・安心」「環境・エネルギー」「交通」「ヘルスケア・医療」「行政サービス」「教育」だそうだ。その他にも、防災や景観、観光、産業立地など色々あるとは思うが触れられていない。読めば読むほど、説明に理由や理屈なしの薄っぺらな論旨であり、怪しげな「スマート化」は、もしかするとIBMそのものが元凶ではないかと疑ってしまいそうになる。ただ、良い点も一部にはあり、さすが一流のインテグレータだけあってモデル化は秀でており、スマートシティ開発モデルは、1.グランドデザイン・2.コミュニティ設計・3.ファイナンス・4.EPC納入・5.保守運営管理のステップで定義されるとのこと。特に最初のデザインの際に、目的ありきでなく人々の暮らしをどう変えたいか・どのような問題を解決したいかを徹底的に議論することが大事との指摘は、傾聴に値する。【楽天ブックスならいつでも送料無料】スマートシティ [ 岡村久和 ]
2014.11.19
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著 者=竹内純子(たけうち・すみこ)書 名=誤解だらけの電力問題発行所=ウェッジ発行年=2014.4評 価=★★★★☆元東京電力社員が語る、巷から悪者扱いされる電力業界についての誤解について述べた本である。曰く、電力業界の人間は、安定供給することが骨の髄から染みついており、これを脅かす恐れのある再生可能エネルギーの導入に非協力的だし・発電から小売まで一貫して電気を届けることに固執すると述べられている。さもありなんとは理解する。筆者は、東京電力社員では環境問題や尾瀬ヶ原の保全に主に係わっており、電力会社の本流ではないので逆に仕事面からは非難されない様であるし、ソフトタッチの執筆文体も反感をあまり招かないように思える。そう言った点が、このような逆風の時代においても筆者が評価されてきている点かも知れない。また、内容においてもパナソニックが2012.9販売予定だった「外出先からスマホで起動する」エアコン製品が、電気用品安全法に抵触する恐れがありその機能を削除して販売せざるを得なかった事例(2013.5に法改正された)や、ニュージーランドのような牧畜が盛んな国はそのCO2排出量の実に40%は家畜から生じている事例など、一般には知られていない点にも触れられており、専門性の観点からも評価できる。【楽天ブックスならいつでも送料無料】誤解だらけの電力問題 [ 竹内純子 ]
2014.11.18
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監 修=高橋俊介著 者=照明と生活の研究会書 名=おもしろサイエンス 照明の科学発行所=日刊工業新聞社発行年=2008.12評 価=★★★☆☆電気による照明について、生活全般や公共インフラの照明から設計デザイン照明まで幅広くその照明の科学を分かり易く扱っている本である。恐らく読者は限られた層であろうが、照明の歴史から照明の単位まで、それなりに体系立てて論じられている。ただし、2008年出版であるせいか、今となってはかなり普及してきたLEDに関する記述が少ない点が、惜しまれる。【送料無料】 照明の科学 おもしろサイエンス B & Tブックス / 照明と生活の研究会著 【単行本】
2014.11.17
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著 者=今野 浩書 名=工学部ヒラノ教授発行所=新潮社発行年=2011.1評 価=★★★★★著者の本は初めて読んだが、これは面白くてかつ読みやすい。この本は、小説コーナーにあるのではなく・教育/社会問題コーナーに並べられているだけあって、大学工学部教授である筆者の経験・体験した大学工学部の実態を赤裸々にほぼ実名で述べている。以前に「高学歴ワーキングプア」(水月昭道)の本を読んだが、これは単になぜ博士が野良猫のようにノラ博士になってしまうのかを自身の経験をもとに学生側の視点で分析していたが、本書は大学院強化・大学法人化について大学側から見た視点でなぜそのような事態になったのかを、別の視点で分かり易く説明している。その他の問題についても、大変、工学部の実態・工学部の大学側の実態が非常にクリアに良く分かる良書であった。著者の別の本も見てみたい。【楽天ブックスならいつでも送料無料】工学部ヒラノ教授 [ 今野浩 ]
2014.11.14
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著 者=ダニエル・ヤーギン訳 者=伏見威蕃書 名=探求 -エネルギーの世紀 【上】発行所=日本経済新聞出版社発行年=2012.4評 価=★★★★★筆者のダニエル・ヤーギンは、エネルギー問題の世界的権威であるが初めて著者の書籍を読んだ。まだ上巻であるが、著者の見識とエネルギー問題に関する深い洞察が十分に読みとれる本であり、十分に評価できるものである。導入は、中央アジア・カスピ海周辺における、エネルギー問題の動向としての石油から始まる。アゼルバイジャン・バクー海上油田をどのようにパイプラインで輸送するか、次にカザフスタン・テンギス油田の輸送をどうするか、トルクメニスタンの天然ガスの輸送をどうするか、ロシアと欧州、中国・米国を巻き込んだ実話として非常に興味深い。ことは、単なる一エネルギー資源の輸出に留まらず、どのルートを通してどこへ運ぶか、エネルギーセキュリティや国際情勢と密接に絡み合っており、ほんの少し前の1999年や2006年に起こった話にもかかわらず、全く知らなかったことがまだまだ世の中にはあるということが、つくづくと分かる非常に良書であった。また、1990年代末から2000年代初頭は、原油価格の低位安定と新しい技術がなく石油産業の衰退が唱えられた時期で、石油メジャーと呼ばれる企業が収益改善を目指し、合従連合を1998年から2001年にかけて次々と行われた経緯やその内情が次々に明るみに出て手に汗を握るドラマティックな内容もある。その後の2004年から2008年にかけての原油価格急騰についての原因を丹念にトレースしており、供給側の流通問題(ベネズエラでのチャベス大統領による石油公団の国有化、ナイジェリアでの原油を巡る武力抗争、米国でのカトリーナ台風の影響、そしてイラク戦争)と需要側の中国の成長により、単一の要因ではなく複数の原因で140ドル/バレルまで原油価格が急騰したと述べている。ここまで綿密に調査リサーチした上で要因を示した書籍は見当たらず、さすがエネルギー問題の権威と呼ばれるだけあって感心する。石油・天然ガスの今後の展開や非在来型に関する話は、現在エネルギー業界を賑わしているシェールガス・シェールオイルに留まらず、カナダ・オイルサンド、ブラジル・プレソルト、ベネズエラ・オリノコタールにも言及しておりこの面でも読み応え満載である。十分にこの上巻の時点でも評価できるとともに、下巻では目次から見ると「電気」・「気候変動」・「新エネルギー」が論点のようで、これもまた読むのが楽しみである。【楽天ブックスならいつでも送料無料】探求(上) [ ダニエル・ヤーギン ]
2014.11.13
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著 者=マット・リドレー訳 者=大田直子/鍛原多恵子/柴田裕之書 名=繁栄【下】 明日を切り拓くための人類10万年史 発行所=早川書房発行年=2010.10評 価=★★★★★世界が繁栄するにつれ、出生率の低下は全世界的にほぼすべての国で生じているそうだ。このままでは、2075年に世界人口92億人をピークに以降は減っていくことになるようだ。理由は明確で、繁栄することで収入が増え、都市化で人口が集中することで効率的な社会サービスが提供でき、教育水準が高まり、子供の死亡率が低下する。従って、子供を失う恐れが減るので出生率が低下することになる。現代の社会の繁栄に多大に貢献したものは、エネルギーとしての「石炭」の活用と、このエネルギーを使いやすい形で提供してきた「電気」だそうだ。これらの説には、全面的に同意する。逆に、これほど明確に断言した書籍はなかったかも知れない。いつもいつも「今後世界は恐ろしい結末を予測」する人々がいる。まるで悲観主義がはびこっているように。この悲観主義は、1.世界はひどい場所だ、2.世界はますます悪くなっている、3.責任は商業主義にある、4.世界は転換期を迎えている、とのステレオタイプの発言を繰り返し行うことが特徴である。その方が、人心に訴えかけるし名も売れる。これまで農薬等の化学物質汚染、オゾン層破壊、酸性雨、森林破壊、そして地球の気候変動など今まで数々の終末論があったが、当たったためしはないにもかかわらず。これらの予測の誤りの原因は、比較的明らかで、「もし世界がいまのまま変わらなければそうなる」という予測はことごとく、人間はなんらかの問題解決を図る行動原理を持っていることを過小評価していることに尽きる。最後に繁栄にとり残された「アフリカ問題」も、ボツワナ等では東アジア諸国のように既に成長が始まっているし、社会制度がうまく機能すれば成長は可能性は十分にある。また、今も悲観主義の事例が進行中の「気候変動による問題」も被害予測が大げさすぎで、変わりゆく気候に対して人間の適応力を過小評価しすぎとIPCC報告に対しても手厳しい。非常に有益な書籍であった。【新品】【2500円以上購入で送料無料】【新品】【本】【2500円以上購入で送料無料】繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史 下 マット・リドレー/著 大田直子/訳 鍛原多惠子/訳 柴田裕之/訳
2014.11.07
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著 者=川口マーン恵美書 名=ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?発行所=詳伝社 詳伝社新書341発行年=2013.10評 価=★★★★☆ドイツ在住のエッセイストである筆者は、最近数々の雑誌やウェブでドイツから見た日本について意見を提言している。特に、再生可能エネルギー好きの人々はドイツを見習えと金科玉条に唱える御仁に対して、ドイツでの実態はそんなバラ色ではないと指摘している文章が多い。本書でも、NHKのニュースはあまりにもドメスティックであり、もう少し世界に目を向けるべきとか、ソマリアで・シリアで起きていることを全く日本人は知らない・報道されないことにも腹を立てている。ある特定の狂信的な層から、罵倒されることを承知の上で苦悩しつつ文章を書き続けることに筆者に対して、とても敬服する。ドイツに対しても、日本に対しては偏見に満ちた報道がされるのに対して、中国や韓国に対しては非常に好意的な報道がドイツ国内でなされることの主たる要因は、恐らく「日本国を貶め、良くない国・未来がない国」と書きたてる日本のマスコミにかなりの部分に原因があると指摘している。海外との比較で、あるテータはある国と、また別のデータや事例はまた別の国と比較したがるマスコミには、もうそろそろもう少し日本の良い点・素晴らしい点を公平に取り上げることがあってもいいんじゃないだろうか。中国は孔子学院、フランスはアンスティチュ・フランセ、そしてドイツにはゲーテ・インスティチュートのような海外で自国の文化を啓発する活動が国レベルで行っている事例もある。他の書籍も読みたくなった。 【新品】【書籍・コミック 新書・ノベルス】ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?
2014.11.05
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編 者=成美堂編集者書 名=最新業界地図 2012版発行所=成美堂出版発行年=2011.10評 価=★★★★☆3.11震災後の2011年を最新経済情報として、全110の業界についてその動向を主に図表でまとめた本である。業界の競合者やシェア等が日本のみならず世界を含めて非常にビジュアル的にも分かりやすい。業界は、大きく金融、自動車・機械、電機・精密、素材、エネルギー、建設・不動産、IT・情報通信、マスコミ、流通・小売、生活・サービス、エンタメ・レジャー、運輸に分かれ、大きなくくりの中で例えばエネルギーであれば、石油、電力、ガス、スマートグリッドに細分化されて俯瞰している。業界動向をなるべく早く理解するにはもってこいである。最新の2015年版とも比較したい。【楽天ブックスならいつでも送料無料】最新業界地図(2015年版) [ 成美堂出版株式会社 ]
2014.10.31
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著 者=ボブ・ウッドワード訳 者=伏見威蕃書 名=オバマの戦争発行所=日本経済新聞出版社発行年=2011.6評 価=★★★★☆本書は、2008.11にアメリカ大統領に選ばれたバラク・オバマ上院議員が、9.11以降ブッシュ前大統領がアルカイダ殲滅のために始めたアフガニスタンでの戦争について、その目的を明確化したアフガニスタン新戦略を2009.11に発表するに至る、主に国家安全保障会議でどのような議論があったのかを非常に詳細にインタビューでまとめた本である。まずはじめに驚くことは、このような政策決定過程を明らかにできる合衆国政府自身の柔軟さ・寛容さである。もちろん軍関係者も含め実名表記であり、日本ではまず考えられない状況と言える。また、そのような政府との信頼関係のあるジャーナリストが存在することにも驚きであった。更に、誰がどのような意見・発言・議論を経て、誰がどのように戦略を構築するにいたったのか、その責任と判断が非常に明確であることにも驚かされる。なお、2009.11に発表されたアフガニスタン新戦略は、2011.7に米軍が減員を開始すべく、2010年初頭から3万人の米軍増派を行う内容である。現実には、この新戦略が奏功し2011.5にアルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者を発見・殺害に成功し、2014.5にはオバマ大統領が、2016年末までには米軍駐留軍の完全撤退(アフガン戦争終結)を表明するに至っている。【楽天ブックスならいつでも送料無料】オバマの戦争 [ ボブ・ウッドワード ]
2014.10.25
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著 者=イアン・スチュアート訳 者=水谷 淳書 名=数学を変えた14の偉大な問題 フェルマーの最終定理からリーマン予想まで発行所=SBクリエイティブ発行年=2013.10評 価=★★★★☆本書は、単に証明することが難しい(かった)問題だけではなく、その問題を証明するに当たって数学の領域を広げた(広げる可能性のある)問題を14選択し、その内容をコンパクトにまとめた本である。問題そのものは、非常に単純なフェルマーの最終定理から、問題の内容そのものの理解が難しいリーマン予想まで数学者である著者の主観に基づき14の問題を取り上げている。内容は、簡単なものは簡単に、難しいものは難しいままで表現しており、読み終えるまでに相当難儀する。ある程度の数学への素養が当然必要となる分、あまり一般受けはしないと思える。ただ、数学という学問で、何が最先端領域で、どの専門領域が未踏破地なのかが本書を読むとおぼろげながら分かってくる。例えば、数論ではまさしく未だ未解決のリーマン予想とも関係する「素数」の特性であり、幾何学の分野ではトポロジーや群の考え方であったりする。いづれにしても数学の分野でさえ、仮説や予想が証明されていない問題がまだまだ現にあるということと、今は問題となっていないが、今後、出現する問題がまだまだあるということ、更には偉大な問題そのものが、今は全く知られていない数学のある分野を切り拓く可能性があるということが良く分かる良書である。【楽天ブックスならいつでも送料無料】数学を変えた14の偉大な問題 [ イアン・ステュアート ]
2014.10.24
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著 者=マット・リドレー訳 者=大田直子/鍛原多恵子/柴田裕之書 名=繁栄【上】 明日を切り拓くための人類10万年史 発行所=早川書房発行年=2010.10評 価=★★★★★文明衰退や国家の貧困等の要因を扱った本は多い。本書は、逆に、文明を駆動する要因は何か・国家の成長の原因は何かを、歴史的経緯を背景に真正面から扱った本である。本書は上巻であるが、既に答えは示されており、「文化的進化あるいはテクノロジーにとって交換は、生物学的進化にとっての生殖のようなもの」・「自給自足は繁栄につながらず、分業と専門化および交換(交易)によって繁栄がもたらされた」と述べられている。即ち、交易なくして農耕はなかったし、繁栄は自給自足でなく自活によってもたらされたと述べている。これらの指摘には全面的に同意する。地産地消や自給自足への単純な礼賛など、耳触りの良い言葉に人々は踊らされるが、圧倒的なデータをもとに著者の主張を繰り返し補強し結論を述べており、やはり発展・成長・繁栄の真の物事の本質は「分業・専門化と交換・交易」に間違いないと思う。なお、原題は「The Rational Optimist =合理的な楽観主義者」であり、これもまた含蓄のある良いタイトルである。なお、本来、書籍の評価は、上巻・下巻読了後に行うものだが、間違いなく良書と思われるので、あえて既に評価してみている。マット・リドレーの「赤の女王」や「やわからな遺伝子」など、他の本も読んでみたい。繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史 上 / マット・リドレ- 【単行本】
2014.10.23
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著 者=伊原 賢書 名=シェールガス革命とは何か発行所=東洋経済新報社発行年=2012.8評 価=★★★★☆本書は、副題が「エネルギー救世主が未来を変える」とあるように、シェールガスを前向きに捉え、かつシェールガスそのものについて統計的で技術的な解説を扱った本である。その点、JOGMECに長く勤務された著者の執筆であるだけに、改めて知らなかったことが良く分かった。例えば、シェールガス主要企業は、Devon、XTO Energy、Chesapeake、EOG Resources、EnCanaで、北米産出主要地点としては、バーネット(Barnet,テキサス州)、フェイエットビル(Fayetteville,カンザス州)、ハイネスビル(Haynesville,ルイジアナ州)、マーセラス(Marcellus,北東部)。少し全面的にシェールガスを褒めすぎているいるようにも思えるが、エネルギー地政学的側面でなく純粋に技術的側面での現況を理解するには丁度いい本かもしれない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】シェールガス革命とは何か [ 伊原賢 ]
2014.10.18
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著 者=石井 幹子書 名=美しい「あかり」を求めて- 新・陰翳礼讃発行所=詳伝社発行年=2008.9評 価=★★★★☆日本で最も早く夜間景観・イルミネーションを広め、国内で最も有名な照明デザイナーである著者の自伝的エッセーである。照明を、「ひかり」というよりも「あかり」と捉えて陰影(光と影)の美しさ、特に日本的美を意識して建築物照明・夜間景観・イルミネーションイベントを表現してきた照明分野の権威・大家の経験に基づく考え方を示している。先駆者というのは、どの分野でも苦労が多いものであるが、努力や実績を重ねて積み上げたものが今を形成していることが良く分かる。少し古い本であるので、今の最新潮流の3D-MappingやLEDがほとんど紹介されていないことには、時代を感じてしまう。また、もう少し、仲間あるいはライバルが居たと思われるので、自分自身以外のことや他の照明デザイナーとの切磋琢磨など照明・イルミネーション分野を俯瞰するような書きぶりがあったらもっと良かったとは思う。しかしながら、全体としては非常に良い本であることは間違いない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】新・陰翳礼讃 [ 石井幹子 ]
2014.10.11
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著 者=小林克己書 名=死ぬまでに絶対行きたい世界遺産300発行所=PHP研究所発行年=2013.1評 価=★★★☆☆内容の正確性や最新データかどうかは置いておいて、単純にどこか世界遺産に行きたいと思い立った人には良い本である。ただし、非常に旅慣れた人ではあるようだが、本書中の活用写真がもう一つの物が多いことと、300個所も紹介するので気持ちは分かるがあまり一つ一つの世界遺産の素晴らしさを文章で表現しきれていないことが難点。特に、写真のダメさを感じさせる観光・旅行ガイドなんてありえない気がする。個人的に気に入った個所は、下記のとおり。 伊・アマルフィ海岸の夜景 仏・シャルトル大聖堂のステンドグラス ベルギー・ブリュッセルとブリュージュ歴史地区の照明 スイス・ベルン旧市街の夜景【楽天ブックスならいつでも送料無料】死ぬまでに絶対行きたい世界遺産300 [ 小林克己 ]
2014.10.04
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著 者=佐滝 剛弘書 名=「世界遺産」の真実 -過剰な期待、大いなる誤解発行所=詳伝社発行年=2009.12評 価=★★★☆☆タイトル選定的には、内容が個人的感想の暴露本か思い込みの激しいトンデモ本のように思えるが、内容はいたって冷静でバランス感覚の良くとれた良書である。内容の骨子は、副題の世界遺産に対する「過剰な期待、大いなる誤解」の実例を挙げていると言った本だ。個々の世界遺産への観光的な観点はほとんどないにも関わらず、世界遺産登録へのシステムや手続きを中心とした内容ではあるが、ストレスなしに読める点がとても素晴らしいように思える。【楽天ブックスならいつでも送料無料】「世界遺産」の真実 [ 佐滝剛弘 ]
2014.10.01
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著 者=藤 和彦書 名=シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う発行所=PHP研究所発行年=2013.12評 価=★★★☆☆本書は、シェールガスそのものの技術的内容やデータ分析ではなく、シェールガスが与えるエネルギーの地政学としての影響が中心の本である。その点で、色々考えさせられる観点も多いが、欧州の中東産原油輸入量低下の理由分析やガスパイプライン取引だけがTAKE-OR-PAYなる記載など、考察不足や明らかな間違い個所が随所にあり、今一、本書を全面的には信用できない。ただし、エネルギーの面で、米国でシェールガスが本格生産に移ったことによって安価な天然ガスの供給量が増え、米国産の石炭が欧州に回ることで欧州の天然ガスの必要供給量が減少したために、カタールを中心とした中東産LNGが米国にも欧州にも行き場を失ったが、日本の東日本大震災に伴う原子力発電停止と共に生じたLNG火力発電の需要増大によって幸いにも中東産LNGの行き場が確保できたことが理解できた。同時に、今後の地政学的展望として、ロシア産の天然ガスが欧州向けの先行きが暗いことから、日本を中心とした東アジア方面へのロシア産天然ガスが有望であるとの内容と全体的には理解した。まあ、そんなに単純な問題ではないが、エネルギー地政学として現況をざくっと理解するには十分かも知れない。【楽天ブックスならいつでも送料無料】シェール革命の正体 [ 藤和彦 ]
2014.09.27
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編著者=独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)書 名=トコトンやさしい スマートコミュニティの本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2012.6評 価=★★★☆☆ スマートコミュニティとは、本書の定義で言うと「新しい電力制御技術とICTを組み合わせた電気の有効利用に加え、熱や未利用エネルギーも含めたエネルギー全体の需要・供給体制の構築、地域の交通システムや市民のライフスタイル変革までも幅広く含む、エリア単位での次世代のエネルギー・社会システムの考え方」を言う。割と夢がある言い方をしているが、1.具体的な真の価値は何なのか、2.それを誰が実現し誰が費用負担するのか、3.その負担に見合う価値はあるのか、1.~3.が明らかになったとしてだれがビジネス主体になるのか、これらが非常に重要であるが、本書では明らかでない。その意味で、さほど新たな知見はないように思える。【楽天ブックスならいつでも送料無料】トコトンやさしいスマートコミュニティの本 [ 新エネルギー・産業技術総合開発機構 ]
2014.09.26
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著 者=毎日新聞「リアル30's」取材班書 名=リアル 30's "生きづらさ"を理解するために発行所=毎日新聞社発行年=2012.10評 価=★★★★☆就職氷河期に大学を卒業した世代が、社会に出て現在30歳代になり、生きづらさを感じているという視点を元に書かれた本で、世代を代表する(と思われる)事例のインタビュー記事をもとに、これに対する一般読者からのTwitter意見も編集して一冊の本にしたものである。本書中にも有るが、「私の周りにはこのような人はいない、まったく共感しない」から「激しく同意し、非常に共感する」まで様々な意見が結論なしにちりばめられている。自分自身で感じるのは、生きづらさの実態が全く感じられず、これが本当に世代を代表する「普通の人?」という事例ばかりで、ほぼどのインタビュー記事も共感しなかった。確実に言えるのは、バブル世代とああそうですか世代に挟まれた、確実に少子化に貢献する世代の人々である。この世代は、勤勉さと忍耐力がある世代と言う人もいるが、簡単に仕事をやめ、あたりまえの自分のことしか考えないステレオタイプの表現方法をする普通の若者であり、別に世代を特徴づけるキャッチーではない。確かに、就活・婚活・妊活と常に何かに追い立てられる世代であり、社会システムのせいといいたくなるのは分かるが、その気もないのに受験戦争が激しかったり、頼んでもいたいのにゆとり教育を施されたり、同じ様な仕打ちをされた経験はどの世代にでもある。個人的な努力で、未来を切り開けない無力感の世代における一部の層はあるにしても、本当に真の実力順に並べた際に、それが「中の下」から下の層なのか、「中の中」から下の層なのかの違い程度であるように思える。生きづらさを感じる人ばかりではないはずだ。【楽天ブックスならいつでも送料無料】リアル30’s [ 毎日新聞社 ]
2014.09.18
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著 者=城 一夫書 名=常識として知っておきたい 「美」の概念60発行所=パイ インターナショナル発行年=2012.3評 価=★★★★☆美しいとはどういうことかと示すのではなく、古今東西「美しい」とされた概念を年代順に60(内日本も14)示した軽めの本である。具体的には、西洋編ではビザンティン様式・ゴシック・バロック・ロココ・印象主義・アールヌーヴォー・アールデコ・ポストモダン等、日本編では花鳥風月、雅び、枯山水、わび、さび、カワイイ、萌え等。全ての美の形式について、彫刻・絵画・建築物・家具・漫画等でその美の様式を表現した代表的作者やアーティストを紹介しており、とてもためになる。正しく、常識として知っておきたい領域の知識である。秀作です。
2014.09.12
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著 者=天童荒太書 名=遭難者の夢 家族狩り 第2部発行所=新潮社 新潮文庫発行年=2004.3評 価=(第5部読了後、評価) もう終了したが、2014年夏クールのTVドラマで、松雪泰子主演の「家族狩り」が放映された。原作者の天童荒太は、名作「悼む人」・「永遠の仔」の作者でありこの「家族狩り」計5部作もずいぶん前に購入していたのだが、読む機会を逸していたのでTV放映を機に読み始めたものである。ほぼ原作と同じ登場人物であり、粗筋もTVドラマとほぼ同じであるのでの混乱せずに読める。しかしゆっくりとしたペースである。まだまだ先は長い・・・ 遭難者の夢 [ 天童荒太 ]
2014.09.05
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著 者=本田 健書 名=50代にしておきたい17のこと発行所=大和文庫発行年=2012.1評 価=★★☆☆☆こういった自己啓発本は、ほとんどが役に立たないと経験上知っているため、めったに読まないのではあるが、たまには読んでみた。案の定、ほとんど何の役にも立たない。知っていることだし、特別なことではないし、逆に、実際には実行不可能なことだし・・・。もう二度と、この手の本は買わない。50代にしておきたい17のこと [ 本田健 ]
2014.09.04
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著 者=佐藤 幸徳書 名=トコトンやさしい マイクロガスタービンの本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2003.12評 価=★★★★☆ ご存じ「トコトンやさしい」シリーズの本である。本書は、正式には「マイクロガスタービンの本」ではあるが、内容は「ガスタービンの本」で間違いない。恐らく、2003年執筆当時に一時的に流行ったマイクロガスタービンを念頭に置きつつガスタービンを正面から捉えた意図があったのであろう。ガスタービンには大きく2種類あり、最大350MWの発電用途の蒸気タービンの技術開発の流れを汲む「重構造形ガスタービン」と、最大40MWの陸上・船舶用途の航空機用ジェットエンジンの技術開発の流れを汲む「航空転用形ガスタービン」があることが分かる。また、圧縮機・タービンにおいてはベルヌーイの定理による、速度減少で圧力上昇の物理特性を活用していることが良く分かった。相変わらずこのシリーズには、ほとんどはずれがない。
2014.09.02
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著 者=香山リカ書 名=ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか発行所=朝日新聞出版発行年=2014.6評 価=★★★★☆香山リカも朝日新聞出版も、あまり多くは期待していなかったのだが割と面白かった。自分自身は、FaceBookやLineを使っているものの、同じ様なSNSに対する嫌悪感ではないが気持ち悪さを感じており、的確に書籍において指摘してくれている。曰く、「ゆがんだ平等主義といびつな正義感」によって、ネット空間は「人とのつながりの場ではなく、激しい攻撃や罵倒・密告の場」になっていった。これにより、「同調集団化とネトウヨ化」が促進され、SNSの場は何となく気持ち悪い場になったという説明である。的確な分析だと思う。おかげで、気になっていた一つの社会現象がクリアになった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか [ 香山リカ ]
2014.08.25
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監 修=藤田 和男書 名=トコトンやさしい 天然ガスの本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2008.3評 価=★★★★☆ ご存じ「トコトンやさしい」シリーズの本であるが、このシリーズは全くの初心者を読者においてはおらず、何らかの理由でこの分野の「一般的な基礎的知識を得るあるいは興味を与える」ことを目的としている。そのためある程度の知識を持った読者が対象である。天然ガスメジャーは「エクソンモービル、シェブロン、BP、シェル、トタル、コノコフリップス」、日本のLNG基地は全国27個所(JOGMEC@2007)、天然ガス確認埋蔵量トップ3「ロシア・イラン・カタール」、天然ガス生産量トップ3「ロシア・アメリカ・カナダ」と示すなど、本当に基礎から役に立つ情報までモノ知りになれる。相変わらず良いシリーズであるトコトンやさしい天然ガスの本
2014.08.21
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書 名=メッシュ すべてのビジネスは<シェア>になる著 者=リサ・ガンスキー訳 者=実川 元子発行所=徳間書店発行年=2011.2評 価=★★☆☆☆所有からシェアにビジネスが変わるという、[OWN to MESH]が基本コンセプトの書籍だが、既にレイチェル・ボッツマンとルー・ロジャース作の「シェア -<共有>からビジネスを生みだす新戦略-」作品がある。シェアをメッシュと言い換えただけで、どのような新たな着想があるのか・その違いは何かという観点で読んだ。残念なことに、差異は見いだせなかった。相変わらず、何かシェアが良いことと決めつけすぎており辟易とするし、耳触りの良い関係ないことをさもメッシュと関連付けて述べる形も辟易とする。駄作である。ちなみに、本書で持ち上げ称賛したEV用蓄電池のレンタル会社「ベタープレイス」は倒産しましたよ・・・
2014.08.19
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著 者=北川フラム書 名=アートの地殻変動 -大転換期、日本の「美術・文化・社会」-発行所=美術出版社発行年=2013.11評 価=★★★★☆最近、街中でアート作品が展示されるビエンナーレやトリエンナーレが盛んである。その仕掛け人は、何人かいるであろうが、老舗中の老舗で大物中の大物といえば、アートディレクターの北川フラム氏であろう。大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ」(2000,2003,2006,2009,2012:新潟県)の総合ディレクター、水都大阪2009のプロデュ-サー、瀬戸内国際芸術祭(2010,2013)の総合ディレクター、徳島LEDアートフェスティバル(2010,2013)のスーパーバイザー等として活躍の筆者が、草間彌生・村上隆一ら一流のアーティスト等との会談をインタビュー形式でまとめるとともに筆者自身の現代アートに対する意見を述べた本である。筆者は、総合プロデュ-サーの役割は「資金集めとマネジメント」であり、現代美術とは何かの答えに際して「経済は人々を豊かにする手段で、目的は文化だ」と明言しており、決してアーティストとは言えない人物ではある。だだ、少々怪しげな経歴は別にして、その活動実績が示すように、対談は真に本物のアーティスト等と行っており、逆に対談者に名を連ねていること自体が一流の証のようにも思える。美術館・博物館から街に飛び出した、現代アート作品は、それはそれで結構面白いとは思う。だが、この実現を生業としている方がいるとは、少々驚きではあった。地殻変動という言い方は、少々大げさとは思うが・・・【楽天ブックスならいつでも送料無料】アートの地殻変動 [ 北川フラム ]
2014.08.10
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編 集=ビル・ローズ訳 者=山本 史郎書 名=図説 世界史を変えた50の鉄道発行所=原書房発行年=2014.02評 価=★★★★☆鉄道ファンではないので正確性について本当の所は良くは分からないが、歴史的意義のある「初モノ」について当時の写真を多用し非常に興味深い内容である。曰く、世界初の鉄道(蒸気機関車)は1804年英ウェールズの「マーサーティドルフ鉄道(製鉄所貨物輸送)」、世界初の旅客輸送鉄道は1807年英ウェールズの「スウォンジー=マンブルズ鉄道」、世界初の都市間鉄道は1830年英「リヴァプール=マンチェスター鉄道(56km)」であること等が分かる。当時の日本が江戸時代だったことと合わせて考えると本当にすごいことだと思う。残念ながら、日本の記述は世界初の高速鉄道の1964年東海道新幹線しかないが、これを割り引いても資料価値(雑学知識)は非常に高いと思われる。【送料無料】図説世界史を変えた50の鉄道 [ ビル・ローズ ]
2014.08.10
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著 者=加藤直美 書 名=コンビニと日本人 なぜこの国の「文化」となったのか 発行所=祥伝社 発行年=2012.12 評 価=★★★☆☆コンビニは確かに日本発の、都市生活者へ利便性を提供するための一つの回答だと思う。途上国の人々が、固定電話の段階を経ず一足飛びに携帯電話社会になったことと同様に、個別の市場や一般雑貨店を飛ばしてコンビニ社会になることだって可能であろう。そういったイメージを抱いていたのだが、本書のタイトルの投げかけである、「なぜ日本の文化となったのか」についての簡潔な答えは、残念ながら示していない。よくある書籍タイトルのアイキャッチャーでしかない。ただ、細かい緻密なデータを示している章もあるので、それなりに評価できるかも。なお、細かい点は別にして、セブンイレブン・ローソン・ファミリーマートのそれぞれの根本的な戦略の差を示して欲しかった。その点、筆者の力量不足かも・・・【送料無料】コンビニと日本人 [ 加藤直美 ]
2014.07.29
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編 集=斉藤 香書 名=地域発 ヒット商品のデザイン発行所=パイ インターナショナル発行年=2014.3評 価=★★★☆☆土産物に限らず、デザイン・本書ではパッケージによって売上が大きく左右されることは十分にありえる。本書は、日本各地の土産のパッケージデザインの好事例を、地域別に多数取り上げて紹介している。こういった「一度は見てみたい・行ってみたいなんとか百選」とか「ベストなんとか選」とかは、一体どう言った基準で誰によって選択されているのか曖昧な所がある。もちろん、その道のプロが選んだり・純粋な基準で選ばれることもあろうが、一般にはどことなく胡散臭くて・選ぶ方と選ばれる方となにがしかの関係はないのかと疑ってしまう。ただし、本書のデザインはなかなかのモノのように見える。思わず選んでしまうような魅力的なパッケージがテンコ盛りである。ちょっといいかも。
2014.07.27
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著 者=天童荒太書 名=幻世の祈り 家族狩り 第1部発行所=新潮社 新潮文庫発行年=2004.2評 価=(第5部読了後、評価)2014年夏クールのTVドラマで、松雪泰子主演の「家族狩り」が放映されている。原作の天童荒太は、名作「悼む人」・「永遠の仔」の作者でありこの「家族狩り」計5部作もずいぶん前に購入していたのだが、読む機会を逸していたのでTV放映を機に読み始めたものである。同時並行で、登場人物の行動が示されるので、丁度TVドラマを見ていたため混乱せずに役に立った。TVドラマと同様、この第1部だけでは人物の過去や背景が分からない。今後が楽しみである。【楽天ブックスならいつでも送料無料】幻世の祈り 家族狩り[ 天童荒太 ]
2014.07.18
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著 者=磯達雄[文]、宮沢洋[イラスト]書 名=ポストモダン建築巡礼発行所=日経BP社発行年=2011.7評 価=★★★★☆ポストモダン建築とは、合理的で機能主義的となった近代モダニズム建築に対し、その反動として現れた装飾性、折衷性、過剰性などの回復を目指した建築のこと。日本では1980年代に全盛期を迎えたことから、一般に「バブル建築」と同一視される。丹下健三 兵庫県立歴史博物館(姫路)安藤忠雄 姫路文学館(姫路)安藤忠雄 兵庫県立こどもの館(姫路)(直営) ホテル川久(紀伊白浜)高松 伸 織陣(京都)などが本書で取り上げた代表例。わりと自分も建築が好きなのがよくわかった。【楽天ブックスならいつでも送料無料】ポストモダン建築巡礼 [ 磯達雄 ]
2014.07.15
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著 者=池田信太朗書 名=個を動かす 新浪剛史 ローソン作り直しの10年発行所=日経BP社発行年=2012.12評 価=★★★★☆ちょっとした契機がありコンビニ業界の内、特にローソンの経営分析を行う必要があり手にとって読んでみた。こういった経営本にありがちな表面的な美辞麗句が中心の駄作と違って、わりとまともで新浪社長によるローソン立て直しの経緯が紹介されており、好感を持てる。セブンイレブンという巨人を相手に、総力戦では負けても、市場を細分化して局地戦で勝つことで、「勝てない」という負け犬意識を溶かすことを主眼に、セブンイレブンがPOSによる個店の発注手法を極限まで磨くのに対して、ローソンはPONTAカードによるCRMで一足飛びに自動発注を目指し、そのためのSCMを磨く方向へ経営資源を分配していることが良く分かった。また、BPOも興味深く、BPOにより生みだした人材を新規事業に回し、コア事業以外はアウトソースする経営戦略も腑に落ちた。2番手なりのやり方だとは思うが・・・【楽天ブックスならいつでも送料無料】個を動かす [ 池田信太朗 ]
2014.07.13
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監 修=藤田 和男書 名=トコトンやさしい石炭の本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2009.4評 価=★★★★☆ ご存じ「トコトンやさしい」シリーズの本であるが、このシリーズは全くの初心者を読者においてはおらず、何らかの理由でこの分野の「一般的な基礎的知識を得るあるいは興味を与える」ことを目的としている。そのための読者が対象である。このため、石炭は世界中で採掘されるが輸出余力のある国は「豪州、インドネシア、南アフリカ、ロシア、コロンビア」であることも分かるし、日本が輸入する際の石炭受入れ基地(コールセンター)は18ヶ所(宇部興産CC、三井鉱山北九州CC、山口下松、水島・JFE物流、新居浜CC等)というのも分かる。また、製鉄所のコークス炉は国内44炉で、石炭メジャーと呼ばれる企業はBHPビリトン(英・蘭)、リオティント(英・蘭)、アングロ・アメリカン(英)、エクストラータ(スイス)の4社で、その他新興国インデペンデント企業はブミリソーシズ(インドネシア)、中国神華能源(中国)、エン州煤業(中国)というのも分かる。本当に基礎からモノ知りになれる、相変わらず良いシリーズである。【送料無料】トコトンやさしい石炭の本 [ 秋本明光 ]
2014.07.11
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著 者=丹羽基二、鈴木隆祐書 名=自分のルーツを探す発行所=光文社 (新書)発行年=2006.3評 価=★★★☆☆本書での自分のルーツとは、文字通り「ご先祖様は誰か」という意味で、いわゆる若者の「自分探し」とは全く違う。各々各自が持つ、苗字は一体誰からまたどこから始まり、今に続いているのかを探し出すための方法を具体的に紹介している。紹介された方法だけでは、それほど確実に何代も・何世紀も辿れる訳ではないが、ルーツ探しのきっかけを与えるには十分かもしれない。リタイア後の自分史編纂と同じ様に、ご先祖探しもそれほど世の中にニーズはないと思うが、マイナーでニッチな部分での存在感はある様に思える。
2014.07.04
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著 者=久保田 浪之介書 名=トコトンやさしい燃焼学の本 -今日からモノ知りシリーズ-発行所=日刊工業新聞社発行年=2012.6評 価=★★★★☆ご存じ「トコトンやさしい」シリーズの本であるが、このシリーズは全くの初心者を読者においてはおらず、何らかの理由でこの分野の「一般的な基礎的知識を得るあるいは興味を与える」ことを目的としている。そのための読者が対象である。燃焼の定義を「発熱と発行を伴う酸化反応」、燃焼の3条件を「燃料、酸化剤、着火源」と示すなど、本当に基礎からモノ知りになれる。相変わらず良いシリーズである。【送料無料】トコトンやさしい燃焼学の本 [ 久保田浪之介 ]
2014.07.02
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編 者=新人物往来社書 名=いつか絶対に見に行きたい 世界の夜景発行所=新人物往来社発行年=2012.4評 価=★★★☆☆個人的にも、夜景そのものや公共物・歴史遺産・建築物等のライトアップ、季節ごとのイルミネーションは大好きだ。また、日本以外にも世界にも様々な素晴らしい夜景があることは知っている。ただ、残念ながらこの本は単なる写真集で、根本的にデータが不足している。なぜここの夜景が絶対に見に行きたいのかという観点で、どのような物語があって・どういった点で素晴らしいのか、もっと詳しい説明文や解説が欲しい。写真が素晴らしいのに、少し残念。なお、最近(2014.6)に、夜景評論家丸々もとお氏が「絶対に見たい 美しい世界の夜景」を著しており、これもまた見て見ようと思う。【楽天ブックスならいつでも送料無料】いつか絶対見に行きたい世界の夜景 [ 新人物往来社 ]
2014.06.27
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著 者=ジャレド・ダイアモンド書 名=昨日までの世界 下 -文明の源流と人類の未来翻 訳=倉骨 彰発行所=日本経済新聞出版社発行年=2013.2評 価=★★☆☆☆上巻に続いて読了。上巻よりはましだったが、相変わらず「西欧化する前の伝統的(狩猟採取)社会に生きる人々」から得られる教訓を示すことが主眼の内容。宗教の章は宗教の定義を含め比較的面白かったが、10章「言語」と11章「塩・砂糖・脂肪」の章は本当に必要なのか。現代社会人は減塩生活をせよというスローガンを言いたいだけで、いわゆる伝統的社会を持ち出す必要があるのだろうか。ジャレド・ダイアモンドの著作としては、最悪の本。読むだけ時間の無駄。【送料無料】昨日までの世界(下) [ ジャレド・ダイアモンド ]
2014.06.20
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著 者=ブライアン・グリーン 書 名=隠れていた宇宙 下翻 訳=大田直子発行所=早川書房発行年=2013.7評 価=★★★★☆上巻に続いて読了。下巻では、多宇宙の最もありうる形態を示してくれるのかと思いきや全く違った。更に抽象的な多宇宙も考えられるということを紹介し、結局、様々なバージョンがあり決められないというのが結論。ただし、いわゆるコペルニクス的転換の究極の形態として、「わたしたちの宇宙が宇宙の中心ではない」ということを言いたいらしい。なお、映画「マトリックス」の様な、シミュレーション多宇宙世界観も一つの多宇宙としてページを割いて取り上げているが、まともな物理学者として本当に必要なのか疑問がわく。どんどんと言いたい放題、検証できないものへ話が移行し、物理学がSF化しており「トンデモ本」との違いすら明確になっていないことは、少々残念。本当に無限あるいはたくさんの宇宙があるのかさえ疑問に思えてくる。おおまかには大変素晴らしい本とは思うが、所々の要所においてちょっと残念な本。もう少し上巻の科学的思考のトーンを下巻でも維持して欲しかった。【送料無料】隠れていた宇宙(下) [ ブライアン・グリーン ]
2014.06.15
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著 者=クレイトン・M・クリステンセン 書 名=イノベーション・オブ・ライフ -ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ 翻 訳=櫻井裕子 発行所=翔泳社 発行年=2012.12 評 価=★★★★☆ 経営学の名著「イノベーションのジレンマ」のクリステンセン教授が、ある年のハーバードビジネススクールの最終講義で人生訓として講演した内容を集約した本。最後は家族で、配偶者や子供を大事にしなさいと諭した本である。これだけだが、色々考えさせられる。とはいえ、経営学の先生が、なぜ人生訓を語るのか腑に落ちない面はある。たとえば、経営学でいう「片づける用事」とは、結局「相手の気持ちになって考える」ことだし、企業を人間に置き換え、資源・プロセス・優先事項を手段・方法・動機として全てをフレームワークに落とし込むと味気ない。先生は、より良い人生について、こうまで言っている。1. 自分にとって一番大事なことに資源を実際に配分しているか2. 人生に戦略を持っているか3. 目的は何か4. どうやって人生を評価するのかまあ、実践できうる人が、そう多くはないと思う。【楽天ブックスならいつでも送料無料】イノベーション・オブ・ライフ [ クレイトン・M.クリステンセン ]
2014.06.10
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著 者=マイケル・J・モーブッサン書 名=まさか!? -自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠翻 訳=関谷英理子発行所=ダイヤモンド社発行年=2014.4評 価=★★★★☆内容は、どこかからの引用が多いが比較的面白い。にもかかわらず、全体としてあまり興味を引かず・関心も高まらなかった。なぜだろうか不思議で、面白そうな映画をみたけれど、人にはあまり勧めない感じと同じ。8つの罠は、それぞれ、秀逸な「あとがき」でまとめてくれているので書かないが、個人的に頭に残ったのは、次の3つ。システム論のアプローチ方法;正しいレベルでシステムをとらえる。密接に関連するシステムに注意すること。シミュレーションしてみること。因果関係(X→Y)の必要十分条件;1.Yの前にXが起きないといけない 2.XとYは各々2つ以上の側面がありXとYは関数の関係がなければならない 3.XとYの両方を引き起こす要因があってはならない正解の分布;正解は状況によるが最も多く、正しいやり方がないことが最も多い。原題は、Think Twiceでもあり、もう一回読んでみても良いかな。【2500円以上送料無料】まさか!? 自信がある人ほど陥る意思決定8つの罠/マイケル・J・モーブッサン/関谷英理子
2014.06.05
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著 者=福岡 伸一書 名=やわらかな生命発行所=文藝春秋発行年=2013.8評 価=★★★★☆これまで福岡伸一氏の著作は名作の「生物と無生物のあいだ」の他、「できそこないの男たち」「世界は分けてもわからない」「動的平衡」「動的平衡2」「生命と記憶のパラドクス」と読んできている。筆者の選定するテーマ、表現する文体、内容としての論旨すべて好ましい。加えて、筆者とは、生命関連の他にも建築分野が好きなこと、マップラバーとして地図が好きなこと、本の日本十進分類法の400番台(自然科学)が好きなことわりと全ての好みが一致する。にもかかわらず、著者を好きにはなれないのはなぜなのか。本当に不思議だ。著者が好きな本として、須賀敦子「地図のない道」・カズオイシグロ「日の名残り」・川上弘美「センセイの鞄」・朝吹真理子「きことわ」が挙げられており、今度、読んでみようと思う。<読了;2014.5.27>【楽天ブックスなら送料無料】やわらかな生命 [ 福岡伸一 ]
2014.05.27
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