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太行 の路
夫婦に借 りて以て君臣の終 へざるを諷 する也
太行の路は能 摧 くも,
若 し 人の心を比すれば 是れ坦途 なり。
巫峽 の水は能 く舟を覆 へすも,
若 し 人の心に比すれば是 れ安流 なり。
人心の好惡 苦 常 ならず,
好めば毛羽 を生 じ惡 めば瘡 を生ず。
君が與 に髮を結びて 未だ五載ならざるに,
豈 期 せんや牛 と女 の參 と商 とに爲 るを。
古 へより稱す 色衰 へれば相 ひ棄背 すと,
當時の美人猶 ほ怨悔 す。
何 に況 んや如今 鸞鏡 の中 ,
妾 が顏 の未だ改まざるに 君が心 改まる。
君が爲に衣裳 を熏 ずれば,
君は蘭麝 を聞 ぎで馨香 とせず。
君が爲に容飾 を盛んにすれば,
君は金翠 を看て顏色 無しとす。
行路難 ,
重 ねて陳 べ難 し。
人 生まれて 婦人の身と作 る莫 かれ,
百年の苦樂は 他人に由 る。
行路難 ,
山よりも難 く,
水よりも險 し,
獨 り人間 の夫 と妻 とのみならず,
近代の君臣も亦た此 くの如し。
君 見ずや左納言 ,
右納史 。
朝 に恩を承 け,
暮 に死を賜 ふ。
行路難 ,
水に在 らず,
山に在 らず。
只 だ 人情反覆 の間 に在り。
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