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2025.02.26
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カテゴリ: 報徳記を読む
span style="color: #336633; font-size: 16px;">報徳記を読む span style="color: #336633; font-size: 16px;">報徳記を読む 報徳記 巻之三

【3】先生烏山の飢民を撫育し国家再興の基本を立つ その1

[報徳記&二宮翁夜話]199
烏山城

天性寺の境内に十一棟の救い小屋を建てて、領内の飢えた民を集め、桜町から多くの穀物を運び込んで粥を作ってこれを配った。
このお蔭で烏山藩の数千人に及ぶ飢民に一人の餓死者もなかった。

先生50歳のときである。
その後大久保忠真候の病床からの依頼で、小田原領内の飢饉救援にも当たり、数万という多くの人の命を飢饉から救ったのであった。

「二宮翁夜話」巻の5に烏山藩で行った飢饉の救助方法が詳しく記載されている。

○私が烏山その他で行った飢饉の救助方法は、
まず村々に諭して、飢渇に迫った者のうちから、老人幼子病身等の、力仕事につくことが難しい者と女性でその日の働きが十分にできない者を残らず、調査させる。
そして、寺院かまたは大きな家を借り受けて、ここに集める。
男女を分けて、30人40人づつ一組とする。一所に世話人12名をおく。
一人について、一日白米1合づつと定め、40人であれば一度に1升の白米に水を多く入れて、粥にたいて、塩を入れる。

また一度は菜を少し混ぜて、味噌を入れて、薄い雑炊として、前と同様に盛って、一椀づつ代わる代わる、朝から夕まで、一日に4度づつと定めて、与えるのである。・・・
これを与える時、丁寧にこう諭すのだ。

「なんじらの飢渇は深く察している。実に憐れむべきことだ。
今、与えるところの粥は一日4度に限るから、実に空腹に耐えがたいであろう。
しかしながら大勢の飢えた人に十分に与えるほどの米、麦は天下にはないのだ。・・・
今日、国中に米穀の売り物がなく、金銀があっても米を買うことができない世の中である。・・・
一椀でも厚く有難くこころえて、ゆめゆめ不足に思うなよ。・・・
この一椀づつの粥は、一日に4度づつ時間をきめてきっと与えるぞ。
そうであれば体はやせても、決して餓死する心配はない。
新麦の熟する間のことであるから、空腹をこらえ、起き伏しも運動も静かにして、なるだけ腹のへらないようにして、命さえ続けば、それを有難いと思うがよい。・・・
かえすがえすも草木の皮や葉を食べるなよ。
多く食したり、毎日食すれば病を生じたり、大切な命を失うことになるぞ。必ず食するなよ」
これがその方法の大略である。

また、身体が健康な男女には別に方法を立てて、
「平常は5厘の縄一房を7厘で、一銭の草鞋(わらじ)を一銭5厘で、30銭の木綿布を40銭に買い上げ、平日15銭の日雇い賃金は25銭づつ払うので、村中一同奮発して努め励んで、銭をとって自ら生活を立てよ。
縄、草鞋、木綿布などは、どれほどでも買い取るし、仕事は協議工夫して、人夫を使うから、老若男女を論ずることなく、身体が丈夫な者は、昼は出て日雇い賃を取り、夜に入って縄をない、草鞋を作るがよい」と懇々と説諭して、努力させなさい。
 さて、その仕事は、道や橋を修理し、川や堀をさらい、溜池を作り、川の堤防を修理し、沃土を掘り出して、土壌の悪い田畑に入れ、畦(あぜ)の曲がったのを真直ぐに直し、狭い田を合わせて大きくするなど、その土地に応じて、工夫すれば、その仕事はいくらでもある。
 これがわが手に10両を損して彼に50両60両の金を得させて、かつその村里に永世の幸福を残し、その上、美名をものこす道である。
ただ恵んで費えないだけでなく、少なく恵んで大利益を生ずる良法である。
これが私が実地に行った大略である。

○天保七年に烏山候の依頼によって、同領内に以上の方法を行った。
一村一村に諭して、極難の者のうち、力仕事につくことができる者とできない者の二つに分けて、力仕事につくことができない病人、幼児、病気の者など千人あまりを烏山城下の天性寺の禅堂、講堂、物置そのほかの寺院や新たに小屋20棟を建てて、一人白米一合づつ前に言った方法で、天保7年12月1日から翌年5月5日まで、救い遣わした。
また鬱憤を発散させるため、藩士の武術稽古をこの場所で行い、見物を許し、時々空砲を鳴らして鬱気を消散させた。
そのうち病気の者は、自分の家に帰し、また別に病室を設置して、療養させた。
5月5日解散のときには、一人について白米3升、銭500文づつを渡して、帰宅させた。
また力仕事につける丈夫な者には、鍬一枚づつ渡して、荒地一反歩について、起し返し料、金3分2朱、仕付料2分2朱、合わせて1両半、ほかに肥やし代一分を渡した。
そして仕事熱心で一村の幹事となるべき者を人選し、入札で高札の者に、その世話方を申し付けて荒地を起こし返して植付けをさせた。
このお越し返しで一春の間に、58町9反歩、植付けたのであった。
実に天から降ってくるように、地から湧いてくるように、数十日のうちに荒地は変じて水田となり、秋になってその実りはただちに貧民の食糧の補いとなった。
そのほか草鞋、縄などを製造したのも大きな事業で、飢死する者も一人もなく、安穏に相続し、領主の仁政を感激して農事に励むようになったことは、なんと嬉しいことではないか。」

実に尊徳先生の方法は現代でも見習うべきことが多いと思う。
1 仕事につくことができない病人、幼児、病気の者などは、別に保護し、厚く救助を行う。
2 仕事ができる健康な男女には、公共事業を起こして通常よりよい条件で賃金を支払う。(アメリカの大恐慌の際のニューディール政策を想起させる)
3 2により、一時の救難ではなく、遊惰の者も自然と勤勉にさせ、職業を習熟させ、各々職業に精励させる。みだりに補助を与えることは、人民を怠惰に導く。注意して施行し、人民を奮発させ精励させるようにすることが必要である。(夜話巻の5[5])

また、尊徳先生はこう言われた。
私は、不幸にして、14歳の時に父に別れ、16歳の折、母に別れた。

幼年の困窮艱難は実に心魂に徹し、骨髄にしみ、今日(こんにち)もなお忘れることができない。
なにとぞして世を救い、国を富まし、憂き瀬に沈む者を助けたいと思って勤め励んできた。
はからずも天保の両度の飢饉に遭遇した。
ここにおいて心魂を砕いて、身体を粉にして、ひろくこの飢饉を救おうと勤めたのだった。
 」(夜話巻の5[13])



報徳記  巻之三

【3】先生烏山の飢民を撫育し国家再興の基本を立つ

 于時(ときに)天保七丙申(ひのえさる)年大(おほい)に飢(き)す。
諸國の民飢渇に苦しみ、草根(さうこん)を食(くら)ひ、木皮(もくひ)を食(くら)ふといへども、食既に盡(つ)きて四方に離散す。
往(ゆ)く處(ところ)食(しょく)を得るの道なく、道路に叫び哀(かなし)めども、人も亦是(こ)の如くなれば、慈(じ)ある者と雖も之を救ふことあたはず、遂に途(みち)に餓ヒョウ(がへう)累々(るゐるゐ)たるに至れり。
野州烏山領中の民も亦飢渇に苦しみ、群起(ぐんき)して城下市中の富家(ふけ)を破却し、動揺すること夥(おびただ)し。
城中の群臣之を聞き、若し彼等城内に亂入することあらんも計り難し。
然らば是非に及ばず、大炮(たいほう)を以て之を拂(はら)ふに如ずと、大炮(たいほう)を備えて之を待つ。
代官郡(こほり)奉行(ぶぎやう)をして之を諭(さと)し、その動搖(どうえう)を鎭静(ちんせい)せしむ。
是より先(さき)、菅谷某(ぼう)二宮先生に至りて救荒(きうくわう)の道を請ひ、實情(じつじやう)を以て小田原候に言上(ごんじやう)し、先生も烏山候より依頼の條を以て聞(ぶん)す。
小田原候深く之を憐み、烏山は親族也、之を救ふの道有れば、夫れ我に代(かは)りて撫育(ぶいく)せよと命ず。
是(ここ)に於て先生其の價(あたひ)二千餘(よ)金の米粟(べいぞく)を烏山に送り、十餘里の間、運輸の米粟(べいぞく)送り、十餘里の間運輸の絡繹(らくえき)たり。
諸人目を驚かさゞるものなし。
菩提寺(ぼだいでら)天性寺(てんせうじ)境内(けいだい)に於て十一棟の小屋を補理(ほり)し、領中の飢民を集め、粥を炊(かし)ぎて之を撫育(ぶいく)す。
其の處置(しょち)規則皆先生の深慮に出(いで)たれば私曲の憂なく、均しからざるの憂なく、晝夜(ちうや)火の元を嚴(げん)にし、小屋(こや)の汚穢(をわい)を去り、疫疾(えきしつ)の憂を防ぎ、厚く之を養ふ。
圓應(えんおう)和尚嘗(かつ)て先生に見(まみ)えしより終(つひ)に其の志願を遂(とぐ)るを以て大いに喜び、自ら飢民の安危(あんき)を計り、日となく夜となく撫恤(ぶじゅつ)に心力(しんりょく)を盡(つく)せり。
是(これ)を以て、必死(ひっし)を免れ難き數千人の飢民、一人の過ちなく生命(せいめい)を全くすることを得たり。
先生の仁術に依らずんば何を以て此の大飢を無事に凌(しの)ぐことを得んやと、上下之を感嘆す。





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最終更新日  2025.02.26 00:00:24


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