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2025.02.27
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カテゴリ: 報徳記を読む
span style="color: #336633; font-size: 16px;">報徳記を読む span style="color: #336633; font-size: 16px;">報徳記を読む 報徳記 巻之三

【3】先生烏山の飢民を撫育し国家再興の基本を立つ その2

[報徳記&二宮翁夜話]199
烏山城

「補注報徳記」(佐々井典比古)にこうある。

「天保7年11月から翌8年5月までに、烏山に送られた救急米は、米1,243俵、ひえ234俵、種もみ171俵余、代金として2,389両余であり、その半額は藩から支払ったが、残りは仕法金として借用された。
 天性寺の御救小屋(おすくいごや)に収容された人員は、少ない日で7,8百人、多いときは千余人、ある日の記録には879人とある。
 領内の人口は、10,031人であったから、収容人員はその一割弱に当る。別に、老齢者と、孤独で住居を離れられぬ者に対しても、それぞれ給与され、領内1名の餓死または流亡者を出さなかった。

 炊き出しと並行して、開発が行われた。
 資金300両、反別24町歩の予定で、善行精農者を農民中から投票によって選ばせ、一番札に3反歩分、二番札に2反歩分、三番札に1反歩分ずつの開発料を5ヶ年賦として貸し付けた。その人員は合計150名となり、当選者以外の者もこの開墾事業の労賃によって潤った。

 その烏山の藩士は桜町陣屋に住み込んで天分の調査を行った。
 過去10年間の平均は、烏山領分で、米9,330俵余、金316両余で、厚木領と合せると、米11,817俵余、金1,959両余となった。
先生はこれに基づいて分度を確立し、開発雛形によって10年間に総計1,199町歩の荒地を開発する案を示された。


☆烏山藩の藩主、家老、小役人に至るまで連印した依頼書をもって先生に復興を依頼した。
先生はこうおっしゃった。
「民の露命が夕べにもなくなりそうだった。
 私が救助しなければ、数千人の民が罪もなく死ぬところであった。
 そこで君臣のたび重なる要望にまかせて救助したのだ。
 国家再興の道をどうして私が知るところであろうか」と固辞された。

 烏山の君臣は再三要望してやまなかった。
先生はこうおっしゃった。
「それ国を興すことは誠に大業である。
天命に安んじ、衰貧の時にしたがって、天理自然の分度を守り、『中庸』
にある通り『艱難に素して艱難に行い』、民の安心して後にともに安心し、また一人の民であっても困苦を免れていない時は、君臣ともに一藩がみんな安心の思いをしない。
民の憂いに先立って憂い、民の楽しみに後れて楽しみ、民を恵むこてゃわが子を育てるようにならなければ、どうして衰えた国を興すことができよう。
あなたがたの求めるところはそうではない。
君主の必要な費用が足らず、一藩の給与の10分の3も受けることができず、その不足を補うため、借金をして、年々その利息が積みあがり、どうにもできなくなった。
そこで領民に金を出させてこれを補おうとし、まだ足らない。
今年に来年分の税金を納めさせている。
下の艱難はすでに極まって、ついに飢饉となって飢え死にしそうになったのでないか。
このようにして歳月を送れば、国が亡ばなければ止むことがない。
天地の間に大小それぞれに応じて分度がある。
その分に応じて、支出を制限するならばどうして不足が生じようか。
もし分限を破って、いたずらに財産を費やして不足のみ憂えるときは百万石をあってもどうして用が足ろう。
それ3万石というのは何の名か。
穀物が3万石出せる土地ということではないか。
3万石の穀物の中にいて、米や金がないのを憂、民の飢渇を憂う時は、天下に足るものなどあろうか。




【3】先生烏山の飢民を撫育し国家再興の基本を立つ

是(ここ)に於て領中興復の道を依頼せんとし、候(こう)の直書(ぢきしょ)且(かつ)大夫(たいふ)以下小吏(せうり)に至る迄連印の依頼書を以て再び先生に請ふ。
先生曰く、
下民(かみん)の露命旦夕(たんせき)に迫れり。
我(われ)救荒の施(ほどこ)さずんば、數千人の民(たみ)罪なくして死亡に陥(おちい)らん。
之を見るに忍びず。
君臣の懇望(こんもう)に任せ、之を救助せり。
國家再興の道、豈(あに)我が知る所ならんや 
と、固辭して受けず。
烏山の君臣再三請ひて止ず。
先生曰く、
夫れ國を興さんとする事誠に大業なり。
天命に安(やす)んじ、衰貧の時に隨ひ、天理自然の分度(ぶんど)を守り、其の艱難に素(そ)して艱難に行ひ、下民(かみん)の安堵(あんど)を見て然る後共に安堵し、未だ一民と雖も困苦を免れざる時は、人民以下一藩皆以て安堵の思を爲さず。
民の憂に先立ちて憂ひ、民の樂に後(おく)れて樂み、民を惠(めぐ)む事、子を育するが如くならざれば、何を以て衰國を興(おこす)ことを得ん。
各(おのおの)の求むる所は左(さ)に非ず。
君の用度足らず一藩の恩禄其の十が三をも米粟(べいぞく)を受くる事を得ず。
此の不足を補はんとして他の財を借り、年々君の増借(ぞうしやく)利倍(りばい)幾萬金となり、如何(いかん)ともすべからざるに至り、領民に上金せしめて之を補はんとし、猶足らず。
今年に來歳(らいさい)の貢税を命じて出(だ)さしむ。
下の艱難既に極り、遂に凶歳となりて飢亡に瀕(ひん)せるに非ずや。
是(こ)の如くにして歳月を送らば、國(くに)の亡ぶるに至らざれば止まず。
天地間大小各(かく)其の分限あり。
其の分に應(おう)じ、其の用度を制せんに何の不足といふ事あらんや。
若し分限を破り、徒(いたづら)に財寶(ざいほう)を費し、不足而己(のみ)を憂ふる時は百萬石を得るとも何ぞ足る事あらん。
五石十石のものだも一家を保ち、永く此の世に立てり。
然るに烏山三萬石の米粟(べいぞく)の中に居て米金(べいきん)なきを憂ひ、下民の飢渇を憂ふる時は、天下何ものか足るものあらん。
譬(たとへ)ば米飯の中に坐して飢(うゑ)を呼び歎くが如し。
豈(あに)坐する所悉く食物なることを知らんや。
今三萬石の中に居(を)り、米金(べいきん)なきことを憂ふ。
何を以て之に異ならん。
唯(ただ)用財節(きまり)なく、國(くに)の分度を知らざるが故なり。
其の本原(ほんげん)を明(あきらか)にし、當時(たうじ)の命に安んじ、國家(こくか)再盛の時至るまでは此の艱難を常とするの覺悟(かくご)あらざれば國(くに)の衰癈を擧(あ)ぐることあたはず。
其の本立たずして徒(いたづら)に我をして其の不足を補はしめんとならば、我何を以て之に應(おう)ずることを得んや。
何となれば、舊來(きうらい)の負債我之を倒(たふ)すことあたはず。
他領の貢税を取りて、烏山の不足を補ふことあたはず。
今各(おのおの)の求る所、一として我之を能(よく)せず。
我が道を以て興復せんとならば、別に道あるにあらず。
此の地の廢亡(はいぼう)を擧(あ)げたる道を移さん而己。
此の道他(た)なし、唯(たゞ)烏山は烏山の分を守り、艱難の地に安んじ、國民を惠み、其の廢亡を興さん而己(のみ)。
然して各(おのおの)の欲する處(ところ)に異なれば、假令(たとひ)我が方法を授けたりとも安(いづく)んぞ其の成功を遂(とぐ)ることを得ん。
之を止(や)むるには如ざるなり
と云ふ。





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最終更新日  2025.02.27 00:00:24


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