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2025.08.27
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カテゴリ: 報徳記を読む
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二宮翁夜話巻の2

【1】尊徳先生がおっしゃった。
「学問は活用を尊ぶ、
万巻の書を読んでも、活用しなければ用をなさない。
論語に、『里(り)は仁をよしとす、撰(えら)んで仁に居らずんば焉(いずくん)ぞ智を得ん』とある。誠に名言である。
しかしながら、遊び人や借家の人であれば、風儀の整ったよい村を選んで居住する事もできよう、
しかし田畑や山林、家・蔵を所有する、何村の何某といわれる者が、どんな仁義の村があるからといって、その村に引越す事ができようか。
さりとてその不仁の村に不快ながら住んでいても、智者とはいわれないのは勿論である。
さて断然不仁の村を捨て、仁義の村に引越す者があっても私はこれを智者とは言わない。
書を読んで活用を知らない愚者というであろう。

人には道がある。
道は蛮貊(ばんぱく)の国といえども行われるものであるから、どんな不仁の村里でも、道の行われないことはない。
自ら此の道を行って、不仁の村を仁義の村になして、先祖代々そこに永住することこそ、智というべきだ。
このようでなければ、決して智者といってはならない。
そしてその不仁の村を、仁義の村にするには、決して難かしくない。
まず自分が道を踏んで、自分の家を仁にすることにある。

自分の家が誠に仁になれば、村里が仁にならない事はない。
古語(大学)に言う、

また言う
『誠に仁に志せば悪なし』
とある通り、決して疑いないものだ。
ここに竹木など本末が入り交り、縦横が入り乱れたものがあるとしよう、
これを一本ずつ本を本に、末を末にして止まない時は、ついに皆本末が揃って整然となるようなものだ。
古語(論語)に、
『直きを挙げて諸々(もろもろ)の曲れるを措(お)く時は、よく曲れる者をして直からしむ』、
とある通り、善人を挙げ、直な人を挙げて、厚く誉めたたえてやまない時は、必ず4,5年間を出ないで、整然とした仁義の村となることは疑いない。
世間の富者は、この理にくらくて、書を読んで活用を知らない。
自分の家を仁義にする事を知らないで、いたずらに迷いを取って、村里の不仁であるのを憎んで、
『村人は義を知らない、人々の心持も悪く、風儀も悪い』などとののしって、他方に移ろうとする者が往々にしてある、愚というべきだ。
さて村里の人気を一新し、風俗を一洗するという事は、困難な事だが、真心をもって行い、その方法を得るならば、さほど難しい事ではない。
まず衰貧を挽回し、頽廃を興復するより手を下して、私の説く方法のようにすれば、次第に人気や風儀を一洗するであろう。
さて人気・風儀を一新するに、機というものがある。
たとえば今ここに戸数100の村があるとする。
その中40戸は衣食に不足がなく、60戸は窮乏していると、
一村がその貧を恥としない、
貧を恥としないと租税を納めないのを恥としない、
借財を返さないのを恥としない、
役務を怠たることを恥としない、質に入れるのを恥としない、暴言を言うのを恥としない、
このようであれば、法令も、庄屋の威力や権威も行われない。
法令が行れない時には、悪行が至らないところはない、
何を以てこれを導くことができよう、
ここにいたっては法令も教諭も皆役にたたない。
また100戸の中、60戸は衣食に不足がなく、40戸は貧窮な時は、教えなくてもおのずから恥を生じる、
恥を生ずれば、正義の心を生ずる、正義の心を生ずれば、租税を納めないのを恥とする、借財を返さないのを恥とする、役務を怠るを恥とする、質を入れるのを恥とする、暴言を言うのを恥とするようになる、
ここに至って法令も行われ、教導も行われ、善道に導くように、勤労に趣かせることができる、
その機はこのようだ。
たとえばはかりの釣合いのようだ、
左が重ければ左に傾いて、右が重ければ右に傾くようなものだ。
村内に貧しい者が多い時は貧に傾き、悪が多い時は悪に傾く、だから互いに恥としない、
富が多い時は富に傾いて、善が多い時は善に傾く、
だから恥を生ずれば正義の心を生じ、汚俗を一洗し、一村を興復する事業は、ただこの機があるだけだ、知らなくてはならない。
どんな良法・仁術であっても、村中一戸も貧者を無くすことは難かしい、
なぜなら、人に勤惰があり、強弱があり、智愚があり、家にも積善があり不積善があり、
それだけでなく前世の因縁もある。
これをどうともできない、
このような貧者は、ただその時々の不足を補って、破綻しないようするにするのだ。

二宮翁夜話巻の2

【1】翁(をう)曰く、
学問は活用を尊ぶ、
万巻の書を読むといへ共、活用せざれば用はなさぬものなり。
論語に、里(り)は仁をよしとす、撰(えら)んで仁に居らずんば焉(いずくん)ぞ智を得ん、とあり、
誠に名言なり、
然りといへども、遊歴人(いうれきじん)や店借人(たなかりにん)などならば、撰んで仁の村に居(を)る事も出来(でく)べし、
されど田畑山林家蔵を所有する、何村の何某なる者、如何なる仁義の村があればとて、其の村に引越す事出来べきや、
さりとて其の不仁の村に不快ながら住み居りては、智者とは云はれざる勿論なり、
扨(さ)て断然不仁の村を捨て、仁義の村に引越す者ありとも我は是を智者とは云はず、
書を読んで活用を知らざる愚者と云べし。
如何(いかん)となれば、何村の何某と云はるゝ程の者、全戸を他村に引移(ひきうつ)す事容易にあらず、
其の費用も莫大なるべし、此の莫大の費金を捨て、住み馴れし古郷を捨つる、愚にあらずして何ぞ、
夫れ人に道あり、道は蛮貊(ばんぱく)の邦といへども行はるゝ物なれば、如何(いか)なる不仁の村里といへ共、道の行れざる事あるべからず、
自ら此の道を行ひて、不仁の村を仁義の村に為して、先祖代々其処(そこ)に永住するをこそ、智といふべけれ、此の如くならざれば、決して智者といふべからず、
然して其の不仁の村を、仁義の村にする、甚だ難からず、先づ自分道を踏んで、己が家を仁にするにあるなり。
己が家仁にならずして、村里を仁にせんとするは、白砂を炊いで飯にせんとするに同じ、
己が家誠に仁になれば、村里仁にならざる事なし、
古語に曰く、一家仁なれば一国仁に興り、一家譲(ゆづ)りあれば一国譲りに興る、
又曰く、誠に仁に志せば悪なし、
とある通り、決して疑ひなき物なり、
夫れ爰(ここ)に竹木など本末入交り、竪横に入り乱れたるあり、
是を一本づゝ本を本にし、末を末にして止まざる時は、終に皆本末揃ひて整然となるが如し。
古語に、直きを挙げて諸々(もろもろ)の曲れるを措(お)く時は、よく曲れる者をして直からしむ、
とある通り、善人を挙げ直人(ちょくじん)を挙げて、厚く賞誉して怠らざる時は必ず四五ヶ年間を出ずして、整然たる仁義の村となる事、疑ひなき物なり、
世間の富者、此理に闇く書を読んで活用を知らず、我が家を仁義にする事を知らず、
徒(いたづ)らに迷ひを取つて、村里の不仁なるを悪(にく)み、
村人義を知らず、人気悪し、風儀悪しと詈(ののし)り、他方に移(うつ)らんとする者往々あり、愚と云べし。
扨(さ)て村里の人気を一新し、風俗を一洗すると云ふ事、尤も難き事なれども、誠心を以てし、其の方法を得れば、左程(さほど)難き事にはあらざるなり。
先づ衰貧を挽回し、頽廃を興復するより手を下し方法の如くして、漸次人気風儀を一洗すべし。
扨て人気風儀を一新なすに機会あり、
譬へば今爰(ここ)に戸数一百の邑(むら)あり、
其の中四十戸は衣食不足なく、六十戸は窮乏なれば、一邑(いふ)其の貧を恥とせず、
貧を恥とせざれば租税を納めざるを恥ぢず、
借財を返さゞるを恥ぢず、
夫役(ふえき)を怠るを恥ぢず、質を入るを恥ぢず、暴を云ふを恥ぢず、
此の如くなれば、上(かみ)の法令も里正の権も行れず、
法令行れざる時は、悪行至らざる処なし、
何を以て之を導かん、
爰(ここ)に到りては法令も教諭も皆益なきなり、
又百戸の中、六十戸は衣食不足なく、四十戸は貧窮なる時は、教へずして自(おのづから)恥を生ず、
恥を生ずれば、義心を生ず、
義心生ずれば、租税を納めざるを恥ぢ、借財を返さゞるを恥ぢ、夫役を怠るを恥ぢ、質を入るを恥ぢ、暴を云ふを恥づるに至る、
爰(ここ)に至つて法令も行はれ、教導も行はれ、善道に導くべく、勉強にも趣かしむべし、
其の機、斯(かく)の如し、
譬へば権衡(はかり)の釣合の如し、
左重ければ左に傾き、右重ければ右に傾くが如く、
村内貧多き時は貧に傾き、悪多き時は悪に傾く、故に相共に恥なし、
富多き時は富に傾き、善多き時は善に傾く、故に恥を生ずれば義心を生ず、
汚俗を一洗し、一村を興復するの業、只此の機あるのみ、知らずばあるべからず、
如何なる良法仁術と云へども、村中一戸も貧者無からしむるは難しとす、
如何(なん)となれば、人に勤惰あり強弱あり智愚あり、家に積善あり不積善あり、
加之(しかのみならず)前世の宿因もあり、是を如何とも為すべからず、
此の如きの貧者は、只其の時々の不足を補ふて、覆墜(ふくつい)せざらしむるにあり。






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最終更新日  2025.08.27 18:20:43


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