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窓をあけると、ぬるくて心地いい風が吹いていた。どこかに出かけたくなる気持ちいい風だ。煩わしい暑さをまとって奔走した日々はたったひとつ前の季節なのにはるか彼方の記憶をたぐり寄せるようだ。濃厚な緑のにおいをあたりに発散していた木々も葉の色を変えさみしい佇まいに変わりつつある。さあ、どこへ行こう。風の吹くまま、こぎ出すには情熱が足りないから。夕暮れはシャツ1枚では頼りないから。Tossed between the sky and sea, we'll sail until we find the harbor lights. (Blue In Green)
2011年10月15日
夜空を見上げた。雲ひとつない空。輝く月がそこにあった。差し向かい。ごまかしようのない会話。遮るものがないっていうのは、すこし照れくさいものかもしれないな。スーツにネクタイのまま校庭のど真ん中に仰向けて冬の大三角を示す教授。プロキオン、シリウス、ペテルギウス。無心に見つめる。夜空のきらめきを追う。星空は大人に魔法をかける。遠い過去の時間軸に想いを馳せる。眠れるがごと覚めたるがごと暫しとどまり、眠れるがごと覚めたるがごと我ら去りゆく。…なんて大きなゆりかごだろう。
2011年10月08日
ひところKYなんて言葉がはやったが少なくとも日本では「その場の空気を読む」のは人との関わりに欠かせないものだ。たとえば何かを協議する時、自分の主張を押してばかりでは、らちがあかない。相容れない主張があるならなおさら、押すばかりでは相手は引っ込みがつかなくなるから。ひとつ道を譲って、相手を立てながら細い道を確実に進んでいく。相手の目を見て、ここまで進んでいいのかと確認しながら途中いろんな果実を拾いながら、雑草を踏みしめながら、時には大胆に小川を飛び越えたりしながら、自分の思う方向に少しずつ進んでいく。将棋はやらないが、そんな類いに似てるのじゃないかなと思ったりする。最短で相手を八歩塞がりにするんじゃなく時間をかけて納得しながら、相手に敬意をはらいながら詰めていくこういう協議の過程がけっこう好きなんだ。だから、ガーーーとブルドーザーでやってきて強引に分け入り、道を切り拓こうとする人が現れるとがっかりする。最後まで互いに道を残すのが、私のルールだから。
2011年10月07日
きほん早起きだが、テレビをつける習慣はない。なのに、なんとなく偶然にスイッチに手が伸びた。画面にあらわれたのはムーミンだった。こうした再放送のおかげで何度となく繰り返し見ている気がするが、最初の放送はいつだったのだろう?なつかしい面々にしばし見入った。子どもの頃、ミイは生意気で余計なことばかりしてる印象だった。でも今見れば、皆が気付かない違う角度の切り口を発見して、さっと問題を解決する能力に長けている女の子だった。スナフキンは、物知りなおじさんの印象だったけど、改めて見れば、若い旅人で、すてきな哲学者だ。ニョロニョロや、姿の見えないお友達など不思議ちゃんな要素がたくさん出てくるけど、森羅万象あるがままに受入れるやさしい仲間のお話だ。ゆったりとしたセリフを聴き入っているうちに時間の波間を漂っているような穏やかな心地になる。で、永遠の旅人スナフキンが飄々とキメ台詞を言ってくれるのだ。「この世にはいくら考えてもわからない、 でも、長く生きることで解かってくる事がたくさんあると思う」なんて案配にね。
2011年10月04日
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