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日本全国でドラえもんを知っている人は何%いるのでしょうか?非常に面白いデータを見つけました。日本リサーチセンターという調査研究機関による認知度調査結果です。 ドラえもんの認知度は98%とのことです。スゴイ!と驚くべきかそんなの当然!と受け止めるべきか・・・個人的には「知らない」と答えた2%の方が気になりますが(笑) さて「ドラえもん」の認知度98%に対し「SF短編」の認知度は、どれくらいかな?と思ってしまいました。 私のブログを見に来てくださる方は元々、ドラえもんをはじめとするF作品に興味がある方だと思いますのでF先生がSF短編を発表していたことはわりと多くの方が、ご存知なのではと思っています。 しかし、日本全国では、一体どのくらいSF短編は知れ渡っているのでしょうか…ふと、そんな疑問を抱いてしまいました。本格的に調べるには、世論調査のように数千人以上調査しないことには分かりませんが・・・ というわけで、勝手に企画!! F先生のSF短編認知度は何%なのか? 日本全国でのF先生のSF短編の認知度は一体どれくらいなのか?何の根拠もなく、信憑性もなく私が勝手な想像で、数値を出してみたいと思います。 【F先生のSF短編認知度】(根拠なし信憑性なし) ・まったく知らない … 97% (推定。根拠なし信憑性なし) ・SF短編を書いていると聞いたことがある … 1% (推定。根拠なし信憑性なし) ・「SF短編」を知っている … 2% (推定。根拠なし信憑性なし) 「聞いたことがある(上から2つ目)」は「うわさで」とか「なんとなく」いう曖昧な境界線といえる回答になります。これを認知と、とらえれば認知度は全体で3%となりいや、微妙なので認知とはいえない、となれば2%となり全体で2~3%といったところでしょうか。(まあ、ネオ的推測、憶測ですが…) さて、5月1日、TBSの番組「王様のブランチ」内の『語りたいほど漫画好き!』というコーナーで、なんと!なんと!F先生のSF短編「ミノタウロスの皿」が取り上げられました~~~!! 超嬉しい~~~ やった~~~ミノタウロスの皿の1コマミノタウロスの皿の1コマ本作は、「牛に似た生物が人間を家畜化して支配する世界」との紹介がありました。 宇宙船の故障により、主人公が不時着した 惑星では、人類と牛の立場が逆転していて牛が人間を食べるという世界だった・・・という物語です。 「女々しくて」などのヒット曲で知られるゴールデンボンバーの鬼龍院翔(きりゅういん しょう)さんが登場し、お気に入りの作品として「ミノタウロスの皿」を一押ししてくださいました!! 鬼龍院さん本人のツイッターでもミノタウロスの皿の紹介があります。鬼龍院さん ありがとうございます 100を超えるSF短編の中で、おそらく一番有名と思われますが、ドラえもんと比べたら、まだまだ知名度は足りません。テレビでどんどん紹介されてほしいです。 だいぶ前、マツコデラックスさんの番組「怒り新党」でF先生のSF短編の特集があったようですが、残念ながらその番組は見ておらず、まったく知りませんでした。周りに「見た」という人もおらずブログにコメントもなく、知る機会がありませんでした。 また、こうしてテレビなど、大きなメディアで紹介されることを祈っています。 願わくばNHKの「100分de名著」なんかに登場してほしいです。 それでは、次回は改めて「ミノタウロスの皿」のお話でも
2021.05.01
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2月2日(火)のTBSテレビで「人生に影響を与えた漫画」という番組がありました。 お笑いタレントのスピードワゴン・小沢一敬さんが「人生に影響を与えた漫画」として藤子・F・不二雄先生のSF短編「ある日」を取り上げていました。 このテレビ番組のウェブサイトで番組内容の一部が掲載されています。↓TBS公式サイトhttps://www.tbs.co.jp/konosa/archive/202102021/ スコシフシギなSF短編「ある日」は2010年1月30日の日記で紹介したことがあります。よろしければ、こちらもご覧ください。 この「ある日」というストーリーは一見、平凡で平和なように見える何気ない日常もまったく安全ではなく、人類の危機的状況が今この時も我々のすぐそばに迫っているんですよということを訴える作品になっています。 現実でいえば、日本の南の小島も隣国の人間によって上陸されてしまい、紛争になるおそれ最悪の場合は戦争になるおそれもあるということです。さらには、北の隣国も何度も日本を脅かすミサイルを打ち上げています。でも我々は「多分」大丈夫だろうと思ってしまっています。F先生は、我々が「何となく」目をそらしてしまっているそんな心の奥底に、スポットをあてているように思えます。 このように、最悪の事態へ発展する脅威は常に我々の身近にあるのです。今も昔も、まったく変わってはいません。 パラレル同窓会(4) 藤子・F・不二雄[異色短編集] 4 (小学館コロコロ文庫(少年)) [ 藤子・F・ 不二雄 ]「ある日」収録コミック 100作品以上ある、SF短編の中で「ある日」を選んだ小澤さんは、社会や世界に非常に意識が強いお方なのだろうな、と思いました。 F先生のSF短編にスポットライトがあたった嬉しい番組でした
2021.02.02
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前回の日記で「神」の話をしましたが「ピン!ときた」といったのは神様(福の神)が出てくるSF短編を思い出したからです。それでは藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『福来たる』を紹介したいと思います。・・・と、その前に。本日の日記タイトルには『アメブロver.』と入っています。実は、『福来たる』は以前にも紹介したことがあるためです。私は今、楽天ブログを引っ越ししましてアメブロで活動をしていますがSF短編の日記だけは、楽天とアメブロ両方で公開しようと考えました。内容に、全く変わりはありませんがアメブロ~藤子・F・不二雄ブログ↑こちらでも読むことができます。コメントは、こちら楽天でもアメブロでも、どちらでも大歓迎です。< ストーリー >職場の仲間と仕事帰りに酒を飲み、かなりよっぱらったごく普通の平凡なオジサン■よっぱらったおじさんが見たものは!?■ オジサンは神様らしき者に声をかける■ 正体は福の神だった!!福の神は、今の世の中にうんざりしていました。福の神は「昔はよかった」と昔の話を始めます。たった1匹の干し魚で大喜びされた時代もあったといいます。■ 福の神と話すオジサンしかし、オジサンは酔っているせいもあり迷信は信じる、UFOとかマユツバの話が好きであるとか、余計なことをいってしまいます。そして、福の神のご機嫌を損ねてしまいその場から去ってしまいました。■ 戻ってきた福の神布団に入り、オジサンが寝ようとしたところ福の神が戻ってきてくれました。■ 福の神は現代社会に驚く昔は水にさえ苦しむ時代がありました。そんな時代を知っている福の神にとっては蛇口からの水は、驚きの光景でした。■ 現代人は食べ物を粗末にする食べ物を捨てる光景に福の神は絶句してしまいます・・・■ 福の神は理解に苦しむ水にも、食べ物にも、お金にも現代人は、困っていない・・・そんなオジサン家族を見ていて福の神は「あんなに豊かに暮らしながらその上、何を望むのだ」と語ります。■ 涙が出るほどの幸福感とは何なのか・・・オジサンは、宝くじの1等を福の神の力で当ててほしいと欲望をぶつけます。しかし、福の神がそんなことはできないというとオジサンは激怒し「貧乏神」と文句をいいます。それに怒った福の神は、オジサンをタイムスリップで遠い昔の時代に送ってしまうのでした・・・福の神はこう考えるのです。食べ物などもろくになく暮らしの不便さなど昔の世界で身に染みるほど苦労すればオジサンが現代に戻ったとき涙が出るほどの幸福を感じるであろうと。『福来たる』は、このようあらすじです。↓こちらの本に収録されています。 SF短編PERFECT版 7巻 または 藤子・F・不二雄 SF短篇集 3巻(下記)で読むことができます。藤子・F・不二雄SF短篇集(3) [ 藤子・F・不二雄 ]福の神が、オジサン家族の食べ物が捨てられる光景に「命の綱の食べ物を」と目をくらませる描写がありますが戦後間もない頃、私たち日本人は皆、お腹をすかし食べ物がない時代を過ごしてきました。これは、遠い昔話ではありません。私も、祖父母から、むかしの日本は「食べ物がなく昆虫を食べていた」という話はよく聞きました。F先生が子供の頃も、まだまだ日本は豊かではありませんでした。福の神が、現代の豊かな生活に驚く場面もF先生の経験、体験からにじみ出ているのではないでしょうか。食べ物も食べたい時にある水も欲しいときにいつでも得られますそんな幸せで贅沢な環境にあることを私たちは忘れてしまっているかもしれませんね。幸せとは、高望みをすることではなく欲望を満たすことでも他人と比較することでもなく感謝の気持ち、ありがたみの心を持つことなのかもしれませんね。「豊かに暮らしながらその上、何を望むのだ」という福の神のセリフは、F先生からの現代人への問いかけなのではないでしょうか
2016.08.18
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ノーベル物理学賞になんと日本人3名の方が、受賞されましたね。日本人として嬉しく思いますし3人も同時ということに、驚きもありました。それからノーベル平和賞の授賞式とスピーチもありました。受賞したのは史上最年少という弱冠17歳のマララ・ユサフザイさんです。女性そして子供の人権を世に訴えました。授賞式のスピーチには、私は胸が熱くなりました。本当に素晴らしいスピーチでした。マララさんは母国のパキスタンで、過激派集団に襲われ、銃で頭と首を撃たれるという悲惨な事件に遭ってしまいました。パキスタンでは、女性の勉強など教育が全く許されていません。学校に通い、勉強をする、私たちにはごくごく当たり前のことがマララさんの国では許されていませんでした。それに反発する声も行動も、許されていません。女性や子供に人権がないのです。そんな背景があり、隠れながら勉強を続けていたマララさんに対し、襲撃事件が起こってしまったのです。銃で頭と首に2箇所も撃たれたら、まず助かりません。しかし、マララさんは奇跡的に一命を取りとめ後遺症もなく回復しました。そして今では、安全のためイギリスで暮らしています。マララさんは、きっとどんなことがあっても生かされる運命だったのでしょう。この奇跡は偶然ではないように思えます。マララさんは、母国を動かし、世の中の子供たちや女性たちに大いなる希望を与え、世界を動かすことでしょう。いや、もうすでに動かしました。彼女の未来は光り輝いています。その光は彼女一人だけではなく、世界中を輝かせることでしょう。こういったニュースを見ると、私たちも何かをしなければと心を動かされます。以前、国際自然保護連合(IUCN)と世界動物園水族館協会(WAZA)が提唱する『国際カエル年』(2008年)というものを知り両生類が絶滅の危機にあると知ってから、胸が痛み心から両生類を、カエルたちを、なんとかして守りたいと切実に思うようになりました。でも、心で思っているだけではダメだと思い定期的に街中のゴミ拾いを始めました。一番の大きな原因は自然環境の悪化だからです。私一人のゴミ拾いなど、やってもやらなくても両生類の救いにはならないでしょう。他人からは意味がないといわれることでしょう。それでも、やはり「行動」が大事ではないかと思います。行動せずに物事を期待しても何も変わりません。口だけで理想を語るのは、誰にでも出来ることです。「何かやっても、どうせ…」と、行動を避けるのは言い訳です。さて、突然ですが藤子・F・不二雄先生のSF短編『未来ドロボウ』のTV実写化放映が決定し、放送が近づいてきました!!前回の日記でもお伝えしましたがついに、明日 10月18日(土)の夜9時です。実は、すでに2010年9月24日の日記で一度紹介していますが実写化放映記念としてもう一度、別の視点から考察してみたいと思います。< 『未来ドロボウ』 あらすじ>勉強に熱心な中学生の少年。脇目も振らず、夜遅くまで勉強をしていた。彼は人生の成功者を目指していた。■ ところがある日・・・しかし、父の働く工場が倒産をしてしまう。父から、高校進学は諦めるようにいわれる。自分の人生を閉ざされた少年は激怒し家を飛び出してしまう。少年は、近所にある豪邸のそばまで来ていた。裏口のドアが開いており、何気なく入り込んでしまう大きい家に驚き、広々としたプールに圧倒される。そして、家主に会うこととなる。家主は、まさに少年が夢見ていた成功者であった。脳の研究で大成功を収め、大富豪となっていた。少年が高校へも進学が出来ず、未来を絶望していることを語ると高齢者である家主は「羨ましい」という。そこで、家主は脳を取り替えないかと少年に申し出る。脳の交換・・・ つまりは、体の交換だった。少年は全くの冗談だととらえ、承諾するが脳の研究で成功を収めた、まさにその技術で本当に脳の交換が現実に行われてしまった・・・■ 老人の体になってしまった少年は 脳の交換に満足していない■ 体がいうことをきかず まともにいい返すこともできない若さを得た老人(体は少年)と巨万の富を得た少年(体は老人)に訪れる運命とは・・・!?詳しくは以前の日記を見ていただけると嬉しいです。進学が出来ないから・・・物事が自分の思うようにいかないから・・・そんなことで(本人にはたとえ重大なことであっても)未来を決め付けたり、嘆いたりするなんてもったいない。未来とは、そんな幅の狭いものではない。もっともっと、かけがえのないものなのです。F先生は、そんなメッセージを読者に(特に若者に)贈りたかったのではないでしょうか。少年少女たちには、もっと未来を大きく見てほしいと伝え大人には、過去を振り返り若かりし日々の思い出へと誘(いざな)います。本作品は、年を取れば取るほどじんわりと心に染み入りますね~私は、どの短編も数百回は読んでいますが『未来ドロボウ』に関しては、読むたびに、そして時間の経過と共に「少年時代の未来」がどんどん輝きを増してきます。巨万の富を得た老人の言葉が分かるようになってきました。私が小さかった頃、父と母は私が将来、どんな職業に就くのか、とても楽しみにしていたのを覚えています。特に父は、ずっと野球部であり甲子園を夢見ながら出場を果たせなかったこともあり、子供の私には野球選手になってほしかったようです。「ようです」というのは、父の口からは直接聞いたことがなく母から聞いたからです。でも父は、無理強いをすることはありませんでした。父も母も、私を縛り付けることはなく、自由奔放でいてくれました。そのことにはとても感謝しています。私が野球選手への道へ進まなかったことは、父は残念に思っているかもしれませんが、幼かった私の未来は「もしかしたら野球選手になるかもしれない」などと「あらゆる可能性のある未来」を楽しみに感じていたかもしれません。子供を授かった両親などには、自分たちの子供の未来にときめきを与えるものなのかもしれませんね。母に至っては、私が小学生の時は「(幼稚園を卒園した)これからが人生楽しい時よ」といい中学の時は「(小学校を卒業した)これからが人生楽しい時よ」といい高校、大学、社会人となっても変わらずいつも「これからが人生楽しい時よ」といってました(笑)母にとっては、人生ずっと「未来がある限り楽しい」ものなのでしょう。大人になる前には、未来や若さのことなど何も考えることなく時が過ぎてから、そのありがたみを感じるものなのでしょう。さて、物語の続きですが・・・やがて 少年の身体を得た老人が自分の屋敷に帰ってきます。老人(身体は少年)は、元に戻ることを申し出る。若さは「世界中の富を持ってきてもつり合わない」と語る。『未来ドロボウ』の中で私の好きなセリフが出てきます。明るく希望に溢れるまぶしい言葉です。■ 家を飛び出した少年に 老人が語った言葉「未来は、ただそれがあるだけですばらしい」いいセリフですね。SF短編では名セリフが度々出てきますがこのセリフもお気に入りの1つです。放送される「世にも奇妙な物語」の中で、このセリフが聞きたいなあ~それでは、再び放送日のお知らせです。■ 10月18日(土)21時~23時10分詳細は『世にも奇妙な物語’14秋の特別編』(フジテレビ公式サイト)をご覧下さい。約2時間の番組ですが、複数の短編が放送されその1つが『未来ドロボウ』となりますので時間はおそらく20分前後でしょうか。元の原作も短編ですから無理に長編になるよりかは、短い方がいいと思います。実写版の出来はどうなるか分かりませんが、とにかくF先生のスコシフシギなSF短編が取り上げられるというのが嬉しいです
2014.10.17
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遅いあいさつになりますが明けましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。お正月といえば、よく映画を見に行きました。元旦は、友達と劇場へ行くこともありました。多くの映画館では、毎月1日は\1000で見られる「サービスデー」を、実施しているので元旦はお得です。意外と混んでないのもいいです。藤子・F・不二雄先生は「男はつらいよ」が、好きだったという話を聞いたことがあります。もしかしたらお正月には、寅さんを見に行っていたかもしれないですね。主人公が、ぶらり出かけたところにひっそりとたたずむ映画館があった。辺ぴな場所で、まさかの新作映画の上映が・・・!?いつものダークなストーリーとは一転変わった映画(パロディ)を題材にした藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『裏町裏通り名画館』を読んでみましょう。■ 男は 裏日本の裏町の裏通りへ■ なんと映画館があった入口にある、公衆電話が時代を感じますね~■ 『スター・ウォーズ』と『南極物語』・・・かとおもいきや?公開したての映画が2作同時上映。これには、男も大喜び。■ 男が気づくのは映画を見終わってからのこと「北極物語」というネーミングはありですが「ヌター・ウォーズ」って・・・F先生!この無理やり感、好きです(笑)■ 映画が始まります「北極物語」は、架空の映画(パロディ)ですが元になった映画『南極物語』は、私の母は見たことがありノンフィクションを基に作られた、大ヒットした作品です。※ おまけ情報○ 『南極物語』1983年公開&高倉健主演 北極でのロケあり○ 『スター・ウォーズ』1983年公開 SF映画の頂点ともいえる超大作○ この短編も1983年の作品です。■ 何かがおかしい・・・高倉健が出てくるはずなのだが・・・■ 主役はアザラシ母子高倉健の登場を待っていた主人公がいつの間にか、アザラシ母子に感情移入をしてしまうという展開がなんとも笑えてしまいます。■ 次の映画が始まるようやく大作SF映画がスタート男の胸も高鳴る。■ ヨサーク少年にオハナ少女・・・?またしても、何かが違う。■ 違和感再び・・・■ ヨサークは戦場へ行くことに・・・■ ヨサークに友達ができるチバタマという造語はおそらく千葉と埼玉を組み合わせたものでしょう(笑)■ 思わぬ展開が・・・友人のタゴーサクを失い、涙を流すヨサークそして、ヨサークは覚悟を決める。特攻隊のごとく、敵の戦艦へ玉砕するのでした・・・あれ? これは、まるで日本の戦争映画のような流れでは・・・?なんとも、ズッコケSF短編です。『スターウォーズ 』はいくつもエピソードがありますが、このSF短編が発表された1983年は『スターウォーズ /ジェダイの帰還』が公開されています。主人公が見た映画は、全然『名画』ではなかったのにタイトルが『名画館』というなんとも皮肉というか、ユーモアというかF先生の遊び心がうかがえます
2014.01.13
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10月31日、世界の人口がついに70億人を超えました。その日に生まれた赤ちゃん全員に「70億人目の赤ちゃんの1人」として認定し祝福を送るというニュースがありました。少子化の日本では、微笑ましいニュースではありますが世界的には、喜ばしいことばかりではありません。アフリカでは、500万人の子供たちが5歳未満で亡くなっています。幼稚園に通える年齢にも満たず、人生を終えてしまうのです。他にも、学校にも通えず虐待を受け働かせられる子供や自国の無政府状態のため、貧困や病気で苦しむ人々が70億の大半に含まれていることを見過ごしてはいけません。さて、人口増加について少し考えて見ましょう。『季報 エネルギー総合工学』というサイトで分かりやすいグラフを見つけました。1600年代から1800年代は、なだらかに上昇しています。ところが、1900年代に入ると、異常ともいえるスピードで人口が爆発的に増加しています。人類の生態系に悪影響は起きてないでしょうか?世界人口増加に潜む問題に目を向けた藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『間引き』を読んでみましょう。 < 『間引き』 ストーリー >主人公の年配の男性は、妻と二人暮しであった。そして、いつものように仕事へ出かける。■ 満員電車で通勤する男性■ 人がどんどん増えているように感じる■ 臭いのチェックは日課だった■ 男性の仕事はコインロッカーの管理人だった■ 辺りをキョロキョロとうろつく人物がやってくる■ 新聞記者であった■ 特ダネ写真を狙っているコインロッカーに赤ちゃんが捨てられる事件が多発していた。しかし男性は、写真を撮るのは簡単ではないという。■ 赤ん坊が捨てられる事件は日常茶飯事だった■ 赤ん坊を捨てる事件は 救いの手になっている!?記者は、不思議な発言をする。■ 問題は氷山の一角でしかない人間は、もしかしたら見えないものによって操られているのかもしれないと、記者は推測する。■ これらの事件の根源は 人口爆発だと記者は指摘する■ 人口増加に伴い 食糧が足らなくなる問題も・・・本作品では、日本でも食糧不足が起こり多くの人々が食に困っているという設定になってます。■ 記者は 人口増加について語る動物などは、人間が手出しをしない限り極端な増減は起こらず、個体数のバランスが保たれている。■ しかし人間の数は 調節されていないのでは・・・人間だけが、生き物の中で均衡を破りどんどん増殖している状態にある。■ 今まで 病気 飢え 戦争などが人工調節を取ってきた命を奪うウイルスや、大飢饉、そして戦争などが人口の増加を抑えてきた。■ 男性は 笑って反対する■ まだ見えない問題が潜んでいる・・・■ この世から愛が失われている・・・男性は、何もいい返せなくなる。そして夜になり、記者は去っていった。■ 男性の妻が差し入れを持ってきてくれた■ 男性は嬉しそうにおにぎりを食べ始めた■ ついに世界人口が45億人に!!45億人到達を知らせるサイレンが、日本中、そして世界中に響き渡る。そして、1つの事件が起きます。思いもよらない恐ろしい犯罪が・・・しかし、それは世界的に見れば小さな事件なのかもしれません。地球規模で見れば、なんでもないことなのかもしれません・・・作品の中で、記者が「40年代後半から・・・」という言葉は「昭和40年代」を指しています。私はまだ生まれていませんがコインロッカーに赤ちゃんを捨てるという事件が、当時社会問題になっていたと聞きます。F先生はいち早く、このネタを作品の題材にしました。『コインロッカー・ベイビーズ』という当時ベストセラーになった本などもあります。こちらの小説は、1984年出版ですがF先生の『間引き』の発表は、1974(昭和49)年です。そして、作中では、時代が「昭和55年」となってますが少し先の未来、という設定で描かれたのだと思います。作品では、赤子の置き去りはいけないだとかそんなことをする両親は悪人であるとかありきたりな批判や評論は出てきません。F先生は、社会問題から人類の問題へさらには人口問題から地球規模の目線へと結びついていきます。短編が描かれた時代、コインロッカー事件に人々が騒いでいる頃F先生だけは、社会問題を超越した、大いなる想像をめぐらしていたのですね~ 『間引き』も感嘆してしまいますがF先生の想像の飛躍にも感嘆してしまいます。30年後には、世界人口は100億を超える計算になります。そのとき私たちは、一体どこへ向かうのでしょうか・・・■ SF短編『間引き』収録藤子・F・不二雄「異色短編集」1巻ミノタウロスの皿
2011.11.01
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NHKの朝ドラ『おひさま』もいよいよ大詰めになってきましたね。10/1が最終回のようです。以前、主人公の陽子ちゃん(井上真央さん)が祖母についてお話しするシーンが出てきました。「おばあさまは どんな人?」と聞かれ陽子は「とってもオシャレで、帽子が似合って靴も素敵で・・・」と褒めちぎります。実はその時、陽子の所へ訪ねてきていたおばあさまがドアの前まで来ていました。おばあさまは、陽子の声に気づき褒められて嬉しい気分になります。「でも・・・」と陽子は続けます。「怒ると怖くて、頑固で負けず嫌いで・・・」と困った面も、思わず漏らしてしまいます。陽子に会ったおばあさまは「怒ると怖くて頑固で負けず嫌いの桐野でございます」と陽子の家族に挨拶します。(「桐野」は、おばあさまの苗字です)一同は、話を聞かれていたことにビックリします。さて、もしも他人が心の中で思っていることを全て分かってしまったら・・・?そんなテレパシーの能力を持ってしまった少年の物語。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編 『耳太郎』を紹介したいと思います。 < 『耳太郎』 ストーリー >■ 明日テストがある 耳太郎机に向かうも、勉強に集中できない。つまらないとぼやく。■ 誘惑に負けてしまうマンガを描くのが好きな耳太郎くんは勉強をやめてしまう。■ そして翌日勉強をやってこなかったのでテストが、さっぱり分からない。■ もうダメだと思った その時・・・なぜか問題がスラスラ解けるように。頭にどんどん計算式が浮かんできた。■ テストは満点かもしれないと 友だちの女の子に話す女の子は、ニコニコと笑うだけで無言なのに怒り出す耳太郎くん。■ クラスメイトが答え合わせをしている答えを出しているのは、メガネをかけている少年。彼は、テストの時となりにいた・・・■ 彼の声が聞こえていたのだった!!耳太郎くんは、テレパシーを使えるようになったのか!?■ 帰宅後 母親にテストのことを聞かれる母が思っていることも耳太郎くんには分かってしまう。■ 家の中で大喜びする耳太郎■ 人の心は誰だって分かってしまう灰皿を探している父親も耳太郎くんの見事な察知に驚いてしまう。■ どんどんテレパシーの能力が発揮されていくテレパシーで知りえた情報を得意げに、周りに話し出す耳太郎くん。■ マンガを描く友達との集まりに いつもの場所へ向かう林の奥に、使われなくなった事務所があった。耳太郎くんたちは、いつもそこを利用していた。■ 「へんなやつさ」という声が聞こえるそれは、耳太郎くんが薄気味悪いという、うわさ話であった。人の秘密を何でも知っているので、怪しく思われていた。■ 友だちと 描いたマンガを見せ合うことにメガネをかけた少年のマンガを読んでみると・・・■ 耳太郎のマンガは友だちとソックリであった・・・自分で思い浮かんだアイデアと思っていたが友だちのアイデアをテレパシーで受け取っていたのだった・・・■ でも それは故意ではなかった■ 耳太郎には みんなの疑いの声が聞こえてくる・・・みんなは静かにしているけれど、否応なしにどんどん聞こえてきてしまう。■ 家に帰ってからも落ち着けない耳太郎■ 耳をふさいでも 周りの声が嵐のように襲いかかる周りの声がひっきりなしに聞こえてきてノイローゼ寸前だった。テレパシーの能力は、もう耐えられなくなっていた・・・■ 家を飛び出し 林の中のマンガを描く場所へ向かった誰もいない場所に行きたかった。■ 「完璧な人間なんていないんだ」 どこからともなく声が聞こえる■ サングラスにマスクの謎のおじいさんも同じ能力を持っていた人がどう思っているかより、それを無理やり聞き出すことの方が悪いことではないかと、おじいさんは考える。■ 視力も聴力も失ったおじいさんだったが・・・見えなくても、聞こえなくても、それ故に世の中が見えるようになったという・・・■ 耳太郎くんは おじいさんに救いを求める耳太郎くんは、屋根にいることを忘れ、足を滑らせてしまう。屋根から落ちた耳太郎くんは気を失ってしまうが・・・気絶はしたけれど、大した怪我はなく無事に助かった耳太郎くん。そして・・・ テレパシーの力は、なくなっていた・・・耳太郎くんは、能力が消えて大喜びをする。例えテレパシーを使わなくても何でもかんでも、本心を聞き出すことが正しいことではない・・・そんな「嘘と誠」を考える作品になってます。私たちは、幼い子供の描いた絵を見たら上手い下手は関係なく、誰もが褒めるでしょう。なぜ、私たちは「ウソはいけない」と思っているのに「上手いね」とウソをつき褒めるのでしょう。傷つけないようにという配慮や、優しさの表れではないでしょうか。本心を伝えることよりも、大切なことがあるということでしょう。■ 少年SF短篇 2巻 『耳太郎』収録藤子・F・不二雄大全集 少年SF短篇 2巻
2011.09.18
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< 前回までのあらすじ >民話でいい伝えられている幻の蝶「ユメカゲロウ」だが浅野という男性は存在しているはずだと強く信じていた。 < 『ユメカゲロウ 』 ストーリー 後編 >■ 少年は疑うこの少年は、村長の孫であった。ユメカゲロウは、まったく信じていなかった。■ 浅野氏は聞き返す■ どこにでもいる昆虫だった知られていないから存在しない、とはかんたんには決め付けられない。■ 発見されない理由には仮説があるユメカゲロウは、危険を察知するのが鋭く早いのでは。光を嫌いで、真夜中しか現れないのでは・・・ などなど。そして、死ぬときには酵素が働きたんぱく質が分解され、消えてしまうのかもしれない。浅野氏は、そうした仮説を述べる。■ 決定的証拠を出す浅野氏は、1枚の写真を出した。■ この羽は まさしくユメカゲロウ昆虫博士の少年には、この羽を持つ虫(蝶)は今まで見たことがなかった。そして信じ始めたのだった。■ ユメカゲロウ捕獲作戦少年は、殺虫剤を使いユメカゲロウを林から、煽り出そうと考えた。■ しかし 浅野氏に反対されてしまうやり方が荒っぽいので浅野氏は賛成できなかった。■ 気が収まらない少年■ 山火事が起こってしまう少年が殺虫剤に火をつけようとしたのが辺りに燃え移ってしまった・・・■ 3人は火の海に囲まれてしまった炎は燃えさかりやがて、少女は歩けなくなってしまう・・・■ 呼吸が苦しくなる■ もう逃げ場がなくなってしまった・・・辺り一面が炎に包まれもう、なす術がなかった・・・■ 少女に異変が・・・気を失っていた少女が、突如、起き出し引き寄せられるように歩き出した。■ 抜け道に出た!!3人は火の海を抜け無事、脱出に成功した。■ 少女は夢を見ていたという少女は、抜け道を知っていたわけではなかった。夢の中で、手招きされていたという・・・■ 夢の中に髪の長い女性が現れて・・・彼女の見た夢こそ、長く伝わる民話のユメカゲロウと同じ現象だった。■ ユメカゲロウは人の夢の中に現れる■ 空に美しく舞う 無数のユメカゲロウ3人は、捕まえることなく、静かに夜空に舞うユメカゲロウを見つめたのだった・・・美しく、そして切ないこの物語はまさに「真夏の夜の夢」というのにふさわしいでしょう。世界遺産に決定した小笠原諸島ならこんな美しい幻の蝶も、いるかもしれませんね■ 『ユメカゲロウ 』収録少年SF短編集 第2巻 (藤子・F・不二雄大全集) / 藤子・F・不二雄 著少年SF短編 2巻 藤子・F・不二雄大全集
2011.07.01
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小笠原諸島が世界遺産に登録されましたね!!困難の多い日本に嬉しいニュースです。世界遺産決定おめでとうございます。私は、三宅島へ行ったことがあります。中学の頃、家族旅行で夏休みに行きました。もちろん、小笠原諸島とは違いますが本州を離れた南の島は、のどかで穏やかで虫なども多く、自然が豊かで海が青々としているのが印象的でした。「こんなにキレイな海は見たことがない」とその美しさに感動したのを今でも覚えています。小笠原諸島も、きっと自然の魅力にあふれた素晴らしい所なのだと思います。小笠原諸島の特色の1つに独自の進化を遂げた生態系があるようですね。まさに、自然の神秘といえますね。■ スゴク小さな虫ここからは、小笠原諸島とは関係なく私の近所のお話です。ごく普通の平凡な草むらに、スゴク小さな虫がいます。体長は、0.5ミリ以下だと思います。■ クローズアップ写真で見ると赤っぽいですが天気がいい日は、ピンクっぽくも見えます。■ 動画です 小さいけれど動きは素早い!!撮影日は今月です。つい最近の出来事です。さて、この虫ですが、私はさっぱり分かりません。どなたか、名前の分かる方いませんか~~~求む!昆虫博士!!家を出て、すぐの草むらにこんなに虫たちが住み着いていたとは・・・動画に映っている大きなアリ(体長約1cm)はクロオオアリだと思います。それよりも小さいのも2種類見かけました。ミミズの兄弟と思えるようなニョロニョロしたものやダンゴ虫やてんとう虫など種類は少ないですが、見ていて本当に面白いです。偉大なるファーブルさんが、どうして昆虫に夢中になったのかが分かるような気がしました。ウォーキングに出たのに、1時間も座り込んで昆虫観察してました。おかげで、蚊に刺されてしまいましたが・・・ダンゴ虫に触ると、死んだフリをします。小学校のとき以来のダンゴ虫の再会です。懐かしかったですね~ダンゴ虫も「演技」までして生きていると思うと何だか、可愛らしくもあり、けなげだなあ~と感じますね。みなさん、昆虫観察オススメですよ~自然の少ない、空気の汚れた都内でもそれなりに虫たちがいるんですから全国どこでも、観察できる場所が見つかるはずです。さてさて、前置きが長くなってしまいましたが半透明で薄紫色の「ユメカゲロウ」なる民話に出てくる蝶は、果たして実在するのか?藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編 『ユメカゲロウ 』を紹介したいと思います。 < 『ユメカゲロウ 』 ストーリー >■ セミがかえるところだった■ 少年と少女が見つめている少年は、昆虫博士で標本も持っている。少女も、虫が大好きだった。■ 「ユメカゲロウ」とは・・・少年少女の2人は、たまたま会ったおじさんから「ユメカゲロウ」という名を聞いた。■ 少女は父親に聞いてみた■ 父親は民話の本を開いた若者が、クモの巣にかかった虫を助けたら「ユメカゲロウ」と名乗る女性が夢に現れたという・・・■ 民話だけに出てくる架空の存在必ず夢の中に出てくる、というのが定説であるがいい伝えだけであり、実在はしないという。■ 虫取りに出る少女アミを持って、虫を捕まえて楽しむ少女。とにかく虫が大好き。■ 再びおじさんに出会う■ ユメカゲロウはいる!?民話でしか語られてないユメカゲロウだが浅野というおじさんは、捕まえようとしていた。■ 浅野氏のおじいさんは民話に興味を持った浅野氏のおじいさんは昆虫の研究をしていた。ユメカゲロウは実在するのでは、と考えていた。■ ユメカゲロウを捕まえた!!ユメカゲロウの研究は、周りからは相手にされなかった。しかし、浅野氏のおじいさんは採取に成功したのだった。■ その話に少女もビックリなんと、ユメカゲロウのスケッチが残されているという・・・■ 脈翅目ユメカゲロウ科 体長25~30mm はねはうすむらさきで透明 触角は糸状で長く、複眼は 光沢ある純黒色■ 大学の偉い先生方もやって来た大きな話題となり、新聞雑誌でも大盛り上がり。カメラマンも大勢つめかけた。■ しかし ユメカゲロウは消えていたおじいさんは、有名になりたかっただけだろう。ホラふきだ。ペテン師だなどと新聞雑誌からは非難が殺到した。村長からも、村の恥さらしだといわれ村にいられなくなってしまった・・・その後も、ユメカゲロウを追い続けたが願い叶わず亡くなってしまう・・・■ 浅野氏は おじいさんの意志を継いでいた浅野氏は、趣味ではなく自分の人生をかけて、追い求めていた。無念のまま亡くなってしまったおじいさんの意志を引き継いだ浅野氏は果たして、ユメカゲロウを捕まえることができるのか・・・「ユメカゲロウ後編」へ続きます
2011.06.29
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地球以外にも生命が存在しているといわれている惑星「グリーゼ581c」の発見などで世界的に、宇宙人の話が盛り上がっているように思えます。■ 俗に「宇宙人の恋人」と呼ばれている壁画中米のエルサルバドルにある洞窟の壁画です。二人仲良く手をつないでいるようなイラストですね。頭の部分は、ツノというよりも宇宙服の一部のようにも見えますね。(画像はエルサルバドルの洞窟壁画・公式サイトより)この洞窟の壁画は、およそ紀元前400~1200年頃といわれてますが一部の専門家からは、紀元前7000年頃ともいわれてます。一体どのような意味を持って描かれたのでしょう・・・そして、宇宙人は昔からいたのでしょうか?地球から宇宙へ旅立ち生命のいる惑星を探し宇宙人との遭遇を求める地球人たちの物語。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編 『宇宙人』を紹介したいと思います。■ 宇宙空間を飛ぶ宇宙船地球から飛び立った宇宙船に3人の男たちが乗っている。■ 目的の星が見つかる生命反応があると思われる惑星を発見。■ 生命体に期待を寄せる3人■ もしかしたら人類か!?■ 外見はどうあれ とにかく宇宙人に会いたい■ モニタから外を眺める福島氏惑星へ着陸を開始するがまだ、何の反応もない。■ 他の生命体(宇宙人)がいる可能性は高いはずこの惑星に、期待が掛かる。■ モニタに何かが・・・!!福島氏は、光を見た。画面の光は、生命体を表していた。■ 福島氏は 二人を呼び出すさきほどの画面を見せようと再び探し出す福島氏。■ 結局 見つからないまま・・・できる限りのことをしてみたがまったく手がかりがなかった。さっきの光はなんだったのか・・・■ 明日は降り立って調査することに■ 宇宙人を探しに宇宙船から出る■ 何の手がかりもつかめぬまま夜が更ける■ 戻るように指示が出る残念ながら、何も得られぬまま日が暮れてしまった。■ あれは・・・!?■ ヤリなのか・・・!?福島氏は、ついにこの惑星で最大の発見をした。■ 磨製石器だった!!見るからに手作りである。動物が作ったとは思えない。人類に似た生き物が作ったものと考えられる。■ 艇長は 興味を示さない・・・ヤリをほっぽり投げ、この惑星を発つという・・・■ 人間よりも優れた知性体と巡り会いたい地球は行き詰っている。それを打開するためなんとしても、宇宙人に出会いたかった。■ 出発する前に 語りだす福島氏この惑星を去る前に福島氏が、秘めた想いを語る。■ 会えなかった宇宙人にメッセージを送る■ 宇宙船が飛び立つと・・・!!原住民が姿を現した!!■ 見たものを洞窟の壁に描き出した宇宙人を捜し求めていた、福島氏たち地球人でしたが彼ら原住民(猿人)には、地球人の方が宇宙人に見えたのでした・・・F先生は、海外の文化や歴史に興味をもたれていました。よく海外旅行にも行かれていたことも、知られています。冒頭で紹介した宇宙人の壁画をF先生が、エルサルバドルの洞窟で見られたときにきっと、インスピレーションを感じ取られたのでしょう。「この壁画を描いた者は、もしかして宇宙人を見たのでは」F先生は、そんな発想を持たれ仮説のストーリーを組み立てたのかもしれません。それが、この「宇宙人」というSF短編というわけです。もしかしたら、遠い昔(紀元前)にも、すでに宇宙人は、やってきていたのかもしれませんね。果たして、私たち人類は、宇宙人と遭遇する日が来るのでしょうか・・・■ 少年SF短篇集 2巻 「宇宙人」収録少年SF短編集 第2巻 (藤子・F・不二雄大全集) / 藤子・F・不二雄 著
2011.06.22
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生まれ変わりというのは科学的に説明できるものではなく理論もなく、証明もできないので反対されれば、それまでかもしれません。個人的には、賛成も反対もしないのですがチベットの最高指導者のダライ・ラマ14世を見ると生まれ変わりを、信じられるような気もします。「ダライ・ラマ」というのは名前ではなく称号で14代も受け継がれています。今まで、後継者は、ダライ・ラマの生まれ変わりと認められた子供が選ばれています。ですが、指導者には誰にでもなれるものではありません。それに、将来の道は、スポーツ選手や音楽家や会社員など職業が変わる可能性の方が、はるかに高いのは明らかです。途中で反抗期を起こす可能性だってあります(笑)ですが、生まれ変わりと認められた子供たちは皆、ダライ・ラマとして指導者の道を歩んでいます。これは、偶然を通り越しているように思えます。さて、長くなりましたが、本日は転生についてのお話です。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編 『影男』を紹介したいと思います。 < 『影男』 ストーリー >■ 生まれくる以前の記憶とは・・・■ 世の中に 生まれ変わりの証言は多々ある青木は、女の子の友だちに転生の話をしていた。女の子の名前は、倫子。■ 皆 誰かの生まれ変わりかもしれない■ おじいさんの視線を感じる■ おじいさんは 倫子を見ているようだった倫子の隣の家にいつの間にか、おじいさんが越してきた。■ 倫子はテスト勉強を始めるが・・・明日は、テストなのだがついついマンガを読み始めてしまう。■ 電話がかかってきた倫子に、今すぐ勉強するようにいってきた。相手は、誰だか分からない・・・■ そして翌日 テストは悪い結果に電話でいわれたことは当たっていた。しかし、相手はなぜ倫子の行動を知っていたのだろうか・・・■ 再び電話がかかってくる名前は分からないが、また同じ相手だった。父親についていくように命令される。■ 倫子の父親に 電話がかかってくる 父親は、泊りがけで出かけることになった。■ 倫子は 青木に相談する電話で命令を受けたが、従いたくなかったので倫子は、父親についていくのはやめた。■ 一度 予告を当てたので信じている部分もあったそれにしても、電話の主はいったい誰なのだろう・・・■ そして倫子は 家に一人になってしまう父親が家を出た後母親もついていくことになってしまった。■ 夜中 倫子は人の気配を感じる例のおじいさんだった。■ 家を空けるように忠告される倫子は狙われているという・・・鋭い牙が襲いかかるという・・・■ おじいさんは何でも知っている玄関はカギをかけていたのだが壊れている場所を知っていたのだった。■ 青木は おじいさんに直接会うことにおじいさんの行動は行き過ぎていると感じ青木は、文句をいいに行こうと決める。■ ついに おじいさんと1対1で会うおじいさんは、青木のことを知っているという。しかし、幼なじみとは、どういうことなのだろうか。■ おじいさんは語る倫子を家から離さねばならないという。■ 転生の話が始まるなんと、おじいさんは倫子の生まれ変わりだという!!■ おじいさんの話に混乱する青木生まれ変わりなら、死んでからのはずだが・・・時の流れは一定ではないらしい。■ 真相が明らかに・・・倫子は、ライオンに襲われるので絶対に、家にいてはならない。■ おじいさんの話を伝える倫子は、信じたくもないし、信じられなかった。それは無理もないことだった。■ 夜 倫子から電話があり 駆けつける青木やはり倫子は、おじいさんの話を信じていた。倫子は、たまらなく不安になった。 ■ ライオンは本当にやってくるのか?■ 何かがいる・・・■ ライオンが倫子の家にやってきてしまった!!必死に抵抗するも、あまり効果もなく大ピンチに・・・果たして、倫子と青木の運命は・・・ライオンは、家の中にまで侵入してきますが二人は助かります。さて、倫子が助かったのなら生まれ変わりであるおじいさんはどうなってしまうのでしょう・・・倫子がライオンによって死ななければその体験を知る、生まれ変わりのおじいさんもこの世にいないはずですが・・・少し不思議どころかすごく不思議な転生ですね
2011.06.14
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今さらながら生き物というのは驚くべき不思議なことがいっぱいありますね。先日、NHKの番組でイカの生態を取り上げていて面白いことを知りました。巨大なイカだったのですがなんと、複数の脳があるという説明がありました。生物には脳は1つだと思い込んでいたので知ってビックリしてしまいました。まさに 「Oh! 脳!」ですね~平凡な高校生が、自分の足にもう1つの頭脳を持ってしまったら・・・!?藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編 『考える足』を紹介したいと思います。■ 『考える足』は「少年SF短編」2巻に収録されてます少年SF短編 2巻 藤子・F・不二雄大全集 < 『考える足』 ストーリー >■ 英才(ひでとし)くんは説教をくらう勉強のために野球はするなと、いわれていたがこっそり野球で遊んでいたことがバレてしまう。■ 大学へ行く気はない学者の家系を持つ母としては大学へ行かないことは許せないことだった。■ しぶしぶ勉強するけれど・・・英才くんは、できるだけ真面目に勉強するもどうしても、頭がよくならない・・・■ 母は家庭教師をつけることにした現役大学生の生徒を家庭教師に招いた。■ 英才くんは いかに自分が勉強ができないかを語る■ 足に違和感が・・・英才くんが靴下を脱ぐと何だか分からない腫れがあった。■ しかし痛みなどはない気になるものの、困るほどではないので放っておくことにした。■ 寝転がっていると うたた寝を始めてしまう■ 足が自分の顔を蹴った!!一体、何が起きたのか自分自身でも分からない・・・■ 意識していないのに足がひとりでに!?足を叩いてみるとなんと、蹴り返されてしまった!!■ 英才くんは母と病院へ行くことにしかし、異常なしと診断され何の解決にも、つながらなかった。■ 英才くんはノイローゼに・・・英才くんの両親から話しを聞いた家庭教師も、驚いてしまう。■ 家庭教師は英才くんに会う英才くんは、家庭教師と将来のことなどを話し2人の会話は弾む。■ 雨が降り出していた雨も強く、時間も遅くなっていたため英才くんちに、泊まっていくことになった。■ そしてその晩・・・■ 「足」が動き始めた!!英才くんは熟睡中で足の動きはまったく気づかなかった。■ 「足」は移動しようとしていた階段を下りようとするが英才くんは眠っているので転げ落ちてしまう。■ 英才くんが起き出すと・・・はっきりと「足」のせいだと気づいていた。両手でガッチリと「足」をつかんだ。■ ついに「足」が話し出した・・・■ 「足」が独立宣言をする■ 「足」は台所へ向かった■ 「足」は包丁で体を切り離そうとした!!英才くんの叫び声に気づいた家庭教師が駆けつける。■ 「足」は強く 家庭教師も蹴飛ばされてしまった2人とも必死になり、どうにか「足」を取り押さえることに成功した。■ 家庭教師が「足」を観察する英才くんの左足にはもう1つの頭ができたと分析する。■ 腰に神経球を持つ恐竜を例に挙げる■ 無理な勉強が原因か?英才くんにも、頭脳の出張所ができてしまった。足には、頭脳の他にも、視聴覚も備わっていた。こうして、完全に1つの生命として独立した「足」と英才くんの不思議な共存が始まってしまった・・・英才くんは、独立心を持つ「足」と果たして上手くやっていけるのでしょうか・・・物語の流れはホラーっぽいですが最後はユーモラスな展開で終わります。英才くんの未来は描かれてませんがこれだけ腕力・・・ ではなく脚力のある足で視聴覚まで独自に備わった足ならば英才くんはプロサッカー選手としてスゴイ活躍ができるのでは・・・とそんなことを考えてしまいました
2011.05.31
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藤子・F・不二雄先生の大全集より「少年SF短編」の2巻が発売されました。■ 一部 カラーページ収録少年SF短編集 第2巻 (藤子・F・不二雄大全集) / 藤子・F・不二雄 著 < 『少年SF短編 2巻』 収録作品 >みどりの守り神 (紹介済み)耳太郎 ユメカゲロウ考える足ぼくは神様 (紹介済み)宇宙人老年期の終りうちの石炭紀 (紹介済み)影男マイロボット (紹介済み)創世日記 (紹介済み)四畳半SL旅行 (紹介済み)以上、12作品が収録されています。今日までに、私のブログで紹介したSF短編はちょうど半分の6作品ですね。今回は、SF短編日記「番外編」として12作品のかんたんな紹介をしていきたいと思います。■ 『 みどりの守り神 』山に飛行機が墜落してしまう。両親を失ってしまった少女。生き残りは、少女と男性の2人だけだった。しかし、いくら歩いても、村を見つけても誰一人、人間が見当たらなかった。一体、何が起きているのだろうか・・・( 2009年 10/20 の日記で取り上げました。)■ 『 耳太郎 』耳太郎という名の少年は、マンガを描くのが大好きであった。ある日、学校で不思議な声が聞こえてきた。誰も口に出してしゃべっていないのに耳太郎くんには聞こえてきたのだった。人の心が分かるテレパシーは幸せなのか、それとも不幸なのか・・・■ 『 ユメカゲロウ 』「ユメカゲロウ」という蝶が、いるという噂があった。しかし、そんなのは幻だといわれ、その存在は信じられていない。果たして、「ユメカゲロウ」は本当にいるのか!?美しくそして切ない、まさに「真夏の夜の夢」のストーリー。■ 『 考える足 』かつてパスカルは、「人間は考える葦である」と述べました。しかし、この短編では「考える足」が生まれてしまいました!!■ 『 ぼくは神様 』少年が、「こんな風にならないかな・・・」と念じてしまうとなんと、すべてが思い通りになってしまった。しかし、段々と身勝手な理由でコントロールしていき次第に、わがままな性格になっていってしまう・・・(今年の2/1の日記で取り上げました)■ 『 宇宙人 』』近未来の地球。知的生命体を求め、宇宙船で旅立つ地球人3人。生命反応のある星に降り立つけれど・・・最近では、人類がいるかもしれないと騒がれた「グリーゼ581」の惑星がありますね。果たして宇宙人はいるのでしょうか・・・■ 『 老年期の終り』人工冬眠して、宇宙船に乗り込んだ青年が目指したのは地球以外の、人類のいる惑星へたどり着くことだった。眠り続けること6000年、ついに地球の青年は人類のいる星に降り立った。そこで待ち受けていた運命とは・・・大全集の表紙に選ばれたのも、こちらの作品です。カラー(色付け)は、なんと大全集オリジナルです!!■ 『 うちの石炭紀』なんと、ゴキブリが道具と知能を使って冷蔵庫を開けようとしていた!!人間並み・・・ あるいは人間を超えるほどの知性を授かったゴキブリが登場します。(今年の1/19の日記で取り上げました)■ 『 影男 』夜中に、ベッドで眠る女学生の前に現れたのはまったく見知らぬ男だった。男は、女の子にある知らせを告げに来た。この男は、なぜか彼女の未来を知っていたのだった・・・■ 『 マイロボット 』高性能ロボットが発売され、組み立てる少年。しかし、そのロボットには大きな欠陥があった・・・(今年の3/24の日記で取り上げました)7ページのカラーがあります。一部を掲載します。■ 『 創世日記 』宇宙を創るという「天地創造システム」を渡されてしまった少年。宇宙そして地球の誕生を、任されてしまう!!こちらもカラー7ページが収録されてます。一部を紹介します。■ 雲の間から照らす月明かり■ まるで海の底のような風景星空がきれいな夜景は、やはりカラーが一番ですね。以前の日記と見比べてみると、印象は大きく異なると思います。■ 夜風をあたりにパジャマのまま外に出る少年■ 天地創造システムをのぞくと・・・カラーページ(初出)とモノクロ(改訂版)に実は、少し絵の違いがあります。■ 『 四畳半SL旅行 』鉄道模型に熱くのめり込んでしまう少年。模型の世界と、現実の世界が徐々に重なりつつあった・・・(こちらは、先月4/29の日記で取り上げました)これからは、「少年SF短編 2巻」より少しずつマイペースで紹介していきます。皆さんの好きな短編や、気になる短編は見つかりましたでしょうか。P.S.巻末のあとがきは、SF作家の新井素子さんです。SF短編への愛情が感じられてよかったです
2011.05.25
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藤子・F・不二雄先生は多趣味です。ドラえもんをはじめとする想像の広がる作品を読んでいると好奇心旺盛であることが、うかがえますね。QJ(クイックジャパン)という本の64号(2006年発行)でF先生に関する話が載っていました。■ QJ Vol.64 【鉄道模型/プラモデル】(キーワード)>F先生は大の模型作り好き。>大きな鉄道模型のジオラマを作ったこともあるほど。この記事を読んだとき、私は「なるほど。あのSF短編も、その影響からきてるんだ」と納得したものです。そのスコシフシギなSF短編とはとにかく鉄道模型に熱中してしまう少年の物語。藤子・F・不二雄先生の『四畳半SL旅行』です。 < 『 四畳半SL旅行』 ストーリー >■ 少年の名はヒロミ変わり者の中学生。みっちゃんという幼なじみがいる。■ ヒロミの思い込みは異常ともいえた空想と現実の区別もつかないほど夢中になる癖があった。■ みっちゃんの掛け声にも全然気づかなかったヒロミの変わっている性格を知りつつもみっちゃんは、ヒロミに興味を持っている様子。■ ヒロミはみっちゃんを家に誘った■ ヒロミの部屋に入ると・・・■ 目の前には大きな鉄道模型が広がっていた今、ヒロミは鉄道模型に夢中になっていた。けれど、みっちゃんは、あまり関心を示さなかった。■ 鉄道模型のレイアウトに熱くなっていたいつも閉じこもっているので、ヒロミの両親はみっちゃんの訪問が嬉しかった。■ しばらくすると製作も進み 列車も走るように今までは、街並みと線路だけだったがようやく動く車両もそろった。■ ヒロミが吸い込まれる!?■ 一瞬ドキッとしたみっちゃんみっちゃんは、錯覚だと思ったけれどもしかしたら現実に起こってしまうような感覚を覚える。■ やがて秋になり・・・ヒロミを心配する母親はみっちゃんに頼みごとをした。■ ヒロミもハイキングが気に入ったように見えたが・・・やはり、ヒロミの頭は鉄道模型でいっぱいだった。この秋景色も、レイアウトに取り入れようと、さらに熱が増す・・・■ ヒロミの所へ訪ねに行くと・・・ヒロミは、食事も取らず閉じこもりきりであった。■ ヒロミは鉄道模型の列車に乗るという・・・■ 自分が乗る鉄道模型のサイズに合わせた自分の切抜きを用意した。■ 絵コンテの製作までを始めた■ ヒロミは学校を休むように・・・みっちゃんは胸騒ぎを覚える。■ ヒロミに会いに行くと・・・ヒロミは部屋にいなかった。8ミリフィルムだけが残されていた・・・■ フィルムを再生すると・・・「ボーッ」というのは効果音だったがまるで本物のように聞こえてくるようだった。■ 汽車を求めて走るヒロミ (この映像のヒロミは切り抜き(手作り)です。 背景もレイアウトで、汽車も鉄道模型です。音は効果音です)■ 憧れの汽車に近づいていくヒロミずっとフィルムは続いていきます。■ ヒロミは飛び乗ろうとするが・・・必死の努力も実らず落とされてしまうヒロミ。■ みっちゃんはヒロミの執念を感じる■ 今度はトンネルの上で待ちぶせをするヒロミずっと動かずに、いつまでも待ち続けるヒロミ。そして、そこでフィルムは終わってしまう・・・■ フィルムを残したまま ヒロミはいったいどこへ行ったのか・・・ふと、みっちゃんに、あるひらめきが起きる。ハイキングに行ったときの山が浮かび上がる。■ みっちゃんの勘は当たったやはり、あの山だった。目の前にはヒロミがじっとたたずんでいた。汽車が来るはずのない山でピクリとも動かずヒロミは立ち続けていた。この山には、トンネルもなく線路もない。だから、絶対に列車がくることもない・・・そんなことは、絶対にありえないことだったが・・・「ボーーー!!」という大きな汽笛が聞こえてくるのであった・・・この「ボーーー!!」という汽笛が響き渡るのが一番最後のコマです。なので、この続きは描かれていません。F先生は読者の想像で結末を思い浮かべてほしいのでしょう。私の想像では、「奇跡が起こった」のだと思います。空想と現実の区別のつかないヒロミの狂気と紙一重の精神が、熱意を通り越した時「何か」が起こり、それが「奇跡」だったのではないでしょうか。鉄道模型は、やりませんでしたが、見るのは好きでした。かつて秋葉原にあった交通博物館で子供の頃に見た巨大なジオラマの感動は今でもはっきりと覚えています。F先生も交通博物館は行かれたのかなあ~本作は1979年に発表されました。8ミリ映写機の場面などは、時代を感じますね。ですが、作品の持つパワーはいつまでも色あせることはありません。■ 少年SF短短編集 (小学館コロコロ文庫)藤子・F・不二雄 少年SF短編集1巻【未来ドロボウ】-『四畳半SL旅行』収録
2011.04.29
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ドラえもんの映画でも「のび太の創世日記」というタイトルがありさらに、短編でも「地球製造法」という話などがあります。宇宙や地球の始まりなどの天文学は藤子・F・不二雄先生にとって興味が強く、好きな分野だったのでしょうね。見知らぬ男から、宇宙を創ってほしいととんでもない頼みごとを引き受けてしまった少年の話。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『創世日記』を紹介したいと思います。 < 『創世日記』 ストーリー>■ キレイな空にキレイな星夜、外に出てみると見事なほど、夜空がキレイだった。■ 主人公の創(つくる)少年素敵な夜空を眺めながら、思わず自分が「生命の第一号」と想像してまう。■ 誰かが話しかけてきた創くんは、夏の夜、暑かったので夜風を浴びに、外へ出てきた。■ 男は仕事をしているようだが・・・■ 男は困っている様子だった。事情は分からないが創くんは、気の毒に思った。■ そしてすかさず男は、創くんに頼みごとをいってきた。天地創造システムとは?■ 宇宙から生命までを創る装置!!あまりに途方もない話だったが男の迫力に、圧倒されてしまう・・・■ 創くんは男を部屋に入れる準備は整ったらしい。■ まずは日記を書くことを頼まれる説明書を渡されるも、分からないことが多かった。しかし、男は煙のように消えてしまった・・・■ 置かれていったのはUFOのような円盤であった円盤の中身をのぞいてみると・・・そこには宇宙の姿があった!!■ さきほどの説明書に手を伸ばす説明書といっても、本ではなく電気信号のように脳に直接伝わるものだった。■ 円盤の中は原始宇宙であった原始宇宙、すなわち生まれたて(ビッグバン直後)の宇宙を意味していた。■ 創少年に宇宙の創造が任された任務は、強い「意志」を持ちながら、円盤をさすること。毎日続け、宇宙の様子を日記に書くよう説明された。■ 円盤の中の宇宙は 1日で1億年が進んだやがて、地球らしき星や月生まれたての太陽までが見えてきた■ 惑星に雨が降り出した雨、すなわち水が発生した。これには、男も驚き喜ぶ。■ 生命を生み出す舞台ができた惑星が、海を持つ確率は極めて低いが創くんは、天地創造システムで成功させた。■ 男は宇宙からの使者らしいどうやら、今まで1000万人以上の人間にずっと頼み続けてきたらしい。■ 創くんには強い意志があるという天地創造公団というのが、男の所属先らしい。すべての期待が創くんに寄せられている。■ しかし創くんの両親が・・・ある日、円盤が処分されていた。必死に探すも出てこない。■ 父親に怒られてしまう創くんは受験生だった。勉強をするように注意されてしまう。■ なくなってしまったことを告げる当然のことながら男はビックリしてしまう。■ 宇宙や人類の誕生に偶然はないゼロといえる確率から、宇宙を創り出すには必然が必要だった。それが天地創造システムだった。■ 男は告げる創くんに渡された円盤の中に、今の地球があった。その地球をなくしてしまったことになる・・・■ 創くんには何が何だか分からない・・・地球はすでに存在しているが、男がいうにはそれは時空を超えて創られていると説明する・・・■ 宇宙の存在がなくなってしまう!?このままでは、創少年も、人類も、この男も宇宙すべての存在が消えてしまうという・・・果たして、私たちの地球の運命は・・・創くんは、やがて視界に異変を感じてくる・・・結末が、どうなるか気になるでしょうか?いや、皆さんは気にならないでしょう。理由はかんたんです。この作品は、1979(昭和54)年の作品です。もし円盤(天地創造システム)が見つからなければとっくに私たちの地球も消えているからです(笑)消えてないということは、ハッピーエンドなのです。空気のない宇宙空間でちり、ガス、電子、粒子などが集まって、そこから空気のある地球ができる、海ができる、生命が生まれる・・・そんなことは、やっぱり奇跡の中の奇跡といえますよね。それを考えれば、大いなる困難を抱えた今の日本が復興するまでの道のりは長く険しいものになるでしょうが奇跡を頼らなくても、できることですよね。私は、言葉ではいい表せませんがこれからの日本に、希望と期待を強く持っています藤子・F・不二雄 SF短篇集 創世日記
2011.04.07
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昔話や童話でお馴染みの作品を藤子・F・不二雄先生がパロディ作品として発表していたのをご存知でしょうか。■ 『世界名作童話』その名も『世界名作童話』です。といっても、完全にギャグとなっております(笑)収録作品は5つで、1話2ページです。短編というより、ショートショートに近いですね。 < 『世界名作童話』 収録作品>■ 『みにくいアヒルの子』疑問を持つ1匹のアヒルくん。 ■ なぜ自分だけ違うのか・・・「飛びぬけて美しく可愛い」と勘違いしているアヒルくん(笑)■ 本当の親探しの旅に出るアヒルくん■ 白鳥を見つける自分は、白鳥の子だと思ったアヒルくんですがあっさり否定されます(笑)さまよってる間に、体が汚れて真っ黒になります。最後は、カラスの仲間になったとさ。『みにくいアヒルの子』おわり。■ 『ねむれる森の美女』■ 王子が眠れる森の美女と出会う■ 100年の眠りから解き放たお姫様は・・・夜中でも、眠気が起きません。目がパッチリと冴えてしまいます。■ 全然眠れなくなってしまいますこうして「ねむれる」森の美女から「ねむれぬ」森の美女になってしまったとさ。『ねむれる森の美女』おわり。■ 『うらしま太郎』なんと、カメではなくて、タコだったのです。ビックリですね~■ なんと乗り物はカメ型ロケット!!うらしまは、助けたタコに連れられて「リューグージョー」という星へ行きました。■ 華やかなタコの舞踊り(笑)■ なんとすでに300年の月日が!!そして、その頃地球では・・・驚くべき結末が・・・『うらしま太郎』おわり。■ 『ヘンゼルとグレーテル』ヘンゼルくんと、グレーテルちゃんは森の中で、魔女に捕らわれてしまいます。■ 魔女は人食いでした子供たちを太らせようと、料理を出すも「まずい」といわれてしまう魔女。■ 女の子に指図を受ける魔女料理の下手な魔女は、グレーテルちゃんから「ぐずぐずしてちゃだめ」といわれる始末(笑)こうして料理が上手になっていった魔女はやがて、森の中でレストランを開きましたとさ。『ヘンゼルとグレーテル』おわり。■ 『ジャックと豆の木』「ジャックと豆の木」を読んで強い影響を受けるジャイアン。■ のび太とドラえもんに笑われてしまうジャイアン■ こりずに豆探しを続けるジャイアン歩き続けているとジャイアンの足の裏にマメが・・・■ 足のマメを埋めてみると・・・生えてきた足に、勢いよく蹴り飛ばされてジャイアンは雲の上まで飛んで行きましたとさ。『ジャックと豆の木』おわり。『ジャックと豆の木』では、ジャイアンが主人公だったり『うらしま太郎』でも、ドラえもんキャラが登場したり今までのSF短編作品と比べてもちょっと違った味わいがありますね。 個人的には、はちゃめちゃ度が高い『うらしま太郎』がインパクトが強いです。タコの舞踊りを見れても嬉しくないですね~(笑)■ 「世界名作童話」は、SF短編集2巻に収録されています藤子・F・不二雄 少年SF短編集 2巻(小学館)
2011.04.01
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バンダイが、かつて計画した「リアル・ドリーム・ドラえもん・プロジェクト」ですがやはり壁が高かったようで実現されずに終わってしまいました。ですが、世界では、ドラえもんの手(通称・ペタリハンド)は完成しつつあるようです。昨年の5月の記事なので約1年遅れのニュースですが面白い内容です。■ ユニバーサル・グリッパー1:21で、生卵(raw egg)を持ち上げるのが科学的に興味深い所ですね。『生卵を割らずにつかむ』というのはロボットの動作では、難題とされています。インチキ(ゆで卵)ではないという証拠としてこの後、わざと落としてます。殻が割れて、ちゃんと生卵だと分かります。このグリッパーすごいなあ~何より見事なのは、ペンを持って描くこともできる、一番最後の映像ですね。こうしてみると、ロボットの手は、指をつけるよりも丸い手(ペタリハンド)の方が万能のようですね。ドラえもんというのは、道具だけでなく体の構造まで、未来(22世紀)の技術が使われているんですね。これは、アメリカの開発ですが、ぜひロボット先進国の日本も、頑張ってほしいものです。国民的(及び世界的)ロボットなのですからバンダイだけでなく、複数のロボット研究所と力をあわせて、リアル・ドラえもんへの再スタートをしてほしいものです。大山さんの声帯も完全に取り込むのも忘れないでほしいです。いっそ、大山さんをドラえもんに・・・それでは、サイボーグになってしまいますね(笑)さて、ドラえもんの話ではないですが進化する・・・というよりもアクシデントで進化しすぎてしまったロボットが登場する藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『マイロボット』を紹介したいと思います。 < 『マイロボット』 ストーリー >■ 元気よく帰ってる主人公の富夫少年■ 何かが届いている弟から、荷物が来たことを知らされる富夫くん。■ エポック1という組み立てロボット富夫くんは、この製品の到着を楽しみにしていたようだった。■ しかし用事があったのを思い出す弟には、部屋に入らないよう告げるが興味を持っている弟が手を出してしまう。■ 弟には難しすぎるようだった分からないまま、勝手に組み立てを始めてしまった・・・■ 今度は父親が来てしまう富夫くんを呼びにきた父親だったが・・・■ 目の前の組み立てキットが目に入るロボット工作に興味のある父親も弟と同じく、勝手に進めてしまった・・・■ ちょっと不安げに組み立てる父親ちょうど富夫くんが帰ってきたところに父親の姿を見て、怒り出してしまう。■ 組み立ては終わったけれど・・・ロボットには「ゴンベ」という名前をつけて呼び続けるものの、反応がない。■ 富夫くんは相談しに行く夜遅かったが、ロボットに詳しい親戚の坂口さんをたずねた。■ 考え込む坂田さん■ 原因は2つあるというアクシデントが重なり、知能素子(イミクトロン)に未知の効果が表れたのかもしれないという。■ さわがしいゴンベゴンベは何もできずただ、うるさい音しか出さない。■ しかし次第に成長していくゴンベ騒がしかったゴンベも、やがて歩き出し言葉も話すようになった。■ 女の子友達のリカちゃんが来る富夫くんは、ゴンベにお茶を持ってくるように頼む。■ きちんとお茶を持ってくるが・・・リカちゃんのお茶には、塩が入っていた!!これは、ミスなのか??■ けれどもう一方には砂糖が富夫くんのお茶(おそらく紅茶)には砂糖が。なぜ、同じ飲み物なのに、間違えが起きたのか・・・?■ 後日 またリカちゃんがやって来る約束があり、富夫くんちにやってきたがゴンベに留守だといわれてしまう。■ しかし富夫くんは留守ではなかったリカちゃんが家に来ないので、今度は富夫くんが電話をすると、話が食い違っていた・・・■ 知り合いの坂田さんに再び相談をするロボットには、嘘をつく能力はないという。しかし現実に嘘をついている。いったい何が・・・■ そして今度は事件が!!富夫くんちにやってきたリカちゃんはゴンベに攻撃されてしまう。暴走していた。■ 今度は富夫くんに対し口出しを始めたそして、富夫くんはゴンベを捨てる。家から追い出されるゴンベ・・・■ やがて雨が・・・製作者に見捨てられ雨の中を、行くあてもなくさ迷うゴンベ。■ 坂田さんが謎を解く■ ゴンベは女性として富夫くんを好きになっていたやがて、テレビでニュースが流れ出す。エポック1には重大な欠陥があり製作会社が回収を始めたという・・・果たして、ゴンベの行く先は・・・そして製作者から見捨てられたゴンベと同じようなロボットたちの行く先は・・・■ SF短編集『メフィスト惨歌』 - 「マイロボット」収録藤子・F・不二雄 SF短篇集 2巻 中公文庫 元が欠陥だった上に、弟や父が知識もないままに組み立てに加わったためそこが「未知なる効果」につながったのでしょう。ロボットが感情を持つという話はアニメの元祖「鉄腕アトム」から始まっていますので特別なアイデアではありませんが本作の特徴は、最初から感情のあるロボットという設定ではなく、アクシデントによってロボットが特殊な感情を持ち、最後まで読者には分からないロボットに隠された秘密にあると思います。'79年(昭和54年)の作品ですが、この時代に『なぜか嘘をつく』というロボットを登場させたのは画期的な発想だったのではないでしょうか。P.S.「知能素子」のフリガナ『イミクトロン』はF先生の造語です
2011.03.24
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エジプトでは夜間外出禁止令がありますがこれでは、国民は皆赤ちゃん扱いです。自由を奪う、とんでもない規制です。さらに、その時間を延長させるなどムバラク大統領は、自分の思ったことは何でも、国民がいいなりになると思っているようですね。とんだ独裁者です。大統領自身も問題ですが、何よりこんな大統領が、30年間一度も変わることがなかったというエジプト政権自体も、大問題です。地位や権力が大きくなる、ということは悪意や問題なども、どんどん大きくしてしまう厄介な超能力ともいえるかもしれません・・・もちろん、地位や権力のすべてが悪いわけではありません。何でも自分の思い通りになってしまうとんでもない超能力を持ってしまった少年のお話。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『ぼくは神様』を紹介したいと思います。 【 ぼくは神様 】 ストーリー■ 学校帰り雨が降るメガネをかけた少年、神山はジャンケンに勝って女の子の傘に入れてもらった。■ 不良連中が現れる■ いいがかりをつけられ追われてしまう二人■ しかし相手は 水たまりで転ぶタイミングよく、不良連中の一人が転び神山と女の子は助かる。■ 家に帰ると傘を持って、父のお迎えへ行くように母から頼まれてしまう。■ 雨がやむよう念じると・・・本当に、雨がやんでしまった!!■ これは超能力なのだろうかジャンケンをすると勝ち、嫌な相手は転ばせて雨は念じるとやんでしまう・・・ これは偶然とは思えない。■ すべてが思い通りに進む自分が思ったことは、何でもその通りになり神山は「ミニ神様」だと確信をする。■ 生徒が不良たちに絡まれていたこの後、生徒は殴られてしまい何とかしなければ、と思っていると・・・■ 不良たちは去っていったいったい何があったのかと思うと先生がやってきていた。■ そして夜・・・■ オバケ!?■ ゾロメーと名乗る者が現る■ 確率の話が始まる■ 確率は正確になるはずなのだが・・・例外がアメリカのデューク大学での実際の話が取り上げられる。サイコロの目が、意思で(ある程度)コントロールできるという結果もあります。■ ツキもやがては成長し 思いのままに・・・■ 神山は大喜び■ 忠告を受けるこの力にいいことはなく、次第に耐えられなくなるという。取り返しがつかなくなる前に、力を返すよういわれる神山。■ 力は手放したくない神山が怒ると、不思議な人物は消えてしまう・・・これは、夢なのか!?■ 外は天気がいい女の子の友達を誘いに行くがすでに、神山の友達と一緒に出かけていた。■ 神山は気に食わないのけ者にされたように感じた神山は夕立に遭ってしまえ、と思ってしまう。■ そして夕立に・・・思ったことは必ず起こってしまう一度いったこと(思ったこと)は絶対であり取り消しは、できないのであった。■ 友達とケンカが起こってしまう口調も態度も、どんどん強くなっていく神山。友達の小山からも、変わったといわれる。■ 二人がケンカを始めると女の子がやってくる。彼女と小山は約束をしていた。■ 女の子は小山と仲良く出かけた神山も、彼女のことが好きであり疎外感や妬みが爆発してしまう・・・■ 感情に任せて二人を呪ってしまう・・・■ ハッと我に返ったが 時すでに遅し・・・取り消しは不可能であった・・・そして、二人は交通事故で即死してしまう・・・神山は、取り返しのつかないことをしてしまい言葉を失ってしまう。そして・・・すべてが思い通りになることは誰もが素晴らしいと思うことでしょう。その力を、いいことに使うこともあるでしょうがやはり、悪いことをやってしまうこともあるでしょう。私たちは、超能力を持っていませんがそして、持つことも、まず出来ませんが「あらゆる力」の使い方には、気をつけなければなりません。独裁という力で、取り返しのつかないことをしたムバラク大統領は、史上最悪のデモを引き起こしてしまいました。日本にとって、国も事情も違えどこれは決して、対岸の火事とはいえないでしょう。人間を一番怒らせるのは、人間のすることなのです
2011.02.01
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もしも、核戦争が起きてしまい人類が滅亡してしまっても生き残っていられる生物はゴキブリともいわれています。虫の死骸から人間の髪の毛まであらゆるものを食料とできるのも長く生き延びられる要因なのでしょう。繁殖力もすごく、1回の産卵で40匹生むようです。メスは数回産卵できますので、生きている間100~200匹ほどの子孫を残すことになります。古生代石炭紀と呼ばれる3億年前から現在まで生き残っている歴史が、何よりもゴキブリの恐るべき生命力を物語っています。地球上で3億年も経過していれば動物だった猿から進化した高等動物の人間のように普通のゴキブリから進化した高等ゴキブリ族も存在するかもしれません・・・そんな進化したゴキブリが少年の家に現れたお話、藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『うちの石炭紀』を紹介したいと思います。 < ストーリー >■ 両親が旅行に行き家に一人少年は、友達の女の子と話していた。■ 父からは独立心を養うようにいわれる少年の名前は親志(ちかし)。受験を控えているので、旅行には行くことができない。■ 嬉しいようなそうでないような・・・普通なら、喜びそうなところだが少年には受験勉強があるので、落ち着けない。■ 気合いを入れて机に向かう■ 虫か・・・?たたいて追っ払おうとするが、逃げられてしまう。■ 夜中に台所へ行く■ 信じられない光景が・・・ゴキブリが冷蔵庫を開けようとしている。しかも、チームワークで行動を取っている。■ 親志くんはビックリ仰天!!■ すぐに消えてしまったが・・・■ 運よく一匹だけゴキブリを捕まえる■ ゴキブリが人間のように走る■ 普通のゴキブリではない!!■ 親志くんは飼うことを決めるゴキブリには「ポチ」という名前をつけて知能が高いので、いろいろ芸をやらせて楽しんだ。■ ついには話すようにまで成長する本を見せると理解を示し、百科事典まで読むようになった。果てしなく学習を続けるポチ。■ そしてある晩■ 親志くんは捕らえられてしまう・・・何が起こっているのか、さっぱり分からない。■ 不満が溜まっているポチ(ゴキブリ)一同ゴキブリたちが、冷蔵庫から食べ物を取ってしまうので親志くんは冷蔵庫にカギをかけていたが、それがポチたちに不満だった。■ ゴキブリたちは強かった親志くんは抵抗しようとするもゴキブリたちに脅かされてしまう。■ 完全にゴキブリたちにかなわなくなってしまう皮肉にも、親志くんが飼って育てたポチが一番賢くなり、ゴキブリたちのリーダーとなっていた。■ 親志くんはポチに質問をする3億年前の石炭紀から話が始まる。長い長い歴史を振り返りゴキブリがたどった道が語られる。■ 進化はある日突然やってきた■ 突然変異の質問は愚問言葉も文化も持たない猿が、どうやって人間になったか1つ1つ説明できないように、突然変異も説明はつかない。■ やがて台所も占拠されてしまう台所も、自由に入れなくなりゴキブリたちが仕切るようになった。■ 銃まで備えたゴキブリたちもう、逆らうことはできなくなっていた・・・■ 夜中に大きな爆発音が・・・■ ポチたちの進化はついには核開発にまで及んだ・・・思考も行動も人間と同じようであった。■ もはや彼らの歯止めは利かない・・・親志くんは、ポチ率いるゴキブリたちに恐怖を感じる。彼らの考えることは、想像を絶するものだった・・・張り紙に『イヌ・ネコ・人間』の立ち入り禁止などはギャグに近いですね。ポチが台所を占拠するのは大真面目な行動ですが、別に「立ち入り禁止」だけでもいいのです。このように、さりげなくユーモアが散りばめられており、恐怖は煽っていません。F先生は、人間と他の生物(ゴキブリ)の観察をしているのかもしれませんね■ 「うちの石炭紀」収録藤子・F・不二雄 SF短篇集 1巻
2011.01.19
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信じられないような凶悪事件が起きる度に私はいつも、ちょっとした疑問が浮かんでくるのです。人間は、死にたくなったときに「驚くほどの善意を残して死ぬ」ということは、しないのだなと・・・いつも起こるのは「驚くほどの残虐事件だけ」なのだなと・・・人間は天使にはなれませんが悪魔にはなれるんだなと・・・なぜ、人間というものはこうも善と悪のバランスがひどいのでしょう・・・もちろん、世の中には良い事件もありますが「驚くほどの善意」は、あまり記憶にありません。「驚くほどの凶悪犯罪」は、いくらでも記憶にあります。さて、暗い話をしてしまいましたが最近、「驚くような善意の事件」が発生してますね。皆さんもご存知だと思います。ランドセルなどのプレゼントを贈る伊達直人(タイガーマスク)の名前を名乗る心優しいお方が、全国各地を駆け巡っています。感動的ですね。話では、一人だけでなく「良い事件」に便乗して、善意の輪が広まっているようですね。感動してしまいました。心のこもったプレゼントを贈ることがなかなかできなくても他人に思いやりを持つことは誰にでも、できることだと思います。平和を世界に広める国民を目指す藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編「ボクラ共和国」を紹介したいと思います。 < 『ボクラ共和国』ストーリー >■ 転校生がやってきた花田という少年が、転校してきた。■ 少し変わっていた花田は、プレハブに一人で住んでいるという。父親らしき人がいるらしいが、確かではないらしい・・・■ 「ボクラ共和国」国民証メガネをかけた主人公の少年・小森は学校の帰り道、変わったものを拾う。■ 女の子の友達・みどりが落としたらしい■ 小森少年は何かの企みだと疑う■ 見間違えなのか!?なぜか真っ白な紙になっていた。何かがおかしい・・・■ 空き地を通ると・・・ガキ大将のフトマムシが何かを、しでかしている・・・■ 友達が殴られている小森少年は、許せなかった。弱いのだけれど、立ち向かう・・・■ なぐられる・・・■ 友達をかばったものの・・・けんかには弱いのでボコボコになぐられてしまった。■ 気づいたらベッドの上だったどこからか、話し声が聞こえてくる。■ 小森少年は起き上がる■ 「賛成」という声が聞こえてくる■ 「気がついたかい」と声をかけられる■ 「ボクラ共和国」に誘われる■ ボクラ共和国とは・・・!?ボクラ国民のいる場所がボクラ共和国の場所。■ 戦争のない世界を作りたい■ なぜ戦争は起きるのか■ 戦争をする国でも良い人は住んでいる私たちが、ある特定の国を嫌いだとしてもそこには、良い人たちも住んでいるのです。■ 「国」という存在に原因があるのでは・・・■ 国が原因で国民は戦争に巻き込まれる■ 国境なき国を世界中に作りたいボクラ共和国の国民になれる資格はただ1つ。『他人に思いやりがあること』■ やがては海外にも広め世界を包む■ 小森少年に国民証が渡される■ 外へ限りなく広がるイメージの国旗■ 夏休みが終わろうとした頃・・・ボクラ共和国の国民も増えていき、みんながこれからもっと広めようと盛り上がっていたが・・・花田少年の家を訪ねると、彼の姿はなかった。そして、置手紙だけが残されていた。残念ですがお別れの時がきました。でも、ぼくがいなくなってもボクラ共和国は残っています。ぼくも引っ越した先で国造りを続けます。もしも、うず巻きマークを見かけたらそこに仲間がいると思ってください。きみたちと過ごした楽しい二か月は忘れません。さようなら物語の結末は完結してません。ボクラ共和国の続きは、読者の少年少女に託されたということですね。(掲載誌は1975年の「小学五年生」です)国民の資格は『他人に思いやりがあること』です。決して難しいことではありませんね。この話では、特別、不思議な現象もドラえもんの道具みたいなものも出てこないので「SF」短編ではないのでは?という質問も出るかもしれません。しかし、ラストにSF要素がこっそり登場します。その伏線もきちんと織り込まれています。なので、やっぱりSF短編なのです。■ SF短篇PERFECT版 2巻に収録されてます平和は、一人ひとりの心がけでかんたんに築けるものなのですが、なぜか集団となると、国という大きなものになると平和は、もろく崩れてしまうようです。そうした中、全国に広がる善意の輪は本当に感動的で、素晴らしいことだと思うのです
2011.01.11
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新聞で明日のことが見えてしまった少年・市川は、毎朝一番に新聞を取りに行くことが日課となった。 < ストーリー >■ 前回の続き市川は、ある日明日の新聞を見ることができてしまった!!これを役立てて、どうにか事故を未然に防ぐことはできないかと考え、行動に移した。■ 事件を防ごうとするしかし、まったく聞いてもらえなかった。それも、そのはずかもしれなかった。■ みんなのためにやっているのに・・・電話も、いたずらだと思われてしまう始末。市川の頑張りも、全くもって無力だった・・・■ 分かっているのに食い止められない苦悩■ ついには2日先も見えるようになった!!■ 自分と友達の遭難記事が!!ハイキングの予定を立てていた、市川と友達は2日後の新聞で、遭難と書かれていた!!■ 絶対中止にするしかない!!■ 電話で伝えるも笑われるだけだった・・・■ そして当日・・・必死に説得するも・・・■ ついて行くしかなかった・・・市川は、止められないことも予期していた・・・荷物をいっぱい詰めたリュックを背負い、後を追った。■ ついに樹海へ向かってしまう・・・■ 樹海もなんてことはない■ コースを変えよう■ 市川は血相を変えて止める■ 友達は聞いてくれない・・・■ これは変えることのできない歴史だった■ もう駄目かもしれない・・・文句のいいあい、罪のなすりあい、そしてケンカ・・・みんなの心もバラバラになり・・・食料もつき、飲み物もつき、雨が降り体が冷え、体力も尽き、気力も尽きてしまった・・・■ 死を意識する市川・・・精根尽きて、目を閉じる市川。皆はもう動けなかった。決定済みの歴史は変えられないのか・・・4人の明日はどうなるのか・・・私は、ラストに大いなる感動を受けました。今から20年以上前の中学時代のことです。「ポストの中の明日」は、7つ目に読んだSF短編でした。それまでの6作も全て感動し、心に残っているのですがこれだけは特別でした。ハッピーエンドだから感動という生易しいものではなく、言葉に表現できないほどのいいようのない大感動に私は包まれました。F先生のSF短編に出会ったときから私の心の中で「藤子不二雄」という名の太陽がいつまでも明るくまぶしく永遠に照らし続けています。そのきっかけになったのは、ドラえもんやパーマンを始めとする藤子マンガを読んできたことは、いうまでもありません。■ 文庫本『ポストの中の明日』収録藤子・F・不二雄 少年SF短編集 2巻 [絶滅の島]■ 大全集『少年SF短編』1巻の目次「ポストの中の明日」 (本日の日記)「ひとりぼっちの宇宙戦争」 (昨年10/12)「おれ、夕子」 (10/6)「未来ドロボウ」 (9/24)「流血鬼」 (4/22)「ふたりぼっち」 (11/13)「宇宙船製造法」 (10/14)「山寺グラフィティ」 (昨年10/24)「恋人製造法」 (10/28)本日の日記で、ようやく今年9月に発売した短編集1冊の紹介が終わりました
2010.12.13
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夢を見たことが次の日、あるいは近い未来に「あれは正夢だった」という現象が世の中にはあります。■ 「ポストの中の明日」収録少年SF短編 1(藤子・F・不二雄大全集)主人公の少年が、手にした新聞はなんと「明日の新聞」だった!!少し先の未来が見えてしまう話。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『ポストの中の明日(あす)』を紹介します。 < ストーリー >■ ハイキングの予定を立てる仲間4人が集まっていた。■ 樹海を通るコース入り込んだら出てこれないといわれる青木ヶ原樹海を横切るという。■ 地元の人さえ足を踏み入れない■ しかし興味もある■ 冗談でいってみただけ■ 朝刊を取りに行くと・・・主人公の少年・市川は、ポストから新聞を取る。■ 一面の記事に驚く■ 飛行機事故の記事が!!■ 親と話す父に事故の話をするが、記事は出ていない!?■ なぜか事故の記事はなかった・・・市川は寝ぼけていたのか?■ そして翌朝・・・■ 飛行機墜落事故の記事が!!■ これは昨日見た新聞だ!!■ 新聞を見つめていると・・・■ 新聞の日付が変わった!!4月17日の新聞が4月18日に!!市川は、自分の目で変化を確かに見た!!■ 友達に話してみるが・・・■ 信じてはもらえない■ 毎朝、自分で新聞を取りに行く市川は、明日を知る新聞が気になっていた。毎朝、真っ先にポストへ向かった。■ あれは偶然だったのか・・・いつも、明日の新聞が見られるわけではなかった。市川は、見方を工夫してみた。■ 新聞をジッと眺めているうちに・・・ついに、コツを覚えた!!■ 明日の新聞を手にした!!そして、明日の新聞を読み続けていくうちに・・・自分と友達の記事が新聞に!!続きます・・・私は、明日の新聞を見たわけではないですが先月、夢を見ました。大全集の最終巻を手にした夢です。最終巻は「UTOPIA 最後の世界大戦」でした。「天使の玉ちゃん」も収録されていました。あとがきには、藤子不二雄A先生が!!目次を見ただけで、私の夢は終わってしまいました。ちなみに最終巻が出るのは、予定では2年後の夏です。果たして、どうなっていることやら・・・よく知られている言葉ではフランス語の「デジャヴ」がありますね。「すでに見たことがある」とういう既視感が和訳になります。皆さんにも、そんな体験はありませんか?
2010.12.11
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宇宙飛行士の若田光一さんが学生たちの前で講演を行ったというニュースがありました。ニュースを見た方も多いかもしれませんがとても面白いものでした。無重力の宇宙空間で、若田さんがゆっくりとボールを投げてその後、素早く移動して、ボールを打ち返すという映像が流れました。無重力なら、一人で野球ができるということですね(笑)(詳しくは「宇宙飛行士の若田さんが母校・浦高で講演」の記事をどうぞ)私は、この話を聞いて面白いな~と思うと同時にふと、ある漫画の一場面を思い出しました。■ 二階の窓から野球ボールを落とす■ 100倍の速さで移動■ 自分で落としたボールを自分でキャッチ!!これは、藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『倍速』というお話です。今日は、こちらの作品を紹介したいと思います。 < ストーリー >■ アクション映画を鑑賞中「ハチャ~」「メチャ~」・・・ってハチャメチャ?(笑)F先生お得意の言葉遊びです。■ 夢中になって見入る倉札という男は、映画館でアクション映画を見ていた。何をやっても遅い倉札氏は、素早さにあこがれていた。■ 映画の主人公のようになりたい・・・■ 映画の真似をして蹴りのポーズ■ 運悪く誰かに当たってしまった■ 最悪なことに相手はチンピラだった・・・■ ボコボコニやられてしまう倉札氏一人の男が、倉札氏をずっと見つめていた。■ 倉札氏にあきれる謎の男は、「鈍足でにぶい」と倉札氏にいいたい放題、悪口を並べた。■ 怒る倉札氏しかし、謎の男も悪気があったわけではなく不思議な時計を、倉札氏に差し出した。■ 『倍速時計』ネオ的ナレーションのび太 「え~ 何これ、何これ?」ドラえもん 「倍速時計」※ 本作には、のび太とドラえもんの会話はありません!!■ 倍速時計を使ってみると■ 音が延びておかしい・・・■ 今度はボールを落としてみるボールは、スローモーションのように遅く落ちた。不思議な時計を持っていると、遅くなるようだった。■ 時間の流れを変える道具だと気づくここで、冒頭で紹介した野球ボールを2階の自分の部屋から放り投げ自分でキャッチするという場面につながります。倉札氏は、会社の仕事も素早くこなし、全てが順調に。■ 今度は同じ会社で働く女性がチンピラの被害に・・・倉札氏が再び映画に行くと、今度は同僚の女性がチンピラに囲まれてしまった!!■ 靴をわざとぶつける「倍速時計」を手にした倉札氏はかつての自分とは変わっていた。■ 相手が誰だろうと敵ではなかった■ まさにアクションスターのようだった倉札氏は、同僚の女性に好意を持っていましたがこの事件をきっかけに、結婚することになります。めでたし、めでたし・・・さて、SF短編としても、いつもの藤子マンガとしてもちょっと意外な「オトナ」のオチが待ってます(笑)きっと、SF短編では「今まで書いたことのないようなオチ」を書いてみようという、F先生なりの発想だったのかなと思っています
2010.11.23
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一青窈さんの「もらい泣き」という曲が好きです。♪ほろり ほろり ふたりぼっち♪歌の中に「ふたりぼっち」という言葉が出てきます。なんか面白い言葉だなあと思いました。「ふたりぼっち」は、どこかで聞いたことあるような・・・■ 一青窈 / もらい泣き ○歌詞 段ボールの、中 ヒキコモりっきり あのねでもね、 ただ…訊いてキイテキイテ ええいああ 君から「もらい泣き」 ほろり・ほろり ふたりぼっち ええいああ 僕にも「もらい泣き」 やさしいのは 誰ですここで、長らくお休みになっていたNASA(ネオ替え歌連盟)の活動をしたいと思います。NASAについては左のカテゴリ[♪替え歌♪]からか「去年の12/14の日記」をどうぞ~最後の活動は3月27日だったんですね・・・半年以上も離れてました。 『もらい読み』 歌:ヒト&ヨー 詩:NASA会長 ネオ 段ボールの、中 マンガどっさり あのねでもね、 ただ…読んでヨンデヨンデ えぇ? あぁ! ネオから「短編集」 スコシ・フシギ 『ふたりぼっち』 えぇ? あぁ! 僕にも 「短編集」 作者は F先生♪さてさて、前置きが長くなりましたが(笑)藤子・F・不二雄先生のスコシフシギな短編集『ふたりぼっち』を紹介したいと思います。今回の画像は、少年SF短編集1巻から引用します。藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編 1巻『ふたりぼっち』は、カラーページが6ページもあります。(扉絵を含めると7ページ)他にカラーページがある作品は『ひとりぼっちの宇宙戦争』と『流血鬼』です。 < ストーリー >■ 自分の目の前に自分が現れる!!■ 自分同士で考え始める■ これはパラレルワールドだ!!■ この世には無数の世界がある■ パラレルワールドへ飛び込んでしまった■ 空間が破けていた・・・これは、「超ひも理論」に結びついてくる話ですね。連載時の'79年に、ここまでマンガで触れた作品はないかもしれません。■ 自分の部屋とまったく同じだった「パラレルワールド」の説明は『パラレル同窓会』の日記で解説しております。今日はリンクが多くてスミマセン(笑)■ 自分同士はいつまでも話が尽きない■ 何でも話せる相手がいることは素晴らしいパラレルワールドによって新しい世界が開けようとしていた。■ 毎日会っていた■ SF漫画家になりたい自分同士だから、やっていることも同じだった。もう1人の自分もSFを描いていた。■ 意気投合で合作を始める■ マンガに行き詰まりを感じていたSFマンガを描き始めたもののどうも、物足りない感じがしていた。■ ヒロインがいないのが原因だったクラスメートで美人の高嶺さんをヒロインに設定しようと決める。■ 実際に、高嶺さんに会いに行くことにするが・・・■ 憧れの高嶺さん登場内気な二人は、互いに押し付け合い結局、声をかけることができずに終わる。■ 少しずつ異変が起きていたパラレルワールドのつながりである空間が徐々にきつくなり始めていた・・・■ だんだん掛け離れていくのでは・・・■ 最近は留守が多いいつものように会いに行くけれど最近は、タイミングが合わないことが多い。■ 机の上の日記帳を読むと・・・もう一人の自分は、高嶺さんと仲良くなっていた。そんな話は聞いていなかった。■ そして・・・■ 顔を見合わせる二人■ お互いが別れを切り出した■ 二人の行き来はなくなったここで、しんみりとする感じになりますがラストに温かい展開が待っています。皆さんは、もう一人の自分に会いたいですか?私は、自分に会わなくていいのでパラレルワールドをのぞいてみたいですね~もしかしたら、読んだことのないSF短編があったりして?
2010.11.13
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地球と同じような惑星で生命の存在に期待が集まる恒星グリーゼ581が先日、発見されました。そしてさらに「地球外知的生命体らしき存在からのパルス信号が発信されている」というニュースも入ってきました!!どうやら、グリーゼ581から発信されているとのことです。サイト内では、オーストラリアの博士が「私の個人的な意見でしかないが この惑星に生命が存在する可能性は 100パーセントといえるだろう」 と話しています。今まで、推測でしか語られなかった知的生命体(宇宙人)の存在もようやく科学的根拠が出てきましたね。果たして21世紀中に未知との遭遇はあるのでしょうか・・・もし、宇宙人が地球にやってきて宇宙の優れた技術によるプレゼントをもらえるとしたら、みなさんはどんな願いを叶えてもらいたいですか?宇宙人から自分好みのガールフレンドをプレゼントしてもらった少年の物語。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『恋人製造法』を紹介したいと思います。 < ストーリー >■ 待ち構える少年■ 内気な少年クラスメートの毛利麻理という女の子にラブレターを渡そうと決心していた。■ しかしラブレターを渡しそこねる彼女に、他の男が近づいてきたため内男は、タイミングを逃す。■ あと一言が出ない■ 空にUFOが!?■ 内男はUFOの方角へ向かう■ 見た目はおもちゃのようだった■ ピンセットで中の物をつまむと・・・■ 宇宙人が出てくる小さな円盤から、膨らみながら出てきたのはひげ長の宇宙人だった。■ とりあえずカップめん(笑)■ 宇宙人もビックリ■ カップラーメンは宇宙一!?銀河系でも美味ということは地球人のグルメレベルは想像以上に高い!?■ 宇宙人がお礼をいう宇宙人を救ってくれたお礼に本当に「なんでも」望みを叶えてくれるという・・・■ 内男は願い事を告げる■ 好きな女の子と仲良くなりたい宇宙人、声が大きすぎです。そんな大声でいわなくても(笑)■ クローン人間を作る道具を渡される髪の毛一本さえ用意できればコピー(クローン)が作れるという・・・■ 学校からの帰り道蝶を捕まえようとすると・・・■ アクシデントで・・・憧れの女の子、毛利麻理の頭をつかんでしまう。■ ついに!!内男は、髪の毛を手に入れた。■ 早速セットする■ だんだん大きく膨らんでくるが・・・そんな夢みたいなことは起こるのか・・・信じられない気持ちもあった。■ そして夜中・・・まゆから人の手が出てきて・・・頭も体も見えてきた・・・■ コピー人間が出てくる!!■ 出来たては赤ちゃんと同じ内男は、宇宙人からいわれたことを思い出した。■ コピー人間の麻理を寝かせる内男は、自分のパジャマを麻理に着させて食事(カップめん)を与えて、寝かせた。■ コピーの麻理は歩けるように今までハイハイだったのが、間もなくすると歩けるようになった。コピーは、日に日に成長が早かった。■ あることに気づく食事を与え、歩かせる練習をしたり、世話したり・・・これでは、まるで親子のようだった。■ 大きな問題が・・・いつも、コピーの麻理は、部屋に閉じ込めっぱなしで外にも出させてもらうこともなく、自由がなかった。■ 内男は悩む・・・家族には、もちろん内緒。友達にも世間にもずっと内緒。内男は、このままではコピーの麻理も可哀想だと感じ始める。深く悩む内男の前に、再び宇宙人がやってきます。そして、宇宙人に相談をして・・・!?切ないエンディングが待っています。自分の好みで、誰でも自由に選べてたった髪の毛一本で、コピーして作れてしまうという話は、読者(特に男性)にはインパクトが強いと思います。声も掛けられず、手の届かない女の子が自分になつき、自分を好きになってくれるというコピー(完全に人間)の存在は、甘い夢かもしれません。この恋愛的願望は、以前紹介した『有名人販売株式会社』(8/21)に通じるものがありますね。こちらも、人気アイドルが男の家にやってくる話です。いつの日か、交流することになる宇宙人は甘い夢(素晴らしい交流)を見せてくれるのでしょうか・・・?それとも・・・?藤子・F・不二雄 少年SF短編集【未来ドロボウ】 『恋人製造法』収録
2010.10.28
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チリ鉱山の落盤事件で無事、全員が救出されましたね。助かったのが「全員」というのがよかったです。誰もが真っ先に地上へ出たいはずなのに救援カプセルが地下に到着したときには「私は最後でいい」と譲り合いがあったそうですね。息苦しく真っ暗な密室に、長期にわたり閉じ込められていながらも、人間というのはやさしさを持てるものなんですね。私は、こうした人間の姿に感動したり、学んだりします。もしも宇宙で、外界と連絡が取れなくなり宇宙船も壊れ、何もない惑星に取り残されたらどのような集団行動を取りどのような生活を送っていくのか・・・大いなる絶望とかすかな希望の物語藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『宇宙船製造法』を読んでみましょう。■ 宇宙船の故障少年たちの乗っていた宇宙船は大きなダメージを受け、壊滅状態となってしまった。■ どうにか着陸せめてもの救いが、水と空気のある地球型惑星に着陸できたことだった。■ 地球に帰れないメンバーの一人、堂毛がカッとなる。■ いいがかりをつける宇宙船を運転していた小山に怒りをぶつける。■ 小山に責任はない宇宙船は、どうやらワープをした際に事故に遭ってしまったらしい。■ 銀河の果てに来てしまった・・・現在位置を調べてみたところ、銀河の端におり連絡を送っても20万光年もかかるという・・・■ 地球に帰れる望みは絶たれた・・・メンバーの中の2人の女性は泣き出してしまう・・・■ 度々いいがかりをつける堂毛気の荒い堂毛は、またしても他人に責任を押し付けた。少年たちは、春休みの旅に宇宙へ出ていた。■ 気が休まらないユカという少女は、とても寝られる状態ではなかった。それでも、小山は寝るようにいう。■ 希望を捨てるないかに絶望的な状況でも、何があるか分からない。小山は希望を捨てていなかった。■ 小山は語る宇宙船そのものは動く。パワーも残っている。表面的な故障さえ直せれば、希望は持てると小山は説明する。■ 志貴杜(しきもり)には現実を見ていないといわれるリーダーの志貴杜は、小山の考えに否定的だった。まったく現実的でないという結論を出されてしまう。■ 宇宙船の話は聞いてもらえなかった食料も尽きるので森で食物を収穫、農畜も検討などまずは生き延びることを考えるべきとの意見が出る。■ 事件が起きる・・・■ リーダーの志貴杜に逆らう自分勝手な不満で、短気な堂毛は志貴杜に反抗する。■ 堂毛が暴力を振るう■ 手当てを受ける志貴杜メンバーは8人いたが、皆が乱暴者の堂毛に怖気づいてしまった。■ 翌日メンバーたちは団結する銃も持っていたが、銃は使わないと決め全員、素手で堂毛に立ち向かった。■ 皆が堂毛と戦う■ 暴力を犯したら刑罰を実行この星では、ここが自分たちの国であり、全員で規律、法律、約束事を決めていた。そして実行した。■ 突然動き出す宇宙船!!後半、物語は大きく動き出します。宇宙船は、サイレンを鳴らし、全員が乗り込むと・・・■ 宇宙船を直す方法を発見!!いつも宇宙船修復のことを考え、地球に帰る希望を持ち続けた小山は、あるヒラメキが生まれた!!■ しかし勝手な行動は規則違反だった思いつきだけの、危険な賭けは許されないと志貴杜は、小山の勝手な行動を止めようとした。■ ユカが止めに入るいつも、小山のそばにいて、彼の思いを知るユカは志貴杜の持っていた銃を奪い、止めに入った。■ 小山に賛成するメンバー■ そして皆が賛成をする宇宙船を勝手に動かし、誰にも話すことなく独断行動を取った小山だったが、皆から賛同された。■ 小山を応援し握手を交わす堂毛小山の考えた方法は、可能性が低いものだった。確実な安全も保障されていなかった。しかしメンバーは応援してくれた。宇宙の果てに取り残された少年たちは無事、地球に帰ることはできるのか・・・!?NASAでは、スペースシャトルの搭乗メンバーの選出は技術、体力、知識などの他に、性格も重視しているそうです。自由の利かない、孤独で密室の宇宙空間&シャトルではメンバーの協調が保たれないと、任務が遂行できないからです。「宇宙船製造法」の堂毛のように和を乱す者がいたら大問題です。チリ鉱山の事件と違い、「宇宙船製造法」の少年たちは地球型の惑星の着陸で、自然との触れ合いもありますが地球に帰ることができない、という事実は地下に閉じ込められることよりも、途方もない絶望といえるでしょう。ラストに分かる宇宙船復活の必殺技もスゴイのですが、絶望に直面した人間たちのドラマがあります。集団行動、団結や協調の難しさ希望を持つことの大切さなど、数々のことが見えてきます。人との付き合いが薄れ、コミュニケーションが上手く取れなくなった現代人には学ぶことが多いかもしれませんね少年SF短編集 [未来ドロボウ] 【宇宙船製造法】収録
2010.10.14
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日本人2人がノーベル化学賞を取りましたね!!北海道大学の鈴木章さんと米パデュー大学の根岸英一さんおめでとうございます。iPS細胞の作製者である山中伸弥さんも近い将来、ぜひノーベル賞を受賞してほしいものです。今回は、DNAや細胞をテーマにした藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『おれ、夕子』を紹介したいと思います。 < ストーリー >■ 朝 目覚めると・・・少年はなぜかネックレスをしていた。■ 亡くなった友達の物が・・・一週間前に亡くなった、夕子という友達の物だった。なぜ首にかけていたのか分からない・・・■ 夕子の父親に会う■ 夕子の父親は語る■ 日記には・・・少年の名前が、何度も出てきていた。少年にとっても驚きだった。■ 夕子は少年のことが好きだった今まで、友達としてしか意識していなかった少年は初めて、自分も彼女のことが好きだったことに気づいた。■ 少年が帰ろうとすると・・・玄関かと思い、ドアを開けるとそこは、夕子の父の研究室だった。■ 白いウサギが灰色に変色した!!■ それは一瞬の出来事だった■ そして今度は・・・目が覚めると、少年は女物の服を着ていた。何が起こっているのか、さっぱり理解できなかった。■ なんと下着まで女物だった・・・■ 友達が驚きの話をする解説者というあだ名の友達が興奮気味に話を始めた。■ 夕子を見たという死んだはずの夕子の幽霊を見たと話す。ウソではなく、写真も撮っていた。■ 夜中に歩いていたという■ 持ち歩いていたカメラで写真を撮っていた■ 夕子はパジャマを着ているが・・・このパジャマは、少年がなくしたパジャマだった。そして、幽霊の夕子がなぜ着ていたのか・・・■ 推理する怪現象は、いつも夜中に起こっていた。それならば徹夜しようと、少年は決意する。■ 徹夜は何晩も続いた■ だんだんつらくなってくる■ 睡魔に勝てなくなっていた■ 何かが起こっていた■ 姿は少年ではなくなっていた・・・■ 少年は夕子になっていた!!■ 夕子は家に帰ろうとする少年は、夕子に姿を変えていた。そして、家に帰ろうとしていた。■ 夕子は夕子の父と対面・・・夕子は、何かに気づいていた。ついに、父に事件の核心へ迫った。夕子の父は、働きに出ず、家にこもっている科学者だった。ずっと独自の研究を進め、ある開発に成功した。それが、ウサギを一瞬にして変身させた技術だった。DNAと新陳代謝を融合させ、一定の時間だけ少年を夕子に変身させていたのだった・・・この研究を発表したら、ノーベル賞ものですね~まあ、危険性もあるので受賞はムリでしょうが・・・前半は、謎が散りばめており、推理小説のようでもあります。後半は、娘を亡くした父親が、娘と再会するドラマがあります。そして、注目すべき点は、'75年(昭和50年)にDNAを取り上げているところですね。怪我したらまだ赤チンを使っていた時代です(笑)いつも時代の先取りをしていたF先生の博識さにも驚かされます藤子・F・不二雄 少年SF短編集2 絶滅の島 『おれ、夕子』収録
2010.10.06
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突然ですが「若さ」とは何でしょうか。年齢が低いことあるいは、そう見えることでしょうか。辞書に載っていないようなもう少し深い表現をするならば若さとは「未来があること」でしょうか。先週、私は誕生日を迎えましたがだんだん、年のことを考えるようになりました。もし、結婚したら、結婚生活の年数は…などなど。若き少年と老いたおじいさんが、入れ替わってしまう藤子・F・不二雄先生のスコシフシギな短編『未来ドロボウ』を読んで、若さについて考えてみましょう。 < ストーリー >■ 勉強一筋の少年友達の女の子に、なぜそんなに勉強をするのかと聞かれる。少年は、人生の成功者になるためと答える。■ 帰宅するなりすぐ勉強に取り掛かる遊びも断わり、わき目も振らずすぐに机へ向かう。■ 夜中の二時まで勉強いい高校へ入るため必死に勉強をする。いくら勉強しても、時間が足りない。■ 父が仕事を失う…少年の高校進学が、閉ざされてしまう。あまりにも突然のことだった。■ 混乱と怒り学業に全てをかけていた少年は落ち込み、夜中に家を出る…■ 気づいたら屋敷の中をうろついていた…少年は侵入するつもりはなかったが屋敷の住人に見つかってしまう。■ お客として迎えられる■ 屋敷の主人が登場少年は、帰ろうとするが温かく迎えられる。■ おじいさんの話を聞くサングラスのおじいさんは、むかし脳の研究をしており発明が成功に結びついたという話を、少年は聞く。■ 成功だけがよい人生という結果にはならないようだった■ おじいさんは少年が羨ましい■ 若いということは素晴らしい■ 未来を悲観している少年■ ある申し出なんと、おじいさんの全財産と、少年の未来を交換しないかと、持ちかけられる。■ 少年は冗談と受け止める■ それは冗談でなく本当のことだった■ 全ての記憶の交換が行われる…少年とおじいさんの記憶(脳)は入れ替わってしまう。こうして、人体交換が行われてしまった…■ 体は少年のおじいさんは野球をする■ 野球をして大喜びのおじいさん■ ただただ幸せ普通の食事をして、少年の友達と野球をして遊んだだけの1日だったがおじいさんには、それだけで幸せを感じた。おじいさんの老いた身体になってしまった少年はあちこちが痛む不自由な身体に苦しんでいた。「若さ」と「未来」という青春を感じさせるテーマです。「明るさ」と「希望」を残して物語は終わります。主人公の少年は、高校を目指している中学生です。私が初めてこの短編を読んだ時も主人公と同じ中学生でした。その頃も、もちろん面白い作品だと思ったのですが全然、とらえ方が違ってきます。初めて読んだ時から20年たった今は「未来があるというだけで素晴らしいこと」という、おじいさんのセリフが、胸に残ります。子供の頃には、感じ取ることのできない思いですね。この『未来ドロボウ』は77年(昭和52年)の作品です。F先生が44歳の時です。もし、F先生がもっと若い頃でしたら、こうしたおじいさんの描写はなかなか描けなかったかもしれません。未来のある、若い子供たちに贈るストーリーでありながら未来へ向かっていた若き日を思い出させる、大人向けのストーリーでもあります。皆さんは、若き日を「幸せすぎる」と思えたでしょうか。青春を気取るつもりはありませんがやっぱり「若いって素晴らしい」と思いますね~藤子・F・不二雄 少年SF短編集 [未来ドロボウ]
2010.09.24
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NHKの番組「ハーバード白熱教室」がかなり人気のようですね。私は、第1回から欠かさず見ています。世界的な名門ハーバード大学で最も人気のある哲学の授業をNHKが、番組で紹介してくれてます。本当に素晴らしい授業というものはやたら難しい、というのではなくむしろ、「受けたい」と思えるほど、魅力的なのだと心から実感しました。私は感動を覚えました。この哲学の授業の講師をしているサンデル教授の本は今、ベストセラーで、多くの書店で1位を記録しているようです。それでは、Justice(正義)をテーマにできそうな藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編から『マイシェルター』を取り上げてみましょう。 < ストーリー >■ 飲み屋で知り合った男主人公の男(画像 左)は、一人で酒を飲んでいるところをちょぼヒゲ男に、話しかけられる。マイホームを購入予定だと話す。■ 核戦争の話ちょぼヒゲ男が地図を広げ核戦争が起こった場合助からないといきなり、突飛なことをいい出した…■ シェルター販売員だったシェルターを持てば、核戦争でも大丈夫といわれるがあまりに突然だったため、男は「そんなこと」とちょぼヒゲ男の話を突っぱねた。■ 気になって夜中に起きる■ 核戦争に備えがないのは、あなただけ!■ 男はシェルターを構える男は、妻と二人の子供のためシェルターを構えることに決める。部屋が少なく、狭いので、家族からは、不満だらけ…■ 最悪の事態が起こる外では、核戦争が起こってしまった。■ 地表からの声地表の人々の、助けを求める声が聞こえてくる。■ 凶暴化する群集■ 開けてはならない家族は、開けようとするが、男は止める。開けてしまったら、放射能で自分たちも助からなくなってしまう。■ 地表にはダイナマイトが設置されているシェルターの入り口を壊されては、自分たちが助かりません。そんなときのために、ダイナマイトがあった…■ 男の指はボタンへと向かう・・・男は、ボタンを押してしまうのか。それとも…その先には、また別の結末が待っています。皆さんも、シェルターを構えたとします。そこへ、この短編と同じような境遇を向かえたらボタンを押しますか?ボタンを押すと、地表の人々は死に、自分たちは助かります。ボタンを押さなければ、やがてシェルターはこじ開けられ自分たちも放射能を受け、全員が助かりません。誰も助からないよりかは、少数の命(自分達の命)が助かる方が良いのではないでしょうか?それならば、ボタンで殺しても悪いことにはならないでしょうか?では、結論として、この場合の殺しは正義となるのでしょうか?しかし、殺しが正義となるならば、今この世の中で殺人が起きても「正義ゆえに無罪」という判決は、ありうるでしょうか?おそらく、そんなことはないでしょう。やはり悪事であり犯罪です。では、私たちの取るべき道は、何が正しく、何が悪いとなるのでしょう。SF短編は、マイケル・サンデル教授にぜひとも読んで欲しい作品ですね(笑)でも、一番は『ミノタウロスの皿』でしょうか。おそらく、読んだ人全員が衝撃を受ける作品でしょう。100を超えるF先生の短編の中でも、一番注目されている作品です。動物が人間を食べ、人間が家畜として飼われているという話です。人間と、牛や豚などの立場が180度逆転した世界の物語です。F先生を、ドラえもんだけの人と思ってはいけません。本作を、別に哲学的に読む必要はありません。「シェルターは狭苦しいから何をしたら楽しく暮らせるかな~」「食糧が限られてるから、あまりお腹を空かさない生活が大事だな」「ゲーム機、運動器具、漫画、小説… 自分なら何を持っていこう」このように、多角的に考えて読むのも、SF短編の楽しみ方です藤子・F・不二雄 SF短篇集 創世日記 (「マイシェルター」収録)
2010.09.11
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昭和50年('75年)に沖縄で国際海洋博覧会という大々的なイベントがありました。なんと半年間も開催されました。藤子・F・不二雄先生も、ひょっとしたら行かれたのかもしれません。この沖縄海洋博を舞台にスコシフシギなSF短編『ぼくのオキちゃん』という作品を描かれています。つくば'85を題材にした短編も読みたかったなあ~ < ストーリー >■ EXPO'75 沖縄国際海洋博覧会が開催される■ 少年は博覧会を父親と楽しみます■ 興味津々の少年父親は休憩しようといいますがまだまだ見たがる少年は、父に構わず一人で、どんどん進んで行きます。■ ところが道に迷ってしまう…■ 誰もいないパビリオンにたどり着きます■ ここは「海洋夢見館」という場所だった■ パビリオンの案内役の少女が登場「夢の未来」へ案内するという…■ 21世紀最大の海上都市未来の世界の案内が始まります。目の前には、21世紀の海上都市が現れます。けれど、今は'75年(昭和50年)で20世紀のはずなのですが…■ 自分そっくりの少年に出会う■ 昔、海洋博というのがあったという…オキちゃんという名前のイルカは昔の海洋博にいた、人気のイルカがご先祖だそうです。それでは、いったい今は、いつの時代なのでしょうか?■ 目が覚めると…少年は、父親に起こされます。どうやら深く眠っていたそうです。これは、夢だったのでしょうか?それとも…?少し不思議どころかとても不思議ですね~少年のリアルな体験は、どこから来たのでしょう…この少年に、名前はありません。「オキちゃん」はイルカの名前です。藤子マンガを、たくさん読まれた方なら瓜二つの少年に出会ったところでピンと来たかもしれませんね。私は、この少年の名は「みきお」だと思っています。皆さんも、人生に何度か…何十回かは寝ているときに夢を見たことはあると思います。果たして、それは夢だったのでしょうか、それとも…このブログを読んでいることが夢かもしれません。そんな考えが想像やSFにつながっていきますSF短編perfect版 3巻 『ぼくのオキちゃん』収録
2010.08.30
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アイドルというのは恋愛禁止が原則らしいですね。これは、アイドルというのは擬似恋愛を売るのが職業だからでしょう。ファンに、恋愛感情を持ってもらうのが仕事です。そのためには、恋人がいることはNGになってしまいます。アイドルと実際に付き合うのはもちろん無理だと分かっていても熱狂的なファンにとっては「もしも」と宝くじのような期待を持つことがあるかもしれません。けれど、その「もしも」が起こってしまったら…?冴えない浪人生が、可愛いアイドルと付き合うことになる藤子・F・不二雄先生の、スコシフシギなSF短編『有名人販売株式会社』を紹介したいと思います。 < ストーリー >■ 人気アイドルの亜伊ドール■ アイドルのテレビ放送鷲塚与太三郎(わしづかよたさぶろう)は亜伊ドールのコンサートをテレビで見ていた。与太三郎は、浪人生だった。勉強に励まなくてはいけないのだが大好きな亜伊ドールが、頭から離れずにいた。■ 家に分からない荷物が届く■ 注文した覚えはない■ 箱の中にはなんと亜伊ドールが…!?■ 質問をする与太三郎亜伊ドールは「なんでもする」と答えサインをもらったり、握手してもらったり与太三郎は、大喜び。しかし、喜びもつかの間亜伊ドールは、消えてしまった…■ 友達に事情を話す幻想ではなく、本当にアイドルが家に来たと友人に、懸命に説明をする。■ 友人はある考えが浮かぶクローン技術が発達し、人間もクローンで作り出そうという計画が持ち上がったが、人権・宗教問題で反対運動が起こり、計画は消えてしまった。■ しかし陰ではクローン人間製造が行われていたという優秀な人材のクローンや美男美女のクローンなどの需要がありクローン人間は発売されていた。■ 思わず本音が…(笑)有名人販売会社が、買い主の鷲塚氏を訪ねた。■ 同姓同名だった豪邸に住む、鷲塚与太三郎という老人がクローン人間を注文していた。ところが、同姓同名の、浪人生の与太三郎の方に間違えて配達されて、亜伊ドールが届いたのだった。■ おじいさんは不満クローン人間の亜伊ドールは持ち主に忠実であるように作られているのだが彼女は、一番最初に浪人生の与太三郎に開封されたためこのおじいさんには、従おうとしなかった。■ 工場で処分が決まってしまう亜伊ドールは、誤配もあり持ち主に気に入ってもらえなかったので処分が決定してしまった…■ 二人は逃げる処分されるところを、亜伊ドールは逃げ出した。そして、与太三郎の家は分かられているので雨の中、二人は急いで街を離れた。遠く、山奥へ身を隠した。■ クローン人間密造が摘発される■ クローンの亜伊ドールも押収されることになる■ そしてまた亜伊ドールは消えてしまう現れては消え、現れては消え…ショックで悲しみにくれる与太三郎…亜伊ドールは、どこへ消えてしまったのか?最後は、ハッピーエンドが待っています。「もしもアイドルと付き合えたら…」という男子の願いをF先生は、マンガの中で叶えてくれたのかもしれませんね。ですが、単に「付き合えてラッキー」で終わるのではなくアイドルに手に届くような、届かないような距離感が物語を盛り上げてくれます。この作品は'84年に発表されました。クローンがニュースで大々的に取り上げられたのはクローン羊が生まれ、話題を呼んだ'97年のことです。F先生は、一足早く、クローンを題材に物語を描きました。こうしたところに、F先生お得意の未来予測が表れていますね。ちなみに、日本及び諸外国では人間へのクローン技術の使用は禁じられてます
2010.08.21
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ゆく時の流れは絶えずしてしかも、もとの時にあらず。時の流れというものは、常に絶えることがなくそれでいて、いかなる時間も、同じ時間ではない。・・・と、ちょっと気取ってしまいましたが(笑)あまり深い意味はありません。私が、韓国へ旅行に行ったのがちょうど、1ヶ月前になります。時の流れは早いなあと、思います。ハッキリと旅の記憶は残っているのですがずっとずっと前のことのように思えます。なぜ、こうした現象は起こるのでしょうね?今回、紹介する藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『光陰』は時間の話です。果たして、時の流れとは…? < ストーリー >セミがミーンミーンと鳴く暑い夏のある日。■ 男が友人宅を訪ねた■ 二人ともかなり年を重ねていた■ どうやら二人は長い付き合いらしい話は、ずっと盛り上がる。そして…■ 時間の話に変わる。■ 安野の解釈大人になればなるほど、それまでの時間(人生)が長いからそれに比べると、1年など、短いと感じるのではないか。■ 藤木の解釈そして、二人は時の流れを自分達の眼で目撃する…!?『時間』について、ちょっと考えてみませんか?というお話です。さて、この短編にはとても面白い要素が隠されています。なんと、F先生とA先生がパロディとして登場しています。登場人物の2人の苗字は、「藤木」と「安野」です。F先生の苗字「藤本」と、A先生の苗字「安孫子」を、連想させます。藤木という男性には、3人の娘がいる設定になってます。事実、F先生には3人の娘さんがおられます。こちらの久美子という末っ子の女性ですがF先生の末っ子の三女は地子(くにこ)さんという名前です。ここまでくると、とても偶然とは思えません。F先生が、遊び心で置き換えたパロディなのでしょうね。藤子・F・不二雄 異色短編集「気楽に殺ろうよ」 『光陰』収録
2010.08.05
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日本人女性の平均寿命は25年連続で、世界一になりました。男性も、順位が下がったものの世界第5位なのは、十分長寿といえるでしょう。しかし、高齢者に対する国の支援は十分とはいえません。収入のない高齢者の、支えとなる年金からは天引きが始まりました。これは、高齢者イジメのように思えます。なぜ、このようなことが起こるのかといえば日本が、莫大な借金を抱えているせいもありますが増え続ける高齢者に、膨大な出費となる保障はいちいちしてられない、というのが本音でしょう。そんな現代を37年も前に予言していた藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『定年退食』を紹介したいと思います。 < ストーリー >舞台は、近未来の日本。環境汚染により、深刻な食物不足にあえいでいた。主人公の老人は、74歳。食べ物を溜めておこうと食事は、いつも塩コーヒーだった。後は、保存に回していた。そのため、貧血が起こり倒れることもしばしばあった。この塩コーヒーは、老化防止によい、という噂だがほとんど気休めで、根拠はまるでない。そんな苦しい生活の中首相から、重大な発表が起こる…■ 73歳以上は、年金、食糧、医療の国家保障は一切なし…本作は、'73年(昭和48年)の物が豊かな時代に描かれています。高度成長期でもありこれからバブルに向かおうとしている頃です。そんな時代に、F先生はまるで、未来を見透かしたように、描いていたのです。現在の日本の自給率は、約40%です。つまり、諸外国と輸入ができなくなった場合は人口の4割にしか、食料が届きません。人口を1億人とした場合、4千万人しか食糧をまかなえません。残りの6千万人は、食糧難となります…これは、私たちの目の前にある問題です。しかも、日本では、30%を超える食品が毎日捨てられているのです。贅沢の極みですね…同じ地球には、餓死で死んでゆく子供たちがいるというのに…ちょっと、重苦しい話になってしまいました…さて、どうすればいいのでしょうか?別に、私のブログはそんなことを考える場所ではありません。不況だの、何だのいっても戦争も無ければ、いたって平和でスーパーでも、外のどの店でも食べ物は、いつだってあります。「食べられるって、ありがたいな~」「平和なのって、ありがたいな~」そう、思えればいいのではないでしょうか藤子・F・不二雄 異色短編集「気楽に殺ろうよ」『定年退食』収録
2010.07.30
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映画、小説、漫画でも登場するタイムマシンですが皆さんは、実現可能だと思いますか?今年の5月とても興味深いニュースが飛び込んできました。ホーキング博士「タイムトラベルは実現可能」という見出しのニュースです。ホーキング博士といえば、おそらく世界で一番、宇宙を知るお方でしょう。上記のサイトでも書かれている通りタイムトラベルの話は、あまりにも現実離れのため話してはならない、という風潮があるようです。しかし、人目を気にしなくなったホーキング博士はタイムトラベルの発言に至りました。しかし、この発言は、盛り上がりよりもむしろ、冷ややかに見られているようです。無理もありません。私も、やはり突飛な話だと思います。ですが、ここは賛成、反対で意見を出すのではなく「面白い話題」として、楽しく受け止めてみてもいいのではないのでしょうか。さて、ここで、タイムマシンの話が出てくる藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『T・Mは絶対に』を取り上げたいと思います。 < ストーリー >2人の男がT・M(タイムマシン)について議論を交わしていた。■ T・M(タイムマシン)はできっこない■ 研究者の男は可能だという実現可能だという男にもう一人の男は、猛反対をする。そんなことは絶対に不可能だからタイムマシンの研究はやめろという。タイムマシンは、それ自身の構造や理論ではなく存在できない理由があると、考えていた。■ タイムマシンは完成を許されない宿命があるのでは…あまりにも反対されるので研究者の男は、ある秘密を話し始めた。■ なんと、タイムトラベルは、すでに可能になっていた!!。完成間近のタイムマシンと完成が許されないタイムマシンの宿命がぶつかる時いったい何が起きるのか…T・Mは絶対に作れるのか…T・Mは絶対に作れないのか…さて、T・Mは絶対に…???SF物では、タイムマシンがどう使われ、何に使われるのかが、メインになるのですが本作では、タイムマシンは、なぜ今まで作られなかったのか? 完成できないのか?という根本的な理由がストーリーの核となりタイムマシンの在り方にスポットを当てている視点の変わった作品になっています。タイムマシンは、ドラえもんの漫画で楽しむのが、一番いいのではないでしょうか(笑)SF短編 Perfect版 3巻 「T・Mは絶対に」収録
2010.07.18
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ドラえもんの映画「のび太とブリキの迷宮(ラビリンス)」を見たときに「どこかで見たことがあるなあ~」というキャラが登場しました。■「のび太とブリキの迷宮」のタップ(うさぎ)どこかで見た覚えが…「そうか!!」と、思い出したのが藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『ヒョンヒョロ』に登場する「うさぎちゃん」でした。 < ストーリー >小さな男の子、マーちゃんが空き地で出会ったうさぎちゃんから手紙を渡されます。■ 嬉しそうに、母親のところへ見せに行きます。■ しかし、お母さんは、信じてくれません。すると、マーちゃんは、空から落っこちてきたお星さまを、持ってるといい張ります。けれど、あきれたお母さんはカンカンになって怒ってしまいます。■ 今度は、仕方なくお父さんが相手をします。■ 手紙には、「誘拐する」と書かれていた。文章こそ、幼稚ですが表には、「脅迫状」と書かれていました。イタズラだろうと思いながらも両親は、念のため警察に相談しますがこんなのはふざけていると、問題視しません。「ヒョンヒョロ」も、何のことか分かりません。■ マーちゃんの家に、うさぎちゃんが登場。夢か現実か分からない、うさぎちゃんの登場に両親は、幻覚を見ていると、混乱してしまいます。きっと、頭がおかしくなってしまったのだ…■ すっかり取り乱してしまう二人。最後は、警察の力を借りますがうさぎちゃんは宇宙人なので、手錠はおろか拳銃の弾丸も無力で、全く手に負えませんでした。恐れをなした警察はうさぎちゃんに従うことになります。誘拐されては困ると思った父親はヒョンヒョロは分からないので手当たり次第、現金を用意する。■うさぎちゃん(宇宙人)には、価値のない紙切れ(札束)という、価値観の違い。■しかし、「ヒョンヒョロを知らないとは非常識」と、うさぎちゃんは狂乱する…そして、ヒョンヒョロを返してもらえなかったうさぎちゃんは、「とてつもない誘拐」を実行してしまいます…マーちゃんが拾ったという「お星さま」が実は、ヒョンヒョロだったのですが両親は信じず、聞こうともしませんでした。もし、最初から聞いてあげていたら、解決していたのです。非現実的なことが受け入れられなかった大人たちと疑うことを知らない、純粋な子供との対比が描かれていますね。ところで、ヒョンヒョロの価値を考えてみるのも面白いかもしれませんね。■ 500円玉程の面積で、2億5千万円するダイヤモンド。ヒョンヒョロくらいの大きさで、極めて高価なものといえば地球上では、ダイヤモンドでしょうか。宇宙では「知っているのが常識(byうさぎちゃん)というヒョンヒョロは、途方もない価値があるのでしょう。ダイヤモンドの10倍か100倍か… 一体、どのくらいなのでしょうね
2010.05.09
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NHK教育の「こだわり人物伝」で藤子・F・不二雄先生の特集の第4回(最終回)が放送されました。今晩(21日)の第4回は書きたいことがいっぱいあるのでゲストの岡田 斗司夫さんのお話は次回、書く予定です。■ ゲストは岡田 斗司夫さん「新世紀エヴァンゲリオン」などで知られるアニメ会社ガイナックスの、元社長の岡田さんです。今回の特集は「S 少し F 不思議」 SF短編です。■ SF短編 「流血鬼」今日の日記は、私が若き日に、苦しむほどの混乱を引き起こした「流血鬼」を紹介したいと思います。中学生の時に初めて読んだ時最後のページで、あまりのショックを受けてしまったため身震いして、鳥肌がゾッと立ってしまいました…「怖い」とか「恐ろしい」というレベルを超えていて宗教や哲学を大きく超えた本作はあまりに精神的ショックが大きすぎました。 < ストーリー >日本、そして世界中にウイルスが広まっていた。地球上の人間は、ほとんど吸血鬼になっていた。■ 「ハアハア」と息を切らしながら走る少年■ 少年は自分を守るために、吸血鬼を刺す…■ 家に戻ってくると、両親は倒れていた…吸血鬼にかまれると、意識を失いしばらくして、目を覚ますと吸血鬼になるのだった。両親は、吸血鬼にかまれていた。■ 悲しむ暇もなく、吸血鬼が少年を襲ってくる!!■ 家を飛び出しても、町には吸血鬼だらけだった■ 吸血鬼を殺す人間は、流血鬼ではないのか…少年に、ヒモで縛られた女の子は幼なじみの女の子であった。少年は、心を鬼にして、彼女を縛り上げる。彼女は、幼なじみとはいえ、吸血鬼になってしまったからだった…ここからが本作のテーマです。このような世界にいたら、私たちもきっと吸血鬼の息の根を止めていることでしょう。必至になって、我が身を守ることでしょう。人の生き血を吸う吸血鬼は、文字通り「鬼」ですが吸血鬼を殺す人間も、血を流す「流血鬼」ではないのか…それが、本作の重く苦しいテーマです。「吸血鬼は悪魔だから殺してもいい」私たち人間は、このように考えるかもしれません。さて、人間も吸血鬼も、共に(医学的には)人類でありお互い、生きたいと思っています。吸血鬼は生きる権利はなく、殺されて当然なのでしょうか。ウイルス感染や、かまれることによって、生まれ変わってしまう吸血鬼は、まぎれもなく「元は人間」なのです。吸血鬼を殺して、血を流す流血鬼(人間)であるよりかは人を殺したりはせず、「血を吸うだけ」の吸血鬼の方が良い生き方であり、良き存在ではないですか?人間はやめましょう! 吸血鬼になろう!!そんな結末で終わるのです。大人になれば、同意はできなくとも、解釈は可能です。ですが、ランドセルをおろしたばかりの少年(私)には受け止められるはずもなく、大いなる混乱に陥ってしまったのでした。当時の私は、ノイローゼの一歩手前でした。精神的病をしばらく背負いました。■ まさに価値観の変換です「流血鬼」や、他の短編にも共通しますがF先生が投げ掛けた「価値観を問う」作品なのです。子供の頃には「精神的な混乱」だったものが大人になってみると「感動を超える深み」に感じ取れるスコシフシギなSF短編は、読むたびに考えが変わるそして、多角的に読める、偉大なる傑作なのです。■ ミノタウロスの皿価値観の逆転といえば…人間の立場が全く反対になってしまう「ミノタウロスの皿」も、恐るべき、思考の変換でもあります。牛の姿をした者が、人間を食べるという星が舞台です。地球では、人間が牛を食べるのが普通のように「ミノタウロスの皿」では、人間が食用として食べられるのが普通であり、しきたりである星だった!!だから、少女も、食べられることを誇りにしていた…これは、12/23の日記で紹介しました。■ オマケ SF短編3作番組で、マンガの見開きが、ぱらっと出されました。右奥は「光陰」、左奥は「大予言」、手前は「幸運児」です。所要時間、約2秒。早押しクイズに出れますかね?(笑)因みに、「大予言」は2/4の日記に「幸運児」は2/8の日記で紹介しました。「光陰」は、まだ書いていません。■ 箱舟はいっぱい (1974年)こちらは、1/16の日記で紹介しました。ゲストの岡田さんの語りは、素晴らしかったです。後日、遅れて紹介します。スミマセン、岡田さん。■ 「流血鬼」は、小学館のSF短編集2巻に収録されています藤子・F・不二雄少年SF短編集 2巻
2010.04.22
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「ノスタルジー」という単語を辞書で調べてみました。nostalgie(フランス語)(過去・故郷などへの)郷愁。懐古。つまり、ふるさとを懐かしむことですね。時々、耳にすることも、あるかと思います。その「ノスタルジー」をテーマにした藤子・F・不二雄先生のSukoshi Fushigi(スコシフシギ)なSF短編「ノスタル爺」を紹介したいと思います。 < ストーリー >浦島太吉は、墓参りをしていた。亡くなった、元恋人であり、妻であった里子のことを思い出していた。当時、太吉は学生であり日本が戦争を迎えようとしていた時代であった。まだ、自由な恋愛が、許されていない頃であったが里子とは、幼なじみで、いいなずけでもあったため二人は、小さな頃から、いつも一緒だった。■ 親からいいつけられた、結婚が行われる。しかし、太吉は自分は戦争で死ぬかもしれないと思っていたので、もし自分が戦死したらいい人を見つけてほしいと、里子に伝えていた。「まってます。いつまでも」「きっと帰ってね」それが、里子の最後の言葉だった。そして、結婚後間もなく二人は永遠の別れを迎えてしまう…太吉は孤島で30年行き続けていたが彼は戦死したと伝えられていた。そして、彼が帰ってきたときにはもう、里子は亡くなっていた。彼女にとっては、太吉だけが生きがいであり人生の全てであった。再婚もしていなかった。30年ぶりに故郷に戻ってきた太吉は里子の墓参りの後、村を一人歩いた。太吉には、ある予感があった。その予感は形となりやがて膨れ上がった。■ 太吉は、走った。理由はない。もう、そうするしかなかった。■ 目の前にあったのは、昔の故郷だった。 夢かそれとも気が狂ったのか…■ 太吉が、子供の頃に過ごした村だった。■ そこには、子供の頃の里子が生きていた!!しかし、自分はタイムスリップしましたなどと、説明できない。何をいっても信じてもらえるはずもなく、変人扱いされてしまう。村でも大きな一族である浦島家では彼のような者に、村にいてほしくなかった。なんとしても、追い出したかった。■ 出て行かねば、土蔵に閉じ込めるという…■ 太吉は、一生土蔵に閉じ込められることを、選ぶのであった…浦島太吉は、土蔵の外から聞こえる里子の声を、聞くことを生きがいとしそこで、一生を終えるのであった。初めて読んだ時は、「なんとも悲しいストーリーだな」とわりと淡々とした気持ちだったのですが私は、まだ物語を理解するには幼すぎました…何度か、読み返してみると、「悲しい」などというそんな生易しいものではなく狂気と紙一重の愛かもしれないと思うようになりました。私は、これが最高の愛だとは思いませんが、これほどまでの思いを抱く愛は、現代にあるのでしょうか。きっと、戦争に巻き込まれ、孤島に30年も取り残され何の思い出も残らなかった、太吉のような男でないと生まれてこない感情なのかもしれません。皆さんは愛だけで、土蔵で一生を送れますか…P.S. F先生の特番「こだわり人物伝」が14日夜10時25分に NHK教育にて放送があります。今回はF先生の奥様が登場されます
2010.04.13
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宇宙人はいるのでしょうか…?もし、宇宙人が、いたとして地球にやってきたら何を目的とし、いったい彼らはどんな行動を起こすのでしょうか…?そうした物語を描いた藤子・F・不二雄先生のすこし不思議(Sukoshi-Fushigi)なSF短編『いけにえ』を、紹介したいと思います。 < ストーリー >地球にUFOがやって来た…その巨大な円盤は公園の上に浮かんでいた。■公園に現れたUFO…国連が、宇宙人たちに呼びかけをするも何の反応もない状態が、長いこと続いていた。浪人生の池仁平(いけにへい)が恋人のミキと、デートを終えて帰ってくると男が部屋で待ち構えていた。彼は、新聞記者で、ある事実を池仁平に伝えようとしていた。宇宙人は、日本語を使い総理大臣に、ある要求を突きつけていた。それは、「地球人1人をよこせ」というものだった…■新聞記者は語る。■池仁平は、いけにえの宣告をされてしまう!!政府は、人質の引渡しを、極秘に勧めようとしていたが新聞記者の男は、人命は守られるべきだと池仁平をかくまうことを決意する。■しかし、池仁平をかくまった新聞記者は、政府に消されてしまう…相手が国では、一介の市民(池仁平)もなすすべはなく、全く抵抗できないままサングラスに黒スーツ姿の、屈強な男たち(政府関係者)に完全包囲されてしまう。そして、完全に逃げ場を失った池仁平はいけにえとして、ただ待つことしかできなかった。■宇宙人との交渉が進められる。牧師が説得に当たるも、上手くいかず最後は、彼女であるミキも呼ばれることになった…この結末は、誰にも読めません。かといって、オチを当てるのがこの短編の目的でもありません。ぜひ、ドキドキしながらページをめくっていってください…皆さんは、いけにえとなって宇宙人に身柄を引き取られることになったらどうしますか?私は、また地球に帰ってこられるのならさらわれても構わないと思っています(笑)いやあ~それにしても宇宙人の気持ちって分かりませんね~※ お知らせまだまだ、アンケート(投票)実施中です。よろしければ、参加してみてくださ~い!!本作「いけにえ」は藤子・F・不二雄 SF短篇集1巻「創世日記」に収録されています。
2010.03.25
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世の中の不正や悪に、憤りを感じる物凄く生真面目な小池さんは、ある日とてつもない破壊力を持ち、空をも飛べる超人「ウルトラ・スーパー・デラックスマン」になってしまった!!ここまでは、以前に紹介した、藤子・F・不二雄先生のスコシフシギなSF短編『カイケツ小池さん』のあらすじです。その後の小池さんを描いた、続きの作品が『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』です。 < ストーリー>正義のための行為ではあったものの悪人の命を奪うまでになってしまった小池さんは、やっていることに気づいているもののそれは、悪くないと肯定してしまう。殺人容疑として、警察が動くものの超人をはるかに超えてしまった、超人の小池さんには国も政府もなすすべなし…自衛隊まで出動し、戦車までもが小池さんを狙う…それでも、小池さんには蚊が刺した程度にもならない。■ 核ミサイルもなんのその!! まさに完全無敵のウルトラ・スーパー・デラックスマンさて、この物語は、小池さんの暴走劇だった…だけで、読み終えることはできません。警察も逮捕できない…国家も何の手も打てない…周りの人間も、怖がり、おびえるので全て、自分のいいなりにことが進む…こんな完全無敵な力を持った状況の中で本当に、弱者のために、平和のために、良いことだけにその力を利用できるものでしょうか…前回、パーマンの話の日記でいただいたからっかZさんのコメントに>強大な力を手に入れたら・・>結局は己のために行使してしまうんじゃないでしょうか。>その結末が『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』ってことですよねこのような言葉をいただきました。ああ、なるほどなあと、うなずいてしまいました。世の中の「強い力」を持つ人間は国民に自由を与えなかったり…戦争を開始することができたり…大金をものにすることができたり…悪いことに使われることが多いですね。取り上げれば、キリがありません。世のため、人のために、働く子供のパーマンと自分の欲望のために、パワーを悪用してしまった大人…パーマンとの比較として純粋な子供と、醜い大人の比較としてそして、自分自身ならどうなるかと、比較しながら読んでみるとまた違った一面が見えてくるかもしれません。けれども、小さな子供でも暴走してしまうSF短編「わが子・スーパーマン」のようなケースもあります。大きな力が、問題を引き起こすこともありますが平和のためにも大きな力は必要です。「大きな力」や「強い力」は、どうあるべきなのでしょうね
2010.03.05
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ブログの一番最初の日記(8/8)で>ブログは最低半年、続けたいと書いたので、公約を守れてよかったなあと思ってます。まだ、やめる気はないのでしばらく、続けていきたいですね。次の目標は、半年後のブログ1周年ですね。そこも、通過点になれるといいなと思ってます。さて、ブログ半年記念に(記念というほどの長さではないですが)明るく、ハッピーな藤子・F・不二雄先生のすこし不思議(Sukoshi-Fushigi)なSF短編『幸運児』を、紹介したいと思います。 < ストーリー >赤ちゃんを産んだものの、なにやら憂鬱な女性。そこに、彼女の友達がやってくる。■ 「幸運児」の1コマ一番右の、ぬいぐるみのそばにいる女性が、赤ちゃんを産む。真ん中の男が、彼女の旦那。ちょっと頼りなく、冴えない。左のメガネの女性は、友達。彼女は「きっと幸せになる」と断言する。この赤ちゃんは、「多いに幸せになりますよ」という幸せいっぱいの物語です。え、紹介が短い?手抜きじゃないか?いえいえ、そんなつもりはありません。もともと7ページという、短さなのでこのくらいの説明や、物足りなさがいいかなと思いました。これから赤ちゃんを授かるという女性や赤ちゃんが生まれたばかり、という女性に贈ってあげたい、オススメしたい作品ですね。○ 「幸運児」は異色短篇集2巻「気楽に殺ろうよ」に収録されてます 藤子・F・不二雄「異色短編集」2巻
2010.02.08
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ドラえもんの話で「ドラえもんの大予言」というタイトルがありますが今回は、その話ではありません。「F先生は預言者」と書いた日記でコメントをいただいた、からっかZさんから実は、ずっと昔に、火星の土地販売(後に詐欺事件)があったことを教えていただきました。詳しくは、「こちらのサイト」をどうぞ。当時の、事件の内容が事細かに書かれています。この頃は、F先生も20代ですから確かに、知っていたと思われます。なので私が、F先生を預言者といったのは当たっていなかったことになります。ですが、それでもF先生は未来を見通し優れた予言を残しているところがあります。「とてつもない予言」がドラえもんの第1話にあります。■ドラえもんが引き出しから出てきたと、のび太はいう。もちろん、両親は信じない。■のび父は、のび太の空想に驚く。のびママの髪は、第1巻では、やや膨らんでいます(笑)■「漫画家になれば、成功するかも」と、のび父。「のび太は自分である」というF先生の言葉によればのび太(F先生)は豊かな想像力(ドラえもん)によってマンガ家として成功・・・まさに、予言です!!そして、本日の藤子・F・不二雄先生のスコシフシギ(Sukoshi-Fushigi)なSF短編の紹介は、『大予言』です。全7ページという、短編の中でも本当に短い短編です。■「大予言」扉絵 < ストーリー >ソファーに座っているやせ細ったおじいさんは田呂都(たろと)という、タロット占い師。田呂都氏は、最近ノイローゼで家族とも口を利かないという。とにかく、彼はおびえていた。今の世の中が怖いと…世の中が嫌になったから「誰でもよかった」という無差別事件がありました。お金が目当てで、自殺に見せかけて睡眠導入剤を使った殺人がありました。そして、この間、日記にも書きましたがいつでも発射可能な核弾頭が世界中に8000発以上も、散らばっています…つまり、田呂都氏もこんな物騒な世の中が予言以上に恐いといっているのです。予言を逆手に取ったこの作品は「本当の恐怖は今の世の中」という誰もが、気づきそうで、気づかないメッセージを充分に埋め込んでいます。本当に世の中が恐くなります…
2010.02.04
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ある日♪森の中♪クマさんに♪出会った♪「ある日」といえばこんな楽しく平和な歌がありますが世界が終わる、とんでもない「ある日」も突然、起こりうるかもしれません。オバマ大統領は、昨年プラハにて、核廃絶の演説をしましたがさて、今世界には、どれだけの数の核があるのでしょうか。「核弾頭 世界に2万3300発」というニュースがあります。発射可能な状態にある核は、8190発とのことです。私たちの目には見えませんが、いつでもボタン1つで発射されてもおかしくない核弾頭が世界には8190発も、今現在あるのです。藤子・F・不二雄先生のスコシフシギ(Sukoshi-Fushigi)なSF短編『ある日……』を紹介したいと思います。 < ストーリー >ビデオカメラを持つ、映画好きの男たちが自分たちで8ミリ撮影をし、オリジナル作品を作り仲間の家で公開する、という地元の小さなサークル活動を行っていた。そして、4人の男たちが集まる。■1人目の男は、世界を舞台にした作品。彼は、ビジネスで海外へ行くことが多く現地の人に撮影を頼み、まるで、走って世界一周をしているように感じられる。撮影時にはマラソンの姿に着替えたりと、苦労を重ねている。■ハワイ、ニューヨーク、ロンドン、パリ、そして中国も走る。■二人目の男は、自宅の窓から、ずっと8年間も撮影を続けた。自宅の窓にカメラを固定して8年間も、一度も動かすことなく街の様子を撮り続けた。少しずつ変わりゆく風景は、とても興味深いものだった。■そして、8年後の風景。■3人目は、ミニチュアとアニメーションを駆使した力作。■「スターウォーズ」ならぬ「スターウォーク」というパロディ。そして、最後の4人目の男は3人の作品に対し、「テーマがない」と憤慨する……■そして、「ある日……」という作品を流す。家族が映り、子供たちが映り、平凡な日常をずっと撮っているだけだった。そして最後に「プツン」と音を立てて、いきなり映像が終わる。周りの3人の男たちは笑い飛ばすが「核戦争が始まり、一瞬にして生活が消滅」することをこの映像により、訴えていた……■「ある日」は、こういうことだ、というメッセージであった。「8ミリビデオ」が出てくるのは、この短編が1982年に描かれているからです。もちろん、「ある日」は起きてほしくありませんが世界に2万発を超える核弾頭があるようでは空想の出来事として、片付けられません。皆さんは、「ある日」が来ると思いますか。それとも、人類は平和を保てるのでしょうか……
2010.01.30
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世の中には、何とも奇妙なビジネスがあります。月や火星の土地を売っているところなどあります。売るほうも売るほうですが買うほうも買うほうでしょう。私は、さすがに買いません・・・さて、火星の土地につながりのある作品藤子・F・不二雄先生のSukosi-Fushigi(スコシフシギ)なSF短編『3万3千平米』をご紹介したいと思います。3万3千平方メートルとは東京ドームがおよそ4万6千ですのでその7割に値する面積(土地)になります。 < ストーリー >寺主という男は、ごく平凡なサラリーマン。名前こそ寺主(じぬし)だが土地を持っている地主ではない。夢は、広い土地に広い家。そして、妻も息子も広い一軒家に憧れている。寺主のもとへ、奇妙な男が現れる。開発局の用地課の者だという。男は「あなたの土地を売って欲しい」と頼む。寺主は、もちろん何のことだかさっぱり分からない。寺主は、3万3千平方メートルの土地を持っているからそれを9億円で売って欲しいとのことだった。しかし、そんな土地も持っておらず、男も異常に熱心のため寺主は、不気味に感じ、男を避けるようになる。唯一、心当たりがあったのはむかしに買った「火星の土地」だった・・・■ 寺主が持っていた 火星の土地権利証 火星の土地の販売サイトを見つけましたが何年から販売しているのか分かりません。検索サイトでも、英語で調べたのですが見つかりませんでした。今度ヤフー知恵袋で聞いてみたいですね。月の販売はどうやら1980年からのようです。■ 月の土地販売は1980年から(アメリカ)月の土地を販売しているサイトよりこのSF短編が描かれたのは1975年です。F先生は、実に5年も前に予測していたのです。驚くべき洞察力ですね。75年という年は、まだ月が話題になっていた頃です。69年が、人類の月面着陸で世界中の話題となりまだ火星など注目されていなかった時代です。そんな時に、火星の土地を「10年前のジョーク」と主人公にいわせているあたりが、未来的思考ですね。やっぱりF先生スゴすぎます。F先生は預言者ともいえますね。さて、28日地球に接近する火星ですがあと、3日に迫りました・・・今夜も、私は外に出ます
2010.01.25
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地球が壊滅、人類滅亡という世紀末パニック映画「2012」が公開されてますね。あれは、空想の話でしょうか・・・または、現実に起こりうることなのでしょうか・・・地球が彗星とぶつかり、人類は助からない!?という藤子・F・不二雄先生のSukosi-Fushigi(すこしふしぎ)なSF短編『箱舟はいっぱい』を紹介いたします。 < ストーリー >両親2人に小さな子供1人の3人家族の大山家に、男が突然やって来る。男は「ノア機構」と名乗り、大山家の父親に「あなたは運のいい方だ。幸運なご家族だ」と話す。天文学的な低い確率から、アトランダムに選ばれたという・・・もちろん、大山には何のことだかさっぱり分からない。その頃、地球に彗星が衝突するという噂話が出てくる。NASAが極秘に宇宙バスを開発し、世界各国が盛んに作っているという。しかし、地球脱出のためのロケットに乗れるのはごく一部の人間だけという不公平さについに、テレビ局の司会者が、テレビで極秘情報を大っぴらに、ぶちまけてしまうのであった。■ 「箱舟はいっぱい」 by 藤子・F・不二雄 ■この作品は74年(昭和49年)に書かれています。これよりも昔に、SF小説(主に海外作品)でも近未来の地球の危機は登場していますのでF先生が最初とはいいませんが、マンガ界ではかなり初期に、現実的な近未来を描いた(予言した)マンガ家かもしれません。さて、彗星が地球に衝突することはあるのでしょうか・・・例えば、アメリカのアリゾナ州にはバリンジャー・クレーターと呼ばれる衝突クレーターがあります。直径1キロ以上で深さ170メートルという隕石による巨大なくぼみです。■ バリンジャー・クレーター in アリゾナ州この衝突は、5万年前といわれていますがこれが今世紀中に・・・あるいは2012年・・・あるいは今年・・・絶対に落ちてこない、という保障はありません。夜空に輝く流れ星だって地球のそばを通った隕石が、地球の引力に吸い寄せられ大気圏で大きく燃え上がっているわけですから。それが、小さいか巨大であるかの差だけです。もしかしたらタマゴンも公園に落ちてくるかもしれません(笑)それにしても、寒いですね。なんだか、風が出てきたようですね・・・
2010.01.16
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子供に「お正月といえば?」と聞けば、きっと「お年玉」と返ってくるかもしれませんね。お正月のお年玉にかけて「落とし玉」と名づけた藤子・F・不二雄先生のSukoshi-Fushigi(スコシフシギ)なSF短編『宇宙(そら)からのおとし玉』を紹介したいと思います。タイトルは、ダジャレっぽいですが内容は、思春期の少年の物語です。 < ストーリー >特に用もない中学生の少年は幼なじみの女の子の家へ行く。玄関で顔をあわせても、そっけない様子。少年は、家に上がるも女の子は、大学生の家庭教師と話が盛り上がっていた。取り残された感じの少年・・・つまらないなあと空を見上げると・・・何か光るものが落ちてきた。場所は公園だった。少年も向かう。小さなまん丸の光る玉だった。少年は、その玉を「タマゴン」と名づけ大事に持つようになる。夜中、突然タマゴンが姿を消す。パジャマのまま、あわてて外へ飛び出すと・・・!?■ 実は、タマゴンは宇宙人だった。 うっかり地球に落ちてしまったという・・・ここまでのあらすじでは「ああ、いつもの藤子マンガのようだ」と驚きは少ないでしょう。ですが、この作品には、悩める思春期の様子がうかがえます。少年が、UFOの話をすると女の子には「子供っぽい」といわれて、態度が冷たい。小学校の頃は、手をつないでいたのに・・・と少年は過去を振り返る。夜中には、女の子が大学生の家庭教師と寄り添っているところを少年は目撃してしまう・・・「話が面白く、金持ちの大学生にはかなわない」と、大きなショックを受ける。しかし、女の子のほうもその家庭教師は、実は妻子持ちで他にも何人も女性がいるプレイボーイだったと知り彼女もショックを受ける。そんな二人の様子を「人生いろいろあって、大人になっていくのだ」と、タマゴンはつぶやく・・・いつもは、「種(話の中心)から、あっと驚く花が咲く」というのが、SF短編の特徴なのですが思春期の子供の内面にスポットを当てたすこし珍しい、心理的物語になってます。少年の子供っぽさを反映させた49歳のおじさんの登場も味があります。これを読んだのが、主人公と同じ年頃でした。あれから、20年も経ちましたがそれでも古く感じず、むしろ別の見方も生まれるSF短編は、私にとってのラジコン(子供と大人の娯楽の同居)なのかもしれません
2010.01.09
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グルメ大国日本は寿司や天ぷらなどを世界に輸出しました。今や世界でも、「スシ」「テンプラ」でそのまま通じる言葉となってます。グルメには美味しさを味わう以外にも様々なスタイルを味わう傾向がありますね。イカ、タコ、エビなどを活きたまま食べる「踊り食い」と呼ばれる食べ方もあります。さて、牛・豚・魚などを食べる人間の食文化ですがもしも、人間が食べられる側に回ってしまったら・・・読んだ人全員に衝撃を与え文化、宗教、思想、哲学の問題に迫り藤子・F・不二雄先生の新たな一面を世に知らしめたSF短編『ミノタウロスの皿』を紹介したいと思います。一生に一度は読みたい短編です。SF短編は、S(スコシ)・F(フシギ)の頭文字ですがShinzui of Fujiko・F・Fujio 『F先生の真髄』とも思っています。100を超える短編の中でも、特に人気があり代表作の中の代表作といえるでしょう。 < ストーリー>○命に関わる緊急事態で、見知らぬ惑星に不時着する男男が乗っていた宇宙船が故障する。そして水も食料も全てが尽きる。到着した星は、酸素がある惑星で命拾いをする。○男は、ミノアという美少女と仲良くなる。この惑星にも人間がいた。男は、可愛いミノアと楽しい生活を過ごすが・・・○恐ろしい真実を聞かされる。この「イノックス星」では、牛の姿をした生き物が、世界を支配しており人間は食用家畜として扱われているのだった。○ミノアも「美味しく食べてもらえること」を誇りにしていた。美味しく食べられるように育つことが人間の生活であった。○男は「それはおかしいのでは」と力説する。牛は草を食べる。人類は牛を食べる。人類は死んで土になり草を育てる。なので、この星での人類(牛)と家畜(人)の立場が違っていても、平等であった。○ミノアが皿に乗るという知らせを聞く。ミノアは、料理されるために、すでに運ばれていた。男は、調理場へ向かうが、時すでに遅し・・・○そして、ミノアは食べられることを選ぶ。ミノアは、体を食べられても、首が残っていれば意識もある状態で、食べる者の声を聞くことができるという・・・そして、ストーリーはこのまま進みその惑星のしきたり通りに事は運びます・・・読後、言葉にならない衝撃に襲われます。けれど、この物語の世界は、マンガだけの話でしょうか。一番下の画像の「首だけが残って耳は聞こえる」ところはまさに人間が生きた魚介類を食べる姿「踊り食い」そのものではないでしょうか。他の生物の命を奪い、それらを食べることに対する私たちの食文化における命題でしょう。善悪の問題など遥かに超えた、思想的問題です。私たちは、何を理由に、誰の権利で、動物の命を奪うのでしょう。殺して食べる習慣もあれば、一方では虐待で罪という規則もあります。この矛盾ともいえる同居は、何が基準になっているのでしょう。そして、私たち人類が食べられる側になった時そこに待ち受けるものは何なのでしょうか・・・こうした疑問は、ほんの一部に過ぎません。十人十色、百人百色・・・いや万人万色でしょう。「ミノタウロスの皿」そして他のSF短編に潜むのは、作者が読者に送る挑戦状です。F先生から「あなたはどう答えますか」と、問いかけられているのです。そして私は、遅ればせながら、今こうしてブログで語らせていただいているのです。藤子・F・不二雄「異色短編集」ミノタウロスの皿に収録されています
2009.12.23
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12月も半ばを過ぎました。新年も、もうすぐですね。「年末」と聞いて、いろいろと連想する風物詩もあるでしょうが私は除夜の鐘を思い浮かべます。「ゴ~オ~オ~オ~ン」と除夜の鐘が鳴り響いて始まるSF短編 『あのバカは荒野をめざす』を今週は紹介したいと思います。 < ストーリー >ホームレスの白髪の男は除夜の鐘が響く夜、駅の中で一人、新年を迎えていた。男は、かつて大会社の御曹司であった。何もかも上手くいくはずだった。男は、除夜の鐘と共に、27年前へタイムスリップする。そして男は会った。27年前の若き日の自分に・・・「それは男の一念」だった。無念、執念、怨念・・・心の中でくすぶるものがずっとずっと何十年も残っていた。タイムスリップは、そこから生まれた。愛も情熱もなくなる大失敗だった27年前の恋愛を自分で自分を止めようとしていた。タイムスリップした未来の自分は過去の自分に、必死に説得する。「行く手は荒野だぞ」と・・・しかし、27年前の自分はもちろん、信じようとはしない。強い情熱を持った若き日の自分はやはり、止められなかった・・・■ 本日の1コマ ■マイケルの"Beat It"から言葉を借りればThe fire's in his eyes and His words are really clear彼の目には燃える炎。そして、彼の言葉はハッキリとしていたこんなところですね。昔の自分は熱かった。初めて、本作品を読み終えた後私は胸の中が熱くなったことを今でもハッキリと覚えています。何度読み返しても、熱さがあります。皆さんは、子供のころ、大なり小なり後悔を繰り返してきたのではないでしょうか。自分自身で決断したこととはいえ「もっと、こうしていればよかった」「どうして、これを選んでしまったのか」「なぜ、もっと早く気づかなかったのか」タイムスリップで、昔の自分に会って「未来はこうなるから、これをこうしなさい」と自分が、過去の自分に説得すれば「はい、そうします」というでしょうか・・・若かりし日の自分は、きっと「自分の選択が一番正しい」と思っていることでしょう。自分同士でも対立が起きることでしょう。それはなぜでしょう。情熱を持った自分がいるからです。だから「あの頃は若かったなあ」と自分が持っていた情熱を思い出すのでしょう。これを読んだときは、私は二十歳でした。SF短篇集をアメリカに持って行ってました。大学時代、今日の日記以上に、熱く語っていました(笑)「みんな、分かるか!このスゴさが!」と語りながら周りに、SF短編を広めていました。これでもエコ活動(?)で、文章は50%以上削ってます。熱血度はかなり抑えています。あぁ、あの頃は若かったなあ~
2009.12.16
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マイケルの新曲の"This Is It"を聴いているとこのような歌詞が出てきます。And I feel as though I've known you since 1,000 yearsAnd you tell me that you've seen my face before.君のことを、まるで1000年も前から知っているように感じるよ。そして君も、ぼくの顔を前に見たことがあると教えてくれたね。1000年とはどれくらいの月日なのでしょうか。どのような状況で1000年を体感できるのでしょうか。それでは今週は「一千年という時間」を取り上げたSukoshi-Fushigi(スコシ・フシギ)なSF短編『一千年後の再会』を紹介したいと思います。 < ストーリー >舞台はタイムマシンの開発に取り組んでいる、はるか先の未来。ジョウというパイロットは愛する恋人と別れ1000年先の未来を目指す宇宙船に乗り込むことを決意する。ジョウの恋人であったウバも同じくタイムマシン計画に自ら参加した。好き同士だった恋人たちが別れ離れた2人は、地球を出て宇宙へ旅立った・・・本日の1コマ愛する恋人と別れ、地球に帰らぬ決意をするジョウ。○タイムマシンがタイトルになっているSF短編「タイムマシンを作ろう」「あいつのタイムマシン」「T・Mは絶対に」(T・M=タイム・マシン)これらから見受けられるようにタイムマシンは常に物語の中心として描かれてきました。「一千後の再会」のように、国を挙げてタイムマシンに挑み開発中だがいつかは完成を目指す、という未来社会では「タイムマシンは脇役」という設定であり数ある短編の中でも珍しいといえるでしょう。右はタイムマシン開発局の人間(おそらく局長)左は、優秀な科学者のウバ。ジョウの恋人。パイロットのジョウと科学者のウバは恋人同士だった。しかし、心理操作により破局させられてしまう。そのことをウバが知ったのは、ジョウと別れて二度と会えなくなる瞬間だった。タイムマシンの開発のように、人間が全身全霊で何かに臨む場合は、心理操作もやむを得ないのかあるいは、何かを犠牲にしなければならないのか・・・こうした、物語の背景に潜む要素が結末を知るだけで終わらない、SF短編の深みであると思っています
2009.12.09
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ブログを始めた頃プロフィールに「コピーロボットが欲しい」と書いていました。知る人ぞ知る、パーマンに登場する道具です。鼻を押すだけで、押した本人にそっくりそのままになってくれるという、身代わりロボットです。ドラえもんの道具でも、似たようなものもありますが必要な時に、いつでもどこでも一瞬で自分の分身を作れるコピーロボットの便利さは、かなりの魅力を秘めてます。ドラえもんのひみつ道具に「人間製造機」なるものもありますが一度作って(生まれて)しまったら自分といえども、死ぬまでずっと2人なのは困ります。それが、もしも3人になってしまったら一体どうなってしまうのでしょうか・・・それでは今週は自分が3人になってしまったSukoshi-Fushigi(スコシ・フシギ)なSF短編『俺と俺と俺』を紹介したいと思います。 < ストーリー >俺は家に帰るところだった。ドアを開け、自分の家に入ると目の前に自分がいた。俺の名前は黒田。目の前にいる男も黒田だった。2人で話を続けるが生活環境は全く同じだった。つまり、『俺同士で俺たち』だった・・・二人は夜中の公園でこっそり会う。子供の頃の話から、自分の話を進めていくも全く同じで、なぜ俺が俺たちになったのか分からずじまいだった・・・話し尽くしてから「ひょっとして」と俺たちは、ある出来事を思い出したのだった。■ 本日の1コマ ■個人的には、本作のような分身はきっと困り事だらけになりそうでずっと苦労が付きまとうような気もしますが黒田の気持ちも変わり、明るく楽しく物語は終わります。私の推測ですが、F先生も「現実的には大変だろう」と思いながらも、そこにスポットを当てるのではなく少しファンタジー的な結末にしたかったのでしょうね。F先生の子供心と遊び心が入り混じったSukoshi-Fantasy なのかもしれません
2009.12.02
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リモコンで命令をし自由に動かせる鉄人が登場・・・藤子F先生はそんな短編を描かれています。そうです。横山光輝さんの代表作「鉄人28号」のパロディです。普通、パロディというと愉快で笑わせるというイメージがありますが本作では、かなり現実的な視点からの描写になっています。それでは、鉄人が登場するSukoshi-Fushigi(スコシ・フシギ)なSF短編『鉄人をひろったよ』を紹介したいと思います。 < ストーリー >日本で極秘に作られていた鉄人はとてつもなく高性能で強力なため海外の組織から狙われていた・・・車で帰宅途中のおじさんは道路の真ん中で倒れている男を発見する。男は傷だらけで、今にも息絶えそうであった。鉄人を巡って、男は命を狙われていた・・・おじさんが驚いていると、突然リモコンを渡された。すると、空の彼方から鉄人が・・・!!訳も分からず、鉄人を預けられてしまったおじさんは、ただ戸惑うばかり。最後に、鉄人を隠すためにおじさんが取った行動とは・・・■ 本日の1コマ ■ひろってきたのは鉄人だった・・・ これには奥さんもたまげた!!おじさん「鉄人を小学校へ寄付するかな。あそこには銅像がないんだ」奥さん 「あんなの校庭に立てて教育効果があるかしら」この話では、鉄人を巡ってこんな夫婦のやり取りが出てきます。場所は小学校ではありませんが神戸市の公園に鉄人は建てられました。教育効果は分かりませんが、経済効果は大いにありました。注目を浴び、大きく頼もしい復興のシンボルとなりました。まさに、事実は小説・・・ いや、マンガよりも奇なり!!■ 個人的に好きなシーン ■月明かりに照らされる鉄人。切ない情景です
2009.11.24
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