私の所属している建設業界では途中入社が多く30代の新人クンいたのだが、これまで新入社員といえば一般的な会社等では高校や短大、大学などを卒業した 20 歳前後の人たちを指したのだが、高齢者の雇用ということで 65 歳定年制の時代を迎え、 60 歳になって雇用延長や再雇用・再就職のために新しいスタートを切る人たちが増えているというのだ。そうした人たちを「 60 歳新入社員」と呼ぶようなのだが、たとえ雇用延長や再雇用によって同じ職場で働き続けるのだとしても、「新入社員」という意識を持てということなのだ、「再雇用」とか「雇用延長」と言うとどうしても今までの延長線上で捉えがちですが、それでも週 4 日勤務等になるとか 1 日の勤務時間が短くなるとかライフサイクルは当然変わってくるのだ。
そこで自分のマインドを一度リセットし新入社員として新たにスタートするのだという意識を持つ必要がるというのだ。同時にこの「再雇用」とか「雇用延長」の人たちの上司になる 30 ~ 40 代の人たちには「年上部下は扱いにくい」といった先入観を持たず、彼らは新入社員なのだという意識でうまくコミュニケーションを取ってほしいというのだ。人事のコンサルタントによると年下上司となった若い人からも「シニアの人たちとうまくコミュニケーションが取れない」という相談を受けることはよくあるそうなのだが、逆に「年上部下」の人たちは昔のように「年下の上司」の部下となることについてあまり気にはされていないそうで、「元の部下に使われるなんてなんてまっぴらだ」と思う人はもうほとんどいないそうなのだ。
それでもこの人事のコンサルタントは「年寄りのほうこそ、気配りをすべき」が持論で、ただでさえシニア社員は使いにくいと思われがちだから、過去の成功体験をふりかざしたり元部長のような振る舞いをしたりするのは禁じ手だといっている。定年後の「再雇用」や「雇用延長」の場合には賃金は 7 割になったり半減したりするのだが、だからと言って働きもそれまでの 7 割や半分でいいと考えてはいけないともアドバイスしているのだ。企業側も一般的に退職時が知識・人脈のピークと言われる「 60 歳新入社員」に、今までどおりの働きをしてもらうために「体は誰でも衰えるもの」ということを考慮して、いかに効率的で疲れずに働いてもらう環境を作るかを考える必要があるというのだ。
たとえばつるつるとした紙に書かれた文字は蛍光灯の下だと反射して見えにくかったり、 30 分も同じ姿勢で座っているのは苦痛だったり、視力や筋力の低下によっていろいろな影響が出てくるものなのだ。スマートフォンやタブレットもシニアには使いづらい面があって、液晶画面上を指でなぞろうとしも反応しにくいというのだ。これは指先が乾燥してしまうからなのだが指先にハンドクリームを塗れば解決するそうなのだ。そういう老化に伴う現象を理解しうまく対応すれば影響を軽減することも可能で、一生懸命やっていても筋力が低下すると何をするにも時間がかかってしまう。そんな状況を自分でも歯がゆく思っているところに「何をやっても遅い」と非難するのは酷だというのだ。
この「 60 歳新入社員」に対して「仕事が遅い」とか「仕事を覚えない」といった言葉は、若手の新入社員に対しての叱責と同じなのだが、その意味合いは随分と違うというのだ。 20 代の新人クンたちが「遅い」のは知識や経験が不足しているからで、「覚えない」のは覚える気がないか覚え方が分からないからなのだが、覚えたけどすぐに忘れる 60 代の新人サンたちとは異なるというのだ。「何度言っても覚えない」というのも記憶力の低下が理由で、これも本人がある程度自覚しているのに指摘すれば怒りを倍増させるだけだというのだ。ビジネスの視点でシニア層を捉える場合には自社の従業員というだけでなく、「顧客であるシニア層にどう接するか」というテーマになるといった視線も必要だというのだ。
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