多くの企業が人材・組織開発における課題を口にするのだが、グローバルビジネスを加速させることのできるリーダーは圧倒的に不足しておりその開発は急務とされている。「変化が必要」という言葉もよく聞くしさらに「最も変化が必要」と感じる項目として、 31 %の方が「組織風土」と回答しているそうなのだ。この「組織風土」とはどういうものなのかということなのだが、ほぼ同等の概念として「組織文化」ということも言われている。多くの人が感じている「変化が必要」と言うことの中には「世の中は変化しているのに、現状と自分たちの考えのズレに気づいていない」といった意見があり、その背景には「このままではうまくいかなくなることに、なぜ気づかないのか」という想いが見てとれるというのだ。
スポーツに関するニュースでは「自分のプレーができれば」といったフレーズをよく聞くし、「自分のプレー」というのは自分が強みとする本来の攻撃や動きが、大事な試合の中できちんと発揮できるということなのだ。また相手と勝敗を争うスポーツでは相手も「自分のプレー」をしようとするのだが、それは同時に相手に本来の「自分のプレー」をさせないようにすることでもあるというのだ。そう考える一方でスポーツに限らず仕事や趣味において、私の「自分のプレー」は何かと考えると意外と難しいので、そんなときはさまざまな人の仕事やプレーを見て「自分とはまるで違うスタイル」や「自分と似ているスタイル」など、自分自身のスタイルが見えてくることがあるというのだ。
意外と自分の強みや特徴は気づきにくいもので、当たり前のようにやっていることであればなおさらなのだというのだ。その「気づかない要因」の一端を「組織文化」というものが強い力を持っているにも関わらず、その「組織文化」の影響を受けていることに人は無意識的になってしまっているというのだ。この性質が「組織文化」の変化を妨げる一因であり、同時に「組織文化」を変えていくヒントでもあるのではないかと言われている。潜在的に影響する「組織文化」を知れば「何を変えるのか、変える理由は何か、どう変えるのか」といった、変化を進める足がかりができるそうで、つまり当たり前になっている自分たちの「組織文化」を認識することは、変化への第一歩だというのだ。
新採職員に対して先輩から「違和感を持ったことは全部メモをしておくといい」というアドバイスをもらったことがある雑誌に載っていたのだが、メモをする理由を尋ねると「初めは違和感を持っていたことも、時間が経つと何も感じなくなってしまう。そうすると、手を打てなくなるから、最初にメモをしておいた方がいい」と先輩は答えたそうなのだ。人は時間とともに組織の文化になじみ組織の「当たり前」を共有してしもうというのだ。通常組織が一体感向上を目指すうえでメンバーが同じ文化を共有することは欠かせないことだとされているのだが、ただそうなるともはや「組織文化」は考えの「前提」となるため、「変化が必要」という項目にわざわざ話題に出すことが少なくなるというのだ。
同じ文化の中にいる人との対話をきっかけに「組織文化」の認識に至るのは難しいことなので、全く違う文化の中にいる人と話すことは当たり前になっている「組織文化」を認識するうえで効果的と言えるそうなのだ。さまざまな組織の方が同時に参加しているところでは、参加者のひとりが、「部下と 1 対 1 の面談を毎週していて」というと、それを聞いた別の参加者が驚きながら「うちの会社では、半年に 1 回が当たり前です。面談をそんなにたくさんやるものとは思っていませんでした」といったそうなのだ。ある組織では「当たり前」でも、別の組織では「想定外」の出来事になり、自分と違う文化を持った人と話すことで自分が暗黙のうちに受け入れていた文化がどんなものかを気づかせてくれるというのだ。
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