官房長官が「地方選挙だ」としている東京都議会選挙が終わり、東京都議選の開票センターが設置された東京都永田町の自民党本部に歴史的大敗の見通しが伝えられると、幹部や職員は沈痛な表情を浮かべ会場には重苦しいムードが漂っていたという。自民党の歴史的大敗は安倍政権に打撃で「安倍 1 強」で推移してきた政局の流動化は避けられない情勢だ。選挙というと街頭演説が行われるのだが、土曜日に行われた都議会の選挙における各党首等の街頭演説では、今回の都議選では初めてとなる街頭演説を秋葉原で行った自民党の安倍総理なのだが、安倍首相の退陣を求めるグループが陣取って「安倍やめろ」のコールを始め、その後警察官ともみ合いになるなど周囲は一時騒然となったという。
躍進するとされていた 都民ファースト代表の小池都知事は渋谷区で「これまでの都議会、昔ながらの議会がずっと続いていた」と強調し議会改革の必要性を訴えた。 都民ファースト会の候補には医師や弁護士ら多様な人材が集まっているとし、「都議会のスキルを上げることが都庁職員の刺激になる。どんどん提案する議員を選んでほしい」と呼びかけた。その都民ファースト会と選挙協力をしている公明党の山口那津男代表は調布市で「小池都政を議会側で支える実力があるのは公明党しかない」と演説し、小池都知事が率いる都民ファーストとの連携を強調したそうなのだ。その上で私立高校生向け奨学金の拡充などの都の政策について、小池都知事とのパイプを生かして実現に関わった実績としてアピールしたそうなのだ。
民進党は都議選の争点の中に森友学園問題や加計学園問題を盛り込んだ。有楽町駅前で野田佳彦幹事長と安住淳代表代行が演説を行なって安倍政権を批判し、「本当に安全保障を考えるなら、稲田防衛大臣を大臣にしたらいけないと思う。なぜ大臣にしたか。それは安倍首相が稲田さんを防衛大臣にすれば、それまで唯一の女性の防衛大臣だった小池さんに威張られなくてすむと思ったからではないか」とか、「萩生田さんは選挙で負けている。その時に加計学園の千葉科学大学の客員教授になって毎月 10 万円ずつ給与をもらっていた。 3 年で 300 万円以上になる。毎月 10 万円、何百万円ももらっていて、その恩を忘れるはずがない。まさに官邸ぐるみ、加計ありきで行政が私物化された」などと語っていたという。
また民進党の蓮舫代表も三鷹市での演説の冒頭から加計学園問題に言及。「行政がゆがめられたのか、どうなのか。調査のために国会を開いてくれと何度も言ってきた」とし、応じない政権を批判。「稲田朋美防衛大臣の発言、絶対許しちゃ駄目だ。いつから自衛隊は自民の応援部隊になったのか」と稲田氏の失言問題も取り上げたという。演説開始直後は人も少なかったがそれでも演説が進むにつれ聴衆の数は増えていたが、民進党が自民党の受け皿になるまでまだ先は長いようだ。その一方で共産党は勢いを見せていたというが、墨田区で演説した共産党の志位和夫委員長は「安倍政権のやっていることは日本という国の私物化だ」と述べるなど、政権批判に多くの時間を割いたそうなのだ。
現有の 17 議席にさらに積み増したい共産党の小池参議院議員も、学校法人「加計学園」を巡る問題にも触れ、「加計疑惑では安倍首相のお友達が次から次に登場し、ますます深刻になった」と言葉こそ控えめだが追及の必要性を訴えていたそうなのだ。共産党が自民党から逃げた票の受け皿になりつつあるのだが、小池ブームに乗って高い投票率もあり、共産党にとってさらに有利な状況になるかもしれないとされていたのだ。自民党は戦々恐々として党内ではポスト安倍を狙った戦いも始まりつつあるという。都議選の結果を受けた夏以降の政局はどうなるのかなのだが安倍首相は、内閣改造によって逆風を乗り越えられると思っているようだが、ひょっとして「カウントダウン」はすでに始まっているのかもしれないのだ。
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