国家戦略特区での獣医学部新設をめぐり安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」に事業者が絞り込まれた経緯について、内閣府は民進党調査チームの会合で議事録について内閣府の塩見英之参事官は「内部での議論だったため、記録は取っていない」と回答したそうなのだ。内閣府側に記録がなければ獣医学部新設をめざしていた京都産業大が選ばれなかった経緯は検証できず、7月中にも開かれる見通しの国会の閉会中審査で焦点になりそうだという。調査チームは萩生田光一官房副長官に対しても「学園傘下の大学で客員教授を務めた経緯」などに関して事前に公開質問状を送付し、今回の会合で説明するよう求めたが萩生田光一官房副長官出席せず文書での回答もなかったという。
民進の国会議員からは「加計ありきだ」といった批判が集中したのだが、特区担当の山本幸三地方創生相が国会で加計学園が獣医学部を設置する愛媛県今治市の提案について「京産大が学部新設を計画していた京都府の提案よりも熟度が高いと判断した」などと答弁していることから、民進調査チームは「熟度」の基準やそのことを検討した際の議事録などを示すよう求めていたそうなのだ。塩見参事官は「専任教員の確保」・「鳥インフルエンザなどの水際対策」といった3項目を熟度の基準に挙げ、今治市の提案は京都府より「早期実現性が高いと判断したと説明したそうなのだが、判断については「それぞれの提案書を見比べて議論した」と述べて合理的な判断だったことを強調したそうなのだ。
議事録などの記録については「内部の議論だったので記録は取っていない」と答えたが、民進党の桜井充参院議員は「水際対策の実績がある京都府の提案がなぜ落とされたのか。加計ありきで中身の議論をしていない」と批判したうえで、再度記録が残っていないか改めて調べるよう求めたという。自民党は学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画を巡って野党 4 党が求めていた閉会中審査に応じる方向で調整に入っており、これまで拒否していたが東京都議選の歴史的惨敗を受け「国民の批判に謙虚に対応する」と軟化したそうなのだ。野党は国会の審議では加計学園問題で文部科学省に働き掛けたとの疑惑がある萩生田光一官房副長官ら安倍晋三首相の側近に照準を合わせていると言われているのだ。
もっとも私の住んでいる愛媛県今治市では去年秋の菅市長の発言が注目されており、「安倍総理の強いリーダーシップをもってやるから安心してほしい」と周囲に語っていたというのだ。市民団体「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦・共同代表は、「『総理が動いている』という市長発言は市内で広まっていますし、市の文書にも『総理・内閣主導』と明記されています」と、市企画財政部が作成した議員協議会資料「国家戦略特区の制度を活用した取組の進捗状況について」を示しているという。今治市の公文書では国家戦略特区を説明するページに「『総理・内閣主導』の枠組み」と太文字で書かれているそうなのだ。中村時広愛媛県知事も内閣府から国家戦略特区申請の助言があったことを改めて認めているそうなのだ。
また学校法人「加計学園」の愛媛県今治市での獣医学部新設問題に関連し、安倍晋三首相の友人である愛媛県選出の塩崎恭久厚生労働相は日本記者クラブで行った講演での質疑応答で、獣医学部や獣医師を増やすべきだとの考えを示しているというのだ。この席で「愛媛県で獣医学部ができれば医療業界の国際競争力が高まるか」と問われた塩崎恭久厚生労働相は改めて医師を増やすことの必要性を述べた上で、「鳥インフルエンザが典型だが、人間にうつって、抗生物質が勝てないことが十分ありえる」と指摘したうえで、そうした事態に対処するための研究開発を担う獣医師が必要とし、「医学部も増やした方がいい。ニーズはある。獣医学部も同じ」と述べ安倍晋三首相の考えを支持したそうなのだ。
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