法案に対する賛否はもちろんあって当然なのだが、原発推進派がよっぽど自信がないのか国会で審議さえしないという対応は私にはまったく納得できないのだ。自民党の審議拒否にあって国会の経済産業委員会に付託されたにもかかわらず審議すら行われていない原発ゼロ基本法案だが、審議時間は十分にあるのに適正な手続きで提出された議員立法を審議すらしないのはどう考えてもおかしいことなのだ。東京電力福島第一原子力発電事故から 8 年以上が経過したのだが、野党4党が国会に提出した「原発ゼロ基本法案」が一度も審議されないまま、丸1年を迎えているというのだ。これから4月の統一地方選や今夏の参院選を前に「脱原発」の争点化を避けたい与党が審議入りを拒み続けているというのだ。
私は3月11日に伊方原発再稼働中止のデモに参加してきたのだが原発ゼロはリアリズムであり、原発ゼロを決断することこそが大切だと思っているのだ。そこで衆議院に提出されている原発ゼロ基本法案は昨年の 3 月に国会に提出されたそうなのだが、自民党は野党の審議拒否を散々非難しているが、野党の強い要求にもかかわらず全く審議されないまま昨年の昨年の通常国会は閉じられたという。聞くところによると原発ゼロ基本法案を所掌する経済産業委員会では、政府提出法案の処理がすべて終了して時間は十分にあったにも関わらず、委員会の開催と法案審議は拒否され続けられたというのだ。野党は時間がありながら議員立法を審議しないことこそ究極の審議拒否だと非難している。
「リスクを考えれば、原発に合理性がないことは、はっきりしている」と東日本大震災当時に官房長官だった立憲民主党の枝野幸男代表は被災地視察後に宮城県名取市で語っている。原発ゼロ法案は施行後5年以内に全原発の運転を止めることや、電力供給量に占める再生可能エネルギーの比率を2030年までに4割以上に高めることなどを盛り込むが、昨年3月に立憲民主党だけでなく野党4党が衆議院に共同で提出している。原発推進の安倍政権との「対立軸」として野党共闘の目玉に据える狙いがあるが、多数を占める与党が野党側の求めに一貫して応じていないのだ。「自民・公明が審議拒否して葬り去ろうとしている」と国会内であった民間団体など主催の集会で菅直人元首相が与党を批判しているという。
今国会では初の国会の経済産業委員会が開かれ、中小企業の災害対応力の強化や円滑な事業承継を促す中小企業強靱化法案など政府提出法案の審議が本格化するそうなのだが、国会の経済産業委員会の自民党議員は野党の反対する案件がないこともあって、「あんまり早く政府提出法案の審議が終わると、やることがなくなる。野党に原発ゼロ法案を審議しろと言われると困る」と漏らしているというのだ。しかも話し合いを拒否するのは政治の世界だけでなく、経団連の中西宏明会長は自ら必要性を訴えていたエネルギー・原発政策に関する国民的な議論をめぐり、「原発反対だという感情的な反対をする人たちと議論をしても意味がない。絶対いやだという方を説得する力はない」と語ったというのだ。
原発の早期再稼働を求める立場から国民的議論を呼びかけた経団連の中西宏明会長は脱原発を求める民間団体から公開討論を求められたのに対し、「反原発を通す団体で議論にならない。水と油だ」などとして断っている。また「原発と原爆が結びついている人に違うということは難しい」とも発言し釈明している。定例会見でも経団連の中西宏明会長は記者団から「東日本大震災以降に原発に関する国民の意識が変わったのでは」と問われたのに対し、「再生エネルギーの技術開発が失敗したらどうするのか。いろんな手を打つのがリーダーの役目だ」と指摘し、野党共闘の目玉に据える狙いがある「原発ゼロ基本法案」が多数を占める与党が野党側の審議を求めに一貫して応じていないと同じように議論さえしない考えだという。
キーワードサーチ
コメント新着