老後の生活費として年金以外に 2000 万円が必、という 金融庁のレポートが話題になっているのだが、還暦を迎える人たちの貯蓄状況はどうなのかということである生命会社が還暦を迎える 1959 年生まれの男女 2000 人を対象に、インターネットで行われた調査によると現時点での貯蓄額は平均で 2956 万円となったという。ただしこれは一部の人が平均を大きく押し上げているそうで、 1 億円以上と答えた人が 8 %いた一方で 2000 万円未満の人は 67 %に上ったというのだ。さらに 4 人に 1 人は「 100 万円未満」と回答しており、貯蓄格差が開いたかっこうだ。また夫婦 2 人の世帯では平均額が 3223 万円と高いが、金融庁のレポートを背景としてか還暦を迎えても働き続けたいという人は 8 割以上におよぶという。
麻生金融相は記者会見で「高齢者の生活は極めて多様。平均値で出すことに無理がある」と指摘しているが、この夫婦の老後資金に関し「 30 年間で約 2000 万円が必要」とする試算の根拠は厚生労働省が 2 月に審議会で提示しているそうだが、麻生太郎副総理兼金融担当相は「政府の政策スタンスと異なっている」として報告書の受理を拒否したという。実際には従来の政府の考え方を踏襲したもので資料を示したのは厚労省年金局の課長だそうで、老後資金の確保のために公的年金を補完する手段として個人年金の意義を紹介したという。総務省の家計調査を元に高齢夫婦無職世帯の現在の収入・支出状況の資料を示し「実収入 20 万 9198 円と家計支出 26 万 3718 円との差は月 5.5 万円程度となっている」と説明したというのだ。
これに対し民間委員からは公的年金の給付水準が今後は低下することを踏まえ「試算にある社会保障給付の 19 万円は、団塊ジュニア世代から先は 15 万円ぐらいまで下がっていくだろう。月々の赤字は 10 万円ぐらいになってくるのではないか」との発言があったという。厚生労働省年金局の課長は社会保障審議会企業年金・個人年金部会でも同様の説明をしており、「 5.5 万円不足」の議論は厚生労働省の従来の考え方を繰り返したにすぎなかったことが分かるという。金融審の報告書は老後の備えに「自助努力」を求めた点も批判を浴びたているが、社保審部会の配布資料でも「企業年金・個人年金制度に関する主な検討課題」の一つとして「働き方や勤務先に左右されない自助努力を支援する環境の整備など」を挙げている。
年金への不信と相まって批判が噴出したことから麻生太郎金融担当大臣はこの報告書を「受け取らない」と表明したが、ちなみに麻生金融相は報告書の発表当時「 100 歳まで生きる前提で退職金って計算してみたことあるか、オレはないと思うね。今のうちから考えておかないといかんのですよ」と余裕の発言をしていた。麻生金融相に余裕があるのは当然で、祖父は吉田茂で義父は鈴木善幸でどちらも元首相であり、実家は福岡で約 80 社を束ねる「麻生グループ」の御曹司なのだ。政界のなかでもトップレベルのセレブといえるのだが、麻生金融相のセレブエピソードでは 1976 年のモントリオール五輪にクレー射撃の日本代表として出場しているのだが、クレー射撃は始めるまでに 200 万円ほどの費用がかかるというのだ。
また「ホテルのバーは安くて安全」というように特に目を引くのが飲み会代で、年間の飲み会代は約 2000 万円とされ、金融庁の報告書で明記された老後に必要な資産も 2000 万円など麻生金融相にとっては 1 年間の交際費用にすぎないという。かつて政治評論家が収支報告書について「豪放磊落ぶりがうかがえます。金に糸目をつけないとまでは言わないが、気にしながら使うタイプではない。ともかく政治活動費の支出が非常に活発で、飲食は高級店が多い。どんなに遅くても、少しの時間でも毎日のように行く特定の店がある。昔の大物政治家によくいたタイプです」と語っているが、不動産だけでも合計で推定 40 億円と言われる麻生金融相に庶民が抱える「老後の不安」などとうていわかるはずもないということのようなのだ。
キーワードサーチ
コメント新着