本当は個人型確定拠出年金「 iDeCo 」や少額投資非課税制度「 NISA 」などを PR するのが目的の 1 つだった問題の報告書だが、金融機関に対しても「手数料やリスクが高い商品を売るのではなく、安全なものを提供しなさい」と提言しているという。金融機関の人たちが審議委員として集まり厚生労働省でなく金融庁が報告書をまとめたえあけなのだが、この手の報告書は来年度の予算の獲得を狙っているためこの時期に出ることが多いそうで、金融庁の担当者としては財務省に宣伝広報予算を請求したかったのだという。その意味では老後資金が不足しているという年金の話はあくまでもイントロ扱いだったというのだが、そこに注文がついてしまい「蛇足でした、ごめんなさい」と謝ることになってしまったというのだ。
もともとは総務省の家計調査からの資料では高齢夫婦無職世帯と言われる夫は 65 歳以上で妻が 60 歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な収入と支出を紹介し、支出の方が約 5 万 5000 円多いことを示しているのだが、無職年金世帯は毎月の赤字が約 5 万円となり「定年後に夫婦で 95 歳まで生きる場合には約 2000 万円必要」という結論を導き出されるという。この報告書を読むとしばしば「赤字」とか「不足」という表現を使っているが、実際には無職高齢者世帯には資産家もいてその人たちが支出の平均を押し上げている面もあって、それを「赤字」や「不足」と表現してしまったところがそもそもの間違いで、おそらく厚生労働省などから受け取った資料をそのまま使ったというのだ。
そもそも「年金は、預貯金よりも得ですか」ということなのだが結論から言うと得だそうで、「年金を払わずに、貯金したらいい」と思うかもしれないが、保険料等の掛け金を払っていないと高齢になっても年金は受け取れなくなるのだ。年金を支えるための税金は取られているそうで、年金額の半分は税金なのだから払わない人は「年金問題から逃れた」と思っているかもしれないが、実際には支える税金は納めているので入らないと大損なのだという。個人差はあるが年金というのは 65 歳から受給するとして何年くらい受給できたら元が取れるのかというと、国民年金だと 74 ~ 75 歳で厚生年金だと 75 ~ 77 歳くらいまでもらうと元が取れる設計になっており、つまり 65 歳から 10 年前後もらうと元が取れる設計だという。
若い世代は年金制度が存続したとしてももらえる額はかなり少なくなってしまうという諦めがあるそうなのだが、確かに今後は減額されて今の高齢者並みにはならないとされるが、おそらく現在の高齢者の 2 ~ 3 割減で落ち着くんじゃないかなといわれているそうなのだ。将来の受給額がどうなるかは今後の経済成長率や年金改革の行方次第なのだが、若い世代に対して「このくらいの経済成長だったら、このくらいの受給額になる」としっかり示すべきだという。受給額が多いとか少ないというより分からないことが不安を広げている面が大きいと言われているし、平均に惑わされることなどないように一番大事なのは、まずは個々人が日本年金機構から郵送される「ねんきん定期便」の内容をチェックすることだというのだ。
昔から「一人口は食えぬが、二人口は食える」といわれてきたのだが、 1 人で暮らしていた人が 2 人暮らしになっても生活費は 2 倍もかかないことから結婚も年金には重要だという。もっともキッチンや風呂が 2 つ必要なわけではないとはいえ、節約のために結婚するのもどうかと思いますが有効な方法とは言えるそうなのだ。そして 30 代後半くらいまではそれほど貯金のことは考えなくてもよく、むしろ一番いい投資は自分のことにお金をかけることだという。少なくとも 30 代半ばまでは自分が一番利回りのいい投資対象のはずなのだが、本当は税理士やファイナンシャルプランナーに一度有料でも相談に行くことをお勧めで、そのうえで運用する際に一番重要なのは自分にとってどのくらい税に影響を与えるかというのだ。
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