台風19号は関東や東北などの広い地域に被害をもたらしたが被災地が分散しており、復旧・復興に各地で多くの人手が必要でその力になるのがボランティアだという。多くの場合は地元自治体の社会福祉協議会などが中心になってボランティアセンターを設けてボランティアを受け付けるが、同時に泥かきや浸水家具の片付けなど被災者ごとに異なるニーズを整理し、ボランティアに役割を割り振る形が一般的だという。混乱している被災地ではすぐにボラセンを開けないこともあって、特にボランティアの経験が少なく自己完結型の活動が難しい人は、現地の受け入れ態勢が整っていない段階で行っても効率的な活動ができず、逆に現地の負担を増やしてしまうこともあることから、まずは受け入れ態勢が整うのを待ったほうが賢明だという。
ボランティアは自分ができることをすればよく、泥かきなどの力仕事ができなくても掃除や炊き出しだけでなく足湯に避難所の運営支援といった役割もあるという。長期的には被災者の話し相手や仮設住宅などでの生活支援をNPOなどが募るケースもある。無理をしては逆に被災地に負担をかけることになりかねないから、自分ができる役割を考えそれに沿った備えをしていくことが大切だという。被災家屋で泥かきや家具の運び出しなどに携わる場合は、安全と衛生面に気をつけ、ヘルメットやとがったものを踏んでも大丈夫な長靴があったほうがいい。泥は様々な汚れを含んでいるため感染症の危険もあるためマスク・長袖長ズボン・ゴム手袋といった肌やのど目を守る装備が必要だし、床下や停電家屋での作業にはライトも役に立つという。
被災地は観光や流通の滞りで経済的なダメージを受けることも多いことから、稼働しているにもかかわらず空きが多いようなら被災地の宿や店を使うのも支援になるという。これらの準備はいずれも被災地に入る前にできる限り済ませるのが鉄則で、そのためにも報道やインターネットなどで事前に十分な情報を集めて被災地が求めていることの中で自分にできることは何かということを知り、そのために何が必要かを考えておくべきだという。ボランティアが活動するときは疲れている被災者の負担にならず傷つけることのないよう心がけたい。それと被災地からは「ボランティアが足りない」との声が上がっているそうで、各地で災害ボランティアセンターの運営を担う 全国社会福祉協議会は多くのボランティアの協力を求めているという。
全国社会福祉協議会によると現在までに少なくとも約 8 万人が活動したというが、平日の人出は昨年の西日本豪雨と同じ規模だが今回は 100 を超える自治体がボランティアセンターを設置しており、 1 カ所あたりの人数が手薄になっているという。現地で活動する団体によると福島県いわき市では土砂が入った家が多く清掃や泥かきの支援を望む声が多いが、人手が足りない状況が続いているという。窓や玄関を泥に塞がれたままで手をつけられない家があるが、これは原発事故等の影響で福島県に来るボランティアがそもそも少ないからだという。関係者は「ボランティアの絶対数が少なすぎる。本音を言うと 1 日 100 人の人手は欲しい」と語るが、マンパワー不足は深刻で被災者の生活再建を阻む要因にもなっているそうだ。
今回の台風19号の被害では全国的にボランティア不足は新聞の記事にもなるくらいで、なぜボランティア確保が難航しているのかというと、担当者が理由に挙げるのが報道量の差も大きいという。福島県内は氾濫した阿武隈川流域の被害を伝える報道が多く阿武隈川から離れた地域は報じられる機会が少ないからだというが、ボランティア不足を訴える声は阿武隈川流域でも聞かれ、 7 人の犠牲者が出た本宮市の地元のボランティア関係者は「休日は数百人が来ているが、被害規模があまりにも大きすぎてまだまだ人手は足りない」と語っている。また今回の被災における支援ではボランティアが集まりやすい週末に悪天候が続いたこともあるうえ、学生が長期休暇を取りにくい時期であることも逢い供していると言われている。
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