今年は景気や暮らしに広く影響しそうな行事や制度改正が多く控えるそうで、「近年になく不透明な要素が多い 1 年となる」とファイナンシャルプランナーの深野康彦氏は予想するが、理由は重大イベントの多さだという。海外では米大統領選や英国の欧州連合離脱の行方が注目され株式や円相場の変動を通じて個人の資産形成に影響を与える模様で、まず 1 月末には英国の EU 離脱の期限がくるが、昨年 12 月の総選挙で大勝したジョンソン英首相は公約通り離脱を実現させる見通しだとされている。その後に控える貿易協定交渉は難航が必至で、無秩序な離脱に近づくリスクを市場は警戒しているという。 2 月には米大統領選の候補者選びがアイオワ州党員集会を機に本格化し 11 月の本選まで長丁場の戦いが続くというのだ。
そのトランプ米大統領への弾劾裁判は 1 月中にも始まるが、摩擦が続く中国に対する政策に影響するだけに米大統領選の行方は市場の最大の関心事となっている。年末には米国の株価が最高値を更新するなど日本を含め世界の株式相場は足元で堅調だが、こうした国際情勢によっては波乱含みとなるといわれているし、投資家がリスク回避姿勢に傾けば安全通貨とされる円が買われ円高は日本株売りを誘う要因になり、トランプ政権が大統領選に絡んでドル安誘導策に動けば円高・日本株安が加速しかねないというのだ。株式や投資信託に外貨資産を持つ人は海外情勢をよく見極めなければならないし、円高は輸入物価安という恩恵を家計にもたらす一方で企業収益の悪化を通じて賃金動向にマイナスに働く可能性も高いという。
米国の金融政策も要注目だそうで米国の金利動向は日本の家計と無縁ではないとされ、株価や為替相場を左右するほか日本銀行の政策判断にも影響を及ぼすという。米連邦準備理事会は昨年の 12 月に利下げを見送ったが、米中摩擦や相場変調が実体経済を下押しするようだと追加利下げの思惑が市場で広がるかもしれないという。大和総研の橋本政彦シニアエコノミストは「日米の市場金利は連動性が高まっている」と指摘しており、住宅ローン金利や住宅価格への影響は大きいとみているそうなのだ。 7 月に開幕する東京五輪は訪日外国人を中心に消費を喚起しそうだが閉幕後は反動減が心配されており、国内景気が減速して株価だけでなく金利や賃金の動向に悪影響がないか注意する必要がありそうだという。
国内ではポイント還元制度をはじめとする景気対策が期限を迎え、家計の負担はじわり増えそうだ。家計の負担増につながる要因として消費増税に合わせて政府が導入した景気対策が相次いで期限を迎えるのだが、中でも大きいのがキャッシュレス決済のポイント還元制度で、現在は小売店・飲食店などで 5 %等の還元は消費増税の痛みを和らげているが、この制度が今年の 6 月末に終了するという。また自動車税は環境性能割で適用される 1 %分の税率軽減が 9 月末で期限となるし、住宅ローン減税では控除期間が本来の 10 年から 13 年に延びたが期限は 20 年末となっている。それより入居が遅れると控除期間は 10 年になるというなど、家計は消費増税の負担を 1 年ほど遅れて実感するようになりそうだというのだ。
家計の負担増につながる要因は他にもあって高所得の会社員が影響を受けるのが「給与所得控除」の見直しで、年収が 850 万円を超えると所得から差し引ける控除の額が頭打ちとなり税負担は増すという。通勤手当など勤め先から支給される手当を削られる人も出てくるかもしれないし、 4 月以降は「同一労働同一賃金」が義務化され不当な待遇差が禁じられる。パートなどで働く人にはプラスだが正社員の手当縮小により待遇差を縮めようとする企業もありそうだというが、賞与頼みだと賃金の減少や税・社会保険料の増大に対して抵抗力が弱いからだ。特に毎月の支出や住宅ローンの返済を賞与に依存する家計体質は改善する必要があることから、幅広い資産に少額ずつ積み立てるという基本が例年以上に大切になるだろうという。
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