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2005.10.27
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大学の話をしましょうか

~中公新書ラクレ~

 インタヴューをもとにした本です。聞き手は中央公論新社の名倉宏美さん。
 本書は、[学生論]、[大学論]、[研究者・教育者・作家]の三部構成です(いくつか、過去に森さんが書かれた文章が紹介されています)。
 私は今年で、学生生活が五年目になりますが、ごちゃごちゃしているなぁ、と思っていたところがいろいろ指摘されていて、納得しました。実情がごちゃごちゃしているんだなぁ、という点に納得した、ということですが。~学研究科、という組織の名称が、無駄に変更されたり(ということは、従来あった名前が消される、ということですね)、長くなったり、結局なにをしているところなの、とよく分からない状況になってきているようです。私が現在所属している大学のある研究科も、名称が変わるという話をちらっと聞きました。もしそうなると、無駄に肩書きが長くなります…。もっとも、研究科のレベルで文学部・法学部・経済学部の壁(?)をとりはらって、特に手続きしなくても、他学部の授業をとって単位がもらえるというシステムは、なかなかよいと思います。学部の頃は違う大学にいたわけですが、他学部の授業をとるには、手続きがいったような…。
 以上、第二章を読んで感じたことを、思うままに書いてみました。
 第一章では、学力の問題が取り上げられますが、森さんは、「学力」とはなにかを論じることが大切だ、とおっしゃっています。「ゆとり教育」をして、「心のゆとり」が増えているとしたら、それは一つの成果ではないか、というのです。仮定になっているのが、面白かったですね。私は「ゆとり教育」を受けている子供たちとほとんど接触がありませんし(少なくとも、「心のゆとり」があるかどうか、これはそもそも分かりにくいことだと思いますが、それが増えているかどうかを知るほどの接触はありません)、「ゆとり教育」の、そういう側面の是非を言える立場にはありませんが、結局文部科学省の方針(中央教育審議会という方が正確でしょうか)が中途半端だった、ということでしょうか。「学力の低下」が叫ばれていることについて、ここで森さんは、「好意的に考えることができない」のはなぜか、と問い、「マスコミが危機感を煽ろうとしているからでしょうか」と仮説を述べていらっしゃいますが、そういう側面もあるのでしょうけれども、「政治家」「官僚」「お上」に対する批判という面もあるのでしょう。
 そう、お酒を飲んで大暴れでも泥酔でもなんでもよいですが、あとで振り返って「恥ずかしかったな」と感じる「大人」がいるとして、その人がまた別の機会に大酒を飲んで「恥ずかしい」と後から思ってしまうようなことをしでかしたとします。はたしてその「大人」に学習能力があるといえるでしょうか。「学力」をつけてもらってきているといえるのでしょうか。私はお酒が苦手なので、最近は飲酒を強要してくる方がまわりにいないので苦労していませんが、馬鹿みたいに酒を飲んでいた集団の話を最近聞きましたし、自分は酒を強要されるような経験はなるべくしたくないなぁ、と思っているので、お酒を例にあげましたが、別に例はなんでもよいです。ちなみに、私は自分自身に十全な学習能力があると思っていません。ですから、むやみに「学力低下」を非難する資格は、自分にはないのだろうな、と感じています。それでも、円周率が「ほぼ3」だか「約3」だか忘れてしまいましたが、おおざっぱにされたことには非難の気持ちを抱いたものです。実際問題、日常生活で円周率を使うことはめったにありませんし、単純計算は機械がしてくれるようになっていますから、合理的になってきた、と評価できるのかもしれませんが。
 学習指導要領を見てみたのですが、「生きる力」をのばそう、ということで、「ゆとりある教育」をしよう、と動き始めたのですよね。最近では、逆の方向に(ゆとりをなくさせる、という意味ではないでしょう)動いているようですね。

 研究費について話しているところでもふれられていましたが、本当にこれからする研究に、成果があるかどうかは分かりません。そもそも、どういう成果がえられるかを実証するために、研究するというものでしょう。なのに、「実績」「成果」の見込みのある研究が優先される傾向にある。こういったことも指摘されています。
 あとはもっと単純に面白かったこと(興味深かったこと)を書いておきましょう。
 入試要綱は、大学の先生が作成されるのだそうです。事務じゃないんですね。
 最後に載っている、「思い出は全部綺麗です」を読んでいると、『工学部・水柿助教授の日常』を思い出さずにいられませんでした。
 案外速く読了できました。興味深かったです。





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Last updated  2005.10.27 22:49:15
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