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2007.03.07
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家族場面

~新潮文庫、1997年~

 7編の短編が収録された短編集です。順番に紹介していきます。
「九月の渇き」は、首都圏で数ヶ月雨が降らず、人々の生活がおかしくなっていくという話です。水が値上がりするのはもちろんですが、徹底した節水あるいは断水のため、いろいろ不便が起こります。料理や食事も大変でしょうに、本作では排泄物の方がやたらクローズアップされていました…。筒井さんの短編では割とそういうのが多いですが、このあたりにはなかなかなじめません(なじむのも危険な気がします…)。とまれ、なんというか、シュールです。その感じは嫌いではありません。
「天の一角」は、死刑制度自体は廃止しないものの、死刑の執行は被害者の遺族に委ねられるようになった社会で、はじめて遺族による死刑執行が行われる際の様子を描いています。その様子を、その場面に立ち会わない人画面外から傍観しながら、いろいろコメントをつけるのですが、その場面外の部分が「天の一角」です。本書の中でも、私の中でお気に入りの一編です。死刑を遺族が執行するという設定で物語を書いたら、なんてちょっと考えたことがあるのですが、やっぱりそういう作品は既に発表されていますよね…。ここで興味深かったのが、多くの遺族は執行を自分ではしようとしない、ということ(そういう設定になっていること)。自分の立場に置き換えたときに…と考えると、難しい問題です。
「猿のことゆえご勘弁」。猿が芸をしています。妙なノリで楽しいです。…痛烈な風刺も織り込まれていて、タイトルとその設定のうまさにも面白さを感じました。
「大官公庁時代」人口の6割が公務員になった社会のある役場が舞台です。痛烈な公務員風刺ですね。
「十二市場オデッセイ」。商科大学4年生が、卒論執筆のために12の商店街を練り歩き、論文にすべき問題点を発見しようとしていたところからはじまります。この世界では商科大学の学生の多くがやけにどもっているのですが、「知性の証とされるスピード言語の競いあいが極限に達してこうなったとも言われる」とあります。風刺というか、なんだかずっしりと重い感じがします。筒井さんの毒舌や痛烈な風刺、ブラックユーモアが好きでいろいろ読んでいるわけですが、ときどきなれない部分が出てきます…。
「妻の惑星」おれの妻が、おれ自身の悪口や妻の悪口を繰り返していた「軽口」女であるおれの母に復讐する話。妻の取り巻きの男たちが、おれの母親の声帯を奪い、法廷を模した部屋で、母の過去のひどい言動を暴露します。まったく、ひどい義母だと思いながら読むのですが、妻自身も非難の対象となっていることに気付かされます。少なくとも、私はそのように思いました。ラストもすっきりしていて、「天の一角」と並び好きな作品です。


   *   *   *

 久々に、ちょっと日記じみたことも。
 昨日から就職先での研修がはじまり、明日からすぐに実地研修に移ります。さすがに、修論提出後のペースで本を読んだり感想を書いたりはできなくなりますが、ぼちぼち読書もして、感想も書いていくつもりですので、今後ともよろしくお願いします。





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Last updated  2007.12.05 07:05:23
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 なにぶん…

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