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2007.08.12
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~講談社ノベルス、2007年~

 QEDシリーズ初の連作短編集です。では、簡単な内容紹介と、感想を。

「九段坂の春」
年代)1981年(昭和56年)
主要人物)桑原崇(九段坂中学2年)
事件)女医殺害事件、桜の枝で首を刺された男
事件概要)千鳥ヶ淵で同級生の桑原崇と偶然出会った鴨志田翔一は、その直後、桜の木の下で、彼に桜の花を突きつけてくる酔っぱらいに出会う。その酔っぱらいが、とつぜん血を吐いて、絶命したのだった。
歴史上の謎)『万葉集』巻第一・20-21番、額田王と大海人皇子の、「蒲生野の唱和歌」。


「北鎌倉の夏」
年代)1984年(昭和59年)主要人物)棚旗奈々(雪ノ下女学院高等部1年)
事件)鎌倉宮境内にて、管理人の不審死
事件概要)鎌倉宮に、不審な明かりが見える、その正体は人魂だ、幽霊だという噂が広まっていた頃、不審な明かりの正体を突き止めようとした管理人が死亡。外傷なし、死因不明だった。
歴史上の謎)楠木正成は湊川で本当に死んだのか?…上田壮(桑原崇?の影響)、須藤真司(鎌倉湘南大学附属高校2年)

「浅草寺の秋」
年代)1984年(昭和59年)~1985年(昭和60年)
主要人物)小松崎良平(吾妻橋高校3年~名邦大学文学部社会学科1年)
事件)浅草寺裏手の公園にて、男女の心中(?)
事件概要)浅草寺裏手の公園で、会社員佐藤真太郎と江川奈緒美が、抱き合って死亡していた。事件の担当は、岩築竹松。岩築の甥、小松崎に、一応(?)つきあっている江川優里から連絡が入る。姉がまるで心中のような状況で死んでいたが、佐藤という男は、姉が付き合っていた男ではないという。
歴史上の謎)待乳山聖天、浅草寺の背景…出雲谷、鴨志田翔一(真土山高校3年)


年代)1991年(平成3年)
主要人物)御名形史紋(紀伊和歌山大学大学院所属)
事件)ボートに乗った、体中が火傷したような男の死体
事件概要)福森麗奈は、高校のときからの習慣で、朝に熊野灘を見に行った。ところが、その朝は、海岸に壊れかけたボートが半分乗り上げたまま揺られていた。中には、真っ赤に腫れた男の死体があった。…男は、人から多くの恨みをかっているような人物だった。
歴史上の謎)天狗…「私」の母、御名形史紋



 それぞれ、独立した事件でありながら、微妙にリンクしあっていて、最後には4つの物語がすうーっとつながります。…が、暗澹たる気持ちが残ります。
 QEDシリーズの主要メンバーの4人が、過去にもうちょっとで知り合いになりえていたというのを、なんだかにこにこしながら読み進めました。そして、「那智瀧の冬」は別として、他の3章では、それぞれのメンバーの初恋(?)が描かれています。ほろ苦いですね…。
 やっぱり、とても印象的だったのは「九段坂の春」ですね。あの桑原さんが、現在の雰囲気はもちろんあるのですが、それでもしっかり中学生の感じです。五十嵐先生が、桑原さんにとって本当に大きな存在だったのですね。

 歴史上の謎については、正直、謎として取り上げられている事柄の大部分をそもそも知らなかったのですが、問題提起がうまく、背景の説明もそれなりに丁寧なので(ある程度の知識を前提にしているような箇所もあったように感じましたが)、なんとかついていけたかなぁ、といったところです。とはいうものの、どれも興味深く読みました。





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Last updated  2007.08.12 06:44:39
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