のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2009.08.03
XML
森の少年

(Michael Dorris, Guests, 1994)
~新潮文庫、1999年~

 マイケル・ドリスの長編作品です。

 先日紹介しました 『朝の少女』 と同じような島が舞台です。
 本作の主人公は、モスという名の少年です。モスは、大切な日の朝に、貝殻の数珠をばらばらにしてしまいます。その数珠は、大昔からの伝わる物語と関係づけて、貝殻を並べたものでした。おじいちゃんにも貝殻の順番が分かりません。そこでお父さんやおじいちゃんは、モス自身が、新しい物語を作るようにと告げるのです。
 その日、モスにはもうひとつ嫌なことがありました。前日にお父さんが見つけた「お客」が、やって来るのです。せっさくの、家族や部族で、冬の前に行う収穫祭の日だというのに…。
 お父さんとお母さんとケンカして、モスは一人で森に入ります。その島で、「森の時間」を過ごすことは、一人前の大人になるために少年たちが経験する、大切な儀式です。まだその時期がきていないのに、モスはなにも道具を持たずに、森に入ります。トラブルという名の少女との、会話の後に。


 『朝の少女』でも、とくに星の子が大人になる道を辿る姿が描かれていますが、本作では、よりストレートに、モスが「通過儀礼」をとおして変わっていく姿が描かれています。父親の立場を理解できたとき、モスはもはやそれ以前のモスではなくなっています。
 そして、『朝の少女』同様、本作も名前がとても大切な要素になっています。

 訳者による解説によれば、著者のマイケル・ドリスは、壮絶な晩年を過ごされたようです。 1997年、52歳で自らの命を絶つ3年前に発表された本作は、解説にもあるように、ずっと深い思いも込められているようです。

(2009/08/01読了)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.08.03 06:38:17
コメントを書く
[本の感想(海外の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 第2部第…
のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 脳科学に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: