のぽねこミステリ館

のぽねこミステリ館

PR

Profile

のぽねこ

のぽねこ

Calendar

2010.05.07
XML


~創元推理文庫、2010年~

 第36回メフィスト賞受賞作 『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!』 でデビューし、その後も講談社ノベルスでさらに3冊の作品を刊行されている深水さん初の文庫書き下ろし作品です。表題作に、ひとつの短編が併録されています。
 それでは、それぞれの作品の内容紹介と感想を。

ーーー
「五声のリチェルカーレ」
 昆虫好きの14歳の少年が、殺人を犯した。殺人の事実は認めているものの、その動機については話そうとしない。家裁調査官の森本の問いに、「生きていたから殺した」という謎の言葉を告げたまま…。
   * 少年がいじめを受けている情景と、事件後、森本さんに事情を聞かれる情景とがそれぞれ語られていきます。少年はなぜ殺人を犯したのか?というミステリであるのはもちろんですが、近年の少年による犯罪をめぐる議論とのからみもあり、興味深い物語でした。

「シンリガクの実験」
 小学生にして、相手が思っていることを見抜き、行動できる僕は、クラスの影のリーダーとなっていた。巧みな根回しにより、自分がいろんな出来事の仕掛け人とは分からないように行動するという、一種の実験を行っていた。そんな中、僕たちのクラスに転校生がやって来た。彼女は、自分の強敵となるように思われ、僕は焦りを感じ始める。

 深水黎一郎さん初の短編と思いますが、これは面白かったです。人間の赤ちゃんの未発達ぶりについての考察など、「五声のリチェルカーレ」で描かれていることがそのままあったりしますが、それは文庫一冊としてまとめられたときに統一性をもたせる効果もあるかと思います。
 謎解きメインのミステリの範疇には入らないと思いますが、興味深い一編でした。
ーーー

 表題作ももちろんですが、私には、どちらかといえば「シンリガクの実験」の方が面白かったです。深水さんはいままで長編を発表してきていらっしゃいますが、短編集もきっととても面白いだろうと予感させられます。
 面白い一冊でした。

(2010/04/25読了)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.05.07 07:11:00
コメント(4) | コメントを書く
[本の感想(は行の作家)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

Keyword Search

▼キーワード検索

Comments

のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: