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2012.05.12
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~講談社ノベルス、2011年~


 講談社ノベルスから、「城」シリーズを刊行してきた北山猛邦さんによる短編集です。
 個人的には、「城」シリーズよりも、こちらのテイストの方が好きかもしれません。
 本書は、ミステリ的な解決もありつつ、不思議で怖い物語集、といった感じでしょうか。
 それでは、収録されている5作それぞれについて、簡単に内容紹介と感想を。

ーーー
「恋煩い」
 名も知らない先輩を思い続けているアキに、親友のトーコが、恋が成就するとい秘密の行動を教えてくれる。まさかと思いながら実践し、先輩と少しだけ近づけたアキは、その後、恋愛成就に関する都市伝説を聞いては、それにのめりこんでいってしまい…。

 全くミステリとしては読んでいなかったのですが、背表紙のとおり、「ラストで覆る」物語の真相は鮮やかでした。
 続く他4編も楽しみになり、この短編集を買って正解だったと思えた作品です。

「妖精の学校」
 ある日起きたら、少年は記憶を失っていた。おぼろに、泣いていた少女と、自分が泣き虫だったことを思い出すだけで…。

 ヒバリという名を与えられた少年は、きちんと授業を受けず、図書館で過ごすクイナと親しくなっていく。
 クイナは、この島の謎を解くと、立ち入りを禁止されている「虚」に行こうと計画を練るが…。

 読了後、すぐには真相が分からない物語でした。
 ただ、それが分からなくても、読後の感慨は大きい物語でした。
※その後ネットで調べて、真相(に関する一解釈)を知ると、ますます重たい気持ちになってきます。

「嘘つき紳士」
 多額の借金を抱える俺は、ある日、傷みの激しい携帯電話を拾った。携帯の持ち主は、遠距離恋愛中の彼女と頻繁にメールをしているらしい。
 そこで俺は、持ち主になりすまし、彼女に「振り込み詐欺」をしようと動き始める。
 しかし、ニュースで、その持ち主が事故で死んでいることを知り、「キョーコ」という名の女性とメールをやりとりするうちに、次第に彼女とのメールに幸せを感じ始める。
 このままではいけない、「キョーコ」に持ち主の死を知らせて傷つけないためにも、生きたまま別れるように見せかけようと動き始める俺だが…。

 これは面白かったです。
 主人公が詐欺をはたらこうと動き始めるあたりは「う~ん」と思いながらでしたが、主人公の心境が変化するあたりから、ぐいぐい物語に引き込まれていきました。

「終の童話」

 村で対策を練るも、被害者はどんどん増えていく。
 父親が城に行き、家を留守にしているあいだに一緒に過ごしてくれたエリナも石にされてしまったウィミィは、怪物事件が一段落してからも、ずっとエリナの像を大切にし続けた。
 それから10年の歳月が過ぎた後、村にふたたび異変が起こる。石にされた人間を、人間に戻してくれる能力者が現れた。村人は、家族や大切な人が戻ってくると喜ぶが、そんな中、石像が破壊されるという事件が起こったのだった…。

 いわゆるファンタジーの世界ですが、謎の提示も魅力的ですし、解決も合理的です。
「城」シリーズも独特な世界観でしたし、こうした独自の世界を創りあげ、その中で論理的な謎解きを示すのが、北山作品の魅力のひとつだと思います。

「私たちが星座を盗んだ理由」

 そして、星座を盗むといっていた夕兄ちゃんが、たまたま私が勤める病院を訪れて…。
 私は、夕兄ちゃんに、当時の真相を教えてもらい、そして、ある告白をする。

 きれいな、そして悲しい物語でした。
 タイトルがまず素敵で、作品集の表題としてもぴったりだと思います。
ーーー

 以上、どの作品も楽しく読みました。
 最近は西洋中世史の勉強のウェイトを増やしてきていますが、やはり物語は面白いと思わせてくれる作品集でした。
 素敵な読書体験でした。





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Last updated  2012.05.12 16:47:14
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のぽねこ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) スパイシーチューリップさんへ コメント…
スパイシーチューリップ @ Re:銀色夏生『流星の人』(05/16) 流行りましたね!キラキラ系、あまり知ら…
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