ジャン=ポール・サルトル(伊吹武彦ほか訳)『水いらず』
~新潮文庫、 1971
年~
Jean-Paul Sartre, Intimité
, Gallimard, 1938
実存主義哲学者サルトル (1905-1980)
長編に近い作品1編のほか、3編の短編が収録されています。
不能の夫を捨て、別の恋人と一緒になるも、夫の元に戻ることを決意する女を描く 「水いらず」
。
内乱中、捕虜となった男たちが処刑される前夜を描く 「壁」
。
狂気を抱える夫を持つ娘の両親の心配と、娘本人の思いを描く 「部屋」
。
人間たちを敵と思い、拳銃を手にして、わずかなお金で過ごす男を描く 「エロストラート」
。
工場を経営する一家のもとに生まれ、両親、使用人、学校での友人たちとの関係から、自分自身を見つめながら成長する男を描く 「一指導者の幼年時代」
。
最も印象的だったのは、スペイン内乱に取材したという「壁」です。刑執行前夜の捕虜たちの恐怖、様々な思い、言動、そして主人公に訪れる意外な運命も含めて、興味深く読み進めました。
(2024.07.30 読了 )
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