ヘンリー・ジェイムズ(蕗沢忠枝訳)『ねじの回転』
~新潮文庫、 1962
年~
Henry James, The Turn of the Screw
ヘンリー・ジェイムズ (1843-1916)
豪壮な大邸宅―ブライ邸―の家庭教師に申し込んだわたしは、広告主との面談を経て、両親を亡くした、主の甥・姪の家庭教師をつとめることはともかく、主に決して面倒をかけないという、奇妙な条件がついていましたが、引き受けることにします。
主の姪、フローラの麗しさに心打たれ、また邸の世話役であるグロース夫人にも気に入られ、わたしは穏やかな生活をはじめます。
しかし、邸宅の塔に謎の男を見かけてから、わたしの生活は少しずつ変わり始めます。
その頃、主の甥、マイルズが、なんらかの事情で学校を退学になり、戻ってくることになります。心配していたわたしですが、マイルズも清浄な天使のようで、とても悪いことをして退学になったとは思えませんでした。
2人の家庭教師として再び穏やかな生活と取り戻したかに思えましたが、再びあの男を目撃します。グロース夫人によれば、わたしが見た男は、かつて邸宅につとめていた悪い男で、すでに死んだはずの男でした。
子供たちに会いに来る亡霊たちから子供たちを守るため、わたしは戦うことを決意しますが…。
主人公の家庭教師が著した手記の体裁の物語です。私の読み違えでなければ、彼女の名前が決して明かされていないのが印象的です。
亡霊が登場しますが、いわゆるホラー小説のテイストはあまり感じませんでした。一方、迫りくる幽霊たち、そして子供たちの奇妙な行動と、サスペンスフルな印象を持ちました。
家庭教師のその後など、読者に委ねられる余韻もある物語です。
(2024.08.11 読了 )
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