碧野圭『菜の花食堂のささやかな事件簿 きゅうりには絶好の日』
~だいわ文庫、 2017
年~
菜の花食堂の店主で、料理教室も開催している下河辺靖子先生と、先生の助手をつとめる館林優希さんが活躍するシリーズの第2弾。
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「きゅうりには絶好の日」
料理教室の生徒、瀬川さんは、いつ見ても駐輪場にある赤い自転車が、人にぶつかりそうな場面に遭遇したといいます。しかしその直後、駐輪場にはやはりその自転車がとまっていて…。
「ズッキーニは思い出す」
父子家庭で育った牧さんは、こどもの頃におばさんが作ってくれたお弁当が大好きでした。その話を聞いた帰り、牧さんのおばさんに出会った優希さんは、彼女から、牧さんの母親が重い病気であることを告げられます。母親を忘れようとする牧さんの気持ちを動かすために、先生が考えた方法とは。
「カレーは訴える」
地域のイベント「野川マルシェ」主催者の川崎さんと知り合い、出店を依頼された菜の花食堂。カレーを販売しましたが、朝から、慌てたようにルーだけを購入した客に、先生は何か気付いたようで…。
「偽りのウド」
ウド室のある農家、大倉さんのリクエストで、ウドを料理教室の食材として扱った後。たまたまインターネットでウドのレシピを検索した優希さんは、料理教室のレシピが掲載されているのを発見して…。
「ピクルスの絆」
香奈さんが菜の花食堂に弟子入りを依頼します。その頃、特別に料理教室の開催をお願いしてきた小島さんが、遺言状をめぐる謎について相談を持ち掛けてくるのですが…。
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第1巻はビターな話もいくつかありましたが、今作は比較的マイルドな印象で、私は、より安心して読むことができました。
特に印象的だったのは「ズッキーニは思い出す」。これは、うっかり外で読んでいると危ういことになるところでした。また、「カレーは訴える」は、事件(?)の解決がとても前向きで、こちらも好みでした。
香奈さんが弟子入り志願したり、瓶詰の販売に向けて動き始めたりと、短編集でありながら、少しずつ物語も進んでいき、今後の行方がますます楽しみになります。
(2025.05.05 読了 )
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