碧野圭『菜の花食堂のささやかな事件簿 金柑はひそやかに香る』
~だいわ文庫、 2018
年~
菜の花食堂の店主で、料理教室も開催している下河辺靖子先生と、先生の助手をつとめる館林優希さんが活躍するシリーズの第3弾。
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「小松菜の困惑」
瓶詰をマルシェで販売することが決まった頃、香奈さんは彼氏のことで悩んでいました。香奈さんがお弁当を作るのを、彼氏が嫌がっているようなのですが、原因が分からずに…。
「カリフラワーの決意」
優希さんは、派遣の仕事と菜の花食堂の手伝いの両立で心が揺らいでいました。一方、いよいよ迎えたマルシェの日、瓶詰の酢だけをほしいと少女が頼んできた理由とは。
「のらぼう菜は試みる」
菜の花食堂の野菜の仕入れ先、農家の保田さんは、経営するアパートの隣に開いている無人販売所で、お金が多く残されていることを気にしていました。先生が明かすその理由とは。
「金柑はひそやかに香る」
優希さんのアパートの隣室に引っ越してきた男性の部屋から、異臭がするといいます。その頃、ニュースではアパートでの監禁事件も報じられていました。優希さんの身を案じた先生たちは、隣人との接触を試みることになるのですが…。
「菜の花は語る」
先生は、なぜ自分のお店に菜の花食堂という名前をつけたのか。先生は開店記念日も覚えていないといいますが、開店 25
周年を前に、優希さんは考えをめぐらせます。
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今作も面白かったです。どのお話もビター感がほぼなく、安心して読めます。
特に好みだったのは「のらぼう菜は試みる」。誰も傷つかないのがほっとします。
今作は、優希さんに大きな変化が訪れます。最終話での優希さんのいらだちも印象的でした。
これからの展開がますます楽しみになる一冊です。
(2025.05.09 読了 )
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