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2025.08.11
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有栖川有栖『捜査線上の夕映え』
~文春文庫、 2024 年~


 犯罪社会学者・火村英生先生と作家・有栖川有栖さんが活躍するシリーズの長編作品です。


 マンションの1室で、男の死体が発見されます。死体は、スーツケースに詰められていました。
 マンションの防犯カメラの分析と、男の交友関係から、容疑者はかなり絞り込まれます。
 恋人。三角関係にあった女。被害者から借金していた友人。謎のサングラスの男……。
 しかし、関係者には、それぞれアリバイがありました。
 犯人は、なぜスーツケースに死体を詰めたのか。なんらかのアリバイトリックがあるのか。謎の男の正体は……。

 と、大掛かりな謎はなく、佐々木敦さんの解説の言葉をお借りすれば「一見地味とも言える」事件です。
 ところが、どことなく据わりが悪く、早期解決も困難に思われていました。
 そんな中、火村先生はあることに気付き、事件解決のために「旅」に出ます。

 「コロナ」「旅」がキーワードといえるでしょう。
 たしかに、スーツケースに死体が詰められた謎は不可思議ですが、密室とか、明らかに犯人と思われる人物に鉄壁のアリバイがあるとか、そういった「ハウダニット」の謎解きの要素は薄く、それよりもある人物をめぐる、抒情的な味わいのある物語です。
 自分自身の年齢もあるかもしれませんが、がちがちの謎解きも好きですが、こういった味わいのある物語も好みになってきたこともあり、好みの物語でした。解説にもありますが、ある一文の衝撃たるや。
 素敵な読書体験でした。

(2025.06.06 読了 )

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Last updated  2025.08.11 09:00:13
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