シャルル・ペロー(巖谷國士訳)『眠れる森の美女―完訳ペロー童話集―』
~講談社文庫、 1992
年~
シャルル・ペロー (1628-1703)
1697
年刊『過ぎし日の物語集または昔話集 教訓つき』と 1695
年刊行の『韻文による物語集』の全訳です。
表題作 「眠れる森の美女」
は、妖精の贈物により 100
年の眠りについた美女が王子によって目覚める…だけでなく、その後に王子の母が人喰い鬼の一族の出自で、王子夫婦を襲おうとするというエピソードが続きます。末尾の教訓はぴんときませんでした。
「赤ずきんちゃん」
は救いのないお話。
ジル・ド・レなどがモデルといわれる 「青ひげ」
は、夫が留守の間、決して開けてはならないと言われた小部屋を開けてしまった妻を待つ衝撃の展開です。
「猫先生あるいは長靴をはいた猫」
は、猫しか遺産をもらえなかった三男ですが、その猫が大活躍して…というお話。
「サンドリヨンあるいは小さなガラスの靴」
は、サンドリヨン=シンデレラの物語。
「まき毛のリケ」
は、ぶかっこうですが才知あふれる王子と、美しいけれど才知に欠けた王女のお話。
「親指小僧」
は、7人兄弟の末っ子で体も小さい「親指小僧」が、存在をうとまれながらも大活躍するお話です。
以上の8話が散文の物語で、後編には3編の韻文物語が収録されています。
最長の 「グリゼリディス」
は、美しい妃グリゼリディスと王の物語。作者は末尾にいろいろ書いていますが、王の非道さは、私には目に余りました。
「ろばの皮」
は、亡くなった妃の言葉で、美しい娘との結婚をくわだてる王と、王から逃れるためろばの皮をかぶり貧しい姿で暮らす王女の物語。これもなかなか…。
「おろかな願い」
は、3つまでなんでも願いごとを聞いてもらえることになった夫婦の話。
訳者解説もとても分かりやすいです。
(2025.06.27 読了 )
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