大塚滋『食の文化史』
~中公新書、 1975
年~
著者の大塚滋先生 (1928-2023)
本書の構成は次のとおりです。
―――
肉食の文化史
豚肉考現学
鶏肉ものがたり
魚と日本人
菜食民族
野菜と欧米人―サラダ小史
米食の歴史
めん類文化
パンを食べる人
牛乳と文明
バターの話
醤油文化
おせち料理
手作りへの回帰
日本の味と香り
洋風化のままごと
人類の食生活―あとがきに代えて
―――
主に日本の食の歴史を中心としつつ、古代エジプトや『旧約聖書』も含めて、世界も含めた食の歴史にも目配りをされている興味深い1冊です(なので、便宜的に「西洋史関連(邦語文献)」のリストに本書を載せています。)
もともと『栄養と料理』や『食生活』などの雑誌に掲載されていた文章をまとめなおした1冊なので、語り口も軽妙な、読みやすいエッセイ集といった趣があります。
上に掲げた構成でも分かるように、その内容は多岐に渡っていますので、印象に残った点だけ簡単にメモしておきます。
「鶏肉ものがたり」では、「最近、ドーナツ、ハンバーガーなどと並んでアメリカ資本のフライドチキン店が「上陸」して来て、ファーストフード…の一つとして人気を得ている」 (35
頁 )
とあります。本書刊行が 1975
年、ケンタッキー・フライド・チキンの「上陸」が 1970
年のようですので、時代を感じられます。
サラダが日本で発明されなかったことについては、「米食のそえものとしての使命を担わされてきた野菜は、なによりもまず塩味で強く調味されねばならなかったであろう」 (52
頁 )
と分析されています。
またサラダについては、それを「生野菜の配合料理」とはじめて定義したのがジョン・イーブリンという日記作家であると指摘されています (59
頁 )
。
「牛乳と文明」では、牛乳を飲む習慣がなかった日本に来たハリスが、なんとか牛乳を飲もうと陳情していたというのが興味深かったです (95-98
頁 )
。
などなど、どの章も興味深く読みました。
今から 50
年ほど前の著作ですが、上にも書いたとおり軽妙な語り口で、とても読みやすい1冊でした。
(2026.04.17 読了 )
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