仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2011.01.03
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カテゴリ: 東北
正しくは鶴岡天神祭。鶴岡天満宮で5月24日25日に開催される。手ぬぐいで顔を覆った化けものたちが町中で物言わずに酒を勧めては立ち去る、という祭だそうだ。

鶴岡市観光連盟の紹介 では、「老若男女の別なく、派手な花模様の長襦袢に角帯を締め、尻をからげ、手ぬぐいと編み笠で顔を隠し、手に徳利と杯を持ち、無言で酒を振る舞う習わしで、通称「化けものまつり」として広く知られています」とある。

天満宮が祀る菅原道真公が九州太宰府へ配流の時、公を慕う人々が顔を隠して密かに酒を酌み交わし、別れを惜しんだという言い伝えによるもので、3年間「化けもの」として誰にも知られずお参りを果たすと、念願がかなうと言われる。

合田一道『日本の奇祭』(青弓社、2006年。初版1996年)によると、鶴岡駅ホームに着くと、いきなり若い女性の「化けもの」に、歓迎の酒を勧められる。顔も隠さず、挨拶もしてくれるというのだ。だが、これは観光宣伝用の仕掛けで、女性達は本当の化けものではない。なにせ本物は、決して口をきいてはならないのだ。3年間人に悟られずに酌して回るのが満願の必須条件だから。

何やら奇祭の雰囲気に満ちあふれているようだ。

鶴岡天満宮は、いつから鎮座するか判然としないが、かつて太宰府神社と呼ばれ、鎌倉時代に鶴岡城が大梵寺城または大宝寺城と呼ばれた頃、城内天神として城主の崇敬が厚かったと言うから、千年をゆうに越える歴史がある。城内天神のころ、いつとはなしに城下の人々が変装して参詣したのが始まりで、天神が城下五日町に遷宮された慶長8年(1603)あたりから祭として盛んになった。明治に入って化けものの数は増え、どの家にも化けもの用の編み笠があったほど、無礼講の祭として隆盛をみた。戦後化けものの数が減ったが、近年の祭ブームで息を吹き返したという。(同書より)

新聞編集委員を務めたという合田氏による祭の体験談は、大変面白い。化けもののパレードに近づくと黙って酒盃を差し出される。これはもちろん頂くことになるのだが、慣れきった観衆はみな盃を受け、ありがとうと言って返す。パレードの先頭は天満宮ゆかりの天狗舞。趣向を凝らした変装の化けものに混じって、小学生の女の子が扮した化けものも、ジュースやコーラをふるまっている。

鶴岡にはもう5年前になるが、秋晴れの日に家族で訪れた。大変良い旅だった。今度はこんな奇祭の中に身を置いてみるのも面白い。観光連盟の説明では、事前に申し込むと化けもの衣装を無料で貸し出してくれる上に、バス乗車無料や記念品などの特典も。また、市内随所に銘酒コーナーも出るようだし。

みちのくの伝統文化を体験しよう、或いは子どもの合格を祈願して、と誘っても誰も乗ってこないだろうか。どうせ酒目当てでしょう、道連れはたくさんだと家人に一喝されて霧消、か。





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最終更新日  2011.01.03 14:59:00
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