仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.10.03
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カテゴリ: 東北
龍飛崎の国道339号といえば有名な階段国道だ。ところで、今日ある本を読んでいたら、1974年に国道に指定された際には階段ではなく急な坂道の状態で、車両通行のための道路整備が求められていたのだが、坂道の途中に小中学校があったために、登下校のために1993年から4年かけて階段が設置されたのだという。

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自責と後悔の念におそわれた。

というのは、2年前に階段国道を訪れた際に、階段部分の上端部(郵便局の人がハガキを売っていた)に立ってみた。また、車でぐるっと階段部分の下に回って、民家の間を抜けて少しだけ歩いてみたりはしたのだが、362段あるという階段をすべて通しで歩くことをしなかったのだ。

2泊3日で秋田県の北部と青森県を一回りする弾丸旅行だったことが理由だが、でもせっかくお邪魔したのだからしっかり歩き切るのがエトランゼの儀礼のはず。また、階段の途中に小中学校があったのなら、その跡地も見ておくべきだったな、と思ったのだ。

■関連する過去の記事
階段国道 (2013年6月12日)

ところで、登下校の子どものために4年もかけて立派な階段を設置したというのだが、青函トンネルは1988年の竣工だから、工事関係者の家族がにぎわっていたと思われる時代には、子ども達はまだ坂道を歩いていたということだろうか。

龍飛崎観光案内所龍飛館さん(あの旅でも立ち寄りました)のサイトによると、

○ 竜飛小学校はトンネル完成翌年の平成元年に閉校
○ 竜飛中学校は昭和59年に閉校、現在は地区の避難所が建っている
○ 小学校児童数のデータとして、昭和39年(工事着工時)66人 → 昭和55年(ピーク)133人 → 昭和63年(トンネル完成)15人
などとされている。

別の情報では、小学校は坂道の上に、中学校は坂道の中腹にあって、かつて坂道の下から中腹までは階段があったが、昭和60年に小学校通学のために上部分にも階段を設けた、というものがある。昭和49年の国道昇格の際には坂道のままだったようにも思われるが、青森県の公式サイトでは「国道昇格時には坂道の下から中腹の中学校までは階段があったようだ」としている。当時は、まずは車道整備をめざしていたが、その後に迂回ルートの村道ができて車の通行は可能になったから、子ども達の通学の便宜を優先したのだろう。トンネル工事で住宅などが張り付いてしまって、とても道路拡幅事業どころではないという事情も想像される。

とすると、今日の本で1993年から整備された階段...というのは、正確には階段の再整備というべきことになるだろう。登下校ではなく、おそらく観光目的だ。その以前から子ども達は階段で登下校していたのだ。疑問が解消で、多少すっきりした。

また、かつては、この階段国道沿いに、病院や工事関係者の住宅などがあったという。今では階段部分の両脇は何もない斜面に見えたが(やっぱり完歩すべきでした!)、丹念にみれば建物跡などが見つけられるのかも知れない。

児童数のデータで、閉校時にはピークの10分の1になっていたというのも激しい数字だ。全盛期には家族で移り住んだ人たちも多かったのだろう。3000人の作業員や家族が住んでいたという情報もある。今は草の生い茂るあの斜面に、どんな社会があったのだろうか。

この地で小中学校に通った子ども達は、今は40代から60代というところだろうか。全国に散らばっておられるのだろう。

■関連する過去の記事(青森の旅、三厩地区関係)
厩石と義経寺
階段国道 (2013年6月12日)
青函トンネル記念館、ずい道石、殉職者慰霊碑 (2013年6月11日)
龍飛岬と龍飛埼灯台
竜泊ライン 眺瞰台 (2013年6月9日)





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最終更新日  2015.10.03 20:32:22
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