仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.11.15
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カテゴリ: 東北
来春に北海道新幹線奥津軽いまべつ駅が開業する今別町の「観光ガイド」を、仙台駅で手にした。

津軽半島を2年前に回って以来、当地のことをあれこれ考えている。
(旅の写真集から2枚だけ紹介します。詳しくは、本記事末尾にリンク表示した過去記事をご覧下さい。)
130508-10青森の旅 315.jpg
海雲洞釈迦堂

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吉田松陰の東北視察をしるす石碑

新幹線開業と観光振興策について、前回記事にした。今回は地元の方々の日頃の交流、すなわち通勤通学について考えてみたい。

今別町では、新幹線開業に際して、町内から青森市に通学する高校生を対象に、通学定期の費用の3分の1を助成する方針だと報じられている。1か月3万円程度とみられるので、約1万円を町が助成することになりそうだ。

もちろん、通学に適する時間帯に列車が停車するのかどうかはわからないし、新青森駅から各高校への交通(列車、バス、自転車?)の事情もわからないのだが、新幹線両駅間は38.5kmと、仙台-古川間よりも短いから、移動時間は正味10分程度だろう。これだけをみれば、通勤通学には極めて十分である。

現在、どれだけの生徒が今別町から青森市に下宿あるいは通学しているかについては、町では明らかにしていないようだ。町の人口は2937人、町で唯一の今別中学校の3学年在籍者は16名なので(町ウェブサイト)、絶対数は少ないだろう。



してみると、蟹田あたりは津軽線で青森市に通学できるのかも知れないが(津軽線ダイヤを見ると蟹田708発で、青森着748がある。なおこの電車に乗るためには、三厩駅610発、津軽今別駅617発だ。)、三厩、今別、平舘などの地域は、中学校を卒業すると青森市に下宿するのが一般的なのかも知れない。

他方で、あるブログでは、函館方面に行く場合に、西北五津軽地域からだと、新青森駅ではなくて奥津軽いまべつ駅まで車で行って(無料駐車して)新幹線に乗るのが便利だという見方がある。なるほどと思わせる。現在でも、混雑する青森市内を避けて、蟹田駅から海峡線に乗る人が多いのだという。

新幹線が地域間交流のあり方を変える一例だが、そもそも今別町の生活圏交流圏はどうだったのか、あれこれ以下に考えてみる。

(1)東青地域の生活圏と交流人口

東津軽郡と青森市を合わせて東青(津軽)地域と呼ばれ、青森県の広域区分として東青地域県民局の管轄エリアともなっている。
(なお、津軽は、東青、西北or西北五(さらに西と北五に細分)、中南or中弘南黒、などのように一般に区分される。)
■当ブログ「 青森県東部の地理概説(三八、上十三などの意味) 」をご参照下さい。

東津軽郡の経緯をみてみると、郡役所は青森町。地域の核と思われる「町」に昇格したところを拾っていくと、

明治22年(町村制)青森町のみ(のち市制)
大正8年 油川町(現青森市)

昭和16年 蟹田町(蟹田村が昇格)
昭和27年 筒井町(現青森市)
昭和30年 平内町、今別町(今別村と一本木村の合併)
平成17年 外ヶ浜町(蟹田町と2村の合併)

であり、蟹田町の拠点性が高いことがうかがわれる。東青地域では、例えば警察署は、青森署、南青森署(旧浪岡町を管轄)と外ヶ浜署(蟹田に所在)だ。



前回平成22年国勢調査から。今別町に常住する就業者(15歳以上)1285人と通学者93人(15歳未満含めると244人)について。通勤通学先別に。

総数 就業者(15歳以上)1285 通学者(15歳以上)93 同(15歳未満含む)244
自町 順に、921 47 197
町外 364 46 47
(内訳)
青森市 89 41 42
弘前市 0 3 3
野辺地町 0 1 1

となっている。中学生が今よりやや多く毎年30人程度だったと考えると、同町出身の高校生と15歳以上の中学生は、およそ100人程度とみる。さらに、高卒後の専門学校なども考えられるので、同町出身の学生はおよそ150人はいるのでないだろうか。これに対して、同町常住の「通学者」が93人ということは、残る数十人は、同町に常住していない、つまり下宿かアパートに暮らしていることになる。さらに、常住するうち、おおざっぱに半分の生徒が青森市に通学している。

ちなみに、外ヶ浜町をみる。

総数(上と同様順に)2965 196 603
自町 2359 38 437
町外 606 158 166
青森市 404 130 133

である。蟹田と三厩ではだいぶ事情が違うと思うが、15歳以上の通学者で自町が極端に少なく、大半が青森市に通学している。さらに、三厩だと上記の通学者総数にも含まれない(青森市に下宿)のではないだろうか。


■関連する過去の記事(今別町に関連するもの)
奥津軽いまべつ駅と交流人口増加策 自転車に着眼 (2015年7月22日)
奥津軽いまべつ駅の開業と観光ルートを考える (2015年7月19日)
貴重な資源だった赤根沢の赤岩 (2013年7月15日)
青森市森林博物館と津軽森林鉄道(その2) (2013年6月19日)
青森市森林博物館と津軽森林鉄道(その1) (2013年6月18日)
蟹田から蓬田へ (2013年6月17日)
平館灯台と不思議な高層建築(外ヶ浜町平舘) (2013年6月16日)
赤根沢の赤岩(今別町) (2013年6月15日)
袰月海岸、高野崎(今別町) (2013年6月14日)
厩石と義経寺 (2013年6月13日)
芦野公園と津軽森林鉄道 (2013年6月4日)
下北半島の森林鉄道 (2013年5月6日)
津軽森林鉄道 (10年5月8日)





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最終更新日  2015.11.15 11:44:08
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