仙台・宮城・東北を考える おだずまジャーナル

2015.12.24
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カテゴリ: 東北
真田信治氏によると(『都道府県別 気持ちが伝わる名方言141』講談社、2005年)、ヨーロッパの諸言語は系統上は方言である。すなわち、フランス語とイタリア語は類縁関係が証明されているが、それぞれに正書法をもつ標準語が損するから、別言語とされる。これに比べれば、琉球語と本土語の違いは、英語とドイツ語の違い以上だし、ポルトガル語とスペイン語の違いは、名古屋弁と東京弁くらいしかない。ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、アイスランドは、それぞれ青森、岩手、秋田、北海道あたりか。日本語の言語変種は「方言」とされるが、それぞれの地域が自立して標準語と正書法を持てば、東北語、九州語のように独立した「言語」といえる、というように説明されている。

同書で各県別の方言の風景として、東北は次のように紹介されている(要点のみ記します)。

青森県

・津軽弁と南部弁の違い(津軽ことばの指標は、マエネ・ハンデ。また言葉が短い)
・オバンデガス(岩手はオバンデアンス、山形オバンダナッス、新潟オバンデヤス、秋田バンゲナッタナ)
・なお、関西のコンバンワに対して、待遇の段階に応じてさまざまに造形できる生産性がある。例えば、仙台では、オバンデゴザリス・オバンデガス・オバン、と。

秋田県

・恐縮した表現行動が礼儀
・過去の時制の表現として、東北では、シテアッタ・シタッタが一般だが、青森ではシテアッタが継続相過去(標準語のシテイタ)、岩手県以南ではシタッタが完成相過去(標準語のシタ)を表す。この中間の秋田では、県北と県南で用法が分かれる。



・柔らかい音形は人情の温かさ
・押念の文末詞ナハンは、本来盛岡あたりの女性用語だったようだ。
・盛岡方言の間投助詞「ハー」が、感情を込めると、末尾の母音が鼻音化して「ナ、ハー」が「ナハン」になったと考えられる

宮城県

・ダッチャ、ベッチャが有名
・終助詞「ッチャ」「ッチャー」は相手に発話を期待させ待機させる機能があるという。
・「帰らなきゃない」などと言う

山形県

・内陸と庄内ではまるで違う。庄内は語尾に「ノー」がついて西日本風
・温海町周辺では、標準語のクがしばしばフになる。フシ(櫛)、フレー(暗い)、フー(食う)。この現象は珠洲市周辺にも存在。日本海交通と言語伝播であろう。
・丁寧語の「ス」は末尾につく。「良かったなッスー」。東京弁の「良かったッスね」と違うもの。



・開放的(浜通り)、柔軟性と進取性(中通り)、情に厚く律儀(会津)の気質が方言差に対応
・同意要求を担う文末表現は、「ユッタベシタ(言ったじゃないですか)」(福島市、会津若松市)、「ユッタバイ」(郡山市)、「ユッタッパイ」(白河市)、「ユッタッペヨ」(いわき市)。
・檜枝岐は他地域とは隔絶する異質な方言。アクセントが東京系。「イ」と「エ」の区別を持ち、ガ行鼻濁音がなく、カ行タ行の語中における有声化なども存在しない。総じて西関東的。江戸幕府が直轄地として支配した影響と考えられる。





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最終更新日  2015.12.25 04:37:24
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